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宮崎正弘の国際ニュース・早読み <北朝鮮非核化に向けての新戦略―アメリカの日本占領経験の教訓に学ぶ 元城西大学教授 杉原誠四郎

2017/07/10

北朝鮮非核化に向けての新戦略―アメリカの日本占領経験の教訓に学ぶ
元城西大学教授 杉原誠四郎
 
はじめに

本論は、「北朝鮮非核化に向けての作戦−その軟着陸の方法」と題して、前篇は平成29年5月18日、ホテルAPAグループ代表元谷外志雄氏の主宰している勝兵塾で発表し、後篇は5月31日、日本近現代史研究会で、前篇に付加して、前篇とともに発表したものである。ただし、日本近現代史研究会の発表では、日本の近現代史に詳しい会員の有益な質疑があり、その質疑を踏まえて、修正、補充した方が望ましいところが出てきて若干の変更を行っている。内容の要諦は、かの日米戦争で、アメリカは日本を降伏させ、日本を占領し、占領改革を行い、成功した歴史上の経験を持っているが、北朝鮮の非核化のための作戦にあっても、この経験を生かし、避難民を出さず、犠牲者(死者)を極力少なくした作戦がありうるのではないかということで、1つの作戦試案として提示しているものである。論者の杉原なる私個人は、軍事知識は皆無であるが、たまたま日本が戦争に負けた時のアメリカ軍による日本占領の歴史を少しく研究しており、その観点から、私なりに、最も人命の損失の少ないと考えられる北朝鮮の非核化への作戦について、思いつくところを述べていきたいとして述べたものである。本論は、人によっては突飛に見え、何ら参考にならないと見えるかもしれないが、少なくとも今展開されようとしているアメリカ軍を中心にした北朝鮮非核化の作戦で、何らか参考になるところが多々あるはずである。

前篇

一般に外部権力の指揮によって第三国の国内改革を進めることは容易なことではなく、よほどのことでない限り成功するとは考えられない。世界の歴史では、第2次世界大戦終結後のアメリカ軍の指揮による日本の占領改革は最も成功した例である。この成功は一方で、アメリカ側にあって予め十分に準備が行われ極めて用意周到に行われたものであったこと、かつ改革の内容に人道的要素があったこと、そして他方で、改革される日本側には、敗北を率直に認め占領軍の指導を素直に受け入れる国民性が日本国民にあったこと、かつ日米両国に一人ひとりの人間を大切にしようという共通の価値観が既存としてあったこと、によるところが大きいというべきであろう。外部権力による一国の国内改革は、価値観が一致せず、信頼関係が容易に築けない場合が多く、また用意周到な準備の欠ける場合が多く、アメリカの日本に対する占領の成功体験を安易に先例として見るとかえって危険である。

しかし、韓国の指揮による北朝鮮への国内改革は、双方ともにほんらい歴史的に同一文化を持った同一民族であり、民族統一をして一国となることは第2次世界大戦後の分断国家になって以来の両国民の悲願であるから、準備に周到さがあれば成功する確率は極めて高いといえよう。

以上のことを前提として、以下言及していく。

現時点の国家事情から見ていくと、アメリカにとっては、現時点が北朝鮮の非核化を実現するための最後の機会と見るべきであろう。もし北朝鮮がこのまま放置されて核爆弾をさらに進化させ、そしてその核爆弾を搭載してアメリカに届く弾道弾を開発するに至れば、アメリカにとっては原則的に北朝鮮の非核化を実現するための軍事的行動は取れなくなると考えるべきであろう。そうすれば、アメリカ国民は巨大な危険とともに永遠に過ごさなければならなくなるわけであり、したがってアメリカにとっては今回の作戦はこの危険の回避のための最後の機会といえることになる。よって、今回の作戦で北朝鮮の非核化を実現する以外にはないといえる。(癌患者の例でいえば、手術によって死の危険を回避できる最後の機会であり、この機会を逸して手術をしないで放置すると癌部位が必ずや大きくなり、手術を施しえなくなって寿命がつきるのに等しい。)

他方、北朝鮮にとっては、核開発をしそれを使用可能にすることは、金正恩支配体制の維持と金正恩個人の生命維持の唯一の手段であるから、核開発及びそれを運ぶ弾道弾の開発を断念することはできない。

よって、アメリカ、北朝鮮、ともに譲れない絶対的状況にあるといえる。すなわち、アメリカと金正恩の支配する北朝鮮とは、チキンゲームをしていることになる。チキンゲームは意志の強い方が勝つことになっている。もし今回アメリカが負けて、北朝鮮が核爆弾を弾道弾によってアメリカを直接攻撃できる状態になれば、それはアメリカの北朝鮮の非核化に向けての意志が、北朝鮮のその反対方向の意志より弱かったということになる。

中国の立場で考える。隣国中国は、北朝鮮と長い国境を持ち、これまで緊密な関係を維持してきたが、もともと北朝鮮の核開発を快く思っているわけはなく、それを阻止したいという意欲はほんらい旺盛に持っている。北朝鮮の核開発は一応はアメリカに向けての核開発といえるが、しかし同時に、北朝鮮の側から歴史的に見れば、朝鮮半島にいつ襲ってくるかもしれない大国中国の脅威に備えたものである。この核開発は、中国からの侵攻を阻止する効果を持っているもので、その意思が分かっている中国としては、北朝鮮の核開発は絶対に歓迎できるものではない。

