国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(中国の日本小説ブーム)

2010/09/05


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)9月5日(日曜日)
      通巻3050号 <臨時増刊>
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 中国における日本文学翻訳の異変、それも尋常ならざるサブカル化
   渡辺淳一、ムラカミ・ハルキを越えて、東野圭吾って誰?
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 筆者は中国へ行くたびに書店巡りを欠かさないが、とくに重要なのは北京と上海だ。
 六階建て、七階建てのビル全部が本屋さん。北京は王府井書店と西単の新華書店。上海は福州路(昔の四馬路)にある上海書城。
 
 数年前に上海でのサイン会に赴いた渡辺淳一は、会場を数百のファンがとりまいていたのに驚いたという。
なかには二冊どうしてもサインをねだり、しかもプレミアをつけてサイン本を転売したとか。本人もそのことをエッセイで書いていた。

中国人は性愛の心理、女性のセックス観をはじめて書物を通じて知ったからだろう。それまで中国にこの分野の文学はなかった。
 エキゾティックは川端、谷崎が読まれたこともあり、中国古典に題材の井上靖も中国では有名だったが時代は様変わり。安部公房、大江健三郎など、翻訳本はたしかに書店の片隅にあるが、見向きもされていない。

 ついでブームはムラカミハルキだった。
 ノルウェイの森がミリオンセラーとなると、『ノルウェイに森はない』という本まで出た。映画にもなるらしいからまだまだ売れそう。

もっとも村上現象は世界的な流行だから、中国にかぎった現象ではなく、若い中国人にコスモポリタン的意識が拡大したことにむしろ注視した方が良い。

 春から初秋にかけて、筆者は四回中国へ行ったが、書店の異変は次のごとし。
 第一は山岡荘八『徳川家康』全巻が翻訳され、ブームは去らず、蛇足で書いた『徳川家光』まで翻訳されて、なんと山岡荘八コーナーがある。
 伝統的ベストセラー『孫子』の延長線上、とくにビジネスエリートが読んでいるところに中国的特徴がある。筆者の経験では湖南省・長沙のローカルな飛行場の売店でサラリーマンが目の前で買った直後、そばを別のビジネスエリート風男が小脇に徳川本を抱えていたので二度びっくりした。

 第二は上述、渡辺、村上ブームに息切れが現れ、ニューフェイスが東野圭吾である。
 二年前に中国語訳がはじめて出た。『白夜行』『容疑者Xの献身』が大ベストセラーに化けて、この僅か二年で十二冊が翻訳された。いずれも12万部から20万部。信じられますか、この数字を?
 新訳『放課後』は09年12月だけで13万部を売り切った。
 筆者が北京で目撃したのは、東野圭吾コーナーが特設されていたことだ。

 (余談) ところで東野圭吾って誰? ミステリー基軸のストーリー・テラーの由だが、まったく読んだことがないので、この人の作品については論じませんが。。
 中国人によれば複数のストーリーが同時展開するという筋運びの複雑さ、その輻輳ぶりがパズルのようであり、また大団円がハッピーエンドではなく、物語が面白いという。(それなら『ホテル』などの傑作群を書いた、アーサー・ヘィリー風ってところですかね?)
     ○○ ○ ○○ ○ ○○ ○ ○○
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<<読者の声 どくしゃのこえ DOKUSHANOKOE 読者の声>>
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(読者の声1)貴誌前号にある「中国人と日本人の見分け方」に関して。
昨晩、イタリア人と夕食を共にした際に彼が言っていましたが、イタリアでも中国人の「大増殖」が問題になっているそうで、先に来た中国人が行方不明になってもそのIDにちゃっかり後釜が居座っているらしいです。
不法入国、滞在は一向に減らず当局が音を挙げているそうです。
アメリカなどへ行くと、ロマ(ジプシー)の移民が何食わぬ顔でイタリア人ぶって不味いイタリア料理店を経営しているという話には、我々も中国・韓国人が日本人のふりをして不味い日本料理店を経営し偽日本料理が拡散している迷惑さを説明しました。
そのイタリア人曰く、ヨーロッパ人は日本人と中国・韓国人の見分けをつけられないので、判断基準は「嘘をつかない」のが日本人との認識だそうですが、嘘かどうかは事後にしか判らないのが問題だ、と半分冗談のような基準を語っておりました。
このネット上で出回っている訳のわからない文章は、中国人の優越感とコンプレックスが綯い交ぜになった、おそらく最近の作文でしょう。
   (TK生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)だんだん区別がしにくくなっているのは事実ですが、電車のなかでたばこを吸う、痰を吐くという行為があれば、すぐにわかった時代がおわり、残るは食事の作法でしょうか。
 食いっ散らかす中国人。一応、テーブルマナーをわきまえている日本人。
 いやそれよりも、面白いジョーク。
 「相手に悪いと思う日本人」「相手が悪いと思う中国人」と「に」「が」の違いがあると、指摘したのは加瀬英明、石平の対談『ここまで違う日本と中国』(自由社)でしたが、それをもじって言えば、
 「永田町には『馬鹿』か、『もっと馬鹿』しかいない日本」
 「中国人には『悪い』か、『もっと悪い』という区別しかない」



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(読者の声2)小生、現在75歳の男性です。戦争中胸躍らせた読んだ本の一つが、日露戦争中、満州に潜入し、ロシア軍輸送網の分断のために、鉄橋を爆破しようとして捕らえられ、銃殺された、横川正三、沖偵介両氏の話でした。(本の題名失念)
 両氏の身元が日本人だと分かったのは、顔を拭くとき、タオルの方を動かしたからだと書いてありました。
中国人はタオルに顔をこすりつけるのだそうです。念のためインターネットで検索してみましたが、やはり同じ情報がありました。
米軍もこのような日常の動作に基づく冊子をまとめれば良かったのでしょうが。
(YT生、茅ヶ崎)


(宮崎正弘のコメント)顔を洗うとき手を動かすのが日本人、顔を動かすのが中国人という比較もありましたね。



(読者の声3)貴3049号読者の声3の道楽Qさんにひとこと。
「道楽Q」さんの言われる「江戸言葉」というのは、どういうものを指すのですか? 武家言葉と町言葉はまったく違うものだし、江戸の町言葉が他の地方のことばに影響を与えている例は殆ど見たことがありません。
いい例が、上方落語と江戸落語ではまったく違った音節の発音やイントネーションとユーモアのセンスで物語が進行していきます。
武家と農民は幕府に属していたため、他藩への移動は制限されていましたが、商人と職人は移動を制限されていませんでした。それぞれはその地方の言葉をまなび会話していたと聞いています。
武家は、謡曲の言葉を共通語として使用しており、江戸の武家言葉で通じる部分はそれでいいのですが、通じない場合は謡曲の言葉を使用していました。
大仏再建を江戸時代に行った公慶上人も能の「安宅」で300年以上伝わってきた重源上人の勧進をもう一度実施するという事が電話もテレビもない時代にあっという間に全国に広がります。
それからわかるように江戸時代のネットワークは、現代では伝統文化といわれるものにより、連綿と繋がっているものがあり、それを武士階級、及び町人も一般教養として身につけていました。
今の時代よりもはるかに教養と道徳の高い日本人が政治・経済を取り仕切っていたのが江戸時代だったと思います。
(歴史ナビゲーター、福岡)


(宮崎正弘のコメント)参勤交代による地方大名同士の大交流が日本に平均的教養と言語的空間をもたらすという効用があったのも事実でしょう。
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<宮崎正弘の新刊>
宮崎正弘 v 佐藤優『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社、1575円)
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<宮崎正弘のロングセラーズ>
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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 ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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