国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<パキスタンに裨益しないCPEC(中国パキスタン経済回廊)

2017/08/03

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)8月3日(木曜日)
        通算第5381号 
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 パキスタンに裨益しないCPEC(中国パキスタン経済回廊)
  IMFも「一方的な中国の利益」とプロジェクトに懐疑的な報告
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 「ちっともパキスタン経済に裨益していないじゃないか」とパキスタン経済界から不満の声があがっている。
中国から安い物資がどんどんパキスタン市場に流れ込み、パキスタン製品が駆逐され、そのうえグアダール港工事のための建機、セメントなど全部が中国からの輸入となって、貿易赤字が拡大、外貨準備は底をついている。
「なにが双方の利益だ」と嘆きの声は日々大きくなる一方だ。

一帯一路の目玉プロジェクトは中国が500億ドルを投じ、イランよりのグアダール港から新彊ウィグル自治区のカシュガルまで鉄道、ハイウェイ、パイプライン、光ファイバー敷設という四つの工事である。これがCPEC(中国パキスタン経済回廊)だ。すでに工事は佳境に入っている。

ところがグアダール港の位置は「パロチスタン藩国」の領地で、英国が勝手に地図をひいてパキスタンに編入した経緯があり(ちなみに国王(藩主)は英国に亡命中)、バローチ人はまったく歓迎していない。
そのため中国人へのテロ、誘拐事件が繰り返され、その工事現場の警備をパキスタン軍がおこなうという皮肉。

もっと具体的に言えば、プロジェクトの資金は中国が寄付するのではなく、中国がパキスタンに貸与するのであり、担保は将来の「通過料」「道路使用量」「鉄道運賃」などである。当初の計画ではパキスタンは、2024年には35億ドルから45億ドルの「収入」が見込めるという青写真になっていた。

IMFの報告は「輸出力向上が見られず(そもそもパキスタンからの輸出品は殆どない)、予測される利益はなく、パキスタンの赤字拡大の怖れがある」と警告している。

大型のプロジェクトはいまも不足している電力を必要とするが、そのためにはダムがもっと必要になる。中国からの代金決済は人民元ではなくドル決済のため、ますますパキスタンの外貨準備が激減している。

あまつさえ隣国インドが中国主導の一帯一路そのものに反対しており、しかもパキスタンとインドが抱える領土係争地を、このプロジェクトが通過する。

スリランカ、インドネシアほかで、中国の提案を再検討する動きがあったように「パキスタンはプロジェクトそのものを再検証しなければならないだろう」とパキスタンの識者は口を揃えている(アジアタイムズ、7月31日)。

いやはや前途多難というより真っ暗、そのうえパキスタン政変はシャリフ政権を崩壊に追い込み、北の隣国アフガニスタンへはIS兵士が帰還し始めて大がかりなテロが予測され、西の隣国イラン国境も剣呑な情勢である。
 一難去って、また一難。
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 ▼読者の声 ▼どくしゃのこえ ■READERS‘ OPINIONS ●読者之声
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(読者の声1)勤務先の広報室に『選択』『財界』『FACTA』『テーミス』など会員情報誌があり、なかに『エルネオス』があります。
 この雑誌に宮崎先生の世界旅行記が延々と十年以上でしょうか、連載されていて毎号愉しみに読んでおります。
今月号はスエーデン、来月はフィンランドとありました。また同時に現場の写真が豊富に掲載されていて、文章ではわからない情景、とりわけ最新の環境変化のさまが写真からも伝わります。
 そこで質問ですが、この貴重な旅行記は単行本になるのでしょうか?
   (BN生、大手町)


(宮崎正弘のコメント)いずれ『早朝特急』のような(笑)シリーズ本にしたいところですが、テーマによっておりおりの拙著に挿入しており、また旧ソ連、東欧合計30ヶ国については写真百葉以上を挿入して『日本が全体主義に陥る日』(ビジネス社)となっております。 
 二十五年ほど前には『世界経済路地裏を行く』(ダイヤモンド社、絶版)のなかで、ソ連崩壊直後のモスクワやサンクト、ワルシャワ、プラハ、バルト三国の表情を写真入りで報告したのですが、写真のほうが好評でした(苦笑)。

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(休刊のお知らせ)小誌、旅行が続くため8月9日―14日が休刊となります。
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  宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2017 ◎転送自由。転載の場合、出典を明示
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  • 名無しさん2017/08/03

    ネオコンには長期的なプランがある。ネオコンとはどういう人たちなのか? 

