国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(ワシントンポストは中国の次期指導者をどうみたか)

2010/10/28


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)10月28日(木曜日)
       通巻3116号 
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 習近平は「保守的、官僚的ですべてに慎重な理由は」?
  ワシントンポストは次期指導者に辛辣な評価
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 ワシントンポストは10月24日付けで中国の次期指導者・習近平を「大胆な改革は出来ない」と辛辣に切り捨てていることが分かった。
 特権を享受し、私腹を肥やす風には見えないが、一時いわれたほど「ミスター清潔」とも言えないだろう、と。

 「1963年に父が失脚し、習近平自身は十代で七年間下放され、困窮した。だから彼の本能は生き延びることであり、したがって今後の彼の政治は、大胆ではなく、官僚臭の強い、保守的なモノになるだろう。(ヴィジョンのなさは)毛沢東、トウ小平どころか江沢民にも及ばない」。

 おりから温家宝首相の唱える「政治改革」は五中全会では議論にならず、人民日報は暗喩的に温の政治改革路線を批判している。
 温家宝首相が西側の「TIME」などの独占インタビューに応じて中国の民主化への長い道のりを語っていることも、党内左派、保守派からは敵意をもって迎えられているようだ。

 台湾の評価は「習は福建省省長時代に台湾企業の誘致に熱心であり、市場と資本のシステムを理解できている」として、これからも中台間のビジネス拡大には前向きだろうという財界人の声が大きくなっている。
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  @@@@@@@@@@@@@  読者の声  @@@@@@@@@@@@@@
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(読者の声1)習近平について、「中国のゴルバチョフ」などという観測がなされているようですが、その一方で、「太子党だが、文革で苦労した経験を持つ苦労人の庶民派」などという絵にかいたモチのような希望的観測もマスコミを通じて流れています。
ここで胡錦濤が登場した2002年を思い返してみると、当時、マスコミや研究者は胡錦濤を「民主派」として報じ、中には胡の時代に共産党の国民政党化が進むようなアホな観測までありました。
あれから8年。胡は民主派でもないし、共産党が国民政党化したわけでも、彼がそのために”尽力”したわけでもなく中華共産帝国の皇帝たらんと悪戦苦闘を重ねただけです。
宮崎さんが指摘されているように、彼らの背景には血で血を洗う権力闘争と猛烈な利権争いがあることを忘れるべきではないのです。北京の指導者に対し、如何なる意味でも”期待”を持つべきではないと強く思います。
(易原、愛知)


(宮崎正弘のコメント)しかし、日本のチャイナウォッチャーも千差万別で、井戸の中の蛙のような視野狭窄の議論をする人、中国がつねに正しいと思いこんでいる人、なんとなく中国に負い目を感じている学者らが、マスコミ主流でコメントしたりしており、日本における中国理解はまだまだ底の浅い、近視眼的で位負けしたものです。



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(読者の声2)今回の「尖閣諸島事件」に関しまして、小生は次のような感想を抱いておるのですが、あまり小生のような感想をマスコミ・メルマガなどでは目にしませんので、先生のご批評をお聞かせ願えれば幸甚です。
(1)中国漁船の不法行為は、むしろ我々は歓迎すべきではないのか? それはこの中国漁船の行為により、永年の平和ボケの日本人が目を覚まし、「防衛力増強」の必要性への認識が高まり、集団的自衛権発動の容認となり、次いで憲法改正への国民的合意形成に向う、と期待できるからです。
(2)また、目下の尖閣事件をきっかけにして起こっている中国内陸部における、一連のいわゆる「反日デモ」も、むしろ日本人は(大いに)容認すべきではないのか? それは、デモが次弟.に大規模になり、各地に飛火するようになれば、必然的に共産党中央政府との衝突となり、ひょっとすると「中国の民主化への進展」につながってゆくことも期待できないことではない、と思うからです。
小生は歳がいって(66歳)、次弟に「天邪鬼な見方」になってきているのか?とも自省いたしますが、どうしてもこの考え方が頭から離れません。先生はどう思われますか?
 (KI生、尼崎市)


(宮崎正弘のコメント)27日付けの「産経抄」がやや似たような趣旨でした。
 2005年反日暴動のおりに小生は『中国よ、反日有り難う』(清流出版)を上梓しております。まったく基礎的本質は同じです。
 今度も『WILL』に頼まれて、「ふたたび言う、中国よ、反日有り難う」と25枚書いたのですが、締め切り土壇場で新しい反日デモがおきて、違う原稿が入った模様、拙稿は次号おくりになったようですが(苦笑)。
 天の邪鬼ではなくて、普遍的な考え方ではありますまいか。
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 三島由紀夫の言葉
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「果たし得ない約束」 三島由紀夫
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私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。
 このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ユートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。
 それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである。
        (昭和四十五年七月七日「産経新聞」から抜粋)

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「果たしえていない約束」
                        宮崎正弘

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 遺書ともいえるこの三島由起夫の文章は最後の文節がとくに重要である。まさに予言的な内容のひとつひとつが現代日本の堕落と無国籍化を象徴的鋭角的に予告している。
 拙著三島三部作の筆頭のタイトルを『三島由紀夫「以後」ーー日本が日本でなくなる日』(並木書房)とつけたのも戦後の精神的混迷から立ち上がれない祖国への焦燥が心理的に作用したからだ。

