国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<キプロスからマルタへ。不法資金の海外持ち出しを洗浄

2018/01/15

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)1月15日(月曜日)
        通巻第5580号   
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 キプロスからマルタへ。不法資金の海外持ち出しを洗浄
  おまけにマルタ市民権。特権を買うトップは中国人かと思いきや
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 地中海に浮かぶ島嶼国家マルタ。「マルタ騎士団」の勇名は中世に轟いた。オスマントルコの軍隊を押し返したからだ。戦後は英国の影響も強かったが主権国家として、独自の道を歩み、東西冷戦終結時のブッシュ v ゴルバチョフ会談もマルタが舞台だった。

 古くは日英同盟時代、日本帝国海軍は英国の地中海作戦援護のために軍艦四隻を派遣し、護衛の任務に就いた。作戦中、一隻が撃沈され、いまマルタの英軍基地の中央部に慰霊碑が建っている。さきに安倍首相が訪問した折、この慰霊碑に詣でたことは言うまでもない。
 それ以前、つまり明治四年の遣欧視察団は、このマルタに三伯して、フランスが先か、英国へ行くのが先かを決めた。その船には福沢諭吉も乗船していた。

 さて、そのマルタ。キプロスがタックスヘブンと言われた時代は終わり、富裕層の格好の逃げ場所となっていた。
 65万ユーロで住宅を購入し、くわえて15万ユーロの「マルタ國際」を購入するとパスポートがもらえる。合計80万ユーロは邦貨換算で一億円強。
マルタは世界160ヶ国とヴィザなし協定をもつ国でもあり、世界中から観光客ばかりか、海岸沿いに立ち並ぶ豪邸、ヨット。すべてが欧米の金持ちである。

 この特権目指してどっとやって来たのはロシア人だった。カスペルスキー(暗号解読、カウンターハッカーで著名)の最高責任者、新興財閥の社長等がすでにマルタのパスポートを得ているといわれ、プーチンも「もう少し愛国的になれよ」と愚痴をこぼしているとか。マルタ政府は2017年に、この特権を売却することによって16億3500万ユーロの歳入増があった。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1688回】          
――「全く支那人程油斷のならぬ者はない」――(中野8)
 中野孤山『支那大陸横斷遊蜀雜俎』(松村文海堂 大正二年)

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 流石に毎度おなじみの「好鉄不当釘 好人不当兵」の国ではある。これでは護衛の役には立つわけがない。

  轎に乗っての旅となるが、前後の2人の轎夫(かつぎて)もまた問題だ。なにせ街道の目立つところで営業する公認アヘン吸引所である烟館の前に来たら「轎夫は轎を下して」入り込んだまま。
「何時まで待つても來ないから、轎より出でゝ烟館に行きて見れば、彼れは阿片に醉うて、恍惚として眠つて居るといふ始末で、呼べども容易に夢が醒めぬ」。そこで「ある友はピストルで夢を破つた位だ」。なにせ「彼等は阿片を嗜むこと、婦人を好むより甚だしい」のである。

  轎夫の阿片と同じように難儀したのが半風子だという。
「彼等は沐浴する樣なことはなく、又便所に行きても、尻を拭くことなどもない樣だ、それに襤褸を纏ふて居るから、半風子の?窟として適當だ」。旅館では彼らは「一枚の蒲團の中に、幾人の犬ころの如く集まつて休む」。そこで「半風子は甲より乙と移住し」、誰彼の違いなく轎夫の纏う襤褸に住みつく。
客がない場合は、「軒下に寝ね、橋下に臥し、飲まず食わず」が多い。いわば無宿者というわけだから仕事にありつくや「飲み食いは充分やらねばならぬと思うて、貪り食ふ」。当然、烟館に長居もする。客が日本人だった場合、「言語は通ぜず、好都合である位で、烟館や、茶館に飛び込み、又休憩の度數も多い」。だが日本人は「短氣でピストルや、日本刀で驚かされ、閉口したらし」い。

轎夫の阿片と半風子に難儀したことは判るが、「短氣でピストルや、日本刀で驚か」すとは余り穏やかな方法ではない。
言って聞かせたくても「言語は通ぜず」というのだが致し方がないとも思うが、ということは中国内陸旅行の際、当時の日本人はピストルや日本刀を携行していたというのか。それにしても突然にピストルをぶっ放されたり、目の前に抜き身を見せつけられたら、流石にグータラな彼らもビックリ仰天して憎まれ口を叩いたことだろう。
「アブナイあるよ!東洋人(にほんじん)、油斷ならないのことあるネ」とでも。

