国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(中国が変化球「尖閣領有権棚上げ」を打診)

2010/10/21


★あの「新宿騒乱」(10/21)から四十一年! 旧左翼はどこへ行った?
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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)10月21日(木曜日)貳
       通巻3108号  
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 尖閣「領有権」の棚上げを中国が打診。尖閣衝突、反日デモをまずいと総括したのか
  米国でわき上がる反中感情と日米同盟強化ムードに慌てる
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 11月、横浜で開催されるAPECにオバマ大統領が来日し、日米安保条約五十年を記念する「共同声明」が発表される見通しである。
胡錦濤が横でみているときに日中関係が冷却化するわけだ!

 つい先般まで普天間基地の移転問題で、日米は衝突し、鳩山ならびに菅直人政権への不信感と不安が増大して日米関係はささくれ立っていた。
 尖閣と反日デモで、すっかり空気が変わった。

 中国は「日米同盟に亀裂がはいるのは中国の国益、喜ばしい限り」と内心で計算していた。春から夏にかけて、会う人ごとにそう言っていた。
日本のトップが国家安全保障とか領土問題で、小学生ていどの認識しか持ち合わせず、東シナ海のガス田採掘でも「友愛の海」とか「共同開発」とかの寝言を言っている裡に、さっさと既成事実をつみあげていた。
 
 尖閣衝突、反日デモが、この構造を転換させた。
 反中感情が日本でわき出した。健全なナショナリズムが回復し、いままで政治に無関心だった女性の多くが安全保障に関心をもちはじめ、日米安保条約の対象に尖閣諸島がはいるとする米国の発言に安堵し、日米安保条約による同盟は、ますます強化される方向へ舵が切り替わったのだ。
 中国にとって、これは「想定外」のシナリオである。

 「尖閣衝突以後、日本には長期戦略確立への姿勢が顕著となり日米同盟は強化されるという新安保宣言が謳われるだろう」とリチャード・ブッシュ(ブルッキングス研究所アジアセンター主任)は言った。
「それまでは普天間をめぐって日米関係は“ダーク・スワン状況”(Dark Swan Situation)だったのだから」。
 「これからの日米関係は米中関係の補完関数」ともいわれた。


 ▲日米同盟の強化論がふたたび主流の論議に

 米国務省スポークスマンのマーク・トナーは「安保再改定が議論されている段階ではないが、新宣言により日米関係は、より強固な方向になるだろう」と見通しを述べた。
 
 日本では尖閣問題で「抗議決議」を国会がおこなうべきだとして自民党が動き、在野の防衛論は沖縄に自衛隊をとする提唱から、尖閣に護衛艦派遣、陸上自衛隊常駐、石垣に航空自衛隊常駐論に発展、また菅政権としても「思いやり予算」増額を認める方向。

 「日本は国益に照らして日米関係強化の道を歩むだろうが、かといって日中関係の悪化をのぞまず、とくに経済関係はさらに発展させる方向に進むだろう。日本は経済の停滞と高齢化社会により再びGDP大国になる可能性は薄く、一方的な日米中関係構造の変更をのぞんではいまい」(ケン・リーベンタール「ブルッキングス中国研究センター」主任)。

 オバマ政権は中間選挙に敗北色濃く、いまの米国は「アンチ中国」で覆い尽くされ、テレビ・コマーシャルは「失業増はチャイナ(が原因)」「不況はチャイナ(が原因)」というスポットがどの局にも流れている。

人民元切り上げをのまない中国にもあきれかえって、微温的対中政策をすすめるオバマ政権は苦境に立っている。
 米国でわき上がった反中感情と日米同盟強化ムードに中国はすっかり慌てた。

