国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(毒入り粉ミルク事件はどうなったか?)

2010/11/12


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)11月12日(金曜日)貳
         通巻3129号  
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 世界の常識は中国の非常識。社会活動家に「公共秩序騒乱罪」を適用
  ノーベル平和賞受賞者に「国家転覆扇動罪」を適用するくにですからね。
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 ソウルのG20を舞台に行われた米中首脳会談は予定を越えて1時間20分。殆どが人民元の切り上げ問題に終始した。
 オバマ大統領が、劉暁波の即時釈放を要求したか、どうかは定かではない。

 同日に中国国家統計局が発表した中国の消費者物価指数は同年前月比で4・4%の高騰。九月が3・6%だった。
この数字は猛烈なインフレが中国を襲っていることを示す。
金融引き締めは、預金準備率を17・5%にしても、とどまるところを知らない。庶民の鬱積が爆発しかけている。

 そして、椿事発生。
 毒入り粉ミルク事件は、毒餃子事件に前後して2008年に発生。およそ30万人が被害を被った。ようするに赤ん坊のミルクにデタラメな材料を混入させ、一部は諸外国のも輸出された。
 毒性粉ミルクを飲まされた乳児6人が死亡し、48人から結石がでた。メラミン入り粉ミルクは10万トンが市場に流通していた。古い原料を使っていたメーカーもあった。被害者の同盟がつくられると当局は弾圧に踏み切った。

 全ては価値判断があべこべである。
 天安門事件は「軍が学生に発砲した」と大声で訴えた市民は拘束され「社会秩序を乱した」と言われた。自由化を要求した劉暁波には「国家転覆扇動罪」が適用された。
 社会不満が暴動寸前になると「日本が悪い」といって「反日デモ」を半日だけやらせ、ガス抜きを図るが、甘粛省宝鶏のデモは「物価抑制」「馬英九歓迎」と、まったく日本への批判とは無縁のスローガンが現れ、慌ててデモの弾圧に踏み切る。

 さて粉ミルク事件。G20報道に隠れたが、大変な「椿事」というのは、被害補償を訴えてきた活動家が逮捕されたのだ。

 粉ミルク被害で家族組織を代表して政府に保証をもとめる活動に邁進してきた趙連海に北京裁判所は「公共秩序騒乱罪」を適用し、懲役二年六ヶ月を言い渡した。唖然とした市民は抗議の談話をだしている。

 この粉ミルク事件は、要するに偽ミルク。中国人おとくいのもの、なかには明治乳業の空き缶を利用した悪質な偽物売り逃げケースもあり、六人の赤ちゃんが死亡。あまりのことにメーカーの責任者三人が死刑判決、ひとりが無期懲役を言い渡されている。ノーベル平和賞の劉が十一年の懲役など、中国の司法の乱暴な遣り方に「ウォールストリート・ジャーナル」(11月10日付け)など欧米メディアは大きく報道している。

 一般的モラルばかりか、商業道徳さえない国とビジネスを展開している皆さん。そろそろ真剣に撤退を考えるべきではありませんか。
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(読者の声1)尖閣ビデオに関する質問です。自国のヤバイことを隠すために証拠を隠すというのは聞いたことがありますが、他国(それも自国を蝕む国)のヤバイことを隠すために証拠を隠すというのは、私は初めて見ました。
世界にそんな独立国があるのでしょうか?
海外のメディア(ジャーナル)はこの件に関して、どのように報じて(論じて)いるのでしょう? 私は語学が全然駄目なので(宮崎先生のメルマガ以外では)NHKのBS1のワールド・ニュース・アワーぐらいからしか情報が得られません。同番組では、この件に関するニュースが報じられません。NHKが意図的にカットしているのか?
それとも、そもそも海外のメディアがこの件を取り上げていないのか?
もし後者だとすればその訳は? 日本国政府のやっていることがあまりに愚かしく、取り上げる価値すらないと考えているからでしょうか?
それとも日本国政府の愚行を報じることは、自国民に教育上良くない、と考えているからでしょうか?
そのあたりについて論じていただけると、ありがたいです。
(T.T生)


