国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<ティラーソン国務長官の更迭は「時間の問題」となった

2017/10/18

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)10月18日(水曜日)参
        通巻第5486号  
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ティラーソン国務長官の更迭は「時間の問題」となった
  後継はニッキー・ヘイリー国連大使か、ポンペオCIA長官との観測
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 ベーカー元国務長官はブッシュ政権下で世界をまわって辣腕ぶりを発揮した。その前のレーガン政権では1期目が首席補佐官、二期目は財務長官だった。プラザ合意をしかけ、日本のアジア通貨基金構想を潰したのは、このジム・ベーカーだった。

 そのベーカーはテキサツの石油ビジネスで成功し、政治家になる前からのブッシュと親しかった。おなじ石油人脈にティラーソンがいた。
 ベーカーはティラーソンから「国務長官の話があるが」と相談を受けたときに「最大の問題はトランプ大統領との個人的な関係の構築だ」と助言した。ふたりの呼吸がぴたりと一致するか、否か。

 ティラーソンはエクソン・モービルの経営最高責任者であり、戦略的決定権は彼自身が行う。ティラーソンはエンジニア専門であり、41年間、エクソン・モービルにつとめ、31年間、同じ女性を妻とし、真面目な性格である。つまりトランプとはまったく肌合いが違うのだ。
 
 ティラーソンは、石油企業家として難しい交渉にも長け、世界の産油国の殆どをまわった。したがってカタールの首長とも、アブダビに首長ともエクソン時代から親しく付き合ってきた。プーチンからは勲章をもらったこともあった。

 ティラーソンを政権引き継ぎチームに強く推挽したのはキッシンジャー、コンドレーサ・ライス(元国務長官)、そしてゲーツ(元国防長官)らだった。交渉の名人というのは米国外交を担う上で重要な素質である。人選の最終選考は当時のトランプ側近だったフリーバスとバノンだった。バノンは、ティラーソンがふさわしいとトランプに告げた。

 しかし政権入りした最初から意見の衝突があり、七月には鮮明な対立関係になっていたと関係者は言う。同じ「ネゴシエーター」としても、トランプは不動産ビジネスの「取引術」であり、ティラーソンは石油ビジネスの交渉人である。

 ティラーソンは国務省予算の削減をトランプから強く言われ、ともかく8%の人員をカットした。トランプは国務省予算の30%削減を言いつのり、人員も15%削減を目標としていた。副長官は決めたが次官人事どころではなく、国務省には冷たい風が吹き荒れていた。


 ▼国務省の士気低下は米国外交の根幹を歪めないか?

 国務省の士気は下がりっぱなしだった。ヒラリーは国務省に内緒で私的メールを飛ばし、ベンガジ事件を引き起こして辞任に追い込まれ、次のケリーはと言えば、自我が強く、執務室にマホガニーの机を持ち込んでの贅沢三昧。自己の名誉欲が強くオバマ大統領を見下すところがあった。

 だからティラーソンが新たに国務省のトップとしてやってくると聞いても、国務省の職員にはそれほどの期待はなく、省全体の空気はささくれ立っていた。
エクソン時代のティラーソンは、自分の決定が最終意思である。ところが国務長官というのは大統領の決定に従うポストである。ティラーソンの考える世界と、トランプのそれとは大きな開きがあり、中東問題での最終的判断をトランプはティラーソンではなく女婿のクシュナーの意見を尊重した。

ティラーソンにとっては、面白くない。いやな仕事をひきうけてしまったものだと精神的にも滅入った時期があった。
 「金正恩はリットル・ロケットマン」とトランプは揶揄した。ついに北朝鮮問題で衝突した。「北と交渉など時間の無駄だ」とトランプはツィートし、ティラーソンは切れた。
トランプを「莫迦」と口走った(正確を期すと、ティラーソンが言った「moron」は「低能」「魯鈍」の意味がある。知能が8−12歳ていどという意味で、idiotよりは上、「変質者」という意味もある。邦訳で「莫迦」という報道は、ニュアンスが伝わらないだろう)。
 
 かくしてティラーソン更迭は「あるか、ないか」の問題ではなく「時間の問題」となっており、後継にはニッキー・ヘイリー国連大使か、ポンペオCIA長官が有力視されている。ボルトン元国連大使はダークホウスと観測されている。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1644回】          
――「独逸の活動心憎きまで?溂たるものあるを感じた」――(米内山10)
  米内山庸夫『雲南四川踏査記』(改造社 昭和15年)