が、これまでそのための行動を中国一国で実行するまでには至らなかった。これは、中国一国で北朝鮮の核開発を阻止するための軍事行動を起こすだけの国際的関係を構築することができず、また中国国内の内部調整もできず、ついつい愚図愚図しているうちに今日を迎えたというのが実際のところであろう。中国からすれば、北朝鮮との軍事力の差は巨大であり、有史以来のこれまでの中国と朝鮮半島の関係から、北朝鮮が中国に攻めてくることは容易に考えられず、その点で中国は他の周辺国の核開発の場合よりも恐怖を感じる度合いが大きくならないといえるかもしれないが、しかし北朝鮮が核を保有し、中国に対しても核攻撃をするとして反抗する手段を保有することは許せるはずはなく、この度トランプ大統領に強要される形で、そのために北朝鮮に対して本気で圧力をかけなければならなくなるに至ったといってよいだろう。北朝鮮の非核化は、内心ではもともと中国においても実現したいと願っていたことであると考えるべきであろう。

ロシアの立場はどうか。ロシアも北朝鮮に対して、中国が北朝鮮に対して持つ関係と似た関係を持つが、その関係の強さは中国の場合に比べて弱い。よって、今回生じているアメリカや中国と、北朝鮮との間の緊張関係においても、困窮した北朝鮮に便宜を図って恩を売りながら、同時にコソドロのように物資の売買を行って経済的利益を得ようとする動機が生まれているようである。しかしこれも、今回のアメリカが先導し、中心となって行っている北朝鮮の非核化は、人類共通の課題の達成であるとして、アメリカが真剣であれば、ロシアもこのようなコソドロのような行動は取れないはずである。ロシアにとっても、北朝鮮の核保有は決して喜ばしいことではなく、北朝鮮の非核化は潜在的にはやはり望むところであるといえる。

韓国としてはどうか。同一民族が核開発を成功させ、北朝鮮が完全に世界の脅威となることには、その限りで同一民族が強国になるということであるから、心中、誇らしく思う心理が出てくる可能性がある。が、しかし、韓国の国民の圧倒的多くは北朝鮮の金正恩支配の体制の中で、今日の北朝鮮の国民と同じような生活を送りたいと思っておらず、できるならば、北朝鮮の国民を金正恩の支配体制から解放して、韓国国民と同様の自由で豊かな生活をするような状況にしたいと思っているはずである。そしてそのことと併せて、第2次世界大戦後、分断国家になった悲劇を克服して民族統一を図りたいと思っているはずである。今回の作戦の展開によっては、民族統一がなり、韓国が北朝鮮の国内改革の中心主体となる事態に至ることになるかもしれない。今回のアメリカ主導の北朝鮮の非核化作戦は、韓国にとっても朝鮮戦争以来の国家的事業につながっているのである。

以上のアメリカ、北朝鮮、中国、ロシア及び韓国の立場を考慮して、今回のチキンゲームとしての北朝鮮の非核化の作戦にあって、アメリカがそれに勝利するためにかける圧力としては、まずは、北朝鮮の体制維持と金正恩の生命の保証を明確にした上のものでなされなければならないということが分かる。

しかしそのための保証は、今回の北朝鮮にかける圧力の主導をするアメリカだけの保証では、これまでの歴史的に示されたアメリカの行動からして、金正恩が安心して受け入れるところのものとはなりえない。保証するとすれば、少なくともアメリカと中国が共同して保証するものでなければならないだろう。さらにはロシアも一緒になって保証することが望ましい。最高度には国際連合で、安全保障理事会の決議による保証がよい。いずれにしても、アメリカ一国の保証では、金正恩が安心して受け入れるところにはならないと考えるべきであろう。

その上で、金正恩が圧力に屈して核開発を放棄した場合、当然、金正恩に体制維持、生命の保証を与えた国は北朝鮮が核開発を断念したことを確認するための査察官を北朝鮮に派遣し、査察を行わせなければならない。そして核開発に関する施設を破壊し、査察官は常駐させるようにしなければならない。

金正恩に非核化を受け入れさせるための圧力であるが、これは当然ながら最大限に効果を発揮するものでなければならない。そのためにはすべての手段を最大限に使い最大限に徹底したものにしなければならない。中途半端に行えば、途中で予期しない悲惨な状況が生じてくる可能性があり、かえって危険である。中国は陸上ではその長い国境を完全に封鎖し全ての物資の移動を止め、ロシアもわずかな距離の国境ではあるがそれを完全に封鎖して全ての物資の移動を止めなければならない。海上では黄海側も日本海側も、中国、韓国、アメリカの軍隊によって完全に封鎖し、空からの出入りも封鎖しなければならない。

もし、北朝鮮がこのような完全封鎖に対して、非核化に応じず査察官の受け入れを拒み、武力衝突を選んだ場合は、その兆候が見えた時点で、韓国、中国、ロシア、日本への遠距離攻撃の能力を有する基地は一斉に攻撃してその攻撃能力を破壊しなければならない。

さて、この武力衝突の生じる際には、約120万人いるとされる北朝鮮の陸軍、海軍、空軍の動向は極めて重要である。

現在、この約120万人の軍隊は、金正恩に対して忠誠心を十分に持っているとは考えられず、韓国軍やアメリカ軍、さらには中国軍に十分な戦意を持って身を挺して戦ってくるとは考えられない。また、戦闘のための装備は不十分であり、その上、石油も十分に保有しているとは考えられず、石油の完全枯渇が目前に迫っているとも想定しておかなければならない。少なくとも、互角な戦闘能力を持っているとは考えられず、また、その戦闘能力も長期に維持することはできないと考えるべきであろう。

よって、陸軍の約10の通常軍団と約10の特殊軍団は、直ちに一斉に、対決する韓国軍やアメリカ軍に向けて、軍団ごと降伏してくる可能性のあることを想定しておかなければならない。それゆえ韓国軍とアメリカ軍とは、降伏する軍団に対してはどのように対応し、攻撃してくる軍団に対してはどのように対応するのかについて、予め計画を備えておかなければならない。降伏する意図を示した軍団にはいっさい攻撃しないのに比し、降伏の意図を示さない軍団の基地にはいささかも怯むことなく徹底的に攻撃をかけることを予め決めておかなければならない。