 こうみてくると、中国は突如態度を軟化させ、「尖閣棚上げ」を言い出したことにも納得がいく。
 尖閣の「領有権」議論だけを棚上げしようとするのは常套手段で、日本を油断させるのが目的だが、ノーベル平和賞をめぐって世界に孤立した中国側から打診してきたのも、よほど尖閣衝突と反日デモがまずい結果を産んだと総括したのかもしれない。
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  @@@@@@@@@@@@@  読者の声  @@@@@@@@@@@@@@
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(読者の声1)過日、桜チャンネルの番組で(宮崎さんも出演されていましが)、水島総さんが、外国資本が日本のテレビの株式を20%買い占め、さらに日本人名義で6%から7%ほど上積みし、これで日本のマスコミは外国から文句をいわれないように自粛した報道姿勢を強める云々と怖い話をされていました。金でマスコミを操作しようなどという某国は、まことに大胆不敵ですね。
  (JI生、山梨)


(宮崎正弘のコメント)日本の法律はマスコミの株主は上限20%まで外国人に認めています。20%以上を取得することは出来ないので、日本人名義で買い増しをしている。だが、それは当該メディアへの発言力強化が目的とだけ考えるのは短絡的で、脅威をあたえて高価買い戻し(グリーンメール)かもしれない。
 いや、そんな必要もなく、金がきていようがいまいが、中国派の奥歯にもののはさまったような批判しかしないじゃありませんか! 多くの日本のマスコミは自粛どころか自主的に媚中派になりさがっています。



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(読者の声2)メルマガやブログが氾濫する中で、中国の反日デモが「やらせ」と最初から断言していたのは宮崎正弘さんだけだったように思います。ところがテレビにでてくる評論家とか専門家なる人らは「やらせである筈がない」「大学生の自主的行動だ」「ネチズンに国家権力が後追いしている」などと解説していて、「ん?」と思うのですが。先生とまるで正反対の解説してまっせ。
   (UI生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)中国では大学の構内に交番があり(マンモス大学に限りますが)、パトカーが常駐しています。それが中国の大学キャンパスの実相です。
「自治会」なるものは共産党に覚えめでたきを得たいごますり学生のたまり場。自主的に反日?ですか。
 言論出版集会結社の自由が許されない国で?

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  書評紹介のページ
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(下の書評は『国民新聞』(10月25日号)からの転載です。

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 旅行記より「中国新幹線殺人事件」を次に書いてください
   宮崎正弘『上海バブルは崩壊する』(清流出版)

  ▲
 著者の宮崎正弘氏といえば保守論壇を代表する論客のひとり、内田良平論も編まれたが、得意の中国論は数冊が中国語に訳され、北京でも日本通は分析を知りたがると言う。
 この『上海バブルは崩壊する』は氏独特の切り口による新作ゆえ最新の中国情報が山盛り。それも日本のマスコミが殆ど報じない事象や誰も行かない中国奥地、僻地の情報が写真入りで掲載されている。北朝鮮との国境の町・丹東での面妖な動きなど本書でしか知り得なかった。
 目から鱗の経済論になっていてわかりやすく読んだ。
 
最近の氏は暇さえあれば池袋のチャイナタウンに出没するらしく十数種の中国語新聞の仕入れやら四川料理のレストランなどで中国人との会話を通じて公式情報に漏れた人間の臭いがする生情報を入手するという。
 また四千キロもある中国の新幹線全部に乗ると宣言されて、毎月のように中国各地に行かれていると聞く。
となると次は旅行記なんぞより「中国新幹線殺人事件」なんてアガサ・クリスティ並みのミステリーで中国の政治経済文化をばっさり切って欲しいと思った。
                        (評 植田剛彦、評論家)

