国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(綿陽の反日暴動は面妖なり)

2010/10/18

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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)10月18日(月曜日)
      通巻3103号 
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 四川省綿陽市でも「反日暴動」? 核物理、兵器開発の秘密都市で?
  被災後の貧困、政府への憤懣が爆発。「反日」は明らかに隠れ蓑
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 16日の成都、西安、鄭州に引き続き、17日に反日デモは綿陽に飛び火した。
 四川省綿陽は山岳地帯、チアン族など少数民族も多く、河川が幾本も流れているので漢の時代から開けた。

 しかし日本人のいない街で(報道に拠れば駐在日本人ひとり)、なぜ反日暴動が?
 警備の車両がひっくり返され、通行中の日本車が襲撃され、ソニー、パナソニックの看板がある商店、日本料理店等が襲われた。
 明らかに「反日」デモではない。これは「反日」に名を借りた反政府暴動である。

 綿陽は08年五月の四川省大地震のおり、もっとも被害が大きかった地域のひとつ。土砂崩れで河の流れが変わり、突然湖が近くに出現、決壊を防止するため軍が派遣された場所にも近い。
 なによりも綿陽は核物理学センター。付近には核兵器、ミサイル開発の秘密施設が建ち並び、軍事技術の派生からエンジニアが確保しやすく、近年では電子部品などの工場進出も目立った。成都から東北へ93キロ。

 被災後の復旧が遅れ、貧困にあえぐ地域住民の不満は爆発寸前、なんでも良いから暴れるきっかけが欲しかった。油がまかれたところに火が投げ込まれたのだ。

 重要な情報が香港からもたらされた。
 第一に四川省成都の反日デモは「官製デモ」、つまりヤラセだったと「りんご日報」などが伝えたが、イトーヨーカ堂と伊勢丹を襲ったデモ隊のプラカードに、ふたつ引っかかった。ひとつは「沖縄開放、琉球奪還」という、中華思想まるだしの侵略性が書かれたプラカードがめだつこと(収回琉球、開放沖縄)。これは新華社系『環球時報』が代弁した「沖縄独立支持」の論調と軌を一にしている。
 衣服の下に鎧がみえた。

 もうひとつ。日貨不買、中国製品を買おうという横断幕に周囲に「索尼、松下、豊田」と明らかに日本企業を名指ししたプラカードがあった。(「索尼」はソニー)。中国経済の発展にもっとも寄与した日本企業が今度は襲撃目標に転化している。

 第二に反日デモが特定の地域でしかおきておらず、もし全土的反日感情が存在するとすれば、もっとも尖閣諸島奪回の取り組みが勇ましい香港でおこるべきだろう。
しかし『保釣行動連合会』本部がある香港でも台湾でも尖閣をめぐる反日行動の第二波は、動きもなく、計画もされておらず、北京、上海、広州はいうに及ばず、大連、瀋陽、青島、重慶といった日本領事館所在地でも動きが皆無。

 第三は異常な警備だ。05年の反日暴動のとき、警備はジェスチャー的に出動したが日本大使館への投石も黙認し、まじめに警備をしなかった。今度は、たかだか数千のデモに出動したあとから、数百の警備が日本企業周辺を厳重に警戒している、その本気度は異常ではないか。
これは明らかに反日が反政府暴動へ転換することを怖れての措置である。
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  @@@@@@@@@@@@@  読者の声  @@@@@@@@@@@@@@
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(読者の声1)最近,藻谷浩介『デフレの正体』(角川書店)という本が話題になっています.簡単にいえば,日本の最近のデフレは少子高齢化と人口収縮で,特に需要構造が変化したことが原因だという話です。
人口学を研究されてこられた方には目新しい論点ではありませんが,人口動態のことを忘れた議論を続けていた経済学者には衝撃的な議論のようです。
さらに続けて筆者が言うには,中国もあと20年程度,インドは50年程度で日本のあとに続くことになるそうです.実際,それに関連した書籍もいろいろと出ていて,大泉啓一郎『老いていくアジア』(中公新書)、小川全夫『老いる東アジアへの取り組み』(九州大学出版会)、小峰隆夫・日本経済研究センター『超長期予測 老いるアジア』(日本経済新聞)など。
ソ連の崩壊の時には,すでに1970年代から「ソ連は民族問題で崩壊する」といったレポートがCIAなどから出ていましたが,中国のアキレス腱についても,人口問題,民族問題など多面的に研究されているようで,そのうえでアメリカなどの対中国政策も練られているのではと思うのですが,いかがでしょうか。
海上自衛隊の力で中国海軍など一掃できる現状でも,敢えて領土問題で中国に屈服する管総理の国辱外交も,軍拡競争に中国を巻き込んで,諸々の社会問題ともども中国を葬り去ろうとする長期戦略に立脚したものと考えて納得しておきたいと思います.
 実際,中東でもアメリカは湾岸諸国に武器売却を本格化して,今度は軍拡競争でイランを締め付けるようですし.その日が来るまで昼行燈を決め込む管総理の遠望深慮に期待します。
  (小石内蔵助)



