宮崎正弘の国際ニュース・早読み(中国の貿易パターンが激変した)
2011/09/17〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年9月18日(土曜日)
通巻第3425号
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中国の貿易パターンが劇的に変化し貿易黒字が激減
対米と対EUの黒字基調は増加しているが、資源国とは大幅な赤字
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中国の対豪州貿易赤字は、かつての対米黒字のごとし。
中国は豪州から石炭、ガス、鉱物資源、レアメタルなどを輸入しているが、貿易バランスはまもなく中国側の入超が、400億ドルに達する。同様に資源国のカナダ、ブラジル等との貿易は赤字である。
対日、対台湾、対韓国そして対ドイツは、中枢部品、コンポ、ハイテク製品を輸入している関係で赤字基調は変わらず、とくに対韓国のそれは300億ドル近い。日本との貿易赤字は恒常的と言えるが、220億ドル前後とやや改善されているのも、日本は中国から野菜、穀物、魚介類にくわえて加工食品などを輸入し続けているからである。
中国の外貨準備は貿易黒字に数倍の規模で、直接投資は1000億ドル強だから、ほかに投機資金が貿易黒字の何倍か、流入していると考えられる。
他方、従来貿易黒字だったEU諸国、とりわけ英仏イタリアとの関係はかわらず、また対米黒字は300億ドル台である。インドとも180億ドル程度の黒字である。
ただし、全体の基調として、貿易黒字による国富の増加パターンは劇的に変化しており、輸出志向型から輸入依存とのバランスにいびつな構造的変化が、これからいかなるカーブを描くか、注目される。
いずれにしても中国が「世界の工場」であり、「労働力が安い」という時代は確実に終わりつつある。
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◆BOOKREVIEW ◆書評 ◇しょひょう ◇ブックレビュー ★
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佐藤守『日本の空を誰が守るのか』(双葉社新書)
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副題は「中国と北朝鮮を黙らせるための防空論」となっている。
専守防衛、戦略的防衛というやや抽象的なアカデミズムの議論ではなく、徹頭徹尾現場の声を反映した、というより実際に著者は防空の現場の指揮官経験者であり、合計3800時間という滞空記録(総飛行時間)の記録保持者。リアルに防衛最先端でたたかった軍人出身者である。
中国空軍の幹部でも飛行時間はせいぜい300時間である。
したがって、その輝かしいキャリアからの発言は机上の空論をいう永田町の防衛専門家とは色彩が異なるのも当然だろう。
佐藤さんは、南西航空混成団司令を最後に退官。現在は軍事評論家として縦横無尽の活躍をされている。
げんにロシアと中国の領空侵犯は続いている。
それも頻度を増して、まるで東日本震災後の隙を狙って自衛隊の腕を試すかのように、平然と領空を侵犯して、
「ニーハォ、なにか文句でもアルカ」。
「ニュエット、歯舞も色丹もロシア領ダ、忘れるな。ダスビダーニヤ」。
普通の國なら領空侵犯は警告後、ミサイルで迎撃する。日本は尋常ではない國なので、それも出来ない。スクランブル発進して敵機の後方につけ、警告するだけである。
具体的詳細は本書に譲るとして、佐藤さんは本書で次の三つのリアリスティックな提案をされている。
集団的自衛権は当然の前提だとして、まず、
第一に海上保安官と警察官と自衛官の育成。
第二に、与那邦島に陸上自衛隊一個中隊の配備。
第三は下地島に既存の一万フィートの滑走路を活用し、移動訓練、射撃訓練にも使う。尖閣はレンジャー部隊の訓練基地とする。
なるほど現場の切実な声である。満腔の賛意で読み終えた。
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宮崎正弘『中国大暴走 高速鉄道に乗ってわかった衝撃の事実』
(1365円、文藝社)
写真23葉、図表等も収録。248ページ、並製。
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読者の声 どくしゃのこえ DOKUSHANOKOE 読者之声
