国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(書評特集)

2010/12/25


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)12月26日(日曜日)
       通巻3174号 <日曜版>
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   (本号は書評特集)
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  ◎書評 ブックレビュー しょひょう BOOKREVIEW 書評◎
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戴旭著 山岡雅貴訳『中国最大の敵 日本を攻撃せよ』徳間書店)
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 本書は、中国空軍の現役将校による挑発的な反日文書の翻訳。
なんとしても日本が悪者であり、敵であると規定している。そして中国は次の10〜20年以内に戦争が避けられないとし、仮想敵国として日本に対する警戒と対日攻撃戦略を述べた衝撃的な内容。
一説に中国で発売後30万部を超えるベストセラーとなって尖閣問題で中国側の反日意識を決定づけたとも言われる。
だが、パラノイア的な軍拡ひとすじ主義と杓子定規な日本軍国主義評をよむと、いささかアナクロニズムに満ちた、いや情報を途絶された穴蔵から世界を見ているという中国軍人の視野狭窄を随所に発見し、むしろそのことが衝撃である。

出版関係者によると「中国では外交問題にからむ反日的な書籍の出版は事実上、発行されて来なかった。ところが現役将校があからさまな戦争を前提に対日攻撃を訴える中味の書が堂々と現れた事態は、中国での政権内に変化が生じている証拠だ」という。
なにしろウィキリークによれば胡錦濤は江沢民ほど軍部を抑えていないと報告されているうえ、2012年に党総書記、翌2013年には国家主席となるらしい習近平の対日姿勢を予見する物騒な内容である。近未来の日中関係をよくよく考える必要がある。

とはいうものの、この本を通読した感想は「世界情報をしらない井の中の蛙の危険性」であり、たとえばウィキリークスが漏洩したような世界情勢の基礎知識さえない。いや、情報空間が閉鎖され反日の情報操作によって洗脳された世代らしく、基礎的な認識からして誤謬だらけであり、はじめに結論をいえば読むに耐えないシロモノ。そのうえ情報が古い。日本がF22を導入するなどと書いてあるが、米国はすでにF22の生産計画を取りやめている。
台湾問題でも中華思想の視野狭窄パラノイア軍人というのは次のような、まずしい表現しかできないようだ。
いわく。「アメリカは台湾という中国を抑制できる切り札を諦めない」
「蒋介石時代は武力抵抗をした上に、李登輝と陳水扁は台湾独立を大いに叫び、十数年も中国を攪乱してきた」
 「ファシズム化した台湾独立派がいるかぎり、中国の時限爆弾となり続けるだろう」
「日本は歴史上の悪い動物で、じっさいにはかたくなで愚か者であるが、すっと悪事を働くチャンスを窺いつつ軍事大国を目指している」
「日本は琉球併合を強行し沖縄と改名した」が「国際的な承認を得ていない」。
そして田中上奏分を本物と信じ込んでいるから、もはや始末に負えない。聞けば聞くほどに中国軍人のなかに存在する一種陰性なパラノイア、中華思想小児病患者だ。

 しかし他方、この軍人は対外情報で閉鎖空間からものごとを観察しているのに対して、こと国内情勢の認識となると俄然、正確なのである。おどろくほど現状を憂いている事実は次の表現からわかる。
 「中国の『肥えた国民』は、わずかな財産のために魂を腐らせ、享楽を貪り、意気消沈して弱気になり、至る所で享楽的に生活し、贅沢三昧をし、ソープランドで肉欲に溺れる。ローマ帝国末期より悪い状態だ。エリート階級は厭戦で、戦いに怯える気持ちが強い。政府と軍の執務ビルは、すべて高級ホテルに取り囲まれている。地方の貧しい村でさえ立派な庁舎を建てている。これこそが中国のガンだ」
「立派な現代産業はなく、ハイテクの領域で地位を占めることもできていない。宇宙産業がもっとも突出しているが、それもアメリカやロシアの五十年前の水準でしかない。幾つかの主な戦闘機のエンジンはみな外国製だ」
 「中国が所有する『核心産業』とは皆『空っぽ産業』だ」
「北京や上海のように、豊富な技術と産業を持つ実力のなる都市で、不動産業ばかりが発展しているのは、まったく奇妙なことだ」
ともかく驕慢傲慢な中華思想の行間から、果てしない腐敗堕落の中国の惨状が皮肉にも読み取れる意味で参考になる本である。