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(読者の声2)貴誌前号。う〜む、「反日デモ」がヤラセとは、このデモが「反北京デモ」に発展する可能性は極めて少ないのですね。
 私の脳内妄想では、「反日デモ」から「反北京デモ」へ、そして支那大陸動乱へ、その機を狙って「暴支膺懲」(この用語が一発で出たことにある意味感激です^^)。そして我が国が晴れて軍事強国に、という筋書きは当分おあずけですか。
(GV2)


(宮崎正弘のコメント)そもそも言論の自由、結社の自由、表現の自由が許されない国で自発的デモがありうる筈がありませんから。



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(読者の声3)毎回、宮崎先生のメルマガ貴重な情報源として拝読しています。
先の尖閣問題の反中デモを報道した日本の新聞社は一社もなかった。ところが、昨日の中国における反日デモの様子はいち早く報道している。いったいこの違いはどう言うことなのでしょうか?
日本のマスコミは死んだのでしょうか? とっくの昔に死んでいたのでしょうか?
日本の新聞各社は新聞社の使命を完全に置き忘れている。故・佐藤元総理が引退記者会見で「新聞は嘘を書く」と罵倒したが、現在の新聞社は嘘を書く上に真実を隠すアングラ新聞に成り下がった。
その裏で、新聞の購読契約は不正な手段がまかり通っている現状です。私はその渦中でA社と談判中であります。過去に何度も断っていたにも拘らず、主人の留守を狙い、主人の知らないうちに留守家族を相手にして、その時の事情では解約も可能と言いくるめ、数年先の購読契約を取り付け、その期日がくると「契約は契約」と強引に購読を迫る。
特に、中国べったりのA社はこの姿勢が目立っています。
現在も解約問題で談判中でありますが、主宰様や読者の皆さんのお知恵をお借り出来れば幸いであります。
(一読者)


(宮崎正弘のコメント)新聞の契約でしたら消費者センターあたりが有効では?
 朝日新聞は「アカが書き やくざが売って 馬鹿が読む」と言います。
NHKは「ガスや電気、水道は支払わないと止める。どうか、電波をおくるのをやめて下さい」と言うと、効き目があるそうです。



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(読者の声4)10月16日の「尖閣は日本領だ」を主張する保守系市民団体の集会とデモに参加してきました。
 貴紙17日通巻3102号号、公立学校教員MM様が <デモの参加人数を5000人越えにも拘わらず、2800人と明らかに虚偽報道をした件について、早急の訂正報道を再度抗議電話してみました。> と言っておられますが、小生の目の子では、デモ隊の前半が1300〜1600と数えました。最終地点到着後、中国大使館に向かう途中、すれ違いに後半部の隊列が延々と続き、その数、確かに前半部を超えていました。よって主催者発表の数は3200という数は、妥当なものだと思います。
 ところが帰宅後、ネットで警察発表5800という数字を目にして怪訝に思っておりましたが、今朝の新聞報道「警察発表2800」を見て、納得がいきました。警察発表5800という数は、どこかで誤報があったのではないでしょうか。
 以上のような、デモ全体の盛り上がりはともかく、中国大使館への抗議デモは、途中から警察によって、前進人数を5人ずつに小間切れ分割され、あたかも中国大使館の戒厳命令を日本警察が下請け執行し、日本人のデモを抑圧しているかのような姿でした。こんな体たらくが国際的に報道されたなら、と思うと、情けないやら、恥かしいやら。デモの効果半減ではないか。
 このような不当なデモ規制には、強く抗議し改めさせる必要があることは勿論だが、反中国デモは、今後相当にはらをくくってかかる覚悟が必要だとだと痛感した次第です。
(東埼玉人)


