国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み  <中国の外貨送金規制強化で海外プロジェクトに暗雲

2017/03/30

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成29年(2017)3月31日(金曜日)
        通算第5247号 <前日発行>
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 中国の外貨送金規制強化で海外プロジェクトに暗雲
  となると「一帯一路」(シルクロード構想)は危なっかしいナ
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 中国の大風呂敷は数々あれど、こういう詐欺まがいの遣り方も近年は顕著となった。
 例のジャカルタとバンドンを結ぶ「インドネシア新幹線」プロジェクトを、日本から横取りして融資も付けますと言いながら、いざ昨年にスタートしてみると、工事開始から一年以上を経過してガツンと行き詰まり、おそらく中断に追い込まれるだろう。

 この醜態は中国が造ってみせると豪語した「ニカラグア運河」挫折の二の舞である。ニカラグアは香港の請負業者の資金繰りが続かず工事中断のままとなっている。パナマ運河を凌駕する新運河、なるほど世紀の法螺話だった。

 さてジャカルタからバンドンまで実地踏査して地勢を調べ、完璧なフィージビリティスタディを三億円かけて作成し、その詳細で精密な報告書を日本側はインドネシア政府に提出し、入札は間違いないと言われた。
このプロジェクト調査が開始されたのはユドヨノ前政権時代だった。
 
ジョコ新政権となって、締め切り直前に応札してきた中国は、日本が作成した報告書とほぼ同じものの中国語を提出し(インドネシア語の翻訳版はなかった)、強引に割り込んだ。なぜ日本の報告書がかれらにわたっていたのかは、ミステリーである。

ともかく土壇場で日本を蹴飛ばして中国に寝返ったインドネシア政府としては、いまさら日本に再依頼はできず、また日本側も企業連合は解散しているから、再び受諾する気持が萎えてしまった。
国際入札の難しさは技術や金融条件も大事だが、その国の政権にいかに食い込むかである。

ジャカルターバンドン間を走る列車は、筆者も四年ほど前に乗ったことがあるが、揺れが激しいけれども沿線風景は起伏に富み、風景が豊かである。
田園、山岳、渓谷をぬけ、五時間ほどかかるが、旅愁を誘う旅ができる。率直に言って平行したバス路線もあり、新幹線は必要ないように思えた。

第二の都市バンドンは美しい学園都市である。
またリゾート地も兼ねており、のんびりした町を歩くと辻々に画廊があったり、時間の流れもゆったりとしている。洒落れたカフェ、画材屋。大通りを女子学生が談笑しながら通っていく。
下町へ行くと猥雑で、並べられた商品も殆どが中国製だった。

1955年、このバンドンでアジア非同盟会議を開催したのは当時のスカルノ大統領だった。その国際会議場はいまも観光スポットとして保存されており、観覧自由。スカルノの蝋人形がある。

このジャカルターバンドン新幹線の工事遅延は、土地の買収が進んでいないため中国が融資の実行をしないからだと理屈が述べられている。

当初、土地収用予定価格は1億5000万ドルだった。総工費51億ドルの75%を中国の開発銀行が用立てる約束だった。しかし案の定、買収予定地は計画を知った地主らが、値上げ期待のため売却に応じないうえ、起点の駅、操車場予定の土地にはインドネシア空軍基地がある。


 ▼中国からのドル流出がとまった?

裏の理由は中国が外貨流出を防ぐため、5000万ドル以上の物件を許可しなくなったことが挙げられる。
外貨による貸し付けは中国が自慢する対外債権になる筈だが、中国の切迫した外貨準備状態から判断すれば、貴重なドルを何年も寝かせられないというわけだ。

中国の外貨送金規制強化で海外プロジェクトに暗雲が広がり、世界各地でプロジェクトが頓挫しはじめた。こうなると習近平の唱える「一帯一路」(シルクロード構想)は危なっかしい。

インドネシアに当初、中国が示していた条件は五年据え置き、超低金利だった。だれがみても採算は取れない赤字プロジェクトを、習近平の鶴の一声で国有企業が受注するのは上から絶対的な命令だったのだ。


 ▼ジャカルタの渋滞緩和にMRT

近年、急速なモータリゼーションの波にのまれて、交通渋滞に悲鳴を挙げるインドネシアは、とくに首都ジャカルタにMRTを建設している。27キロの環状線である。
どちらかと言えば、首都のMRT建設のほうが、2019年に再選を控えるジョコ大統領にとっては優先課題である。

いま工事完成が間近いのはジャワ島横断ハイウェイで、こちらは英国が請け負ったこともあるが、1997年のアジア通貨危機に遭遇して中断され、20年ぶりに完成に漕ぎ着ける。

 もう一つ、目玉プロジェクトして浮上してきたのがジャカルタースラバヤ間685キロを結ぶ高速鉄道プロジェクトだ。
これもまた日本がフィージビリティスタディを済ませており、現在12時間かかっている路線を五時間にする近代化工事。
総工費250億ドル、沿線の988の踏切を立体化する工事も含まれ、ファイナンスを如何にするかが大問題だという。

