国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <ロヒンギャ難民は国際問題化し、ここで中国の調停能力が試される

2017/11/30

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)11月30日(木曜日)
         通巻第5530号   
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 ロヒンギャ難民は国際問題化し、ここで中国の調停能力が試される
  シリア内戦終結でロシアの主導権が浮上したように、中国の野心が顕現する
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 バングラデシュへ逃げ込んだロビンギャ難民は、70万人近くにもなって、スーチーは国際世論に押され、よろめき、欧米に背を向け、中国の政治力に依存し始めた。
 無思慮にロヒンギャの肩を持つ欧米メディアは自己本位であり、解釈が一方的であり、事態の本質を理解していないとスーチーは信頼してきた欧米メディアの激変ぶりに当惑した。

欧米、とくに英国がスーチー攻撃の最右翼。ロンドン市議会は名誉称号の永久剥奪を決議し、米国下院のリベラル派は「ゴールドメダル」剥奪要求。世論の幾つかには「ノーベル平和賞を返せ」と叫ぶ活動家もいる。

 国際世論、というより西側のメディアからスーチーは「平和の天使」から「悪魔のつかい」に突き落とされた。
それもこれもロヒンギャという「弱い者苛め」をしているのが、ミャンマー政府軍という、西側の意図的な世論工作に負けているからである。ならばこの印象操作は誰がおこなったからといえば、スーチーを救国のヒロインと持ち上げる印象操作をした欧米メディアなのだから、ブーメランのパラドックスというところだろう。

 しゃしゃり出てきたのが中国だ。
 ミャンマーにかなりの利権を持ち(ラカイン洲というロヒンギャ居住区が雲南へ繋がるパイプラインの起点であり、港湾の整備工事も着手した)、まだ北辺の水力ダムや港湾施設など多くのプロジェクトをこれからも予定している中国としては、このチャンスを活かすと外交得点も稼げる。

 シリア内戦でアサド政権の強い後見人として空爆を繰り返したロシアが、以後のシリア停戦の主役に、イランを超えて、いきなり舞台に躍り出たように、これまで経験のない外交の見せ場が北京にもたらされた。
習近平にとっては、待ち望んだ調停役。(ノーベル平和賞を取れるかも知れない?)

 ミャンマーには七つの主要な少数民族がおり、シャン、カチン、カレン、モン族などにくわえてワ族がいる。
それぞれが武装集団を持ち、中国との国境地帯に勝手に自治区を拡げ、とくに麻薬のトライアングルを「クンサ」という麻薬王の地盤を受け継いで、統治し、各地のマフィアと組んでいるため、資金も潤沢と想定されている。

 ミャンマー政府の統治が及ばない地区であり、しかも殆どが中国と国境を接している。とくに東側に位置する洲に盤踞するのがワ族で、この軍事組織がUWSA(連合ワ族救世軍)が中国の力強い支援を受けてきた。

 七つの少数民族の武装組織は、ワ族を中核にミャンマー政府と停戦に向けた「和平交渉」を開始してきたが、お互いにこれまでの主張を繰り返すだけで、会議はまったくまとまらず、ならばティンセイン前政権に替わったスーチーならば交渉が進展すると期待されたが、前政権とすこしも変わらず、交渉は暗誦に乗り上げていた。


 ▼ミャンマーの武装組織に新顔、しかも精鋭軍事集団が登場

 ロヒンギャ問題で浮上したのはARSA(アラカン・ロヒンギャ救世軍)で、作戦に長けていて、ミャンマー政府軍の裏をかいての襲撃にたびたび成功してきた。軍事訓練を積んでいるからである。
 このARSAの警察、軍攻撃に反応したミャンマー政府軍の対応が焦土作戦であったため、ロヒンギャがバングラデシュへ逃げ出したのである。

 ここに急浮上の武装集団がAA(アラカン軍)で、2009年にカチン独立軍から枝分かれして誕生した。指導者はタン・ミャト・ナインと名乗る精悍な若者で「旅団長」を肩書きとして、フランスのフィガロ紙とのインタビューに応じるほど、注目度が高い。