  これまで見た多くの旅行者が異口同音に口にしていたように中野もまた「支那の旅行」における「第一等の困難の一事」に「國内通用貨幣の一定しない事」を挙げる。ともかくも「各省一定しないのみか、各縣異なり、各地又其趣が相違して居る、そして又通貨が午前午後によりて、其價を異にして居る」というのだから、「旅行者の不便此上もない」ことは明白だ。
これでは近代国家ではない。だが、そもそも中華民国を近代国家の概念で捉えること自体、おそらく誤りだろう。

  立憲共和制の看板を掲げ一応は近代国家を名乗ってはいるが、それは体裁を取り繕っているだけ。実体は各省・各県に盤踞する大中小軍閥の寄せ集め、つまり地方政府が団子状態でくっつきあっているに過ぎない。
中央政府といったところで全土を統一的に掌握しているわけではないから、その威令は限られた範囲にしか届かない。人民の生殺与奪の権限を握る大中小軍閥は、互いが術策を弄し合従連衡を繰り返し潰し合いに奔り、折りあらば北京に攻め上り統一中国を掌中に収めようと狙っている。
有力軍閥の背後には将来の利権を狙う外国勢力が控えている。このような客観情勢に在るわけだから、貨幣制度も度量衡も全国一律でなかったとしても決して怪しむには及ばない。「旅行者の不便」なんぞに構ってはいられないのである。

 「支那市街と言へば、直ぐに、不潔を連想される」が、「支那旅館と申すと、更に一層其度が高」い。そうなるのは何故か。かくて中野は「前夜の客が縱に糞尿を放つ置」いた旅館の惨状を、まるで行間からアンモニア臭が立ち上ってくるかのように表現した。
《QED》
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)明日です。「正論を聞く会」は宮崎正弘先生をゲストに独演会を開催します。演題は「2018 外交展望」。世界情勢のキーとなるトランプ、習近平、プーチンの思惑、激動する北朝鮮情勢、イランと対決を鮮明にする湾岸諸国と、その背後の列強の動きなどを最新の情報を駆使して分析します。
どなたでも予約なしで御参加いただけます。

とき    1月16日 午後六時半
ところ   大手町「産経プラザ」三階 大会議室(定員120名)
http://www.s-plaza.com/assets/pdf/access/map-jp.pdf
講師    宮崎正弘
演題    「2018 外交展望」
資料代   おひとり 1500円(学生1000円)
主催    正論の会(代表 三輪和雄)



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(読者の声2)野田毅命と向井敏明命の二柱之命が、所謂「南京事件」という虚構における所謂「百人斬り」という冤罪のため、所謂「戦犯」として中国で処刑されてから、本年で70年となります。
 二柱之命の殉難日である1月28日、靖国神社におきまして七十年祭を下記の通り執り行います。

とき   1月28日(日)午後1時より
ところ  靖国神社
     (午後1時より拝殿におきまして執り行いますので、15分前までには参集殿にご参集ください。受付は正午より始めます。七十年祭斎行の後、靖国会館において、二柱之命を偲ぶ集会を開催いたします)
問い合わせ 「日本の名誉を守る会」(会長・阿羅健一)
事務局 03ー5357ー1344
当日  090ー2622ー4242(三澤)
【追伸】日本の名誉を守る会では会報『道義』を発行いたしております。ご希望の方は?お名前(ふりがな)?郵便番号?住所を明記の上、下記までご連絡ください。
miego315nippon1momotaro@docomo.ne.jp
以上です。



