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 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(ロムニーが正式に立候補表明)

発行日:6/3

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
       平成23年(2011)6月3日(金曜日)
          通巻第3339号   
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 ロムニー(前マサチューセッツ州知事)が正式に大統領選挙に名乗り
  勇み足トランプが消え、ペーリン女史は土壇場の宣言を狙い、キングリッチ苦戦
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 次期米国大統領選挙は、姑息な手段で延命した菅直人と似て、現職オバマが続投を果たす可能性がでた。
ビンラディン暗殺で10%支持率がジャンプしたからである。

 共和党はオバマを窮地に追い込めず、そのうえ、パワフルな対立候補がいない。
 予備選レースは正式には始まっていないが、富豪トランプがマスコミ受けをねらってジャスチャーを繰り返し、テレビ番組を盛り上げてペーリン女史(前副大統領候補、元アラスカ州知事)より人気を得た瞬間もあった。どちらにしても、これは茶番レース。

 現時点で名乗りを上げているのはロン・ポール議員とキングリッチ元下院議長。ふたりとも共和党保守派、前回負け犬となったマケインの政治思想を連想しがちになる。共和党の党内合意を得るにはイラクかアフガニスタンの泥沼シナリオ再来でもなければ考えにくいとワシントン通は言う。ハッカビー前アラバマ州知事は問題外。

だが「想定外の候補者」となりそうなのはハッツマン前北京大使。将来のライバルを十分認識していたからこそオバマは意図的に北京へ追いやっていたが、ハッツマンは満を持して帰国、立候補準備にはいった。

 そういう境遇下、6月2日にロムニーはニュー・ハンプシャー州へ出向き、正式に立候補を宣言、オバマの政策を批判した。ロムニーは大富豪、政策は党内リベラル。ブッシュ元大統領(パパのほう)とイメージは近い。
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 ◇◆み◇◆や◇◆ざ◇◆き◇◆ 宮崎正弘 ◆◇ま◆◇さ◆◇ひ◆◇ろ◇◆
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<宮崎正弘の新刊>
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  ◎書評 ブックレビュー しょひょう BOOKREVIEW 書評◎
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黄文雄『日本人はなぜ世界から尊敬され続けるのか』(徳間書店)
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 日本を賞賛した外国人、夥しい数にのぼる。これらを一度にまとめあげた教典のような一冊。
 黄さんの動機は「東日本大震災」と、直後から発揮された、日本人の静粛な団結ぶりだった。これらをじっさいに目撃すれば嘗て同様の体験をし、その日本人の公共の精神と耐えることに感動し、うち震えて本国に報告した外国人が数百数千数万もいたことは容易に想像できる。
 唐山地震のおり、匪賊は被災者を襲い、強盗に早変わりして家財、現金を徹底的に盗み出した。救いを求める腕に時計があれば、その腕をちょんぎって腕時計をもぎ取る。被災者の救出? そんなことをする中国人はいない。
 先進国アメリカでもロス暴動では強盗、掠奪、暴行が起きた。
 中国人が日本に初めてきて驚き、且つ呆れるのは日本中どこへ行っても設置されている自動販売機の夥しさ。たばこもお茶もコーヒーも売っている。しかも誰も自動販売機を壊して、なかの現金や商品を盗みだそうとはしない。
 日本って、どうして安全なのか! 中国人は不思議で仕方がない。
 そこで評者(宮崎)が最近も中国で目撃したことと比較してみよう。
済南の駅前商店街に自動販売機があった。新品なのに壊れていた。すぐに襲われたことは歴然としていた。
 ATMは人通りの少ない箇所には設置されておらず、また引き出し額は上限がある。それでも真っ昼間にATMからでたところを襲われる女性が頻出していてテレビニュースでは対策がないものか、とコメントが集中した。
 ことほど左様な社会だから鉄道切符は駅で並んで買う。となりの自動発券機コーナーはがらがらである。自動販売機、自動発券機になじんでいない証拠である。
 