(宮崎正弘のコメント)かつて左翼の沖縄集会を大手マスコミは主催者発表だけを援用して12万人と報道した。実際に航空写真を一こま、一こま分解して人数を調べると一万八千くらいで、なぜ警察は左翼の集会やデモでは人数を発表せずに放置するか、疑問でした。
 また左翼の集会なら十人でも大きく報道する日本のマスコミは、保守の整然としてデモは黙殺、無視します。これは宣伝戦争の常套手段であり、NHKやほかのマスコミに抗議しても効果はありません。先方は確信犯なのですから。



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(読者の声5)貴誌通巻3102号に「日中友好協会50周年記念会が4割減という無惨な参加者。。。。。会長の加藤紘一は病気を理由に欠席した」と書かれましたがそこで面白いことを思い出しました。
衆議院予算委員会が全会一致で尖閣諸島での中国漁船と海上保安庁巡視船の間であった騒動のビデオを公開せよと決議しました。重要なのは全会一致という点です。
予算委員会には民主党主流派の議員も当然いました。ガチガチの管首相支持者もいました。しかし全会一致でした。
理由は簡単です。反対投票すれば次回の選挙で確実に落選するからです。
つまり、現在の日本の政界に自分の信念や信条で投票する議員はほとんどいないということです。この誰でもがうすうすと感じていたことが明確に証明されたということです。
小室直樹氏流の言い方をすれば、これは日本の憲政史上で特筆大書すべき驚天動地の事態です。
もうひとつ、これも誰も指摘しない点ですが、ニュートン力学によれば、高く持上げれば持上げれるほど位置エネルギーは大きくなり、一旦手を離して下に落としたの衝撃は大きくなります。
チャーチル卿流にいえば、日本人は押せば押すほど譲歩するが、一旦限界を越すととんでもないことをする。最新巡洋艦レパルスや戦艦プリンス.オブ.ウェールズを撃沈させるほどの実力があったのなら、もっと早くこちらからの要求を断って欲しかった。
日本人的感覚では絶句するしかない発現ですが、このような事態に今状況が進んでいます。最終的にはあのビデオを公開せざるを得なくなることでしょう。事件直後に公開していれば、中国政府も自国民を扇動することになるあのような嘘発表をできなかったことでしょう。今ますます日中間の緊張の位置エネルギーが強くなっています。その位置エネルギーが極大化したところで放出されることになりそうです。
凶と出るか、吉とでるかはともかく、この方向に着実に進んでいるようです。
  (ST生、千葉)



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(読者の声6)貴誌前号で「読者の声3」が白紙です。これは中村草田男の詩のように、何かの隠語もしくはアート?でしょうか?
  (KY生、在中国)


(編集部より)単なるミス。挿入すべき投書を入れ忘れただけでした。
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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 466回】                    
     ――今にして思えば・・・死語累々
      『漢語成語小詞典』(北京大学中文系195年語言班編 商務印書館 1959年)


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 この詞典の冒頭に掲げられた「親愛なる祖国に捧げる」と題された「序」は、「本詞典は我ら17人の同級生の20日間に及ぶ労働における力戦敢闘の成果であり、我らが十・一国慶節への捧げ物であり、工農兵大衆に対するお礼である」で始まる。

 58年8月1日、2ヵ月後に迫った国慶節を前にして、北京大学共産党委員会は6週間以内で国慶節に捧げられるような成果をみせよとの号令を下した。
「戦闘ラッパが吹き鳴らされるや、同級生は直ちに行動に移り、我ら17人の同級生は成語詞典を編集して供物にしようと決議した。それというのも、我国には目下のところ、この時代の精神を的確かつ平明平易に表現できるような成語詞典が見当たらないからである。・・・このような詞典こそを工農兵大衆は渇望している」。

だが奈何せん時間的にも学問的にも限界がある。
そこに有難くも党が登場し、「進むべき方向を指し示し、我らに力を与えてくれた。殊に全国で勇躍と展開されている大躍進の情勢を目にし、工農兵大衆の高い山をも額ずかせ、大河の流れすら押し返す勢いのような大革命の気高い気魄に接することで、我らは深く感動し、思想はより広がり、意気込みはより高まったのである。経験少ない我らではあっても、集団の力がある。集団の力に基づいて経験を引き出し、我らの詞典を編集しえた」そうだ。

