国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(知道中国、三本一挙掲載)

2010/11/06

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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)11月7日(日曜日)
       通巻3122号 <日曜版>
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(編集部より)機械故障のため、2日午前中より小誌が発行できませんでした。ようやく再開します。
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(日曜版につきニュース解説はありません)

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(読者の声1)親中的だった米民主党も対中観が代わった。それも、激変した。
まず人民元、ついで南シナ海、三番目にレア・アースです。在沖米軍の新司令官の任務は明らかです。対中国海軍との海戦シュミレーション。海自も入る。つまり、シナ海軍が接近すれば、集団自衛権は実行される。
皮肉だけども、あの漁船事件は歴史を変える出来事だった。
安倍さんは外務大臣に適格のお人。日本を戦後レジームから開放するには、同盟国USと対話を続けて、米議会の賛意を得ること。それが最初の作業です。
これ意外に難しくないのです。アメリカは「宗教国家」だから、スピリットを歓迎する。安倍晋三氏の訪台は大きな価値がある。ヒラリーは(現職だから台湾へ)行けないからですね。ベトナムで会議したのも大きな価値がある。つまり南シナ海の周辺国、台湾、日本で、悪魔の帝国・シナは包囲される。簡単明瞭ですよね。
宮崎先生を、近未来にやってくる政権交代のときに、中国ウォッチャーの特別アドバイザーに推薦する。先生は口調と反対に冷静な性格だからね。お世辞じゃないです。お国に奉仕してください。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)小生が公職につくことはありませんよ。浪人や無法者はエスタブリシュメントから歓迎されませんからね。政府の審議会も一度も。そもそも政治の現場には関与したくありません。批評というのは、世俗から離れて、初めて成立すると思います。



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(読者の声2)貴誌11月1日通巻3121号、「海洋国」様の<三笠書房刊行の「知的生き方文庫」シリーズで「世界の歴史がわかる本」綿引弘著【帝国主義時代〜現代】…
…どうにも日本国とシナ間における視点、スタンスが公平と考え辛いのですが、この綿引弘氏はどういう方なのでしょうか。>
について。
綿引弘:東京教育大学文学部西洋史学科出身。卒業年度は詳らかにしませんが、1958〜60年頃だと思います。学生時代はご多分に漏れず左翼、多分共産党員だったでしょう。
半世紀以上前の微かな記憶です。
(東埼玉人)


(編集部より)ほかにも綿引に関しては左翼の指摘が多数ありました。




(宮崎正弘のコメント)貴誌速報にあった台湾訪問の安倍元首相ですが、10月31日の全日空機の一番着で訪台、鼎泰豊で昼食でした。
午後、忠烈祠に行き、その後、李登輝さんと約1時間会談(95%は李さんが話す=秘書の話)、総統府で馬英九と会談、そのまま総統府内で晩餐会、さらに晶華飯店で許世楷、民進党幹事長(呉乃仁)と懇談、11月1日は蔡英文と朝食会、王金平と会談、外交部の羽田ー松山就航記念レセプションに出席、外交部長と昼食会、花博覧会視察(試験オープン中=馬英九の推薦で急遽日程に)、帰国という日程です。
 安倍首相と馬英九との会談はおおむね報道の通りです。尖閣はお互いに主張しただけで、最後は「理性的平和的に解決しよう」で一致、いわばお互いに意見を言ったというだけです。こちらの新聞は、忠烈祠で献花を大きく伝え、「22年来初めて」(聨合報)など好意的で、忠烈祠には恵州起義の山田良政も祀られていることを伝えていました。
   (KS生、台北)


(宮崎正弘のコメント)旧弘前藩士、孫文革命の先駆けとして恵州に散った山田烈士は、孫文が追悼を寄せた石碑が弘前にありますが、台北の忠烈祠にも祭られているんですね。



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(読者の声4)タイと中国を結ぶ鉄道建設の話題がありましたが、中国はタイでも反日工作を着々と進めているようです。
下記のブログに、タイで反日ドラマが始まったとあります。
http://politiceconomy.blog28.fc2.com/blog-entry-796.html