さて、降伏してきた軍団に対しては通常ではまず武装解除することが最初の課題となるが、降伏した瞬間には近辺の友軍がどのように行動するか分からないゆえに、近辺の軍団がその軍団に攻撃してこないことが分かるまでは武装を解除する措置を取ってはならない。

その後すべての軍団が降伏した段階で、降伏した軍団に対しては遠い将来のことはともかくとしても、少なくとも当面は北朝鮮の民生の安定を図り、産業を育成するために韓国が指導、援助する際の補助機関として積極的に活用するようにしていかなければならない。たとえ同一民族とはいえ、北朝鮮の国内改革において、韓国軍の直接の軍政による改革は、多大な費用とさらに一層の緻密な計画が必要であり、やはりできるだけ容易に効率よく北朝鮮の国内改革を進めるためには、北朝鮮の軍隊を初め、北朝鮮政府組織の行政的執行能力を活用するという、いわゆる間接統治が望ましいであろう。そのことはアメリカ軍による日本の国内改革も日本政府を活用した間接統治であったことからもうかがえる。

降伏した直後に最も喫緊になさなければならない指導、援助に関する業務は、基地周辺の北朝鮮一般国民への食糧や衣料等の生活必需品の配布とか、環境衛生のための薬品の散布とかを行い民生を安定させる業務であって、1人たりとも難民を出さないように民生秩序の維持を図る業務である。そして次の段階では、経済改革、教育改革、政治改革等、さまざま国内改革の業務があり、この国内改革の計画は事前に韓国が準備すべきである。

ただし、この際、国内改革を経て新しい北朝鮮が誕生するに際し、中国、ロシア、韓国、アメリカ及び日本との平和的関係が促進されるようなものでなければならないから、例えば、反日教育は行わせてはならず、アメリカ軍の指導によってこのような反日教育は行わないようにするものとしなければならない。

この、軍団を活用した北朝鮮の国内改革は最短で2年程度、長ければ3〜4年かかるかもしれないが、両国民は本来は同一文化を享受していた同一民族であり、民族統一は北朝鮮、韓国両国の悲願であるから、極めて効率よく行われ、成功の確率は極めて高いというべきであろう。

軍団を活用した国内改革のための期間は、韓国軍、及びほんのわずかではあるがアメリカ軍の駐留は認められなければならないであろう。が、しかしその目的を達成後は、1兵も残らず、現在の北朝鮮の地域から現在の韓国の地域への引き上げ、現在の北朝鮮の地域は完全に非武装地帯とするようにしなければならない。そうすれば、韓国、中国、ロシア、アメリカ、日本等の間の軍事バランスは現時点の軍事バランスに最も近しい状態に復すことになる。この北朝鮮の非核化の実現以降の北朝鮮地域の非武装化については、北朝鮮非核化に向けて韓国、中国、ロシア、アメリカ等、共同歩調を取る国の間で事前に明確に約束しておくべきである。そのことによって、今回のアメリカ軍を主導とする北朝鮮の非核化の作戦にあって、中国やロシアの協力を得やすくなり、重要なことである。

なお、このような過程で、いつかは容易に予測できないものの、クーデター等によって、金正恩が北朝鮮の外に亡命しなければならない状況が出てくる可能性がある。この時は、古代からの、さらには第2次世界大戦以降の中国と朝鮮半島の関係から、金正恩の亡命は中国が引き受けるのが穏当であろう。これも北朝鮮非核化に向けて共同歩調を取る韓国、中国、ロシア、アメリカ等が約束事項として事前に明確に約束しておくことが必要であろう。

武力衝突の起こった際に北朝鮮の軍団が降伏すれば、その軍団に対して韓国軍やアメリカ軍がどのように対応するか。その対応のための行動計画は予め北朝鮮の全ての将校及び兵士に事実上よく知らしめておかなければならない。そうすれば武力衝突の起こった際の人的犠牲者を最小限に止めることができるようになる。併せて、北朝鮮の将兵が、降伏した際の韓国軍、アメリカ軍の行動計画を知っているということを金正恩が知ることによって、金正恩は武力衝突を選ばず亡命する可能性がより大きくなる。よって韓国軍及びアメリカ軍のこの軍事計画は予め十分に北朝鮮軍の将兵に知れ渡っているように宣伝工作を十分にしなければならない。

今回、アメリカ、中国、ロシア、韓国が北朝鮮の非核化を目指して共同歩調を取っているのは、北朝鮮の非核化がこれら諸国にとって脅威の解消であるからではあるが、同時に世界の核拡散防止の要請に応じているものであるからである。したがって世界の諸国も北朝鮮の非核化に向けて圧力をかけるのに協力するのは当然の責務となる。これに対して北朝鮮国民にとっては、北朝鮮の核武装は、金正恩支配の体制の維持と金正恩個人の生命の保証のために過ぎないものといってよく、少なくとも北朝鮮国民が積極的に望んでいるものではないと見ておくべきであろう。百歩譲って見ても、北朝鮮の金正恩の支配体制のための核武装は、同一民族である韓国国民を攻撃し同胞の多大な犠牲を払うことを覚悟してでも実現しなければならないものではない。よって、たとえ金正恩から、韓国攻撃の命令が出てもそれに従うべきではないということを、北朝鮮軍の将兵に予め十分に分からしめておくべきである。

北朝鮮軍は、義理の伯父を処刑し、実の兄を暗殺した金正恩に忠誠を誓わなければならない道徳的大義はなく、それより韓国の指導を受け入れて、日常の生活に恐怖のない、そしてはるかに豊かに生活できる韓国のような国になることを目指すべきだと北朝鮮の兵士や一般国民が確信できるように、そこまで視野に入れた簡にして要を得た声明を出すのも一考である。これは日米戦争において、最終段階で日本に向けて発したいわゆるポツダム宣言が、日本の降伏に極めて有効に働いたことから考えられることである。また、関係国の共同宣言の形で出せるならば、関係国の足並みを揃えることにもつながる。