 
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楊中美『2013年 中国でクーデターが起こる』(ビジネス社)
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軍の強硬派はかつて熊光偕が代表し、反日の強がりと中華思想的な軍事論を展開したものだった。ついで「核の先制攻撃も辞さず」と豪語したのは朱成虎、そしていま軍の最強硬派は劉亜洲である、と筆者はいう。
著者の楊中美といえば天安門事件前後から日本で自由・民主・法治・人権を訴えて雑誌『民主中国』を主宰された。北京のいう改革なるものの欺瞞、偽善性を真っ向から批判してきた。
 以後、江沢民、胡耀邦、朱容基らの伝記に挑み、歴史的視座を広げてきた論客である。
 中国国内に信頼できる、数多くの情報アンテナを広げ、機密性の高い情報を独自に収拾して分析されるから、その迫力と迫真性に定評があり、ウィリー・ラム(秋田教養大学教授、元CNN香港支局)とともに内部事情に詳しいとされる。
 楊中美は、習近平は派閥均衡、八方美人型で各派のバランスを重視するため軍ににらみがきかなくなり『一触即発』の時代をむけることになろうから軍事クーデターの可能性が高まるだろう、とする。
 そんなまさか、と考えがちな読者諸兄! 過去三十年だけでも中国の政権は軍事クーデターか、それまがい、あるいは軍の行動に拠って政権がかわっている事実をここで思い出しておく必要がある。
 楊中美は指摘する。
「1966年、毛沢東が文化大革命を起こした際には、林彪(国防部長)の直系部隊が北京に進駐して劉少奇ら反対派の警護員の首をすげ替え、完全に武力で政局をコントロールした。
 1976年10月6日、葉剣英(軍の長老)を党中央8341警護部隊を率いる王東興は華国鋒を擁し、武装官邸クーデターで江青ら「四人組」を逮捕して政権を握った。
 1979年、トウ小平は中越戦争の発生乗じて軍を支配下に置いた。そして、80年6月の華国鋒の東欧訪問の際、警備員を交替させ、帰国後に華国鋒の行動の自由を奪った。最終的に80年末の中央工作会議で華国鋒を『自発的』辞職に追い込み、党の実力者となった。
 1989年6月の天安門事件では、学生の民主化運動をめぐって党内の上層部も、李鵬ら保守派と趙紫陽ら改革葉に分裂した。トウ小平は最終的に数十万人もの大群と戦車を動員して天安門の学生運動を鎮圧し、趙紫陽を解任した」。
 そう、まさしく軍が動けば、中国の政局は激動する。

 しかも政局の激変は三国志演義型でおこり主役たちは習近平、李克強にくわえ、王洋、李源潮、薄き来、王岐山の名前を列挙している。これぞライバル四人組というわけだ。
評者(宮崎)とちがって、楊氏は意想外に李源潮を高く評価しているが、かつて趙紫陽の後継と期待された田紀雲、胡啓立が地盤沈下して雛壇から消えてしまい、江沢民、朱容基時代がきたように、李源潮らは、よほどの権謀術策での巡らせない限り、つぎは浮かぶまい。

 なぜクーデターの可能性があるか。
 ジニ係数で中国は「中国社会科学院のデータでは0・485から0・5」だと筆者はいう。貧部の差の拡大と、退役軍人、警察の冷遇がストを呼び込み、反腐敗と政治改革を求める声が高まり、それらを軍は認識できているとする。
第一のシナリオは『キルギス型』で民衆蜂起に軍が動かない。
第二のシナリオは「タイ型」で体制維持のために軍事クーデターがおこり、それを民衆が支持するという。詳しくは本書で。
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 読者の声 DOKUSHA―NO―KOE ドクシャノコエ どくしゃのこえ
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(読者の声1)尖閣に上陸された仲間均 石垣市議会議員の真実の訴えをお聞き下さい!
これが実態です。
仲間均 石垣市議会議員 12月18日渋谷駅前デモ演説
http://www.youtube.com/watch?v=cdbiK7xJl3E
石垣市議会議員 仲間均 活動ブログ
http://nakamahitoshi.ti-da.net/
  (X生)