(宮崎正弘のコメント)外国のメディアは千差万別。しかも世代交代があります。
 第一に諸外国、とくに亜細亜では、ジャーナリストへの尊敬、敬愛、信頼というのはありません。この点にご留意下さい。
 アジアではジャーナリストというのは「ぶんや」。給料も安く、社会的地位は低い。
 つまりカネでどうにでもなる記者がかなり多い。韓国、台湾もそうです。中国には所謂「ジャーナリスト」っていません。評論家は、まともな人はみんな、海外へ亡命しました。
 第二に悪質なぶんやは、たとえば炭鉱事故と聞けば、まっさきに飛んで行って、経営責任者に会います。狙いは「書かなくても良いんだが?」。つまりカネを巻き上げて、事故はなかったことにするのです。
 ですから我々が注意しているのはニュース源です。台湾で辛うじて信頼できるのは『自由時報』でしょう。同様に香港では『明報』と「サウスチャイナモーニングポスト」あたり、ほかのアジア諸国のメディア多くが華僑系。つまり大変が北京べったりです。
 日米欧のようにメディアが客観的報道と分析をすると考えると大間違いであり、しかも現地へ行くと新聞やテレビへの情報客観性について言えば、知識人は信頼していないということです。ま、日本でも朝日新聞やNHKへの信頼がゼロに近いように。



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(読者の声2)沖縄知事選挙に3人が立候補しました。
無所属の現職で公明党と自民党沖縄県連が推薦する、仲井真弘多氏(71)。▽無所属の新人で共産党、社民党、地域政党の沖縄社会大衆党が推薦する、前の宜野湾市長の伊波洋一氏(58)。▽幸福実現党の新人で元沖縄気象台職員の、金城竜郎氏(46)の3人です。
伊波が当選すると米軍基地が沖縄から無くなり下記のような中国の沖縄乗っ取り計画が益々過剰になってくることは間違い有りません!
  (沖縄o生)


(宮崎正弘のコメント)じつは仲井間知事の妹さんと、小生は大学の同級生です。当時、早稲田へ沖縄の人が「留学」するのはたいへんな時代でした。当時、早稲田大学の大浜総長が沖縄の人でした。大浜信泉の杉並の自宅へ新聞を配っていたのが、これまた小生の同級生(中学のときの)、で集金へ勝手口から伺うと、奥様が「あんたは学生、将来ある人、正面玄関へ回りなさい」とたしなめられ、爾後、正面から「集金です」と言っていた。
 昭和44年だったか、仙台で「領土問題」の集会を開催しました。講師に大浜先生をお願いした。飛行機で仙台までチケットはとれたのですが、帰りに切符が土壇場までとれず駅のキャンセル窓口に並んで、ようやく二等車がとれた。事情を話すと「きみたち、学生がやっていることだから」と気にもかけず、こういう教育者がいたのですね。ちなみに集会では「全千島、南樺太奪回」でしたが、自民党系の参列者が「これは国際的にまずい」と不満を言っても大浜先生はとりあわず「君ぃー、学生がやっているんだから、これぐらいの意気込みがなくちゃいけないんだヨ」と言ってたしなめられていました。小生は個人的にも思い入れがあるのは、こういう人が沖縄にいるのですよ。
 仲井間知事が左翼候補よりチトまし、というのは分かります。でも同時代を(妹さんと)早稲田で共有した世代の人間としてはイデオロギーを越え、理屈を抜きにして、この人にやって貰いたいと思います。



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(読者の声3)現在の政治状況、ハラワタが煮えくりかえっているのが普通の日本人かと思います。
尖閣ビデオを見た会社の掃除のおばちゃん、政府は日本人の生命よりも中国人の方が大事なのか? と怒り心頭。
そんな世論の変化に気づいたか、NHKも先日の日比谷・銀座のデモは一般ニュースの最後とはいえ報道し、日の丸もしっかり映っていました。広州アジア大会のニュース映像でも日の丸が掲揚されるシーンが出てくるなどNHK内部の良識派が頑張っているのかもしれません。
中国の顔色ばかりうかがう菅政権、先人の爪の垢でも飲ましてやりたい、と思っていたら下記のブログに今から80年前のアメリカ人の提言がありました(名越二荒之助「世界に生きる日本の心」、第三部 日本に留魂した外国人たち p.136(展転社、2004)から)。 
長くなりますが一部引用します。

フレデリック・スタール(寿多有)博士の言葉:日本外交への諫言
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/250192264ded727f5a40542beebdbea6

シカゴ大学教授(人類学専攻)のF.スタール(Frederick Starr)博士は、セントルイス学術研究団の一員として1904年に初来日(当時46歳)、アイヌ研究のためであった。以後15回日本を訪問して、滞在中は和服を着るほどの日本びいきになった。大正13年(1923)の「排日移民制限法」案の上程に際し、米国の国策を厳しく批判したので、米国における多数の友人を失ったと言う。

一方では、度々の日本訪問から米国のスパイではとの噂も立った。
昭和7年に15回目の日本再訪、病気のため翌年(1933年)8月14日、聖路加病院で逝去(享年75歳)。彼は、日本語名 寿多有=スタールを用いていた。 昭和5年(1930)10月19日、一時帰国するに際し、スタール博士は日本国民へのラジオ放送を行った。それは、満州事変の起こる1年前である。