 この詞典の編集が終ったと思われる58年初秋といえば、毛沢東が掲げた誇大妄想的政策である大躍進が華々しく全国展開されていた頃であり、出版された59年11月といえば大躍進政策の破綻が決定的となり、国を挙げて困窮と飢餓に苦しみ超耐乏生活を余儀なくされていた頃だ。

そんな時代を反映してか、この詞典の装丁は極めて貧弱であり、使われているのはザラ紙。表面が粗くザラついているだけに、印刷された活字が読み取れない個所も少なくない。ともあれ、「この時代の精神を的確かつ平明平易に表」しているような典型的な成語のいくつかを拾いだし、解説部分を忠実に訳してみたい。

■大名鼎鼎=盛大な様を形容。[例文:資本主義国家において多くの大名鼎鼎(=影響力を持つよう)な人物は、実際はすべて残酷にも人民を掠奪する残忍悪辣な魔王である。]

■紅透専深=党が個々の党員、団員、革命知識分子に対する要求である。「紅」は政治的に労働者階級の立場に断固として立ち、確固とした共産主義世界観と人生観を持ち、マルクス・レーニン主義という思想武器を掌握し運用することを指す。「専」は自らが従事する仕事を深くい愛しみ、確固とした専門技術と科学知識を保持し、現実に起こる問題を解決し、本来業務を見事に担いうることを指す。「紅」を透して「専」は深まる。「紅」と「専」とが補完し合う。断固として「紅」であり「専」であらねばならない。

■興無滅資=プロレタリア独裁思想を確立し、ブルジョワ階級を消滅させることを形容。[例文:思想的に興無滅資であってこそ、徹底して自らの立場・観点を改造し、紅であり専である稔り豊かな大道での前進が可能となる]

■作法自斃=自業自得の意。[例文:帝国主義国家は経済封鎖を通じ社会主義国家の扼殺を企図して“禁運(=貿易禁止)”政策を採るが、結果的には作法自斃であり、却って彼ら自身が酷い目に遭うのだ。]
 
タテマエのみが勇ましくも空回りしていた時代を「的確かつ平明平易に表」した成語だが、してみると現在、中国の大名鼎鼎な姿は紅透専深ならぬ銭透欲深の結果であり、それゆえに興資滅無の社会と化してしまい、いずれは作法自斃・・・ってことですか。
《QED》
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(ひいずみかつお氏は愛知県立大学教授。華僑、京劇研究の第一人者として知られる)。

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 西村真悟のコラム 西村真悟のコラム 西村真悟のコラム 西村真悟のコラム
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西村真悟のコラム
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日本は整然としたデモ、支那は暴動、国家再興の絶好のチャンス!


 十月十六日は、上京し「頑張れ日本!全国行動委員会主催」の「10.16中国大使館包囲!尖閣諸島侵略糾弾!国民大行動」に参加し、深夜帰阪した。 デモ出発会場となった青山公園には三千五百名が集まり、一時間半にわたって集会をして尖閣を守る日本人の意思を確認した。
 午後三時半ころから二キロのコースでデモ行進を開始し、デモ終了後の午後七時前頃、中国大使館玄関前におもむき、前航空幕僚長の田母神俊雄さんが、対中国抗議文を読み上げ、玄関郵便受けに投函し、流れ解散した。
 デモ参加者は、三千名ほどと思う(マスコミは二千八百と伝えているようだが)。約二キロのデモであったが、デモの先頭が終点の六本木の公園に着いた頃に、デモの最終部隊が青山公園を出発していた。コースは、青山公園から麻布六本木までの若者や外国人の多い華やかな町並みだった。
 中国大使館前には、警察はデモをさせないらしい。
大使館前から、一キロほど離れたところでデモを解散し、あとは一人一人歩道を歩いて大使館前に向かった。田母神さん、私、八尾の三宅さんそして山梨選出の前議員の赤池さんらが一団となって大使館前に歩いた。道の向こう側には、まだデモ隊が整然と行進していた。