(引用始め)「今夕現地時間19時からからローカルテレビの3番チャンネルで日本人英霊を侮辱する連続ドラマの放映が始まったのです。まだ今後の展開は不明ですが、初回では以下のようなひどい内容でした。
大東亜戦争時にタイに駐留した日本兵が悪役です。
主人公は妊娠中の妻を日本兵に強姦・殺害されたタイ人男性です。冒頭は、捕虜であるアメリカ兵を残酷に撃ち殺す日本兵に対しヒーローのように踊りでた主人公が次々悪役日本兵を撃ち殺すというものでした。また日本軍へのスタンスは、タイを占領し屈辱的であると出演タイ人に語らせています」
(引用終り)

タイではタクシン時代から中国傾斜がとくに強くなったように感じますが、先月末からはタイと中国の海軍による合同演習も行われています。高架鉄道BTSの延伸に伴う車両の増備でも中国製の車両を輸入済み。元駐タイ大使の岡崎久彦氏によると、かつてタイ側から海上自衛隊との合同演習の申し入れがあったのに日本側が断ったのだとか。
タイではほぼ十年ごとに映画化・ドラマ化される小説『クーカム(メナムの残照)』(バンコクの紀伊國屋書店では平積み、日本では入手不可)の影響もあり、日本軍人といえば責任感の強い人物との定評がありますからなんとももったいない話です。
「クーカム」では英軍と結んだ抗日運動なども背景にでてきますが、反日というよりも悲恋物語ですね。主人公のアンスマリンは日本軍人の小堀大尉に惹かれながらも、タイに進駐している日本軍への反発から、かたくなに小堀を撥ねつける。物語終盤、コボリが英軍の空襲で死ぬのですが、テレビ局にはコボリを死なせないで! といった電話が殺到したとか。この映画・ドラマの恩恵を受けている日本人は多いと思いますが、うがった見方を
すると次のようになるようです。
http://kuruzou.zero-yen.com/sunset.htm

(引用始め)
「コボリはそっくりそのまま「日本政府」、「日本企業」、ついでに言うと黄昏のタニ
ヤ通りをブラブラしている日本人のオッサンである。実力はあるが、救いがたいお人好
し。コボリの人物像は、さんざんタイ人に裏切られ、馬鹿にされ、好き放題にあしらわ
れているくせに、あくまでも誠意を貫き、文化背景の異なる相手にも、いつか自分と同
質の真心を萌芽してもらえるよう希うマゾヒストの日本人の典型だ。
 方や、アンスマリンは「タイ政府」の化身であり、「日本企業とジョイントベンチャーするタイ企業」であり、タニヤの姐ちゃんそのものだ。じつに油断がならない。気まぐれ、放縦、我が侭を乱発した挙句、いざ死んでしまうとなると「死なないで、コボリ〜」などと、如何にもしおらしく訴える。好景気の時は労働争議の旗を振り回しておきながら、業績不振で撤退することが決まると手のひらを返したように日本企業に縋りつくパタヤ街道の労働組合そのものだ。劇中最も香ばしいキャラと言うべき、ルアンも誤魔化しようがないくらい、典型的タイ人である。面従腹背、そして鮮やかな裏切り。
(引用終り)

上記の文章のタイを韓国や中国に置き換えても全く違和感がありません。
英仏の植民地の狭間でかろうじて独立を保ったタイではこの程度の処世術は当たり前、ましてや中国では招待しておいてぶん殴る。どちらがマシかといえばタイですが、政財界のほとんどが華人系のタイでは中国の影響力がますます強まりそうです。
   (PB生)