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(読者の声1)貴誌3424号の特許制度のはなしですが、貴論のなかに、「欧米諸国の大半は特許制度のなかに『防衛機密に属する特許は、これを公開しないでもよい』とする秘密条項がある(戦前の日本にもあった)。通産省(現在の経済産業省)は、数年前から、この法律改正の準備に入ったと聞いているが、まだ成果はみられない」
とありました。
これは厳密には間違いです。
日本はアメリカの圧力に屈して、防衛機密に関するものはある程度の期間、公開せずに秘密にすることができるように10年ほど前に事務手続きを変えました。ただし、法律で決めたわけではなく、アメリカだけに適用しているようですが、残念ながら公表されていないので一般人にはわかりません。
参考になればと思い、お知らせします。
(SI生)
(宮崎正弘のコメント)武器輸出三原則も対米に例外があるように、これらは法律では謳えない密約レベルの運用ですね。しかし基本的にいえば米国を例外とするのは片務的であり、日本の対米依存が生んだゆがみですね。
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(読者の声2)「月刊日本」特別講演会のお知らせです。
下記の要領で佐々木良昭先生の講演会を開催します。どなたでも参加できます。
記
日時 9月22日(木)午後6時より(約2時間)
演題 「日本を揺さぶる中東の激動」
講師 佐々木良昭(東京財団・上席研究員。近著『革命と独裁のアラブ』(ダイヤモンド社)がベストセラー入り)
場所 赤坂区民センタ第一会議室(港区赤坂4―18―3 赤坂コミュニティぷらざ内)
http://www.koyukai.org/akasaka_guide.html
会費 1,000円(資料代)
※参加を希望される方は、下記まで事前にお申し込みください。
gekkan.nippon@gmail.com FAX03(5211)0097
(講師略歴 1947年岩手県生まれ。拓殖大学商学部卒業後、国立リピア大学神学部、埼玉大学大学院経済科学科修了。トルクメニスタン・インターナショナル大学名誉博士号授与。大阪万国博アブダピ政府館副館長、アラブ・データ・センター・ベイルート駐在代表、アルカパス紙(クウェート)東京特派員、在日リビア大使館、拓殖大学海外事情研究所教授などを経て02年より東京財団シニア・リサーチフエロー、2010年より笹川平和財団アドバイザー(いずれも現職)。主な著書に『世界を揺るがすイスラム・ネットワーク』(ダイナミックセラーズ出版)、『ジハードとテロリズム 日本人が知らないイスラムの掟』 (PHP研究所)、『革命と独裁のアラブ』(ダイヤモンド社)など)。
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(読者の声3)貴誌3424号「読者の声2」は、首相や民主党への物言いもさることながら、少々引っ掛かりを覚えましたので、一笑に付されるのを恐れずに下記致します。
(A)「尖閣諸島をはじめ、与那国島や石垣島などの先島諸島を防衛するため自衛隊の本格的配備を検討する、と意思表示を行うべきです」
の項に関連して。
石原都知事の小笠原諸島(東京所轄)での石碑据え付けに倣う訳ではないが、先島・尖閣諸島への自衛隊の本格的な配備に先立ち、取り敢えずは当該諸島、特にその最南端・最西端の島或いは岩礁各々の頂きに、日本の領土なることを英字漢字で銘した石碑(乃至特殊合金製の碑)を据え付けると言うような意思表示の具現が緊要であり、その運動を展開すべきではないでしょうか。
その据え付け工事には海自を派遣することにして。また、その全費用は当然国家負担だが、場合によっては、石碑調達分については、運動の一環として、国民有志による募金活動を先行させる方法もあろう。石碑ならば、例えば花崗岩の産出豊かなベトナムに発注して調達するとかも考え得る。
その銘文等については、今時、コンピューター・デザインしたものを与えればベトナムでも刻むことが出来るし、支那による南沙諸島への侵略行為や近海での漁業妨害に煩わされているベトナムは、他人事に非ずとして、この石碑製作と供給には協力的に対処すると思うが如何であろうか。
(B) 「野田首相は九月二十四日をめどに、尖閣諸島は歴史的に我が国固有の領土であり、尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しない。存在しない領土問題を問題にするいかなる国の侵略的意図も我が国は認めない、と声明してください」
の項に関して。
「・・。存在しない領土問題を敢えて問題にする、或いは、不審な行動に出るいかなる国や団体については侵略的な意図を持つものと看做し、断固糾弾し、且つ、然るべき措置を講ずべき」と言い換えるのは不具合であろうか。