 寄り道が長くなった。
 本書はトインビーからフロイス、ペリー、シドウチらが日本の印象を語り、武士道をほめた履歴がならぶ。
 『魏志の倭人伝』にさえ、以下の表記がある。
 (日本の)「婦人淫せず、妬忌せず、盗窃せず、諍訴すくなし」
 このたぐいの賞賛の言葉が延々と一覧できる本書は、日本人の自尊心をくすぐる。
 アンドレ・マルローは武士道を賞賛し、晩年は伊勢神宮に参拝し五十鈴川で禊ぎを受けて「このバイブレーションは何だ」と叫んだ。三島由紀夫にあこがれ、切腹という名誉を重んじる儀式を賛美したことで知られるが、マルローの対局にいた左翼知識人のサルトルさえ、三島についてこういった。
 「ぼくは彼の手を握った。握ったあの手で彼が切腹したと思うと感慨が深い。切腹するには勇気がいる」(サルトルはボヴァワール夫人と来日したおり、三島と握手した)。
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  BOOKREVIEW   BOOKREVIEW   BOOKREVIEW
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(お知らせ)本日(6月3日)午後一時から「ラジオ日本」のマット安川「ずばり勝負」に宮崎正弘が生出演します。午後2時20分ごろまで。
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◎読者の声 どくしゃのこえ ドクシャノコエ DOKUSHANOKOE◎
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(読者の声1)衆愚が選んだ衆愚政治。国難だというのに復興へ向けての迅速な策が立てられず、愚かな論議ばかり繰り返している様な缶空菅政権では、内閣不信任決議案が提出されるのも当然の成り行きでしょうが、政治家も含めた衆愚の異見を聞いているとこんなにも物事の本質が見えていない国民が多いのかと驚かされています。
 1日の『朝ずば』で「望まれれば拒む理由は無い」などと元総務大臣が売り込を図っていましたが、「冗談じゃない。根底に日本文化を有しない、口八丁で目立ちたがりだけの男など願い下げだ」、と自民党政権時代の失点探しに躍起に成っている小沢の走狗に、“ふざけるな”と私は怒っています。
 それにしても「私は、人民解放軍の野戦司令官です」、と支那に忠誠を誓っている小沢一郎が何で総理にしたい人の上位に顔出すのか不思議でしたが、人気投票は、選挙と違って国籍を有しない者も投票できるためこの様な頓珍漢な現象が起きるのか、通で、と最近やっと納得できています。
 方向性が違った無為無策でスロ−な民主党政権の現実を目の当たりに見ても、なんで民主党政権支持者が多いのかと訝っていましたが、原因は其処でした。マスコミの情報など全く当てになりませんですね。
 数ヶ月前の「そこまで言って委員会」の番組で勝也誠彦が、総理にしたい人に小沢一郎を推していて金美齡女史と口論に成った事がありますが、この男の弁が振るっていました。「中国政府は実力のあるものしか認めない。日本では、小沢一郎が一番の実力者と認めているから毎年招待するのだ」、と女史に吼えていました。御仁は識者かなと想っていたらとんでもない三文役者でした。
 相手の国を凋落させるには、相手国の「愚者を厚遇し、賢者を冷遇せよ」、という孫子の兵法を知らなかったのですね。小沢一郎も海部俊樹を総理に仕立てた時、「総理にするのは軽くて馬鹿が丁度良い」、と言い放っていたのに。
朝鮮の武将「姜沆」が、日本人の「風俗といえば、小事に聴く大事に疎い。衆人が尊び、誉れとすることには、内容もよく調べずにひたすら従い、いったん惑わされてしまったら、死ぬまで覚ることがない。これこそ、蛮夷の陋劣というものである」と述べているが、近隣諸国は日本人の愚かさに腹を抱えて高笑いしていることでしょうね。
   (北九州素浪人)
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●毎日一行◎ なぁんだ、茶番だったか。内閣不信任成立せず。小鳩は政治力失墜だ。
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(読者の声2)貴誌前号の投書欄の「武蔵国杉並住人」さんのお話。大変もっともなご意見と思います。
但し「余談ですが、アナポリスのU.S.Naval  academyを「米国海軍士官学校」と訳す向きもありますが、「米国海軍兵学校」の方がふさわしいでしょう。」については、やや??。
と言いますのも「旧帝国海軍の場合「海軍兵学校」と称しておりましたが、これは「兵科」の士官(兵科将校)を養成するところで、機関科の士官養成は「海軍機関学校」、経理科の士官養成は「海軍経理学校」が担っていました。
翻って、米国のアナポリスの場合は卒業生の進路は必ずしもライン(旧日本海軍でいうところの兵科)のみならずスタッフ(兵科以外の職種)に進むものも多いのが現状です。
その意味で米国のアナポリスの場合「海軍兵学校」よりも「海軍士官学校」と訳したほうがより実態を反映しているのではないかと考えます。
(予備役空軍大尉)