(宮崎正弘のコメント)11月2日付けのヘラルドトリビューン紙にもタイの記事がありました。



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(読者の声5)農業をやっている友人からの呼びかけです。
 現在の日本農業のままでは問題は解決しない。然り。されど菅亡国内閣の経済界への迎合的拙速には「時期尚早」の声を上げる必要ありと思います。数通のファックス、電話から行う食糧安全保障運動、ご協力を。
 (以下転送)
日本人の生存=食糧自給の基礎を崩壊させるTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への拙速参加をやめさせよう!
<呼掛け>
日本農業と地域の経済・雇用に重大な打撃を与える環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加方針を10月9日、民主党売国政権は閣議決定するとの事です。もしTPPに日本が参加したならば米等主要農産物は100%自由化され、日本の農業が壊滅する可能性が高まります。この問題は、農業者、のみならず個人々が将来安心して生きていけるかを問われ、生存の基盤を脅かす大問題です。
TPPは「Trans−Pacific Partnership」の略。シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が06年に発効させた貿易・投資などを自由化する経済連携協定(EPA)で、農業分野を含め発効から原則10年以内に関税をほぼ100%撤廃します。現在、米国、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアの5カ国を加えた9カ国による新たなTPP締結に向け、交渉中で11年11月の合意を目指しています。

<情勢>
民主党の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関する検討プロジェクトチーム(PT、座長・山口壮政調筆頭副会長)は4日、政府への提言をまとめ、玄葉光一郎国家戦略担当相に提出した。米豪など9カ国が始めているTPP交渉について「情報収集のための協議を行い、参加・不参加を判断する」とし、事前協議の開始を容認した。明日5日には関係閣僚委員会でTPPへの対応を含めたEPA(経済連携協定)基本方針取りまとめが行われ、9日に方針が閣議決定される、13、14日 横浜でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議。菅直人首相が取り組み姿勢を説明する見通しです。
北海道、秋田等の農業関係者が反対を表明し、本日4日、民主党内や自民党内の慎重派も反対意見を表明しましたが、まだまだ国民全体としての声が小さいと思われます。

<危機的な日本の食糧安全保障>
日本国民の生活に不可欠な主要食糧で見ても、米は95%程度を自給していますが、野菜は80%を切り、小麦は20%、大豆は5%以下という状況です。
今までこの自給率は関税によって守られて来た面が強いのです(関税の例:米778%、砂糖325%、大麦256%、小麦252%、小麦粉249%)これを一気にゼロにした場合、国際的な市場メカニズムの勢に完全に呑み込まれ、日本農業を壊滅させるでしょう。
食料までも、外国に委ねてしまう売国政権の所業には恐怖すら禁じえません!
このTPPが成立し100%食を外国に委ねた時、今回のシナによるレアアース問題のように最悪他国に食糧を外交カードに使われる恐れがあり、生存の基礎=食を牛耳られている限り主権を蹂躙されてもNOと言えなくなります。極端な話、相手国から究極の判断を迫られたとき我が国は属国を成り下がらせる大変危険な条約です!
嘗て我が国が味わったABCD包囲網がどのようなものだったのか、エネルギー以上に生存の基盤である食糧そのものの供給を封鎖される恐ろしさを考えてみてください。
また貿易相手国の異常気象により生産能力が低下したときの対処も輸出国頼みになり直接生存の不安にさらされます。例えば、今オーストラリアの自給率は、180%と言われておりますが異常気象により自給率50%に激減した時に同じ値段で同じ物を売ってくれる保証があるでしょうか?アメリカにしても中国にしても然りです。
今、全世界は地球温暖化という、今まで人類が遭遇しなかった環境の危機的状況にあります。昨今の世界各国の異常気象を見てみると、凄まじいものが在ります、いつ何処で天変地異が起こっても不思議ではありません。
こんな不安定な時期に我が国の「食の防衛」を放棄する、今回の条約を成立させようと謂う現政権や経団連は「国民の生存の基盤を叩き売りする売国奴」としか言いようがありません!我が国は岐路にあります!もう猶予はありません!
TPPの危険性を感じられた全ての皆さん、今すぐ下記にファックス・電話で要請を行い、危険極まりない動きにストップをかけましょう!
二、三行のコメントでも構いません。国民の懸念と要請を野党と与党内の慎重派議員にどんどん送りましょう。