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(読者の声3)岩波書店の辞書「広辞苑」に「台湾は中国の主権が及ぶ不可分の領土」などと嘘の記述を書いて、訂正する時間がなかったなどと嘘の上塗りをしています。
  時間がなかったなどとは真っ赤な嘘で、訂正を要する内容は今でも訂正されています。
 「不可分の領土」の件だけが間に合わなかったとする言い訳は通りません。10年以上も前になりますが前にも同じような抗議をされていた筈。10年一昔で読者が忘れているとでも思ったのだろうか。
 史実に反した記事で台湾国を貶めようとは、岩波書店は正に「新華通訊社」の日本支局ではあるまいかと訝っています。
 第6版の予約申し込みがあった折、欲しくて在所の書店で1万2千円で購入しました。
 手にして2,3日後に、台湾の友人等が抗議をしていたことを知り、確認すると略今回の内容と同じでした。
 即、返却を申し入れると、「私どもは売っているだけですから申し出には応じられません」との返事。「それは分かる、だが之は辞書です。辞書は真実を記述しなくてはなりません。辞書が嘘の記述をすると云うことは、読者に歴史の誤謬を植えつけようと画策している、まやかしの辞書だと言われても仕方あるまい。オタクも誤謬の片棒を担ぐのですか、などと読者から猛抗議を受けましたと言って返却しなさい」、と言って店長を呼び、料金は返してもらいました。
 当時は私のみならず多くの人が抗議していたのではないかと思います。
 時間が間に合わなかったとの言い訳は嘘がばれない様に詭弁を弄していとしか思えません。 牽強付会の朝日新聞とよく似た手法です。
 10年来、岩波系の出版物は立ち読みすることはあっても、購入することは全くありません。「新華社」日本支局の出版物など不買運動を起こすべきだと思っています。
   (北九州素浪人)
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宮崎正弘『習近平の独裁強化で、世界から徹底的に排除され始めた中国』
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 下記は産経新聞の書評です(1月13日付け)
http://www.sankei.com/life/news/180113/lif1801130019-n1.html
http://www.sankei.com/life/news/180113/lif1801130019-n2.html
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 問題記述を訂正せず掲載した『広辞苑』第7版
     (日台共栄メルマガ、1月14日より再録)
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 1月12日、『広辞苑』の第7版が発売された。昨年12月、台北駐日経済文化代表処などが台湾は中華人民共和国の一部ではないとして訂正を要求していたが、第7版は第6版の記述と変わっていない。下記に、第6版と第7版の記述を示してみたい。

◆「日中共同声明」 問題記述は第6版を完全踏襲

 問題視されていたのは「日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と承認し、台湾がこれに帰属することを実質的に認め」という記述で、台湾が中華人民共和国に帰属することを日本が「実質的に認め」ていたという箇所だが、第6版第2刷の記述とまったく変わっていない。
第6版 第2刷(2011年1月11日発売)
【日中共同声明】一九七二年九月、北京で、田中角栄首相・大平正芳外相と中華人民共和国の周恩来首相・姫鵬飛外相とが調印した声明。戦争状態の終結と日中の国交締結を表明したほか、日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と認め、台湾がこれに帰属することを実質的に認め、中国は賠償請求を放棄した。 

第7版 第1刷(2018年1月12日発売)
【日中共同声明】一九七二年九月、北京で、田中角栄首相・大平正芳外相と中華人民共和国の周恩来首相・姫鵬飛外相とが調印した声明。戦争状態の終結と日中の国交締結を表明したほか、日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と承認し、台湾がこれに帰属することを実質的に認め、中国は賠償請求を放棄した。

◆「台湾」 問題記述は第6版を完全踏襲 

 この「台湾」の項で問題視されていたのは「一九四五年日本の敗戦によって中国に復帰」という記述だったが、これもまた第6版からまったく変わっていない。

第6版 第1刷(2008年1月11日発売)
【台湾】(TAIWAN)中国福建省と台湾海峡をへだてて東方二百キロメートルにある島。台湾本島・澎湖列島、および他の付属島から成る。総面積三万六〇〇〇平方キロメートル。明末清初、鄭成功がオランダ植民者を追い出して中国領となったが、日清戦争の結果一八九五年日本の植民地となり、一九四五年日本の敗戦によって中国に復帰し、四九年国民党政権がここに移った。六〇年代以降、経済発展が著しい。人口二二八八万(二〇〇六)。フォルモサ。

第7版 第1刷(2018年1月12日発売)
【台湾】(TAIWAN)中国福建省と台湾海峡をへだてて東方にある島。台湾本島・澎湖列島および他の付属島から成る。総面積三万六〇〇〇平方キロメートル。明末・清初、鄭成功がオランダ植民者を追い出して中国領となったが、日清戦争の結果、一八九五年日本の植民地となり、一九四五年日本の敗戦によって中国に復帰し、四九年国民党政権がここに移った。六〇年代以降、経済発展が著しい。人口二二六七万三千(二〇一〇)。フォルモサ。