さらには、北朝鮮軍は戦っても、最終的には、装備の優れた韓国軍やアメリカ軍に勝つ見込みのないことを明確に知らしめておくべきである。戦えば、無為に多くの北朝鮮軍の将兵が死に、多くの北朝鮮国民が死に、その国土も途方もなく破壊されるであろうことを十分に知らしめておくべきである。

さらにまた、金正恩が武力衝突を決意して、軍隊に出動命令を出した時が、十分には忠誠心を持っていない軍隊の下では最もクーデターが起こりやすく、金正恩にとっては、最も危険な時であり、そして金正恩の支配体制が崩壊する時になる可能性のあることを、金正恩をしてよく知らしめておくべきである。

以上のことから、北朝鮮の非核化に向けての関係諸国は、第2次世界大戦後のアメリカ軍による日本占領を参考にして行い、さらにそれ以後、できるだけ日本、韓国、中国、ロシア、そしてアメリカとの間の平和的関係を構築するように努めなければならない。

後篇

今回の北朝鮮の非核化に向けての作戦は、異なる2つの段階の実現目標でもって行われることが分かる。

第1段階の実現目標達成のための作戦は、金正恩が核開発を断念し、アメリカ軍が主導する査察官を受け入れ、核開発施設を破壊し、査察官を常駐させることをもって終了させる作戦である。この際、金正恩の北朝鮮支配体制は認めることになるから、韓国にとっては残念ながら悲願の民族統一は図れないことになる。しかし次に述べる第2段階のものとは違い、原則として犠牲者(死者)は1人も出ず、また、北朝鮮は査察官を受け入れるに当たっては、なにがしかの経済援助を求めてくるであろうから、それに諸国が応じれば、北朝鮮の国民は経済的に潤うことになる。

第2段階の実現目標達成のための作戦は、金正恩が核開発を断念せず、受ける圧力の打開として武力行使に踏み切り武力衝突となる場合で、その時は、アメリカ軍を中心にした軍隊の猛攻撃に晒され、北朝鮮が軍事的に敗北していくことになる作戦である。この際、北朝鮮軍による攻撃によっていくばくかの被害を韓国及び日本は受けるかもしれないが、戦闘能力の彼我の違いから、勝敗は時間のかからない形で判明し、金正恩はその戦闘で生命を落とすか亡命することになろう。そして韓国軍による北朝鮮の国内改革が始まり、朝鮮半島の民族の統一が実現し、北朝鮮の核開発の芽が完全に摘まれて終わることになる。

最初の第1段階の実現目標の達成の手段は、あくまでも徹底した圧力であり、具体的には、陸、海、空の完全封鎖である。次の段階の第2段階の実現目標を達成しようとする作戦行動としての圧力の中で実現できる関係になっており、手段から見れば、第2段階へとつながった同一の圧力であり、その限りで、第1段階の作戦と第2段階の作戦とは連結している。この2つの連結した段階のうち、第1段階の実現目標が達成できればそれでもって第2段階の実現目標は達成する必要のないものとなり、作戦全体が終了するという関係になっている。

第1段階の実現目標の達成で終わるか、第2段階の実現目標の達成で終わるかは、結局、金正恩の決断によって決まることになる。犠牲者(死者)等の観点から再整理すると、第1段階で終わる場合は、最も混乱は少なく、この作戦による犠牲者(死者)及び難民は理論上1人も出ないことになる。第2段階に至って終わる場合は、不測の惨劇が起こらないという保証はないが、この第2段階の作戦も、結果としては難民も1人も出ず、犠牲者(死者)の出ることの最も少ない作戦と考えられる。

第1段階の実現目標達成のためにかける圧力は、直接には武力攻撃を伴わない陸、海、空の完全封鎖が中心となるが、しかしそれ以外にも、たとえ北朝鮮側に武力行使の兆候がなくても、圧力をかける意志の強さを明示するために、限定的に行う武力攻撃が含まれる。ただしこの武力攻撃は第1段階の実現目標達成のためであるから、攻撃の日時、場所を事前に明示して行うものでなければならない。なおかつ軽微なものから始めるべきであり、最初の段階は、人的被害の起こらないことがはっきりしている目標を選んで行うべきである。その後、徐々に攻撃の度合いを強め、最後には北朝鮮側に多少の人的被害も覚悟してでも核兵器に関わる発射基地等、北朝鮮の攻撃能力を弱めるための武力攻撃としてなすことになる。

第2段階の実現目標達成のための武力攻撃は、北朝鮮側に武力行使に入る兆候が見られたとき、直ちに発動する武力攻撃であるが、いったん第2段階に入れば、もはや第1段階の実現目標達成に引き返すことはできないことを明確にしておかなければならない。第1段階の実現目標達成に後戻りすれば、金正恩の支配体制の継続となるのであるから、そうすれば第2段階に入り武力攻撃を発動した時にアメリカ軍に降伏してくる北朝鮮の将兵を再び金正恩の支配体制の下に戻すことになり、危険である。したがって、作戦として第2段階の作戦に入った瞬間に第1段階での実現目標達成は完全に断念したものとなる。

作戦が第1段階で終わる場合も、第2段階で終わる場合も、取り組む作戦行動が厳格に行われることが必要であることはいうまでもない。第1段階の実現目標の達成のために行われる最初の段階の圧力も、それが完全なものであることによって、第1段階の実現目標達成もそれだけ容易なものとなり、中途半端に行えば、金正恩をして、状況を打開できるのではないかという誤った判断に誘導する可能性があり、かえって不測の惨事を引き起こしやすくなると考えなければならない。第2段階の実現目標達成の場合も、その攻撃は最高度に激しいものであることによって、かえって犠牲者は少なく終えることができるといえる。