 昭和四十五年七月の時点で、戦後二十五年も経って憲法改正が実現しないことを三島は慨嘆し、三島事件当日の檄文も憲法改正を訴えている。そして事件からも既に四十年を閲し、つまり占領基本法を「平和憲法」などと言って押しつけられてから六十五年を経ても改憲未だならず、政治の無力と荒廃に忸怩たる思いに囚われている読者は多いはずだ。むろん、私もその一人である。
 個人的にも「果たしえていない約束」がある。
 三島は最後に「命令書」を残しているが、そこには「三島はともあれ、森田の名誉を恢弘せよ」と明記されている。

 「楯の会」学生長として三島とともに割腹自決した森田必勝と私は学生運動時代の三年間寝食をともにし、同じ新聞配達の仲間でもあり、また北方領土恢復運動のため納沙布岬に行った経験もある。恵庭の自衛隊にも三島の推薦で体験入隊をしたり数多くの政治集会や勉強会を主催した関係で、私は事件直後に四日市の森田の実家に籠もって彼の日記を整理・抜粋し、学生運動家時代の論文を付け加えて遺稿集を緊急に編んだ(森田必勝『わが思想と行動』(日新報道、昭和四十六年)。

 この森田遺稿集は事件直後にひろく読まれた。全共闘の活動家らも読んだ。森田は高校時代から社会の矛盾と政治に目覚める一方で友人らと無銭旅行を試みたり、初恋もあり多感で奔放な青年だった。
 出版後、歳月の経過とともに新事実が次々と出てきた。このため畏友の直木賞作家・中村彰彦に図って森田の評伝を書いて貰った(『烈士と呼ばれる男 森田必勝の物語』文春文庫)。没後三十五年の節目には新しい解説を入れて遺稿集の復刻版もだした。

 それからも折に触れて森田のことを綴ってはきたものの、さて名誉が恢復されたのか、「果たしえていない約束」になっているのではないかと案ずる日々が続く。
 「日本が日本でなくなる日」を回避させるためにも三島・森田両烈士の精神を継承し、祖国の再建を考える機会にしようと追悼会を組織してきたが、一周忌から「憂国忌」の名を冠し、爾後四十周年を迎えた(ことしは11月25日午後五時、九段会館)。記念すべき節目でもあるので関係者と協議し過去の記録を資料とともに集大成した小冊も上梓した(三島由紀夫研究会編『憂国忌の四十年』、並木書房)。

 憂国忌は林房雄、保田與重郎、村松剛、黛敏郎ら数百人の作家、芸術家が支えた。
 日々の雑務に追われながらも何十回、いや何百回も二人の自決の意味を考えてきた。またたくまに四十年が経って当時の学生運動の仲間の多くが定年となり、よく集まると回想に耽ったりもするが、もう一人の烈士について最後に書いておきたい。

 それは三島由紀夫研究会の事務局長を務めた「重遠社」代表の三浦重周のことである。三浦は新潟に生まれ、北一輝の故郷にも近いせいか早くから政治に目覚め、新聞配達をしながら浪人生活。早稲田入学と同時に早大国防部、日本学生同盟にはせ参じ、三島森田精神の恢復と祖国の精神恢弘のために青春を擲って挺身した。しかし理想の実現には遙か遠く、五年前の憂国忌を終えるや、果たしえない約束を全うできなかった人生を新潟の岸壁で割腹自決して閉じた。
 私たちは直ちに「早雪忌」と銘打った追悼会を開催するとともに彼の論文を集めて、二冊の遺稿集を上梓した(三浦重周『白骨を秋霜に曝すを怖れず』、『国家の干城、民族の堡塁』、K&Kプレス)。三浦重周も文章にすぐれ、政治哲学の視点から日本の政治思想史を論じた多くの論文を書いていた。

 この四十年は河の小石を飛び越えるほどのしゅゆの時間でしかなかったが、評伝、精神分析、交友録など友人や編集者、作家らが発表し、数百もの三島論が読書界にあふれ出た。秋山駿がいったように三島は「死語も成長する作家」だが、少数の例外をのぞいて感動にうちふるえた評論はすくなかった。
 しかし三島・森田精神の恢弘のために奔走し、憂国忌の舞台裏を黙々と支えて散った三浦の遺稿集は、いつ紐解いても涙が迸り出てくるのである。
 「日本が日本でなくなる日」はあちこちに出現し、未来は漆黒の闇のように暗い。果たしえない約束を、しかし残された時間にどうやって実現できるか。 

 (この文章は雑誌『正論』11月に掲載されたものです)
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「川端康成と三島由紀夫展」は鎌倉文学館で12月まで開催
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昭和20年3月、川端康成は、20歳の三島由紀夫から最初の小説集『花ざかりの森』を贈られ礼状を認めます。
そして、終戦をはさんだ翌年の1月、三島は原稿を携え川端を訪ねました。川端はそれを読み雑誌「人間」に推薦、三島は本格的に文壇デビューします。そこから、三島が亡くなるまで24年にわたり二人は深く交流しました。本展では、二人の交流の軌跡を多彩な資料でご紹介します。
鎌倉文学館は鎌倉市長谷。下記にアクセス
http://www.kamakurabungaku.com/info/index.html
(月曜休館)
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三島由紀夫没後四十年 「憂国忌」は
 11月25日 午後五時(四時開場)
 九段会館大ホールです
 詳しくは発売中の「WILL」、11月1日発売の「正論」、19日発売の「撃論ムック」などの広告をご参照下さい。
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 ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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