<例文>※以下はあくまでも例です。短くてもご自分の知識やコトバでお願いします。
・ TPPへの拙速参加反対!尖閣諸島問題でアメリカに恩を着せられ、その恩返しに我国の食の防衛まで売り渡してしまうのですか?あなた方の、政権を見ていると誰の為に政治をしているのか分かりません!
・ 生存の基盤=食糧を外国に売り渡すな!この国に生まれ育ち、我々庶民は、ただただ日々家族の安寧を願いながら慎ましやかに暮らしております。あなた方はアメリカや経団連の方が大事なのですか?お願いです、もっと私たちの日々安寧も考えてください。
・ 食糧安全保障を考慮せよ!我国の国民は産業界や政財界に暮らす人だけではありません、もっとしっかり世の中 を見渡し国民の安全、安心をきちんと理解してほしい!
・ 食糧輸入完全自由化阻止!こんな異常気象が懸念される時期に、我が国の「食の防衛」を放棄する、今回の協定への参加を成立させようと謂う事は、国民の生存の基盤を叩き売るとしか言いようがありません!
 
<要請先>
1.野党に要請をしましょう
自由民主党本部 電話03-3581-6211 ファクス03-5511-8855 重要!
http://www.jimin.jp/index.html
谷垣禎一(総裁)重要!http://smooth-shop.com/id/tanigaki/contents/code/inquiry?re=1280292970
石原伸晃(幹事長)電話03(3581)5111 内線50824/60824 ファックス 03(3593)7101 重要!
森山裕(反対議連代表)電話03-3508-7164(直通)  ファックス03-3508-3714  最重要! E-mail  g08204@shugiin.go.jp
 安倍晋三         電話03-3508-7172  ファックス03-3508-3602      
古屋圭司         電話03-3508-7440 ファックス03-3592-9040
衛藤晟一         電話3508-8233  ファックス03-3511-7728
佐藤正久         電話03-3581-3111(内線5507)ファックス03-5512-2507
西田昌司         電話03-6550-1110 ファックス03-3502-8897
山谷えり子        電話03-6550-1107 ファックス03-6551-1107
稲田朋美         電話03-3508-7035  ファックス03-3508-3835
 岩屋毅          電話03-3508-7510 ファックス03-3509-7610

 たちあがれ日本本部 電話03-3582-8111(代表)ファックス03-3582-8112
http://www.tachiagare.jp/
平沼赳夫(代表)電話03-3508-7310  ファックス03-3502-5084

2.与党内の保守系議員に同じ趣旨の要請を行いましょう
 <要請先>
※議員の電話・ファックス番号は基本的に国会議員会館(03-)のものです
民主党本部      電話3595-9988 ファックス3595-9961 重要
篠原孝(農林水産副大臣) 電話3508-7268  ファックス03-3508-3538  最重要
E-mail:g06958@shugiin.go.jp
野田 佳彦(財務相) 電話3508-7141 ファックス3508-3441 重要
神風 英男              電話3508-7027 ファックス3508-3827
大島  敦              電話3508-7093 ファックス3508-3380
小宮山泰子              電話3508-7184 ファックス3508-3614
松崎 哲久              電話3508-7434 ファックス3508-3914
野木  実              電話3508-7417 ファックス3508-3897
松原  仁              電話3508-7452 ファックス3580-7336 重要
長島 昭久              電話3508-7309 ファックス3508-3309
笠  浩史              電話3508-3420 ファックス3508-7120
田村 謙治              電話3508-7067 ファックス3508-3847
渡辺  周              電話3508-7077 ファックス3508-3767
松野 頼久              電話3508-7040 ファックス3508-8989
西岡 武夫              電話3508-8542 ファックス5512-2542
玄葉光一郎        電話3508-7252 ファックス3591-2635 重要
国民新党本部 電話03-5275-2671  ファックス03-5275-2675 
http://www.kokumin.or.jp/
自見庄三郎(郵政改革・金融担当相)電話03-6550-0901 ファックス03-6551-0901
                       (小田内陽太)