    ほぼすべてユダヤ系である。アメリカのユダヤ人のうち80%は19世紀の終わりから20世紀の初頭にかけてロシアから来た人たちである。なぜ彼らは来たのか? 



     世界で最大のユダヤ人居住区は、19世紀の終わりまではウクライナだった。ウクライナの大きなユダヤ人居住区で1881年から1884年に、第1次ポグロムが起こった。ポグロムというのはユダヤ人虐殺である。これは、当時のユダヤ人のコミュニティに対してものすごいショックを与えた。普通に暮らしている人たちによって突然殺されるのである。



     ポグロムを逃れた移民の第1波がアメリカに来た。さらに1903年から1906年にもポグロムがあった。1910年代にも、1923年にもポグロムがあった。虐殺を逃れた集団がアメリカに来てユダヤ系アメリカ人の一つの源流になる。現在のネオコンは、こういう人たちの末裔である。



     ポグロムを背景に持つユダヤ人は、後にボルシェビキというロシア革命を主導した共産主義運動の主要メンバーになって、特にトロッキーという、スターリンの対抗馬として出てきた人物に結集される。トロッキストといわれる人たちはみんなユダヤ人である。ポグロムを経験した人と、その家族の集まりである彼らの、ロシアに対する恨みはすさまじいものがある。しかし、最終的にはトロッキストではないスターリンによって、みな追い払われる。彼らの末裔がネオコンの集団としてアメリカの政権の深いところに入っている現在も、ロシアの文化に対しては絶対に許さないという先天的な憎しみは続いている。



     ネオコンは当然イスラエルとも親しい。みなアメリカとイスラエルの二重国籍である。イスラエルの利害の代弁者の役割を果たすのがアメリカ内部のイスラエル・ロビーである。



     ネオコンは戦略に従って進んでいる。どういう戦略か? 

    1982年にイスラエル外務省に出された報告書には、次のようなことが記されている。



     1982年は、サダム・フセインのイラク、カダフィのリビア、アサド政権のシリアといった非イスラムの、イスラム教の影響をあまり受けていない、独裁者によって運営される軍事国家がいくつかあった。イスラエルのやるべきことは、軍事独裁政権を全部潰していくことであった。シーア派とかスンニ派が対立しているイスラム原理主義を潰すのが一番早い。ISはなぜイスラエルを標的にしないのか? 

    「イスラム原理主義のテロ組織を我々(イスラエル)が資金を出して作り、支援すべきだ」と報告書に書いてある。



     軍事政権を潰した後は、中東全域を分割する。中東全域を分割する案がある。リビアを2つ、シリアを3つ、イラクを3つにする。この分割案を見ると、今起こっていることそのままである。



     1982年に書かれた報告書は、イスラエルの長期的な外交政策になった。その後、1996年にPNACというアメリカのネオコン系シンクタンクが、当時のクリントン政権に、これを実行しろと提案の採用を迫るがクリントンは拒否する。それが2001年のブッシュ・ジュニア政権によって採用される。これが中東流動化政策である。



     ウェズリー・クラークというNATO軍の総司令官が、面白い証言をしている。2001・9・11の直後のことであるが、その時にすでに7つの国を全部政権崩壊させて、中東を流動化する計画(イスラエルの外交政策)があって、それに従って動いている。7つの国とはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、イランである。つまり、フセインの嫌疑の前から開戦は決定済みだった。



     では、北朝鮮はどうなるのか? 

    「もし、朝鮮半島を統一する場合、北朝鮮は経済的に韓国によって吸収されるだろう。ただ、中国がそれを望まない。我々(アメリカ・イスラエル)も望まない」と言っている。ある程度の脅威を持った状態で管理されるのはアメリカにとって東アジアに駐留するいい口実になる。だから北朝鮮は重要なのである。ただし、度を超えて脅威がアメリカにまで及ぶとヤバいことになる。脅威を適当なところで管理しないとダメなので、その落としどころを見つけようとしている。最終的には北朝鮮は中国の傀儡政権になる。



     シリアを攻撃し、ロシアと仲が悪くなったことで、トランプ支持者は離反を始めている。

  • 名無しさん2017/08/03

    いつも拝見させていただき とても為になります

    ありがとうございます