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(読者の声3)田原総一朗『なぜ日本は「大東亜戦争」を戦ったのか』を読んで。
 田原総一朗氏の最近著がきわめて刺激的なタイトルである本書である。本書は4月にPHPから出版されたが、著者あとがきの日付は今年の2月26日となっており、田原氏が昭和維新運動と二・二六事件を意識して本書を書いたことがうかがえる。また本書の副題は「アジア主義者の夢と挫折」となっている。

 私は以前に田原氏が「日清戦争と日露戦争は日本にとって自衛の戦争であったが、満州事変から日中戦争、大東亜戦争にいたる戦争は侵略戦争である」と発言してことを記憶しており、田原氏も結局東京裁判史観のくびきから脱することの出来ない平凡な評論家だと思っていた。
しかし本書を読んでみて以外にも田原氏が東京裁判を戦勝国に都合のよい不当な裁判であったと弾劾し、また東京裁判や戦後の左翼歴史家によって軍国主義者、ファシストと断罪されてきた松井石根、頭山満、大川周明そして北一輝の4名についてそれぞれ一章ずつを費やして公平かつ真面目な態度でその思想と行動を評価しようと試みていることに、従来の田原氏に対する見方を変えざるをえないのではないかと感じた次第である。
松井石根と頭山満は戦前日本においてアジア解放を夢見た大アジア主義者として描かれており、大川周明と北一輝はいうまでもなく天皇を戴く日本型社会主義を実現するための昭和維新運動の理論的指導者であったとされる。その帰結である二・二六事件はまた三島由紀夫の思想と行動の原点ともいうべきものであったと私は考える。したがって本書を、三島思想の土壌となった戦前日本思想史の入門編として読んでみてはどうか、というのが私の感想である。

 まず田原氏は本書冒頭で大アジア主義について「私は、大アジア主義は正解であった現在でも考えている。」と肯定的に評価する立場を明らかにしている。
決して他の左翼史家が決まり文句でいう様な大アジア主義は日本帝国主義の侵略イデオロギーなどとは言わない。東京裁判に関しても田原氏は、ソ連が日ソ中立条約を犯して突如満洲に侵攻してきて暴虐の限りを尽くしたことや、米国が無差別空襲によって約25万人の民間人を殺し、広島と長崎への原爆投下で約21万人の無辜の民を殺した事実をすべて黙殺して日本のみに一切の戦争責任を押し付けた非道を弾劾している。
まさにそれは適切にして正しい認識である。むしろ田原氏は日本人には敗れる戦争をしたことこそが致命的失敗という認識が希薄であることを強調している。