繰り返しとなるが、第1段階の実現目標達成で終わる場合は、韓国、北朝鮮両国国民にとっては悲願である民族統一は実現しないままに終わることになる。が、今回の作戦は、原点においては北朝鮮の非核化実現のために、世界の諸国、諸国民の協力を得て実施する作戦であるから、たとえ、朝鮮半島における民族統一は実現できないとしても、韓国、北朝鮮両国の国民は受忍する以外にない。そのことを、韓国、北朝鮮の両国民は予めよく了解しておかなければならない。民族統一は他日、別の機会を求めていくことになる。

やむをえず、第2段階の作戦に突入する場合は、予想外の不測の惨劇が起こることを予め覚悟しておかなければならない。が、しかしこれも将来、北朝鮮がアメリカにも届く大陸弾道弾を持ち、アメリカ及び日本を初めとする周辺国への核攻撃が容易に行える段階に至った段階で起こりうる惨劇よりはるかに規模の小さいものであることを、北朝鮮の核開発に脅える関係諸国の国民は均しく了解しておく必要がある。

今回のアメリカ軍が主導する北朝鮮の非核化の作戦は前述のとおり、厳しいチキンゲームである。第2段階に入らざるをえないとなった時には、躊躇なく軍事行動を起こすというアメリカの強い意志が必要である。それが強いことによって全てが効率よく成功するという関係になっている。前述したとおり、中国やロシアの協力を得るためには、第2段階に入ってそれが終了する時には、北朝鮮の地域の部分から、アメリカ軍と韓国軍とは1兵も残らず引き上げ、軍事力の均衡をできるだけ現在のものに近く戻すことは重要であるが、しかし中国にとっては、北朝鮮に影響力を及ぼすことができなくなるわけだから、中国としては金正恩の支配体制である現状のままの方が望ましいと考えるかもしれない。だとしたら、アメリカの意志の強さで、第2段階に入ればアメリカは断固として武力行使に踏み切ると見えれば、中国はほんらい第1段階での終了を望んでいるはずなのであるから、アメリカの要請する陸、海、空の完全封鎖に完全に協力することになろう。いずれにせよ、チキンゲームとしてアメリカは強い意志を持っていなければ勝つことはできない。

今回の作戦の要諦は、第1段階の実現目標であれ、第2段階の実現目標達成であれ、その実現目標達成は、何のために、どのような過程を経て達成するのか、そしてその達成後にどのような状況が生まれるのか、このことについて、北朝鮮の将兵、そして一般国民によく周知させておかなければならない、ということだ。また、北朝鮮の核開発は専ら金正恩の支配体制を持続させるためのものであり、北朝鮮国民のためのものには何らなっていないことを、北朝鮮の将兵、そして一般国民によく知らしめておかなければならない。さらにまた、武力行使を行った場合、彼我の戦闘能力の差異は途方もなく大きく北朝鮮が必ずや敗北することを、そしてそれゆえに犠牲者が出ればそれはそれだけ無駄な犠牲者になることを、北朝鮮の軍人、兵士、そして一般国民によく分かっているようにしなければならない。

北朝鮮の将兵の武力行使を効果的に抑止する手段として、前述のとおり、北朝鮮の将兵の取るべき行動につき簡潔に明示する、できるならば関係国共同の宣言を予め作成して、それを作戦開始に当って発することが賢明である。今回の北朝鮮の非核化への行動作戦は直接には、アメリカが受ける脅威から出てきたものではあるが、世界の諸国民の核拡散防止の期待を担って行うものであるから、たとえ金正恩の命令によって武力行使に踏み切った場合のものであったとしても、第2段階の実現目標が達成できた段階で、金正恩の命令に従って武力行使に関わった将兵は厳しく処罰されるとしておかなければならない。そして事前にそのことを明示しておかなければならない。

金正恩に対しても、北朝鮮の将兵、一般国民に知らせたことをよく知るように仕向けていかなければならない。そして単に、知るようように仕向けたというだけではなく、将兵、一般国民がそうしたことをよく知っているのだというようにも、金正恩によく知らしめておかなければならない。さらには、繰り返しとなるが、将兵は命令を発しても金正恩の命令に従うとは限らず、武力行使のための命令を発した瞬間が、金正恩にとって、生命の危険が最も高くなる瞬間であることを熟知させておく必要がある。

北朝鮮の非核化のための今回の作戦は、核拡散防止という世界すべての国が望むことを実現するための作戦であるから、世界の全ての国が協力しなければならないものといえる。すでに核を保有している核保有国は、核を自国の利益のためにだけ保有するのではなく、他国では持てないものとしている核を保有している国として、人類全体に対して特別な責任があることを自覚しなければならない。

第2段階の実現目標が達成できるとなった場合、北朝鮮の国内改革は、韓国が中心となって行わなければならないが、その際、悲願の民族統一としての北朝鮮の国内改革は世界の諸国の協力を得て初めて実行できるに至ったものであるから、その国内改革は世界的視点に基づいて行われなければならない。その観点から韓国の現状を見ると、韓国自身も自らの手で韓国国内の国内改革を図っておくべきものがある。例えば大きなものとしては、他国である特定国、事実上は日本のことであるが、この特定国に対する敵対教育を中止する必要がある。21世紀になって、世界が協力し合って平和な世界を築いていかなければならなくなっている時に、国外の他の特定国に対して、過去の歴史を持ち出して非難するのは止めるべきであろう。そのような特定国に対する敵対教育は、敵対される特定国にとっても受け入れがたく被害を受けるものであるが、韓国自身においても国家運営の健全さを失い、韓国人の精神をして偏狭ならしめ、被害は韓国自身に確実に及び、人類全体の見地から見ても何ら利するところがない。21世紀の教育にあっては、どこの国にあっても国外の特定国への敵対教育は止めるべきであり、そして政府は国民がそのような特定国に対する敵対感情を持たないように教育していく責任がある。また、特に日本に対してだけの問題であるが、戦後、李承晩大統領時代に占拠した竹島を、この際日本に返還すべきである。韓国のなす北朝鮮の国内改革には巨大な費用がかかるであろうが、両国のわだかまりとなっている慰安婦問題を中心として行っている対日敵対教育や李承晩大統領によって始まった領土問題を解決し、その上で、日本に北朝鮮の国内改革に向けて支援を求め、民族統一という朝鮮半島における世紀の事業を成し遂げるべきであろう。