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(読者の声6)メドベージェフが国後を訪問しましたが、これはメディアが報じるように「日中、日米関係がごたごたしている間隙をぬって揺さ振りをかける」のが意図なのでしょうか。
私がふと思いついたのがJOGMECがつい最近イルクーツクあたりで採掘に成功した中東のそれを上回るとか言う日本が喉から手が出るほど欲しい極めて良質な石油を資源外交のカードとして使って揺さ振りをかけるのではないかと思ってしまいました。
私の薄い知識と拙速な見解で恐縮ですが、先生はどのようにお考えですか?
(ブッチャーの靴)


(宮崎正弘のコメント)それはこうだ、と言い切れない背景があると思います。この時点では日本人は中国に怒っている。ですから、このどさくさにメドはロシア国内向けの行為をとった、という計算が第一の理由と推測できますが。。。
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 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 474回】                  
      
――ここまでコケにされたら、ヴェトナムが激怒するのも無理なし       
 『中越両国人民牢不破的戦闘団結』(人民出版社 1971年)


 ▽
 天下公認の毛沢東の後継者であった林彪と夫人らが慌ただしく乗り込みモスクワを目指し飛び去った小型ジェット機がモンゴル領内に墜落したのが、1971年9月。

毛沢東暗殺に失敗しての逃避行(?)というのが北京の公式発表だが、権力闘争と謀略で明け暮れる北京の奥の院での話だけに、にわかには信じられそうにない。

その2ヶ月後の11月――おそらく北京の政権内部での動揺は激しかったはずにもかかわらず、「我が国人民の偉大な指導者であり中国共産党中央委員会主席の毛沢東同志は、11月22日、ヴェトナム労働党中央委員会政治局委員でヴェトナム民主共和国政府のファン・ヴァンドン同志と彼が率いるヴェトナム労働党とヴェトナム民主共和国政府代表団全員と会見し」、「会見は極めて友好的な雰囲気の中で行われ、・・・毛主席は前に進み出て(一行を)迎え、反米闘争の前線からやってきた兄弟であるヴェトナム人民の友好の使者に熱烈なる歓迎の意を表した」そうだ。

見事な演技。毛沢東はたいした役者です。アッパレ、です。
この本は、ヴェトナム代表団の中国滞在中に両国間で結ばれた共同声明、関連発言、中越両国で発行されている党機関紙に掲載された社説や関連記事を集めたものである。
 
共同声明では、「中国人民は、英雄的なヴェトナム人民がホー・チミン主席が遺した『米帝を駆逐し、傀儡政権を打倒せよ』と『我が国土に1人でも侵略者が踏みとどまっている限り、我々は戦いを継続しなければならない。その全てを追い出すのだ』との偉大な教えを固く守り、勝利に向かって前進し、米帝国主義者の侵略を徹底的に打ち破ると共に、南部の解放、北部の防衛、祖国の平和的な統一を実現することを深く信ずる」と表明する一方、「ヴェトナム側は、兄弟である中国人民が敬愛すべき毛沢東主席を頭とする光り輝く中国共産党の指導の下で光栄ある革命事業において極めて巨大な成果を成就したことを最高度に讃え」ている。
 
またヴェトナム党機関紙の社説(11月27日付け)は、「中国人民の我が国の党と政府代表団に対する熱情溢れる対応は、ホー・チミン主席の説いた『同志に兄弟を重ねる』関係の現われであり、毛主席が語る『ヴェトナム人民の堅固な後ろ盾』である7億中国人民の崇高な精神をものの見事に体現している」と、中国側の対応を絶賛している。 
 
ところが71年7月には、米国務長官のキッシンジャーは秘密裏に訪中し、ニクソン大統領訪中の段取りをつけていた。

ということは、ノー天気にもヴェトナムが「同志に兄弟を重ねる」関係やら「ヴェトナム人民の堅固な後ろ盾」やらと、歯の浮くようオ追従をしている頃には、米中両政府の実務者間ではニクソン訪中に向けての準備が着々と進んでいたはず。知らぬはハノイばかりなり、だった。
 