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  三島由紀夫研究会「公開講座」のお知らせ
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あす、22日の「公開講座」は新保祐司・教授をおむかえします!
 どなたでも予約なしでご参加いただけます!
       記
とき   10月22日(金曜日) 午後六時半(六時開場)
ところ  アルカディア市ヶ谷 五階「赤城」
     http://www.arcadia-jp.org/access.htm
講師  都留文科大学教授 文藝評論家 新保祐司
演題  「日本の優雅なる衰退、ベネチアと三島由紀夫」(仮題)
会費   おひとり 2000円(三島研究会会員、賛助会員は1000円)
(新保氏は「海ゆかば」(大伴家持)を作曲した信時潔の伝記を書かれ、正論大賞新風賞受賞。気鋭の評論家、産経コラム「正論」でも活躍中です。ベネチアの衰退と日本の現在の衰微は「優雅さ」において近似しているとされる新保氏の熱弁に期待しましょう)
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  ◇◆◇◆◇みや◆◇ざき◆◇◆◇ ● ◇◆◇◆まさ◇◆◇◆ひろ◇◆◇
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<宮崎正弘の最新刊>
 『上海バブルは崩壊する』(清流出版、1680円)
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<宮崎正弘のロングセラーズ>
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『猛毒国家に囲まれた日本』(佐藤優氏との対談。海竜社、1575円)
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『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/
『中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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 ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有)宮崎正弘事務所 2001−2010 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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  • akunin2010/10/21

    >尖閣の「領有権」議論だけを棚上げしようとするのは常套手段で、日本を油断させるのが目的だが、

    おそらく万事ことなかれ主義の菅・仙谷内閣はほっと胸をなでおろし、唯々としてこれにのるものと推測します。“これでもとに戻せた”と、せいぜいこの程度であろうと思います。それ以上のことを期待するのは無理な相談なのでしょう。願わくば尖閣での衝突ビデオが内閣の隠ぺいを破って世間に漏出し、中共の野蛮さが知れ渡ること。隠ぺいを企てた内閣崩壊、そして少しはましな外交センスを持つ新政権が誕生するきっかけにでもなればと思います。

    ここまで公開を渋るのですから、問題のビデオにはよほどひどい状況が写っているのではないでしょうか。公開を渋る理由の説明がつきません。

  • 名無しさん2010/10/21

    >日本は経済の停滞と高齢化社会により再びGDP大国になる可能性は薄く、…」(ケン・リーベンタール「ブルッキングス中国研究センター」主任)。



    やはり、日本経済をなんとかしないと、外交では相手国に舐められっぱなしになる。

    日本および日本外交の立て直しを図るためには、日本経済の立て直し抜きにしては語れない(そして、日本経済立て直しの根本は、少子化対策と教育対策と思うんですが)





    >尖閣の「領有権」議論だけを棚上げしようとするのは常套手段で、日本を油断させるのが目的だが、



    中国側が、尖閣周辺海域の海底資源を日本と共同開発しようとまじめに考えているのであればともかく、この間の、東シナ海ガス田問題、南シナ海問題を考えると、そうとは決して思えず、そうなると、「領有権棚上げ」論は、単に、中国側にとっては都合が悪いときのその場しのぎ。

    また、「領有権棚上げ」論を一旦、日本側が飲むと、その間、日本側は、尖閣日本領有の国際的な認知活動も自粛せざるを得なくなる。また、尖閣に対する有効な支配の強化、尖閣を防衛するための必要な施設の整備も進められなくなる( それが、!)小平の「棚上げ」論を暗黙の了解としていたと思われる日本政府のこの間の教訓なのでは? )。



    そして、今後は、そうした状況の中で、中国側だけは、一方的に、尖閣中国領有の国際的広報活動を民間活動の形で進めていくだろうし、場合によっては、尖閣領海内での中国公船の活動も合理化してくるのではないのか?



    さらに、そもそも、「領有権棚上げ」論をこの時期に日本側が飲んだりしたら、先の、尖閣を日米安保の対象とした日米間の確認がご破算になるのではないのか?



    「領有権棚上げ」論は、中国側に圧倒的に有利と言わざるを得ないのでは?

    菅・仙谷内閣の底ぬけの事なかれ主義、外交オンチを見透かした提案としか思えない。