(引用始め)「今を去る一千二百年前、奈良朝の文化燦然たる時代に於いて、ヨーロッパの何れの国がその優美と典雅の点に於いて、日本に匹敵する文明を持っていたか。日本は外国から借りてきた文化を直ちに消化して明確に日本化したのである。日本の文化はこのようにして数世紀の間維持せられて来たが、近来西洋との接触に伴い、日本文化は根底から動揺を来たし破壊せらるるに至った。外国との接触によってある程度の変化を来たすことは当然である。然しながら日本の近来の外国文化の輸入はいかにも盲目的であることは、日本のために遺憾千万である。日本人は遥かに欧米の文化よりも優れたる日本文化を棄て、三文の価値のないものを輸入して喜んでいるのは意外である。日本は幾多の保存すべき美点を有しているにも拘わらず、これらを破棄してしまったことは嘆かわしい。
(中略)
日本のある評論家は日本は採用し、修正し、熟達すると称している故に、日本のモットーは、adopt(採用し)、adapt(修正し)、adept(熟する)であると称している。それは巧妙なる言辞であってある程度の真理があるかも知れぬ。しかし私が不満に感ぜずにいられないことは、日本は自国の文化の長所を容易に廃棄し、さらには外国の文化を取捨選択することを忘れて、猥りに玉石混淆外国の風俗習慣を輸入するということである。

更に現今の急激なる変化に際して、最も心配の要素は、日本はインスピレーションの源を只一国よりのみ取るということである。日本は西洋化しつつあると称している。然り、併しながら、日本の西洋化は米国化に偏しておって、欧米各国の長所を採用して円満に発達したものに非ずして、むしろ米国化である。例えば、日本人の服装にせよ、習慣にせよ、建築にせよ、思想にせよ、スポーツにせよ、すべて米国から余りにも感化を受け過ぎている。

明治維新後、日本は急激に西洋化した。しかしその当時は、畏くも明治大帝の五箇条の御誓文の聖旨に従い、広く知識を世界に求めんとして世界各国から優秀の教育家及び師範を招聘した。英国よりは英国の美点を学び、フランスよりはフランスの長所を学び、米国よりは米国の特長を学んだ。この政策は今日に於いても、応用せらるべきものではないか。(中略)

日本の青年男子は日露戦争当時の如き剛毅勇武の風を失い、柔弱に流れている。更に特に目立つことは日本婦人が彼等の賞賛すべき美徳を棄てて、西洋婦人の悪風に染みつつあることである。日本婦人はそのもてる典雅にして謙譲の美風を忘れて、その態度が粗暴に流れ、粗野な洋服をして最も下等の米国婦人の如き態度をして、得々然として大道を横行闊歩しつつあるを見て痛嘆の至りにたえない。真に日本を愛する者は、心を痛められずしてこの不自然の光景を観ることはできない。
何となれば今日の日本文明は、勇敢なる日本男子の愛国的精神に因れると共に、また謙譲にして献身犠牲の精神に富める日本女性の努力に基因せるものであるからである。

「日本は外交で譲歩するなかれ」
日本は1895年の日清戦争以来、常に外国の圧迫に対して譲歩に譲歩を重ねて来た。日本は他国の要求及び意志に従わんとして常に国家の重大事に関して譲歩したのである。私は日本の譲歩の動機は国際協調及び国際親善のために寛大なる態度に出でたのであろうと信ずる。然しながらかかる政策が繰り返されたならば、外国はこれを目して日本は国際親善の目的に非ずして、むしろ自己の行為または判断の不当を容認せるか、然らざれば卑怯に起因せるものなりと誤解し、その結果日本を軽蔑するようになって来るのである。斯様に推移して行くならば、日本は将来必ずや国権を主張せねばならぬ機が到来するであろう。しかしながらその時は日本の主張が有効となるにはあまりに遅過ぎるのは遺憾である。要するに日本の諺に「後悔先に立たず」という名言がある。

今これを例証せんとせば、米国の排日移民法通過の際の日本の態度の如きはその適例である。日本政府当局者は何故に日本国民の名誉のために、且つ正義人道のために、正々堂々と日本の正当の主張をなさなかったか。米国との親善を希望して米国に遠慮し、最後まで日本の主張を率直に米国民に披瀝しなかった故に、反って不幸なる結果を招来したのである。日本はワシントン会議に於いて日本の国防上多大なる犠牲を払って大譲歩を為した。国際関係に於いては国家と国家との間は対等であらねばならぬ。然るに日本は何故にワシントン会議に於いて、自ら進んで世界列国環視の前で、巨艦に於いて対英米六割の比率を承認して自国の劣等なることを制定する条約に調印したのであるか。
而して今回のロンドン会議は決して国民負担の軽減をなさずして米国に関する範囲に於いてはむしろ大なる軍備拡張である。

