国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(太子党内に党派党争あり)

2012/03/16

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成24(2012)年 3月17日(土曜日)
     通巻第3589号 <3月16日発行>
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 「太子党」は二派に分裂、習近平を囲む劉源派と胡耀邦の息子(胡徳平)派
   太子党のバックにいる長老格は曽慶紅(元国家副主席)という陰謀家
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 習近平は朋友、薄き来を失って悄然としており、これは中枢の権力闘争で、胡錦涛率いる共青団のセクト争い上の勝利という解説が多いが、はたしてそうか? 
習近平にとって同じ太子党のライジングスターであり、一方はカリスマ性に富んだ薄き来は潜在的ライバルであり、その失脚は将来のナンバー2を未然に消したという意味では、むしろ歓迎するべき事態ではないのだろうか?

習のまわりを囲む忠臣集団のなかで、軍で台頭めざましいのは劉源(上将。総後勤部政治主任)である。
劉は毛沢東の最大の政敵=劉少奇の息子である。習近平の父親は劉少奇派であり、毛沢東ににらまれて文革で痛めつけられた。そういう親をもつ文脈でも、また習と劉は幼友達であるという文脈でも、これからの中国では強い朋友となるだろう。

さて話題の本がある。
劉少奇は民主化を目指した偉大な指導者だったという中味の新書『改造我門的歴史文化観』を著したのは張木生(元中国税務雑誌社社長)だ。この書物に長い序文を寄せたのが劉源。つまり張木生は劉源のスポークスマンである。

この書物から感得できることは、太子党の劉源派につどう少壮党員、軍人等は「新民主主義」なる概念を唱え、きわめて軍国主義的かつ国家主義的色彩が強いことである。
民主主義を提唱しながらも、それとは矛盾する軍国主義化を中国は目標とするべきと獅子吼しているのだが、これは『太子党』の総意ではない。

 かれらは胡錦涛・温家宝の「保八路線」(経済安定化)を「軟弱であり、危機を目前にして対策がのろく、無作為である」と批判する一方、自分の親たちを失脚させた紅色政権(共産主義ドグマの独裁)には批判的である。したがって「新民主主義」なるものが「共産主義」ドグマの桎梏から超越できる新しい哲学的概念であると自画自賛し、また中国共産党の合法性も同時に主張する。

論理構造は支離滅裂としか言いようがないけれども、その論理的矛盾にはかまわず、新しいドグマを提唱しているところに特徴がある。
その矛盾の最たるポイントは、太子党のなかでも文革で失脚した親をもつグループをかばう点である。事実、劉源らは薄き来を失脚直前まで支持した。


▼蘇る胡耀邦が「民主化」のグループを糾合するバネに

他方、太子党なかの多数派は胡耀邦の息子=胡徳平ら。このグループの主張は「自由民主」を訴える開放性にある。
これは胡耀邦時代の中央宣伝部長だった朱厚澤が主導した考え方で、胡徳平に多大な影響を与えたとされる。胡徳平は米国留学中、『中国之春』など民主化政治組織と地下で連帯していたという説があるほどに。

留学を終えて帰国した胡徳平は、「中国的民主化」をキャッチフレーズに党内の民主派の形成に努力し、太子党民主派の領袖と見なされる。

薄一波(薄き来の父親)は文革で失脚十六年後、トウ小平復活とともに復権し、中央舞台での権力を回復したが、かれは胡耀邦を批判し、辞任を要求した。
この経緯から、薄き来は胡徳平とは最初からそりが合わず、一時期、習と薄が親しかったため、次期習政権で胡徳平が重要視される可能性は低いとみられる。

習近平の父親、習仲勲は『劉志丹事件』で失脚したが、副首相として復活後、トウ小平にぴったりと寄り添って改革開放を主導し、とくに深セン経済特区の設立には多大な努力をなした。
経済改革には開明的で広東省の経済モデルを全国に広げることを提唱し、当時の党内の老人等を説得して歩いた。

とはいえ太子党が人脈的対立構造を内包しながらも『現状維持』「特権継続」「党独裁堅持」という諸点では利害が一致しており、その最大公約数的合意とは「特権を維持する」目的に置かれる。
このためには彼らは思想的政策的小異をすてて大同する。つまり習近平はその代表格であり「維持会長」というニックネームもある。


▼太子党内党に民主化を希求する前衛的集団あり

こうした趨勢に背中を向ける動きもある。
典型例は太子党の有志らが組織した全派閥横断的、全セクト網羅的な太子党の友誼サークルの「延安児女連誼会」である。

最初は北京のエリート校の同窓会的組織だったが、党高官子女がつどう全国的組織となり、現在の会長は胡僑木の娘、胡木英。
2012年春節に開催された総会には1200名が集まり、胡徳平のほか、陳毅の子、陳昇蘇、馬文瑞(陝西省書記)の子、馬暁力らがあつまった。