 田原氏は南京攻略戦当時の中支那派遣軍司令官で、いわゆる南京事件の責任をとらされてA級戦犯として死刑にされた松井石根大将が実は日本でもっとも中国を理解し、蒋介石とも信頼し合い、日本と中国が腕を組んでアジア諸国の解放、独立をめざしていた人物であったことを認めている。
その蒋介石とて日本で軍人として教育を受け、日本をよく理解していたにもかかわらず、次第に米英ソと組んで日本に戦いを挑んでゆく歴史の皮肉と悲劇を描写している。

 戦後頭山満と玄洋社は日本軍国主義のイデオロ−グとされたが、田原氏は頭山満が本当は満洲事変にも、支那事変にもそして大東亜戦争にも反対であったと述べている。玄洋社には尊王攘夷という国権論的立場と自由民権運動以来の民権主義の二つの立脚点があった。
それが玄洋社の内在する矛盾でもあり、また多くの人をひきつけた魅力でもあったという。

朝鮮独立党のリ−ダ−であった金玉均が日本に亡命したとき、これを匿ったのが福澤諭吉であり、またその逃亡を助けたのが玄洋社の面々であった。
田原氏は福澤の脱亜論と頭山の興亜論を比較して論じ「福澤は理に生き、頭山は情に生きたといえる。」と述べているのは首肯できる。私は、福澤は結局自分が同調、支援した中国、朝鮮の革命運動や独立運動がそれぞれの封建主義の前に挫折していったのを見た絶望感から日本一国によるアジア近代化を脱亜論として展開していったと考える。

 田原氏によれば、日本が日露戦争に勝利して以来、日本はアジア諸国の独立運動の闘士達のいわば革命根拠地となっていた感があり、来日した彼らの面倒をみたのが日本のアジア主義者であり、その核となる人物が頭山満であった。また田原氏は、戦後の左翼史観では戦前の日本を帝国主義、侵略主義というが、事実は欧米列強の方がはるかに帝国主義、侵略主義であったとみなす。まさにその通りであろう。

 本書のクライマックスは昭和維新運動の二大イデオロ−グともいうべき大川周明と北一輝の比較論考である。大川周明には多くの著作が残されている。私も学生時代にはとくにその代表作ともいうべき『日本精神研究』、『日本二千六百年史』、『米英東亜侵略史』を愛読したものである(最近では佐藤優氏が大川周明の『米英東亜侵略史』を再評価している)。
大川周明の思想形成歴とその本質を田原氏はほぼ正確に捉えている。田原氏も言う様に大川周明は青年時代の思想的煩悶の中からキリスト教、マルクス主義への傾倒を経て最終的に日本へと回帰していった。

またよく大川は右翼といわれるが、資本主義の徹底的な批判者であり、それゆえに国家改造運動を理論的思想的に指導し、また外に向かってはインドの植民地史の研究から西欧帝国主義に対抗してアジアの解放を唱導するいわば大東亜戦争のイデオロ−グとして重きをなした。東京裁判において勝者である米英側がもっとも警戒したのが大川周明であったという。

大川は精神に異常をきたしたとの理由で裁判から隔離されたが、その本当の理由として田原氏は一つが大川の正当にして論理的な米英東亜侵略批判を米英側も反論が出来なかったこと。もう一つが大川の国体論にあるとみる。すなわち、大川周明の国体観は日本は君臣一体の国柄にあると捉えており、大東亜戦争もまた天皇と民族が一体となって遂行した戦争であり、これは天皇を戦犯訴追の対象から外したい連合国にとっても都合が悪かった、というわけである。確かにそういう見方も成り立つであろう。

大川の国体観は、万世一系を否定し、機関説的天皇論から「国民の天皇」を唱えた北一輝の国体論とは確かに全く異なる。田原氏は「大川の日本主義の中核は、『世界に比類なき皇統の連綿』、つまり万世一系の天皇ということになる。」と的確に表現している。