中国大使館玄関の百メートルほど手前で、おまわりさんが、我々を止める。そして、「この横で、しばらく待機していてください」と要請。それから、後続の人たちを五人ずつ、間隔を開けて大使館前を歩かせるという。歩かせるのは、大使館玄関の向かい側の歩道。玄関前歩道には、黒山の報道陣がいた。
それから、約四、五十分ほどの間、我々は、間隔を開けて五人縦隊になって玄関前に向かう仲間を、「大声出せよー」と、何組も何組も見送った。すると、一、二分後に、玄関前のほうから、「尖閣は日本の領土だー!」という叫び声が聞こえてくる。
おーやっとる、やっとると思っていたが、考えると、三千名が五人ずつ間隔を開けて玄関前に歩いてゆくのを見送っていると、見送り終わるのは明日の朝になる。今日中には帰れなくなる。
それで午後七時前頃に、我々が玄関前で抗議文の朗読と投函に至った次第だ。中国大使館のなかは、電気を殆ど消していてひっそりとしていた。
このデモに関して述べておかねばならないことは、日の丸の旗を掲げた整然とした行進であったことだ。掲げられた日の丸は、三百本ほどか。東京の街頭をこれだけの日の丸が整然と行進するのは、戦後初めてではないか。

これによって、街頭の日の丸に対する、今までの「右翼の街宣と重なるイメージ」は消え去り、主婦も娘さんも当たり前に掲げるすばらしい日本の国旗という本来の姿が回復された。
次にデモが整然としたものであったことについてであるが、これこそまさに日本人の品性を顕したものであった。
暴走する者はなく、口汚くののしる者もない。まして、中国共産党の旗を焼いて気勢を上げる者もない。それでいて、参加者全員の内面には領土を守るという確信が秘められている。

以上が、昨日(16日)のデモの特色であり、そこに現れた日本人の個性である。
想い出したことがある。
以前、新潟の埠頭で、日本人を拉致した北朝鮮の工作船である万景峰号の寄港反対の抗議行動をしたことがあった。奇妙なことに、新潟県警は、我々日本人が旗竿に日の丸を掲げて埠頭に入るのを阻止したが、入港歓迎のため朝鮮総連関係者が旗竿に北朝鮮の旗を掲げて埠頭にはいるのは許していた。そして、朝鮮総連は、埠頭で旗竿を槍にして日本人を突く姿勢をして威嚇した。
そのとき、一人が、持参していた北朝鮮の旗を焼こうとした。私はそれを止めて言った。「焼くな、朝鮮と同じことをするな、我々は日本人だ」。

後日、アメリカCIA元部長であったアーサー・ブラウンさんと話していたとき、彼が「中国人や韓国人に比べて日本人は静かだ、もっと感情を露わにしたらいいのに」と言った。私は、新潟の埠頭のことを説明して、「日本人は、相手国の国旗を焼くという中国人のすぐするようなことはしない。それが、日本人だ」と言った。
すると彼も言った。「それは分かるんです。私、日本人好きです。しかし、多くのアメリカ人には、中国人や韓国人のように、ぎゃーぎゃーわめくほうがよく伝わるんです」
そして、二人は大笑いした。
熊本大学で夏目漱石を研究しながら日本の武道を習得し、青春をベトナム戦争に従軍して戦場で過ごてからCIAに入ったアーサー・ブラウン君が私と共にこのデモ隊にいたら、「これが君の好きな日本人だろう、俺と同じじゃないか」と話せたのにと思った。
そこで、昨日、同じ日に支那の内陸部、成都、西安そして河南省の鄭州などで行われた反日デモに関して述べておきたい。
これは、東京におけるデモの情報に対抗して中国内のネットで呼びかけられたデモだと報道されている。
読売朝刊の一面見出しは、「中国数万人反日デモ、尖閣抗議 日系スーパー被害 成都など3都市」とある。しかし、我が国東京の日本人のデモが「デモ」だからと言って、中国人のデモが「デモ」ではない。
歌の文句にあった。「こい」にも色々ありまして、緋鯉に真鯉は池の「こい」、今夜来てねと頼んでも金持って「こい」では「こい」じゃーない。この歌の文句と同じだ。我が国では「デモ」であるが中国人のは「デモ」ではない、常に「暴動」だ。
その証拠に、彼らのターゲットは、常に、日本のスーパーであり日本料理屋であり日本車ではないか。