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 1548回】            
   ――「彼等の體力は實に野生である、獸性である」――(高瀬8)
     高瀬敏?『北清見聞録』(金港堂書籍 明治37年)

   ▽
高瀬は「東北西に手を擴げて、之を一握せんとする露國」、「東方に立脚地を定めて、山東の大半島を割有せんとする獨逸」、「中部以南の沃野千里、その富を竊取せんとする英佛」などの「外より來る打?」がなくても、「清國は早晩滅亡を免れざるなり」と説く。

 「早晩滅亡を免れざる」わけは、「精密なる國家の定義を以てすれば、今日に於て既に清國なき」からであり、そこに存在するのは国家ではなく「唯舊慣固結して神經遲鈍、利己の念盛にして腐敗壞亂せる四億の人民あるのみ」であるからだ。

 表面的にみるなら、「支那人は勤勉にして倦まず、節慾にして飲食に耽らず、堅忍にして能く事に耐へ、商賈にして信用を重んじ、團結心に富みて能く共同の事業を爲すことを得」るが、「其の外皮を擺剥してその眞相を見」れば、「その利得の念の盛にして、其の思想の野鄙吝嗇なること、廣き世界に於てまた支那人に及ぶもの」はいない。
それは商人も労働者も高位高官に共通する。いわば「支那全體を通ずる國民の性格なり氣風」であり、それゆえに彼らの血液の色は「銅色」「銀色」「黄金色」ということになる。

勤勉は「利を得んがため」、堅忍も「唯利慾のため」、節慾は「浪費せんことを恐れ」るためということになる。商人が敏なのは「利に忠なるが故」であり、信用を重んじることも団結心に富むことも「また皆な算盤玉より割り出したる利?心の發展に外ならざる」のである。

 「支那人と相對して試みに會談」してみれば判ることだが、彼らは「貴君の帽子」からはじまって洋服、靴など目に付くものはなんでも五月蠅いばかりにしつこく値段を尋ねてくる。そんなことは「吾が國民の氣風よりすれば」失礼であり恥でもあるが、彼らは一向に平気なのだ。この一例を引いて、高瀬は「支那人の頭腦に、金錢なる思想の、深く浸染せる」ことを説く。

 「彼の諸般の勞働に從事するものを見」れば判ることだが、「敝衣蓬髪、惡食を喫し、淤泥を被つて、毫も意とする所なく、能く苦艱を忍びて勞働するは」、ただ小銭を手にしたいからだ。だが本当は怠惰なのだ。だから彼らを「督勵し、之を鞭撻するに非れば」、勤勉でであるわけでも労働意欲に溢れているわけでもない。

 以上に加え、高瀬は彼らが極めてケチである点を挙げる。たしかに人口が多いから生計の維持が困難だろう。そこで「彼等が儉嗇の情また憫むべからずや」となるわけだ。

 「支那の官吏が賄賂を貪り、租税を私する」ことは周知の事実であり、その原因に発給が挙げられるが、じつは「彼等の性質に於て既に利慾心あり、盗心あり」。だが、この悪癖を一掃することは困難である。なぜなら人民の膏血を絞れるだけ搾り取ったうえに、まだ搾り取ろうとするからであり、「一國の重きを負擔しながら」も「賄賂を貪り、租税を私する」者が後を絶たないからである。「實に言語道斷の極といはざるを」えないが、これまた「支那人の特質」なのだから、マタナニヲカイフベケンヤ、であろう。

ここでまたまた林語堂を持ち出したい。
  林は「収賄汚職は人民にとっては罪悪であるが、家族にとっては美徳である」と“定義”し、さらに「中国語文法における最も一般的な動詞活用は、動詞『賄賂を取る』の活用である。すなわち『私は賄賂を取る。あなたは賄賂を取る。彼は賄賂を取る。私たちは賄賂を取る。あなたたちは賄賂を取る。彼らは賄賂を取る』であり、この動詞『賄賂を取る』は規則動詞である」と断定する(『中国=文化と思想』講談社学術文庫 1999年)

 「支那人の特質」で「家族にとっては美徳である」なら、彼の国ではトラもハエも不死身というわけで、習近平政権のトラ・ハエ退治もそろそろ息切れ・・・でしょうか。
《QED》


(宮崎正弘のコメント)台北の北郊外、陽明山の中腹に林悟堂記念館があって、数年前に見学したことがあります。林が使いこなした旧式手動の英文タイプとか、書斎、洋装の写真などセピア色の展示がしてありました。
貴文を拝読しながら、そのことを思い出しました。

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)韓国で慰安婦像を撤去しないばかりか、こんどは強制労働で日本につれてこられた労働者の像を建てるとか。
 五月の大統領選挙は極左の親北派がなりそうですが、そうなると日韓関係修復どころではなくなりますね。
   (BN生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)事大主義の過激路線、韓国を直すクスリはなさそうです。付き合わないのが一番ですが。。。
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 しかしトランプ政権の政策が議会の反対で座礁しつつあり、両者矛盾を抱えたまま、東アジア外交に熱意を入れることができない。こうした状況で日本はどうなるのか?
 
  
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