 この様に思想的にまた国体観において違いのある大川周明と北一輝であり、二人が行動をともにした時期は限られているが、田原氏は二人の関係を「大川と北はかたちのうえでは訣別したが、心は深く通じ合い、双方とも唯一の友であり、この国にとって余人を以て替え難い貴重な存在だと考え合っていた」と評しているが、けだし正論であろう。

 先にも述べたが、北一輝の国体論は万世一系の皇統を否定し、天皇の国民ではなく国民の天皇を主張し、大日本国憲法に真っ向から挑戦した。それゆえ最初の著作である『国体論と純正社会主義』は危険思想とみなされて、即刻発禁処分を受けたのである。
北によれば、日本の歴史はいわば乱臣賊子の歴史であり、天皇も時々の権力にたくみに利用されてきたとする。むしろ戦後の左翼的歴史観に似通った面がある。

北一輝はあくまで資本主義を憎み、社会主義を目指す社会主義者であるが、いわゆる左翼的社会主義と根本的に異なるのは、田原氏も述べているが、国家の役割とくにその帝国主義的側面を肯定的に捉え、社会主義のためには帝国主義を主張するとしていることである。北一輝が若き日に佐渡新聞で帝国主義肯定論を論じた文章を読んで、田原氏は「私は、この文章に出合って北一輝の凄まじい魅力に遭遇した、と強烈な感慨を覚えた」とまで言い切っている。

北一輝によれば主権は国家にあって、天皇と国民もその国家の一分子であるとした。
そこから北一輝は日本における社会主義革命は、天皇大権を発動することによって権力を掌握して断行すべき、だとの『日本改造法案大綱』の思想にゆきつく。また北一輝は支那革命では宋教仁を支持して大陸にわたる。しかしその支那革命の挫折が、再び北を日本へ向かわせ、大川周明の誘いもあって昭和維新運動に理論的指導者として関わらせることになる。北一輝の思想に感化されたのは西田税であり、磯部浅一や安藤輝三をはじめ二・二六事件を主導する青年将校たち、いわゆる皇道派であった。

 田原氏の本書の最後は二・二六事件における革命イデオロ−グである北一輝と革命実行者である青年将校たちとの相違点、くい違いと彼らが革命の原理と考えていた昭和天皇自身と青年将校の考え方の相克(竹山道雄がいうところのザインとしての天皇とゾルレンとしての天皇の違い、矛盾)を昭和史の悲劇として描く。
またここからは三島由紀夫の『英霊の聲』に代表される三島天皇論が生まれてくるのである。
そういう意味で私にとって田原氏の本書は面白い刺激的な本であった。
      (HT生、杉並区)


(宮崎正弘のコメント)へぇ。驚きですね。あの軽佻浮薄な左翼分子とおもってきた人がですか。時間をみつけて、いずれ読んでみたいものです。
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◎宮崎正弘のホームページ  http://miyazaki.xii.jp/
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(C)(有限会社)宮崎正弘事務所 2001−11 ◎転送自由。転載は出典明示。
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  1. (HT生 杉並区)様の書評には思わず唸ってしまいました。
    田原総一朗氏は一体、どういう風の吹き回しなのか。
    何はともあれ、私も『なぜ日本は「大東亜戦争」を戦ったのか』を
    読みたい衝動に駆られました。
    よし、必ず読むぞ!

     2011/6/3

  2. スッカラ韓率いる民主党政権のうまみが忘れられずなんでも有りのこの馬鹿連中早く仕分けをし追放すべきだが、我が国民平和ボケ、政治音痴でどうしようもない?
    我々は日本民族主義政権の樹立を急がねば。どうしようもないくにになる。
    以上

     2011/6/3

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宮崎 正弘

宮崎 正弘

http://www.nippon-nn.net/miyazaki/

国際情勢の裏情報を豊富なデータと人脈から解析してゆく。独特な方法と辛辣な批判精神によるニュースの裏側で織りなされている人間模様に興味を持つ。筆者の人生観と執筆を継続する動機の基軸は同じ。ホームページは http://miyazaki.xii.jp/

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