この中国の暴動を如何に見るか。
中国外務省報道局長は、「反日デモ理解の談話」を発表したという。
しかし我々はこの暴動が、中国共産党の九人の政治局常務委員の権力闘争のなかで行われたことに注目すべきである。
つまり、十五日から重要政治イベントである中国共産党第十七期中央委員会第五回総会(五中総会)という名前では訳が分からないが内実は権力闘争の場が始まっている。
この最中の反日デモという暴動は何を意味するか。それは共産党権力の不安定化につながりかねない要因だということだ。中国は、膨大な国防費を遙かに超える治安維持費つまり警察費を使わなければ、安定を維持し得ない国である。
戸籍のない人民を加えると十五億を超えると言われる人民を七千万人の中国共産党員が公金(税金)を搾取しつつ支配し、その共産党を九人の政治局常務委員が支配している。
そして、その九名のうち、北京天津経済圏を背景にする胡錦涛派は三名と少数で、上海経済圏を背景にする江沢民派は五名、他一名は例の習近平で太子党の上海の江沢民に近い出自である。太子党とは、共産党大幹部の子弟の特権階級という身分。
この体制の共産党支配が、昨日十六日の暴動で衝撃を受けているといわれる。この暴動を、共産党は今の政治状況では、「反日デモを評価する」としか言えないだろう。

ここにおいて、我が日本は何をすべきか。
それは、反日暴動が起こった今こそ、全世界に向けて、尖閣が我が国の固有の領土であることを説明し、中国共産党の無法で無礼な領土要求を糾弾することである。そして、この中国の膨張主義は、西のインドから東の日本というアジアのみならず、全世界にとって許し難い脅威であることを明らかにするべきだ。
そのなかで、この度の海上保安庁の撮影した中国船の犯行を映したビデオを公開し、如何に中国人が悪質であるかを示すと共に、衝突した中国漁船の衝突直後の映像と中国に帰してからの映像を公開し、中国が如何に証拠を改竄し事実をごまかして嘘をつく国かということを明らかにすべきである。

昨日の集会には、ウイグル解放日本支部長のイリハム氏も来ていた。彼に言った。「東の尖閣から、中国内に暴動を起こし、西のウイグルもチベットと共に立ち上がり、中国内の自由を求める人民が立ち上がれば、アジアの諸民族の自由と幸せの道が広がる。頑張ろう」と。
今こそ、日ロ戦争時に、ロシアの後方ヨーロッパにおいてロシア国内での反政府運動への支援をした明石元二郎大佐の行動を思い起こすべきである。
以上の国益を守るための当然の戦略は、菅売国内閣ではできない。
従って、草莽崛起だ、国民が現内閣を打倒して、民族救国保守統一内閣を樹立する目的で立ち上がらねばならない。私が、平成九年にその大地に足をつけてしばしいた島、尖閣は、我が国の覚醒を促している。
尖閣に上陸できたことを感謝し、日本再興を期する日々だ。
   △ □
(にしむら・しんご氏は元衆議院議員)

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  • 名無しさん2010/10/18

    >これは明らかに反日が反政府暴動へ転換することを怖れての措置である。



    ネット上に、逆さになったパトカーの写真や殴られて目の周りを血だらけにして這いつくばっている警官の写真がありましたね。



    これまでは、反日が反政府暴動へ転換することを中国政府は恐れているとの話については、中国政府が反日を煽っている、あるいは、黙認していることを糊塗するための言い訳かとも半分思っていたのですが、それらの写真をみて、こりゃ、確かに、何が起こっても不思議はないとの感想を今さらながらですけど持った次第です。

  • kokiko2010/10/18

    毎回、面白く読んでいます。



    今回のデモは果たして”反日”なんでしょうかね。

    私は官製デモなんて毛沢東以降、どれ程あったのか疑問に思うのですが、今回も押さえ切れなかったのでは。

    反日に名を借りた政府批判のようにみえる。



    デモのスローガンはいくつか考えられる。

    1.汚職追放

    2.格差是正

    3.民主化要求

    4.反日

    この中で大っぴらに出来るのは”汚職追放”と”反日”

    コキントウのメンツを潰すに一番効果的なのは”反日”

    アンチ・コキントウが学生会をそそのかしたデモではと思います。

    大衆の運動を利用しそれに身をゆだねて勢いをつけるのは、中国古来から有る戦法。