もし将来、戦争がないから軍備縮小をするというならば、何故に英米両国が率先して軍備撤廃を主張しなかったか。何故に日本は国防上必須の兵力要求を貫徹しなかったか。

日本の政治家は言う、この条約は1936年までの暫定的のものであるから憂うるに足らずと。
しかしながら米国海軍はこの条約によって米国が多年要望して果たさざりし均整艦隊を初めて完成することができたことを密かに喜んでいる。
補助艦艇の現有勢力に於いて日本海軍が遥かに米国より優勢なる今日、なお日本の国防上必要条件とする対米七割を獲得することができなかったとすれば、欧米人の既得権尊重の心理状態を知らざるも甚だしいものであると称すべきである。現に本年五月米国上院海軍委員会、ロンドン条約審査会に於いて、1936年に日本が対米七割を要求せば如何との問いに対して、合衆国海軍当局の大官が次の如く言明している。「もし1936年の会議に於いて日本が対米七割を要求した場合には、米国は会議から脱退するのみである。如何となれば海軍に於いては現有勢力以外に頼るべき何物もない。その時には米国は日本の古ぼけた大巡洋艦に対して、精鋭なる最新式大巡洋艦十八隻を有しているからである」と。
かくの如く日本は外交折衝の際、日本帝国の存亡に関する重大問題に関して外国に譲歩を重ねている。日本の将来を憂うる私はかかる場合に於いて傍観座視沈黙を守っていることは極めて困難である。
(むすび)
親愛なる日本国民諸君、今や日本を去るに臨んで諸君に希望する。諸君は光輝ある日本帝国の伝統に忠実にして、日本国民の美徳を涵養せられ、日本文明の精華を発揮すると共に、米国及び世界各国の長所美点を採用し、以って日本をして東亜に於いてのみならず、太平洋時代に於ける真の世界的リーダーたらしむべく努力せられんことを切望して止まない。」
(引用終わり)

80年前にこれほど日本を理解していたアメリカ人がいたのは驚きです。
日本が譲歩することは自己の行為・判断の不当を容認、あるいは卑怯によるものと誤解し、その結果日本を軽蔑するようになって来る、というのは日米・日中・日韓の関係を見れば明らか、引けば引くほど侮られる。
譲歩に譲歩を重ね、それでも無理難題を言う相手に堪忍袋の緒が切れる、というのは日本人にはわかっても外国人には通用しませんね。関西人なら中国人と似た気質を持っていますから適当にはぐらかしながらうまくまとめられるかもしれませんが。民主党政権は、日本国憲法前文の 「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」 などという、たわごとを信じているとは思えません。むしろ朝鮮高校の授業料無償化、外国人参政権問題など憲法を隠れ蓑に絶賛売国中ですね。
(PB生)


(宮崎正弘のコメント)そうなんです。譲歩は中国人の感性では「悪徳」。日本人の善意からでる譲歩を理解できないのです。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 479回】                    
      ――体だけ鍛えてもねえ・・・
        『冷水浴 空気浴 日光浴』(人民体育出版社 1977年)
  

  ▽
 「紅旗靡き、歌声高く、千軍万馬は冬の大河を渡る。東風に乗り、激浪を迎え、波と戦い闘志は昂まる。水の冷たさなんのその、胸に抱くは耀く朝日、寒流恐れぬ熱き血潮、光輝に満ちた若さの光芒。前進、前進、また前進、毛主席が拓いた耀く航路(みち)を勇進すれば、我らを阻むものは無し。
毛主席が拓いた耀く航路(みち)を勇進すれば、我らを阻むものは無し。勝利は我らの前方に」というのは、この本の裏表紙に置かれた「冬泳之歌」の1番の歌詞だ。おそらく当時、“革命的人民”の多くがこの歌を大声で唱いながら、寒中水泳を強いられたことだろう。震える体に紫色の唇・・・おお、サブッ。

 「体育鍛錬方法叢書」の一巻として編まれたこの本の「前言」によれば、「空気と日光と水は無尽蔵の天然資源である。
人々は長期に亘る自然界との闘争の過程で、この3種の自然物質を利用して身体を練磨し体質を強化し、それを『冷水浴 空気浴 日光浴』とも、『自然力鍛錬』とも呼んできた。この3種の鍛錬は特殊の場所や器材を使うことなく、空気、日光、水に関する一般的知識さえあれば鍛錬の要領と方法をマスターできる。よって簡便このうえなし」。