 その理由はAA軍の武装と、軍服、ベレー帽など装備も最新鋭(ゲリラにしては)。そのうえ激しい戦闘訓練を積んでいるため、作戦が敏捷であり、軍事戦術を柔軟に駆使し、ミャンマー政府軍の武装ヘリを打ち落とせるロケット砲も装備している。
 
AA(アラカン軍)の資金源、武器供給元は謎に包まれている。
 AAはチン族、カレン族の自治州を拠点にロヒンギャ居住区に侵入し、いつの間にか、ロヒンギャに浸透する組織つくりをはじめ、いまでは武装部隊2000名、精鋭軍が500なの構成となった(アジアタイムズ、11月29日)。

 こうした武装組織の暗躍に対応するミャンマー政府軍は、中国との距離をいかにとりつつ問題解決に当たれるか、スーチーはすべてを軍人らに丸投げしているようだ。

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読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)昨日の国会質問で麻生財務相が「中国のAIIBなんて『サラ金』のようなものだ」と発言して、問題となった由ですが、何故でしょう。AIIBはサラ金より悪質でしょう?
   (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)ティラーソン米国務長官も同様な発言をしています。「中国からうっかり金を借りたら、大変なことになっている実例が山のようにある」と発言しているのです。
 担保をとって金を貸すのですから、そのなかには農地を阿漕にも99年借りるとかの条項がはいっていて、中国の狙いはむしろ、そっちだったりするのです。



   ♪
(読者の声2)貴誌前号で触れられた「拝火教」の風習は、イランにも残って居ます。私はイラン駐在中に、西暦かイスラム暦か忘れましたが、大晦日に、火縄を振り回しているのを見ましたが、拝火教の風習だと聞きました。
またイランにはアルメニア人が結構居ますが、アルメニアには、世界最古のキリスト教の教会があるそうです。世界最古のキリスト教会はローマではなくアルメニアにあるそうです。
  (関野通夫)


(宮崎正弘のコメント)はい、エレバン(アルメニアの首都)には巨大なアルメニア正教会の本殿があります。世界中から信者が集まります。小生も見に行きました。
 拝火教の伝統はイラン北部のヤスドにいまも残っていて消えない火が燃え続けています。アゼルバイジャンの拝火教神殿は廃墟でしたが。。



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(読者の声3) 12月2日(土)にロシア革命100年のシンポジウムが行われます。オピニオン誌などでもおなじみの木村汎北大名誉教授と中西輝政京大名誉教授をお呼びして、縦横無尽に語っていただきます。研究者以外でも気軽に御参加下さい、
 日本国史学会は、戦後の歴史観に惑わされることなく我が国古来の文化・伝統に根差した歴史研究を行うべく5年前に発足致しまして、発起人は田中英道東北大学名誉教授(代表理事)・小堀桂一郎東京大学名誉教授・中西輝政京都大学名誉教授・竹田恒泰皇学館大学講師です。

日本国史学会 ロシア革命100年シンポジウム 
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とき    12月2日(土)14:00〜17:00(開場13時30分)
ところ   同志社大学今出川キャンパス 良心館302
(地下鉄烏丸線「今出川」駅1番出口直通)
基調講演   木村 汎(北海道大学名誉教授)「プーチンのロシア革命観」
       中西 輝政(京都大学名誉教授)「ロシア革命と日米関係史」
資料代    学会員2,000円 / 非学会員3,000円
(大学生・大学院生は一律500 円、当日入会可能)
主催     日本国史学会(代表理事:田中英道東北大学名誉教授)

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  • 名無しさん2017/11/30

     ロヒンギャ難民は国際問題化し、ここで中国の調停能力が試される シリア内戦終結でロシアの主導権が浮上したように、中国の野心が顕現する←宮崎先生に質問です!スーチーはますます、中国に傾斜していくでしょう。こんなミャンマーに日本が経済支援をする意味があるのでしょうか?それと、スーチーに手のひら返しをする欧米メディア、ほんと、日本の朝日新聞と同様に糞メディアだということがよくわかりました。情報ありがとうございます。