韓国自身の国内改革に関係して、特に目のつくものをさらに指摘しておきたい。2005年に当るが、時の廬武鉉大統領は、日本統治時代の親日派の子孫を排斥、弾圧し、財産の没収まで含んだ法律を制定し、これを執行した。これは正しい法治主義の考え方ではない。法治主義とは単に決められた法に従うというだけではない。法が法として正当なものでなければならないという意味も含まれている。法治主義には、法は個人に対して不利なことを定めるに当たっては、遡及して適用してはならないという遡及禁止の原則がある。廬武鉉大統領が制定し執行した法律はこの遡及禁止の原則を侵している。また、本年2017年には朴槿恵大統領が憲法裁判所の審査によって辞任させられ、その罪に関する審査を受けているが、これも通常の三権分立からは好ましいことではない。立法、司法、行政と三権分立したとき、行政は国家統治の根幹であり、その安定は通常の犯罪捜査より優先されるべき場合がある。さらにいえば、司法が行政部の行政執行の内容が適正なものか、あるいは行政執行として何をなすべきかについて審査する憲法裁判所の存在は、かえって健全な三権分立を損なうものである。日本では昭和35年(1960年)、日米安全保障条約は憲法第9条に違反するのではないかとの訴えに対して、最高裁は、かかる高度な政治問題においては、たとえ法律的判断を下すことが可能であっても、純司法的機能を使命とする司法裁判所の審査に服さないものと解するという判断を下した。法治主義の観点から見れば、現在の日本のそれに関する状況も決して自慢できる状況にはないが、韓国のそれは、日本の状況よりさらによくない状況で運用されているといえよう。

さらに述べる。2015年、日本と韓国は時のアメリカ大統領オバマの助言を受け入れて、日韓で問題となっている慰安婦問題につき、「最終的かつ不可逆的に解決する」として日韓合意をした。日本側としては慰安婦の真実の事実からも、昭和40年締結の日韓基本条約、及びそれ以降の日本政府の取った措置によって、新たに合意する必要はないと思われているにもかかわらず、新たに10億円の拠出金を支払って合意したもので、多くの日本国民が本来は納得していなかった。しかるにそのようにしてできた日韓合意につき、現在、韓国で見直しをし、新たに交渉のやり直しをすべきだという世論が韓国に持ち上がっている。もしこれを受け入れてこの合意をご破算にすれば、韓国はオバマ大統領の助言を受けて「最終的かつ不可逆に解決する」としてなした国と国との約束をも守れない国だということになり、韓国の恥を世界に晒しめることになる。それを防ぐためには韓国から一時的にいかに怒りを誘っても、日本はいかなる妥協もしてはならない。少しでも妥協すれば韓国にかえって恥をかかせることになり、韓国のためにもならない。他国を誹謗し、敵意を煽るような政策はほんらい恥ずべき政策であり、なしてはならない政策である。韓国国民はほんらい誇りの高い国民であり、このような政策はたとえ韓国国民が激高していても、韓国政府としては取るべきではない。

なお、今回の北朝鮮非核化の作戦にあって、日本と北朝鮮の間には未解決な特有の問題があることについて見落とされてはならない。拉致問題のことであるが、この拉致問題は厳密にはアメリカにおいても、韓国においても存在する。が、日本の場合はまさに故なくしてしかも多数の拉致であり、日本と北朝鮮の間で長年の未解決な問題として存在している。第1段階での作戦終了となる場合でも、この問題の解決は明確に位置づけられていなければならない。第2段階に入って作戦が終了する場合は、軍事的に北朝鮮を開放することになるが、この時の軍事作戦にあっても、日本人も含めた北朝鮮に拉致されている人々の完全救出が必ず作戦の一部として含まれていなければならない。

朝鮮半島において、日本に対して敵対しない豊かで平和な国家が誕生することは、地政学的に見て、日本としては不可避な期待であった。ソ連となる前のロシアのことだが、そのロシアの支配下に完全に陥るようなことは日本からすれば大変な脅威であり、そのことを避けようとして日本は日清戦争と日露戦争と2度にわたって戦争をしなければならなかった。朝鮮半島の不安定は、朝鮮半島周辺国はもちろん、世界が望まないことである。正常に判断し、行動し、豊かな国が統一国家として朝鮮半島にあって誕生することは日本にとって不可避な願いであり、世界の願いである。

1945年2月、ヤルタで、アメリカの大統領ルーズベルトとソ連の首相スターリンとの間で、ルーズベルトは、朝鮮半島にあっては20年から30年の信託統治が必要であろうと述べている。これは李朝末期の韓国の惨状を想起して言ったものであろう。李朝の末期はひどかった。李氏朝鮮なる王朝は、中国でいう易姓革命によってできた王朝であり、高麗王朝の将軍李成桂が武力をもって高麗王朝を倒して開いた王朝である。李王朝は、諺文を発明するなど、韓国の発展に尽くした面もないわけではないが、李王朝末期の王朝の行動には韓国の発展よりも王朝の持続を優先するところがあり、易姓革命によって誕生した李朝は全体としては韓国の発展を止めた面が大きい。中でも、高麗王朝まで大切にされてきた仏教を弾圧し、排除してきたのは残念である。今日、韓国の精神文化は恨の文化といわれることがあるが、恨とは仏教では最も忌避する感情である。常に他国への従属を強いられた2000年の歴史の屈辱ゆえに、恨の感情が芽生えるのは分からないではないが、21世紀を迎えて克服すべき感情ではないか。それが真に誇り高い朝鮮半島の民族であるというべきではないか。恨の感情を?き出しにするのは、誇り高い民族でありながら、誇りを失った姿ということにならないか。