馬暁力は太子党のなか、最右翼の民主派に属し、「われわれの政権は特権階級のためにあるのでなく、人民のために尽くす政権としなければなるまい」と述べて、会場には習近平の姉、習乾平らもいたが、構わず、会場では胡耀邦、趙紫陽の民主化を評価する声があちこちにあがった。馬暁力の父親、馬文瑞は延安時代に、習仲勲の同士であり、生死を友にした戦友でもあり、ふたりとも『劉志丹事件で失脚させられたという因縁でも通底している。

しかし馬はこう述べたのだ。
「われわれは蒋介石の二代目、蒋経国に学ばなければならない」。
つまり台湾民主化は経国の決断で本省人李登輝を後継指名したところから開始された点に次の中国の政治的改編のポイントがあると示唆しているのである。
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  読者の声 どくしゃのこえ READER‘S OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号の石平『わが子に教えたい日本の心』への書評への感想です。
 まず秀吉の事績ですが、秀吉は異色のキャリアだけに挿話が多い。多くは面白可笑しく要領の良い話である。しかし史実を見ると最も危険な撤退戦の殿(しんがり)を進んで引き受けるなど命がけの奉公をしている。
そうでなくては恐ろしい信長の目にかなうわけがない。ということで石平氏の意見は講談レベルの話を真に受けている感じがする。毛利に仕えた戦国武将の安国寺恵ケイは、「秀吉は少年時代から辛酸をなめ乞食までした人間だ。秀吉を騙すことは誰にもできない」と記している。
これは必要なら臨機応変どんな芝居もできたという意味でもある。武功夜話には若いころの信長に下男として仕えた藤吉郎がキワドイ色話で信長を笑わせた挿話などが記されている。おそらく支那人の真似も簡単にできただろう。しかし支那人ではない。秀吉は異相からもわかるように天才だったのだ。
日本国民の武士精神について。明治維新で国民国家になった日本は、教育方針の基本に武士の価値観と行動様式を選んだ。だから世界一の精神文化を持つことができたのである。
それは大東亜戦争中だけの話ではない。遡って日清、日露戦争の日本軍人の英雄的活躍に見ることができるのである。さらに元寇の時にも、武士の活躍が記録されているが、地域の農民や漁師は武士と同じ価値観で生命を捨てて防衛戦に貢献したものと思われる。元配下の朝鮮軍により壱岐対馬の住民は皆殺し、博多の婦女子は多数拉致され半島で奴隷にされているからだ。
武士は、秀吉が農民出身であるように、印度のカーストのような固定した社会集団ではない。あくまでも日本民族のくくりの中の流動的な存在だ。だから武士の価値観は清廉で堅苦しいが、戦前の全日本国民の価値観として普及できたのである。
日本人と支那人の違いに関して言えば、日本人は天皇崇敬という永久不変の公的価値観を持つが、支那人の価値観は現世主義と言われる。金や女、権力など現実の欲望に執着する。それが支那民族の民族宗教である道教の世界観だ。だから来世も現世の延長と考え、賄賂用の紙のお金を焼いて先祖に送るという。徹底的に「私」の世界で完結している。革命で共産党が道教寺院を破壊したが、毛沢東が死去すると早速復活している。再建された支那寺では熱心な信者の燃やす太い線香の煙がたなびいている。今も昔も公のない精神世界である。
武士道の本質は誇りである。誇りのために自決することもある。
誇りは金銭で売買できない目に見えない価値観なので、現世利益の支那人には理解できず、武士の死は単なる破滅としか見えない。支那人にとって死は最大の恐怖なのだ。
石平氏の日本論の可能性と限界がある。石平氏は帰化人でありよく調べている。しかし国籍を変えても生まれた民族の価値観は変わらない。ただ日本人から見ると石平氏の意見は民族性の違いが分かって新鮮で参考になる。
  (東海子)


(宮崎正弘のコメント)秀吉は権力掌握後、太田牛一らの右筆に法螺話に基づく伝説を書かせました。貧農出身というのも嘘でしょう。矢作川の橋で蜂須賀小六にあったことになっていますが、当時矢作川には橋はありませんし、かなりの逸話は後世の創作ですね。
『武功夜話』は偽書です。ですから、これに基づいた遠藤周作や津本陽の作品は時代考証の基本を間違えています。
 信長暗殺を事前に秀吉は掌握していた可能性があります。秀吉は諜報と謀略で政権を取った、きわめて孫子的謀略家で日本史には珍しいスパイマスターでしょうね。
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  • 名無しさん2012/03/19

    近未来がイメージできました。