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 さらにドイツの策動は続く。「獨逸領事は、また西蔵にも興味を持ち、蔵文學堂?師の西蔵人某を一週二回づゝ自宅に招んで西蔵語を習つてゐる」。そればかりか語学教師として破格の授業料を払っている。それというのも彼は役人であり、四川省政府のチベット関連公文書の一切を取り仕切っている。「故に西蔵と四川との交渉往復は第一にその西蔵人の知るところとなり、第二に獨逸領事の知るところとなるといふ」。ドイツ領事は、居ながらにしてチベットの内情に加えチベットと四川(ということは清国)の交渉の詳細を知ることができるわけだ。

  しかも、である。「該領事は獨逸陸軍中尉で、今度歸國に際して西蔵を經て西に向はんとして支那官憲に交渉中といふ」から、米内山ならずとも「いかにも獨逸の活動心憎きまで?溂たるものあるを感じ」るだろう。

  この手段を択ばないドイツ狡猾さが1世紀余が過ぎた現在でも生きているなら、メルケル政権の対中政策も納得できるはず。ヒトラー時代のドイツにおいても蒋介石政権と日独伊三国防共協定下の日本とを両天秤に掛けていたということだろう。
自国本位、超自己チューという基本姿勢は、やはり中国とも共通する。たしかに類は友を招ぶ。その点、同文同種やら一衣帯水などという4字句に眩惑され続けても懲りそうにない日本とは対照的だ。

  以後、成都を離れ長江沿いの名勝古跡を訪ねながら上海に戻ることになるが、「支那では無錢旅行は絶對に出來ない。金がなければ米一粒、燐寸一本でも得られない。あかの他人に對する同情など金の草履穿いて探し歩いたつて見つからない」。
そこで「第一に自分の足に頼るのと、それから第二に、兎に角金を持たなければ」と記している。

 この米内山の実体験から生まれた“警句”を、現在の日本人は、やはり真っ正面から受け止めるべきだろう。やはり第一は「自分の足」で、第二は「兎に角金」。

  後の日中戦争の時代、米内山は若き日の雲南・四川の旅の途中で足を延ばして登った峨眉山を思い出しながら、次のように綴っている。いささか「感傷」に過ぎるようにも思えるが、現在でも熟読玩味・沈思黙考すべきだと思える。

  「蒋介石が宋美齡夫人を伴つて峨眉に入り、風月を友とするやうな悠々自適振りを示しつゝ抗爭に從事する。ちよつと見ると非常時意識を缺くやうでもあるが、しかし、そこに却て永久抗爭の侮り難い底力が窺はれる。一服しながら緩つくり行かう。我々の手でいかなければ子供の代もあり孫の代もある。支那民族かう考へる。張り切つた絃は切れることもあらうが柳の枝に雪折れはなし。支那民族のこの悠々自適振りは、決つして侮られないものである。それは西洋にもないところのもので、いはゞ東洋の味であり、四千年少しの衰へも見せず繁榮して來た支那民族の民族的粘り強さでもあらう」。

  「四千年少しの衰へも見せず繁榮して來た」かどうかは議論の余地が大ありだが、「支那民族の民族的粘り強さ」には注目しておくべきだ。1958年から始まり4000万人ほどの餓死者を出したといわれる大躍進にも、1966年に始まり10年もの間社会全体を大混乱に陥らせ数限りない悲劇や惨劇を生んだ文化大革命にもへこたれず、1978年末に対外開放に踏み切るや“絶対無謬の至上の神”とまで崇め奉っていたはずの毛沢東なんぞサッサとコロッと忘れ去り、一気にカネ儲けに邁進する。見事なまでに無反省な精神的離れ業であることか。

 まさに変幻自在で融通無碍、一貫不惑で面従腹背、右顧左眄で超自己チューとしか形容しようのない彼ら民族には、やはり「張り切つた絃」では処し難い。かといって我が民族は「柳の枝」の生き方を潔しとはしないはず。
であればこそ、今後も「張り切つた絃」で「柳の枝」に対し続ける覚悟を持つべきだ。一発必中の妙手はない・・・のだから。
《QED》
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号のおかげで、学者89名が立ち上がり、ユネスコの動きに警鐘を乱打したことを初めてしりました。日本のメディア、まったく伝えておりませんね。何故でしょうか?
   (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)産経が報じていますし、桜チャンネルでも画像を流しております。西岡力さんに拠れば、記者会見には各社かけつけ、とくに朝日新聞は六名も取材に来て、一番質問が多かったのに、一行も報じませんでしたとの由です。
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