そしてヴェトナム訪中団帰国から3ヶ月後の72年2月、ハノイにとっては憎んでも憎みきれない不倶戴天の敵である米帝国主義の頭目のニクソン大統領が、大統領専用機で中国を訪問した。

タラップを颯爽と降り立つニクソン。満面の笑みで迎える周恩来。2人は固い握手を交わす。このシーンを見せつけられた「ファン・ヴァンドン同志」以下の「英雄的なヴェトナム人民」は臍を噛み、中国への怨念を滾らせたに違いない。
同情致します。
 米越両国を手玉に取って知らん顔・・・厚顔無恥・巧妙自在・身勝手至極。
《QED》

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【知道中国 475回】                            
    ――自己暗示、効果抜群、傍迷惑
『!)小平語録』(藍鉅雄編輯 次文化堂出版 1995年)


 ▽
 !)小平の有名な「白い猫でも黒い猫でも、ネズミを捕まえる猫がいい猫だ」を冒頭に配したこの本は、香港で出版されている。
編者の藍鉅雄については全く不明だが、彼は「前言」で、「中国の卓越したプロレタリア階級の革命家、政治家、軍事家、中国の改革開放と現代化建設の総設計師」であり、「現代中国の最も傑出した政治指導者」である!)小平の「1942年から92年の50年間に各時期に行った講話の精華を収録したもの。

読者の!)小平思想認識を大いに益することになるだろう」と記す。
「実用編」「改革編」「人生編」「真情編」「香港編」の5つの部分に分けられたこの本が果たして「読者の!)小平思想認識を大いに益する」かどうかは不明だが、ともかくも目についたものを拾い、時系列に沿って並べてみた。(カッコ内は発言された年月)

■情況が一新されれば誰もが気分が晴れ、みんなの心が昂揚すれば仕事は万事順調に進む。苦境に在れば仕事は滞りがち。だが、こういう時にこそ仕事に励み、細心の配慮をすべきものだ。(61年10月)

■いま我われが確信を失っていることが危険なのだ。だから困難に遭遇しても打開する方法を考え出せず、果断に動けない。認識が到らないから、対応の遅れを免れない。なんとか気づいたところで、やはり対応しない。このようにだらだら時間を過ごしていれば、ダメになることは明らかだ。(62年5月)

■真剣になれ、真面目に話せ、誠心誠意で仕事をしろ。これが実事求是だ。(77年7月)

 ■我われが断固として定めた原則は、肝っ玉を大きく歩みは着実に、である。肝っ玉を大きくとは迷うことなく真っ直ぐに進むことであり、歩みは着実にとは問題を見つけたら直ちに改めることだ。(85年4月)

■具体的に問題を処理する場合は細心であれ。必要な時に応じて経験を総括せよ。小さな誤りは避けられないが、大きな誤りを犯すことを避けなければならない。(87年4月)

■とどのつまり仲間にはリスクを恐れるな、肝っ玉をもっと大きくすべきだ、といいたい。前門の狼、後門の虎を恐れていたら、立ち行かなくなるのは必定だ。(88年5月)

■完全無欠の方針、一点一画の間違いのない完璧な方法などというものはあるわけがない。目の前に立ち塞がっているのは凡て新しい事物であり、遭遇したこともない問題だ。自らの創造力を頼りに経験を重ねるしかない。(88年5月)

■より大きなリスクが起こるという前提で対策を準備しておけば、どんなリスクも怖くはない。まさか、天が落ちてくることなんぞ起こりはしないんだから。(88年6月)

■誤りを発見したら、直ちに正せ。誤魔化すな。先送りするな。(89年3月)

■リスクを恐れるな。すでに我われにはリスクを引き受ける能力が備わっているではないか。(90年12月)
――これを素直に読めば、人生を横紙破りで生きてきた叩上げワンマン創業社長が語る“経営哲学”と見紛うばかり。

どうやら「現代中国の最も傑出した政治指導者」で「卓越したプロレタリア階級の革命家、政治家、軍事家」は、また優れた企業経営者ともいえそうだ。でなければ、社会主義市場経済体制なんて“奇手”を思いつける筈がない。
《QED》