 また、【中華人民共和国】の項も、26番目の行政区として「台湾省」を明記する「中華人民共和国行政区分」と題する地図を掲載し、これも第6版と変わっていない。
 朝日、読売、産経、NHKなどほとんどのメディアが第7版の刊行を取り上げているが、日本経済新聞は、台湾が中華人民共和国に帰属するという記述について「日本は72年の声明では台湾が中国に帰属するという中国側の立場を『十分理解し、尊重する』との表現にとどめた。『承認』などの確定的な表現を避けて解釈の余地を残し、台湾の帰属問題を玉虫色に処理した経緯がある」と一歩踏み込んで書き、『広辞苑』の記述に異論を唱えた形だ。

昭和39年(1964年)2月29日の衆議院予算委員会における池田勇人首相は、台湾の帰属について答弁しており、明確に台湾の帰属先は中華民国ではなく「帰属は連合国できまるべき問題」、つまり台湾の帰属先は未だに定まっていないと表明している。
 その後の総理答弁を10年前にさかのぼって確認しても、『広辞苑』記述のような「実質的に認め」たという文言は見当たらず、また、それを推測させるような文言も見当たらない。
 例えば、平成17年(2005年)11月15日に出された小泉純一郎総理の「答弁書」では「台湾に関する我が国政府の立場は、昭和47年の日中共同声明第三項にあるとおり、『台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である』との中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重するというものである」とし、それ以上の言及はない。
 日中共同声明の第3項には「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し」の後に「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」とあり、『広辞苑』が「台湾がこれに帰属することを実質的に認め」と記したのはこの記述を根拠としているのだろう。
 しかし、日中共同声明をさかのぼること8年前に総理答弁として、台湾の帰属先は未だに定まっていないという日本政府の見解を明らかにしている。日中共同声明がその8年前の政府見解を逸脱して、台湾が中華人民共和国に帰属することを「実質的に認め」るなどということは考えにくい。
 その点で、「台湾の帰属問題を玉虫色に処理した経緯がある」と解説した日本経済新聞の記事の方が『広辞苑』よりよほど的確な記述だ。

 また、台湾に関する政府の立場について、自民党であれ民主党であれ、歴代総理の答弁が「中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重する」ということで一致し、それ以上言及していないことにも注目したい。実質的にであろうと形式的にであろうと、台湾の帰属先に触れていないのが日本政府の見解なのだ。
 さらに、中華人民共和国は中華民国の継承国家という立場を取っているようだが、池田総理の答弁に沿えば、台湾の帰属先が中華民国でないなら、中華人民共和国も帰属先ではないということになる。
 いずれにせよ、『広辞苑』の「実質的に認め」という記述が的確性に欠けることは疑いようがない。訂正を要するゆえんだ。
 次に、「台湾」の項の「一九四五年日本の敗戦によって中国に復帰」という記述についても言及しておきたい。
 台湾が「中国に復帰」とは、台湾は日本の領土だったから、日本が1945年に中国に返還したということに他ならない。しかし、当時の「中国」だった中華民国自身が1945年に日本から返還されたことを認めていなかった。
 どういうことかというと、1952年(昭和27年)4月28日に日本と締結した日華平和条約において、中華民国は日本が前年9月に署名したサンフランシスコ平和条約で台湾・澎湖諸島を放棄したことを「承認」しているからだ。
 日本が中華民国に台湾を返還していたら放棄できないのは理の当然で、中華民国も日華平和条約において日本の台湾領有を承認していたのだから、『広辞苑』の「一九四五年日本の敗戦によって中国に復帰」などという歴史事実はなかったことになり、これは明らかな誤記と言ってよい。
 1952年4月発効のサンフランシスコ平和条約の第2条b項には「日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」と定めていて、日本の台湾・澎湖諸島の領有権を、アメリカをはじめとする署名48カ国が認めていたが故に日本は「放棄」できたのだ。
 「台湾が1945年に中国に復帰」していたら、日華平和条約もサンフランシスコ平和条約も締結できない。復帰していないがゆえに締結できたのだ。これもまた速やかに訂正されなければなるまい。
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