(宮崎正弘のコメント)日本の報道があまりに小さく、これでは知らない国民が多いと思いました。
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 ◎毎日一行◎ 「永田町の不動産屋」ははやく民主党のカラを破ってでよ!
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(読者の声2)学術研究誌『澪標』からのお知らせ。『澪標』平成22年号(通巻61号)が刊行されました。
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『澪標』通巻61号内容です。
巻頭言   桜林美佐「戦友の意志を継ぐこと」
連載・論文 桶谷秀昭「思想と思想者」―西田幾多郎と保田與重郎―
      田中英道「アドルノとフランクフルト学派批判」
      早瀬善彦「日本における外国人参政権問題」
      西尾幹二「三島由紀夫の死と私」
      岩田温 「日本語の哲学は可能か―長谷川三千子『日本語の哲学へ』を読む―」
 今回の巻頭言は、ジャーナリストの桜林美佐先生に執筆して頂きました。「戦友の意志を継いで」という言葉に込められた問題を哲学的に問いしたエッセイです。先生の、日本の先人たちを尊ぶ熱い思いは、読む人の感動を呼び起こします。
 新連載、田中英道先生のフランクフルト学派批判は、近年の日本の哲学会でもほとんど着目されてこなかった画期的試みです。フランクフルト学派の哲学といえば、非常に難解な内容で知られますが、彼らの態度が徹底した反ナチスでありながら、同様の全体主義であるソ連に対しては極めて甘かったという事実は広く知られていません。
 そして、その根源的な理由はあまり省みられてこなかったのが現実です。彼らの哲学の背後に潜む不気味な党派性、並びにアドルノらの親ソ人脈を最新の資料から解き明かしていく手法は手に汗握ります。
  連載第三回目を迎えました桶谷秀昭先生の「思想と思想者」。
今回は西田幾多郎と保田與重郎という、日本史上に輝く最高の哲学者と文藝評論家を取り上げています。「戦争協力」といった問題から、今なおネガティブな評価の絶えない2人ですが、桶谷先生はそういった近視眼的な見方を退け、「日本近代の超克といふ思想的使命」という観点から両者の思想へと迫っていきます。当代随一の哲学者と文藝評論家のみた、開国から戦争へと至る日本の歴史、姿とはどのようなものであったのか。桶谷秀昭先生の筆が冴えます。
 大好評を博した西尾先生の憂国忌講演録も最終回。すでに刊行済みの著書『三島由紀夫の死と私』(PHP研究所)をより思想的に深めた講演録であり、とりわけ今回は多くの斬新かつ鋭い視点が付け加えられています。是非ともご一読ください。
 早瀬善彦編集長の論文は、好評の外国人参政権研究シリーズ第三弾です。今回は日本の問題を取り上げています。
そもそもほんの30年前まで、わずか50万足らずの定住の在日外国人しか抱えていなかった日本で、なぜ外国人参政権という議論が巻き起こったのか? そして、今後の外国人参政権法案の行方は? 綿密なデータに基づいた鋭い分析をもとに、これらの問題を追っていきます。外国人参政権問題に関心のある方はとりわけ必読です。
 岩田温主幹の今回の論文は、先日発売された長谷川三千子先生の最新刊『日本語の哲学へ』(ちくま新書)の書評を軸にした内容です。「日本語をもって思索する哲学者よ、生まれいでよ」という言葉に凝縮されているとおり、哲学をする際の言語の重要性という問題は、実は日本ではあまり注目されてこなかった、それ自体が非常に哲学的なテーマです。多少難解で抽象的な内容ではありますが、われわれが何気なく使っている日本語というものの特殊性をあらためて見つめなおすよい機会になる重要な論考だと思われます。
 日本保守主義研究会学術研究誌『澪標』編集部
澪標は下記よりお申込み下さい
http://form1.fc2.com/form/id=502170


(宮崎正弘のコメント)さっそく拝読しました。なかなかの傑作が揃ったという心強い読書感です。



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(読者の声3)天皇陛下は日本民族にとって至高の公人でありそのお言葉は公表されたもの以外は無効です。したがって勝手にお言葉を作り、勝手に解釈し、宣伝するのはルール違反です。
天皇陛下の偽お言葉利用は、外国が日本国民をだますための対日工作の道具に使われ、すでに事例がいくつかあります。
大陸国家群の核攻撃の脅威が迫る今、日本の核自衛を妨害するために天皇陛下を利用するのは見え透いた敵謀略工作です。騙される馬鹿はいません。日本国民はこの手の「子供騙し」に注意しましょう。
  (東海子)


(宮崎正弘のコメント)「富田メモ」の味わいの悪さ、いまでもいやな感じです。
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(編集部より)小誌は年末年始、カレンダーの通り、29日―1月3日が休刊です。
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< 宮崎正弘の新刊予告 >
『オレ様国家 中国の常識』(来年1月18日発売決定、新潮社。定価1470円)
 (明年1月11日からアマゾンで予約開始。上製。224p。都内主要書店には15日に並びます)

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< 宮崎正弘の最新刊 >
『上海バブルは崩壊する』(清流出版、1680円)
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 (↑ アマゾンからも入手できます!)

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<宮崎正弘 vs 石平 対談シリーズ >
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『絶望の大国 中国の真実』(同じく石平氏との対談。ワック、933円)

  ♪
< 宮崎正弘のロングセラーズ >
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/
『中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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 ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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