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【知道中国 476回】                 
      ――超自己チューで“無原則という大原則”
     『邏輯語法修辞漫談』(《邏輯語法修辞漫談》編写組 上海教育出版社 1978年)


 ▽
 78年12月に開かれた共産党第十一期三中全会において、「英明なる領袖」だった筈の華国鋒は!)小平によって党の実権を事実上剥奪され、毛沢東時代は終焉を迎え、全国民に向かって「兎にも角にもネズミを捕まえる猫となれ」と叱咤激励する!)小平の時代へと、中国の路線は大転換をみせたわけだ。この本は華国鋒と!)小平の双方が鎬を削って権力闘争を展開していたであろう時期、いわば“毛沢東時代の黄昏”に出版されている。

 おそらく当時は物資が極端に不足していたのではなかろうか。というのも、文革時代の同種の本の多くに表面が滑らかな白い上質紙が使われていたのに対し、この本はザラ紙に近いからだ。紙質だけからいうなら、50年代半ばを思わせる。

 冒頭に掲げられた「いくつかの例から、なぜ邏輯(ロジック)、語法(文法)、修辞を学ばねばならないか」と題された文章には、「いうまでもなく邏輯、語法、修辞に関する問題は、思想内容と密接な関係にある。だから、この種の知識を的確に把握することは著作のためだけではなく、文章を推敲するためでもあるのだ。

文章を読む場合、こういった知識で文意を分析すれば、思想内容はより明確に理解できるのだ。もちろん反面教材を目にした時には誤りを見つけ、敵が弄ぼうとする詭弁を明らかにすることも出来るわけだ。
修正主義者は自分たちの黒貨(怪しげな品物)を売りつけようとし、とどのつまりは文字や言葉を飾って騙そうとする。時に悪意を包み隠し遠回しに語り、時に耳に心地良い言葉を羅列しながらウソをマコトと言い逃れようとする。

ヤツラの真の狙いを見定めるには、マルクス・レーニン主義と毛沢東思想の顕微鏡と望遠鏡に拠るべきである。ヤツラの変幻自在のワザを見破るには、時には邏輯、語法、修辞に関する知識を動員しなければならない」とある。以上が、この本を出版した趣旨ということになりそうだ。

 つまり時に口角泡を飛ばし、時に諄々と、時に居丈高に、時に一方的に自らの主張を訴える敵の言い分を「マルクス・レーニン主義と毛沢東思想の顕微鏡と望遠鏡」を使って見定め見破り、「邏輯、語法、修辞に関する知識を動員」して、そのウソを暴こうというのだ。

53例を挙げて「邏輯、語法、修辞に関する知識」を微細に微に解説しているが、たとえば「二十二 『フルシチョフより、よりフルシチョフだ』から名詞と副詞を語る」である。

「ソ連修正主義叛徒集団の頭目であるブレジネフはフルシチョフより、よりフルシチョフだ」と表現するが、フルシチョフは「誰でも知っているように、20年以上にわたってソ連共産党内に隠れていたブルジョワ階級の野心家、陰謀家だった。スターリン死後・・・反革命クーデターを敢行してソ連の党・政・軍の大権を詐取し、ソ連の面貌を変えてしまった。ブレジネフが政権に就きフルシチョフの衣鉢を継承し、国内ではファッショ独裁を行い、国際的には覇権を唱える。その野心は狂ったように止まるところを知らず、陰謀の毒はフルシチョフの比ではない」。

そこで「よりフルシチョフだ」という短い修辞ながら「より陰険で、より狡猾で、より反動的である様が生き生きと表現され、全体情況を的確に把握している」となる。

この例に倣えば、!)小平、江沢民、胡錦濤は「ブレジネフより、よりブレジネフ」、いや文革式邏輯では「劉少奇より、より劉少奇」。
ならば21世紀初頭の中華人民共和国は「アメリカ帝国主義よりソ連社会帝国主義より、より帝国主義的だ」と表現すべきだろう。
    《QED》

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