「長年に亘る諄々たる教導に加え、長江で悠然と泳ぎを愉しみ冬の邕江を泳ぐという毛主席の偉大なる実践に鼓舞されて、広範なる労働者・兵士・農民大衆は革命のために体育鍛錬を進め、また多くの人民が長期に亘って冷水浴、空気浴、日光浴を励行し、心身を鍛錬し、健康を増進させ」てきた。

それというのも、「社会主義の革命と建設に積極的に貢献するためには、たとえば厳寒に渡河し、敵を殺して勝利し祖国防衛に努め、燃え滾る溶鉱炉を前に炎熱を恐れず生産任務を完遂し、祖国を建設しうるような頑健で暑さ寒さを恐れない健全な肉体を、我われは必要とするからだ」そうだ。

以上の観点に立って、この本は冷水浴、空気浴、日光浴に加え、熱水浴、海水浴、泉水浴、熱冷浴など各種水浴の方法、効能、注意点などを詳細に解説している。

たとえば全身の神経系統だけでなく、呼吸器官や消化器官の功能を高める冷水浴に関しては、「神経系統は人体の一切を司る司令部であり、常に冷水で身体を刺激することで条件反射機能を活性化することが可能であり、外部から寒冷という刺激を受けることで大脳は昂揚し、直ちに全身の各器官を統御する。各神経系統は熱を発散するなどの活動を活発化することで体の抵抗力を高め、全身のすみずみまで鍛錬され頑健さを加える」とのことだ。

冷水浴を実行するに当たっては、水温が低ければ低いほど冷水と接触する皮膚面積は広くなり、実施時間が長いほど強烈な反応がえられる。冷水浴には顔面浴、足浴、摩擦浴、沐浴、侵浴、天然水浴、寒中水泳などの種類があるそうだ。

まあ、どれをとっても寒そうだが厳寒での水泳には「強靭な意志がないと水に入れない。偉大なる毛主席は『決心さえすれば断じて冷たくない。決意を固めなかったら20数度でも冷たいのだ』と指摘しておられるが、水に入ることを思想的にいえば闘争でもあるわけだ。水に入ってじっとして短い呼吸を繰り返すことで、大きな決心と勇気が湧いてくる」とのことだが・・・。

かくして全人民が挙って身体を鍛錬することで、「革命を掴み、生産を高め、工作を促し、戦争に備える」ために多大な貢献がなせるって・・・そんなわけないよ、ネッ。
《QED》
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(福岡の読者のみなさんへ)明日(13日)午前7時20分頃から十分ほど、宮崎正弘が生出演します。RKB毎日放送ラジオ。番組は「安藤豊 どんどこサタデー」。
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  • 井上信一2010/11/22

    毒入り粉ミルクの件でっ中国政府を非難していますが、そしてその非難は全く正当なものではあることに私も同意しますが、



    ある意味では仕方のない事ではないかと思います。



     日本でも40年ほど前に、AF2 商品名トフロン と言う食品防腐剤のものすごい危険性を発表した郡司篤孝と言う人が 虚偽の事実を流布したと言う事で逮捕され、刑事裁判をされた事がありました。



     裁判中にAF2の超強力な催奇形性・がん発生の危険性が国によっても確認された事で、幸いに無罪判決が得られましたが、この事実は、毒入り粉ミルク事件国と全く同じ事を「民主主義国家である」ニッポンもやっていたわけです。過去のことは知らないよ、何が何でも中国は悪い国だ、と言われればそれまですが。



     過去に日本で起きた同様な事件を考えれば、水俣病・阿賀野川水銀中毒事件・イタイイタイ病・スモン薬害とか、本州製紙江戸川工場の排水垂れ流し事件などを初めとして、悪徳企業の悪行を告発する正しい言動をが政府権力により弾圧された数多くの事例が過去の日本にも存在しました。そういう意味でニポンも中国と全く同じか、それよりも悪質な国家だ(であった)と言えるでしょう。(ついでにいえば、このAF2の大量摂取(当時の国民一人当たり1g)によりそれ以後のがん患者の増大が生じた、と言う学者も居るそうです。全国民が広島型原爆を被爆したと言えるほどだそうです。)



     なぜなら、中国では大きな汚職や脱税・職権乱用などをしたりすると、最悪死刑にして悪事を償わせていますが、日本では公人の犯した殆どの悪事は無罪放免、いやそれどころか焼け太りのようになっているのが常態だからであります。