(老ゴジラ)
(宮崎正弘のコメント)ベトナムのアンチ中国感情は激越ですから、ひょっとして「渡りに船」かも知れません。
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樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 639回】
――なにからなにまで悪いのは、ペテン師でクソ野郎の林彪だよ
『認真学習毛主席軍事著作』(三聯書店香港分店 1974年)
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この本は毛沢東が「我われの軍事原則」といって指し示した「十大軍事原則」を根拠に、林彪が主張した「六個戦術原則」を徹底批判し、林彪に冠せられていた「天才軍事家」「常勝将軍」「非凡な天才」という“化けの皮”を引っ剥がし、やはり「ブルジョワ階級の野心家、陰謀家、反革命両面派、叛徒、売国泥棒」でしかなかったことを明らかにしよういうもの。当時の共産党の理論誌「紅旗」、機関紙「人民日報」に掲載された論文に加え、地方の解放軍支部からの報告を集めている。それだけに、党と解放軍による軍事的側面からの林彪批判の決定版とも看做してもよさそうだ。
毛沢東主張の「十大軍事原則」は、?先ず分散・孤立した敵を撃つ。?先ず小都市から奪取する。?敵の中核勢力を殲滅することを主要目標とする。?攻撃に当たっては絶対的に優勢な勢力を集中する。?準備なき戦闘はしない。?勇敢に闘い、犠牲と消耗を恐れず連続攻撃を展開する。?運動戦によって敵を殲滅する。?防備の希薄な拠点・都市を断固として奪取する。?鹵獲した敵の武器と兵員を転用する。?戦闘間の間隙を利用し部隊の休息と再編に努める――これが概略だ。対するに「六個戦術原則」は「一点両面」「四快一慢」「三種情況三種打法」「三猛」「三三制」「四組一隊」だが、この本に拠れば、「(国共内戦初期の)東北在住前後にデッチあげた」と酷評されている。
「十大軍事原則」は?作戦の基本方針は殲滅戦。?主要な作戦形式は運動戦。?正確な作戦方法は優勢な兵力を集中して敵を確固撃破する殲滅戦――の3本柱に纏められ、一方の「六個戦術原則」は?右傾機会主義路線の産物。?最もダメな点は殲滅戦に反対。?唯心論と機械論のごった煮でしかなく、とどのつまり?党権簒奪のために輿論を起こそうとするものだと糾弾されている。
かくして林彪の悪しき影響を払拭すべく、解放軍の現場ではこんな運動が展開された。
一、マルクス・レーニンと毛主席の著作を真剣に学び、国共内戦期における毛沢東の「輝ける軍事著作と多くの重要な指示を重点的に学習し、確固たる理論武器とした。
二、国共内戦期における林彪の罪行を告発し、国共内戦の勝利は毛沢東の「英明な領導と指揮の結果であり、文革路線の勝利を明らかにした。
三、儒教の持つ害毒を明確にし、林彪の軍事路線と政治路線への批判を結合させ、そのブルジョワ軍事路線が実質的には右傾であったことを暴露した。
四、林彪が推し進めたブルジョワ階級の軍事路線批判と儒教批判を結合させ、反動的な儒教こそが林彪の軍事路線の重要な思想的根拠であることを明らかにした。
五、幹部は率先し兵士は挙って林彪ブルジョワ軍事路線批判の「人民戦争」を戦った。
六、学習と批判を連隊建設の強力な推進動力とし、革命を掴み、生産・工作・戦略を促し、各種の任務を立派にやり遂げた。
軍事学の門外漢に「十大軍事原則」と「六個戦術原則」の優劣を論ずる資格も、ましてやこの本に納められた14編の論文と報告の当否を判断する能力もない。だが、この本を一貫する論調が冷静さを大いに欠き、甚だ粗雑な議論が展開されていることは指摘できる。いわば結論ありきで問答無用。ダメなものはダメ、である。権力闘争で敗れ去った者は、ありとあらゆる悪罵と非難中傷を甘受しなければならない。だから、石に齧りついても負けたらダメ。中国における権力闘争にはホンモノの命がかかっているのだから・・・。
《QED》
(ひいずみかつお氏は愛知大学教授。このコラムは小誌に独占的に連載されております)
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『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(石平氏との対談。ワック、933円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との対談。徳間書店、1575円)
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