朝鮮半島に住むこの民族は、中国中央に躍り出て中国で王朝を開いたことは1度もなかった。しかしこの民族は有史以来、中華文明の下で国を亡ばされなかった民族である。にもかかわらず、明治43年(1910年)日本によって併合された。安重根が日本の明治政府の最も有力な指導者であり韓国併合に反対していた伊藤博文を満州ハルビンで暗殺し、それによって一挙に韓国併合ということになってしまった。日韓併合は韓国にとっても、日本にとっても幸せではなかった。

ところで、核保有の主要国は、国際連合の安全保障理事会の常任理事国である。安保理の常任理事国であり、核保有の巨大国でありながら、北朝鮮の非核化を実現するための今回の作戦につき、足並みを揃えない国が出てきたらどうするか。そうすれば北朝鮮の非核化が実現できなくなるのであるから、世界の諸国民は、その国を厳しく非難しなければならない。が、それと同時に、理念的には世界平和を創造していくために存在しているはずの国際連合に関して、世界の平和のためにその内部に設けられている安全保障理事会が常任理事国の自国の利益を優先した行動によってその役割を果たさず、そしてそのために国際連合が国際連合として役割を果たしえなくなっているということを、明らかにしていることになる。ということは、国際連合の改革をしなければならないということになる。

しかしながら、そうしたあるべき必要とされる改革も核保有の常任理事国等によって阻止されて実現できないかもしれない。しかし対策はある。そうして改革が進まないならば、改革しなければならないと思っている善良なる国々は国際連合を脱退し、そして直ちに別の新しい国際連合を結成すればよいのだ。日本は核保有国でもなければ常任理事国でもないが、あるべき国際連合を目指して、現在の国際連合からは直ちに脱退し、新しい国際連合に加盟するであろう。そしてその新しい国際連合が世界の国々の期待に沿ったものであり、世界の平和に力強く貢献できるものであれば、世界の国々は直ちに現在の国際連合を脱退し、新しい国際連合に加盟するであろう。そうすれば、現在の国際連合の職員も建物も、やがて新しい国際連合に移ってこざるをえなくなる。つまり新しい国際連合が現在の国際連合に取って代わるであろう。当然ながら新しい国際連合は、21世紀の世界の平和を目指して、世界のいずれの国も、特定の他国に対する敵対教育を行ってはならないということを憲章の中に盛り込んだものになっているであろう。

このように国際連合の改革は容易であり、もし安全保障理事会の常任理事国が自国の利益に専念するばかりで、人類共通の課題に応えないとすれば、このように別の新しい国際連合を創設して国際連合の改革ができるのだということを共通認識させることによって、今回のアメリカの北朝鮮非核化の作戦は、それだけ容易に常任理事国の協力を得やすいものにしていくことができる。アメリカ政府としては、今回の北朝鮮非核化の作戦に入るにあたって、国際連合に関するこのことについても、他の常任理事国によく知らしめておくべきであろう。

今回のアメリカ軍による北朝鮮の非核化を実現するための行動は、北朝鮮が弾道弾を含めて核開発が進み、アメリカ本土が危険にさらされる恐れが出てきたことによるもので、その限りで、アメリカの自国の利益に基づいて起こされるものである。しかし北朝鮮の非核化は、核拡散の防止に向けて、世界の諸国民の深刻な願いに一致するものである。その意味で世界共通の目的に基づいているといえる。

アメリカの歴史を通観すると、正義とはいえない行為をしている側面のあることも確かであるが、しかし建国以来、世界一の移民国家として、自由と民主主義という普遍的価値を広める正義の国家として存在している側面のあることも確かである。その上で、アメリカは世界最大の軍事力を持って世界の平和的秩序を守るための警察官的な役割を果たしている側面がある。

そのような観点に立てば、今回の北朝鮮の非核化を実現するためのアメリカの軍事行動は世界が支持しなければならないものということになる。今回の北朝鮮の非核化へのアメリカの行動は、世界の全ての国民が協力し、支持していかなければならないものである。

ところで、韓国と日本とは、ともにアメリカと安全保障上の条約を結び、韓国と日本との関係でも防衛協力をする関係にある。だが、そのアメリカで、2007年、韓国と日本との関係の慰安婦問題で、下院議院で不当な決議がなされた。「従軍慰安婦の対日非難要求」とも呼ぶこともできるこの非難決議は、日本軍の慰安婦に関する完全に誤った認識に基づいて行われたものであり、。さらには、移民国家としてのアメリカとしては、移民として入国しアメリカ国民となった国民同士は、その出身起源となる国同士の争いをアメリカ国内に持ち込んではならないはずにもかかわらず、一方の当事国の主張のみに与したものである。移民国家アメリカの建国の国家原理に反する決議であるといわなければならない。

先の大戦中の慰安婦の問題は、韓国と日本とに限らず、世界的にも、第2次世界大戦の終わったころは何ら問題になってはいなかった。しかるに日本軍の韓国慰安婦については、昭和57年(1982年)、朝鮮半島の女性を強制連行して(慰安婦狩りをして)、無理矢理、日本軍の慰安婦にしたという嘘の体験談が出、これを日本の有力な新聞が報道し、それが真実の体験談のように見えたので、韓国及び韓国国民は日本への非難を始め、世界に向けて訴えるようになった。しかるに日本国内では間もなく、この体験談は捏造でまったく根拠のない嘘の体験談であることが判明した。だが、その嘘の体験談を掲載した有力な新聞は平成26年(2014年)までの32年間、その体験談の記事を取り消さなかった。さらにこのような日本の不名誉となる嘘の事実が韓国及び韓国国民によって世界に喧伝されていっている時に、日本の外務省は、正しい情報を世界に向けて発信しなかった。そのため日本軍の慰安婦は、強制的に連行された性奴隷として世界に定着した。

世界のどこの国の軍隊であっても、兵士と性の問題は抱えており、軍隊に売春はあった。日本軍の場合、兵舎の近くに民間の売春宿があり、日本軍はその安全と衛生管理に関与したにすぎず、慰安婦は日本軍によって強制連行された者ではなく、性奴隷でもなかった。なおかつ慰安婦問題は現在に生起している問題ではなく、70年以上も前の事件であり、法的には日本と韓国の間で昭和40年(1965年)に締結した日韓基本条約で解決済みとして扱うべきものであった。

慰安婦問題、つまり兵士と性の問題は世界の全ての軍隊にあるのにもかかわらず、そして通常は生き残った慰安婦は死んだ兵士よりはるかに幸運であったのにもかかわらず、さらには日本軍の場合は70年以上前の問題であるのにもかかわらず、移民国家アメリカが下院議院で、日本の場合の慰安婦問題のみを取り上げて、しかもそれを正確に調べもせず誤った情報の下に、そして韓国も日本もアメリカと安全保障上の同盟国であるにかかわらず、一方的に日本の場合のもののみを非難するのは日本として、当然受け入れられない。

韓国は、日本側から誤った情報が伝えられる前にすでに歴史的にあった反日感情と、さらに韓国成立の時の初代大統領の李承晩による激しい反日教育によって育てられた反日感情によって、日本の慰安婦問題にについて非難し続けている。日本の誤った慰安婦情報に対して誤った情報であるとは知らない段階で激高するのは分からないではないが、やがて真実は分かっても、それを無視して世界に向けて日本非難の宣伝を繰り返し続けたのは、ほんらい恥ずべき行為である。誇り高き韓国国民としては、まずそのことを自覚しなければならない。

あとがき

以上、日本及び世界の近現代史の研究を経て、北朝鮮の非核化に向けてその作戦を考えてみた。いうまでもなく、本論にはさまざまな欠陥がある。例えばここで述べた軍事作戦で、どのくらいの費用がかかるのか、その経済的、財政的側面のことが全く触れられていない。しかし実際に軍事行動が始まった場合は、いやおうなく多大な軍事費が使われることになるはずであり、だとしたら、本費用に関していえることは、北朝鮮非核化という避けられない目的を達成するためのものであるから、費用がかかるから途中で止めようとするようなことのできない作戦であるということである。費用がかかるから途中で止めるというのであれば、このチキンゲームは最初からなすべきではない。北朝鮮の核開発が完成するまで黙視しておればよいということになる。アメリカとして、自国の安全のためにどうしてもこのチキンゲームに入り、併せて21世紀の人類共通の課題を解決するというのであれば、かの日米戦争で日本を降伏させ、日本を占領し、日本を親米国家にすることに成功した例を思い出し、費用の問題は相対的な問題であるとして、犠牲者(死者)が極小となる方法を求めるべきであろう。北朝鮮の非核化は、21世紀に入った人類にとって、いかなる努力を払ってでも達成しなければならないことである。そのためには歴史の教訓を踏まえて最も犠牲者の少ない賢明な方法を採用すべきであり、私の提案は、さまざまな欠陥を持ちながらも、部分々々において、見過ごせない参考になることをさまざまに提供しているはずである。そして全ての国と全ての国民がアメリカに協力してなすべきことをなさなければならないとして、確認しておかなければならないことを確認しているはずである、

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創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
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  • 名無しさん2017/07/11

    日本が負担することになるであろう費用の問題が提起されてない、現状静観が妥当

  • 名無しさん2017/07/11

    この男は何お云ってるのか? 有史以来我が国は戦でも天変地異でも難民なぞ出したことはない、先の占領成功は米国が我が国国民を巧妙に騙した結果であり決して慈悲などではない。「日本占領経験の教訓に学ぶ}ふざけるな!

  • 名無しさん2017/07/11

    途中の一部文字化けが酷く、完全には読むことが出来なかった。何とかなりませんか。

  • 名無しさん2017/07/11

    杉原氏の理念が世界の指導者の理解を得ることが大切と思います、がしかしそれは可能なのでしょうか。

  • 名無しさん2017/07/11

    今回の杉原先生の論文は、メルマガにお掲載するには長大過ぎて、総長の短い時間に読む小生にとって、とても読み切れるものではなかった。これはせめて「新書」等の活字にして時間をかけて読むものであると思う。申し訳ないが、半分ほどで、しびれを切らし、読むのを断念しました。

  • 名無しさん2017/07/11

    大変興味深い論文でした。政府、国会議員は北朝鮮問題をこのような論客を通して学び日本の取るべき道を模索しておくべきと思います。

    森友、加計問題を馬鹿真面目に追及している時期ではあるまいと思います。

    ありがとうございました。

  • 名無しさん2017/07/11

    意図があってのことかも知れませんが、以下のように文字化けしてます。

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  • 名無しさん2017/07/10

    今回も内容が濃いです。

  • 名無しさん2017/07/10

    軍事関連以外の一般人?には平易な文面とし理解可能と推察します。

    実際問題とすれば、相対的にお金の概念がないと他国を含む時間軸が抜けている為、今一歩しっくりしませんでした。

  • 名無しさん2017/07/10

    素晴らしい。