国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(中国の日本国債買いは毎月数千億円単位)

2010/08/11

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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)8月11日(水曜日)弐
       通巻3033号  
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 中国が日本国債を大量に買うのは日本がそれだけ経済の核心が強い証拠
  全体の0・001916%で、何が脅威か
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 日本の国の借金は904兆0772億円(2010年6月末)。これはGDPの190%にあたると大騒ぎをしているが、赤字国債を対GDP比で論ずるのは間違いである。くどくど述べないが国民の金融資産が1450兆円あり、日本の国債の買い手は日本の機関投資家が97%、外国の投資家がわざわざ世界一金利に安い日本国債を買うのは円高狙いと分散投資の二つが主な動機である。
 
 したがって日本は金融資産を担保に赤字国債はまだまだ発効可能なのである。
 緊縮財政を言いつのるのは財務省の視野狭窄にすぎない。

 さて中国が日本国債をばんばん購入していて「脅威」「脅威」と騒ぐ向きがあるが、これも杞憂に過ぎない。

 2010年上半期(1月―6月)の購入額は累計1兆7326億円。「ヨーロッパでの財政危機や米国の景気後退と先行き不安をかかえて、中国が短期債を基軸に日本円への多元投資を進めた」(エコノミスト)からである。
 
 市場関係者は「今後も中国の日本国債買いは毎月数千億円単位で続くだろう」とするが、たとい、年内に倍の3兆5000億円を突破しても、たいしたことではない。
 現時点でも中国のシェアは全体の0・001916%でしかない。

 それよりもあれほど反日、侮日をどなり、中華愛国を獅子吼してきた中国が、なぜ日本国債をかうのか。それは、日本の信用が世界的には強い証拠ではないのか。
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◎ブックレビュー◎ ●BOOK REVIEW● 書評 ◎ブックレビュー◎
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 以下に最近寄贈された書物の簡単な紹介を行います。委細は拝読後、改めて書評させていただきます。

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東条由布子 福富健一『東条英機の中の仏教と神道』(講談社α新書)
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 八月十五日を間近に、東条さんの宗教観に関する記録を示す新書だが、この本は戦史を独自の観点からものにする福富健一さんが聞き手となって新事実に迫ろうとするもの。靖国へ拝礼のまえに読み終えたい。



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田中英道『やまとごころとは何か』(ミネルヴァ書房)
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 碩学の田中英道・東北大学名誉教授が今度は「日本人のこころ」の問題に挑んだ。大和民族のこころの原型を『万葉集』に求め、それがいかに歴史の風雪を超えて発展したか、重厚な論考が続く。この本は正座して静かに読まなければいけないと思い、夏休みの後期に時間をとろうと思う。



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岡田真理『おひとりさま自衛隊』(文藝春秋)
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 げんき印は女性に移転し、日本の若者のなかに活躍する積極的な人生を謳歌しようとする主人公が部隊に入っての大活躍。この本はふつうの女性がある日、突如思い立って、星雲の志をいだく。
照れ隠しに、酔っぱらって予備自衛官に応募したら試験に受かったと。
 全身痣だらけの猛訓練、土砂ぶりの中に匍匐前進、いったい自衛隊でまっていたのは何か。ほとんど国防のことをしらずにはいり、しかし『卒業』する頃には祖国をアイすること、くにを守ることをしっかり学んで社会へ戻った突撃女性の体験記。
 こういう軽いタッチで重厚な主題を追求する切り口は、現代のはやりではあろう。



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桜林美佐『誰も語らなかった防衛産業』(並木書房)
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 もうひとり元気印の女性ジャーナリスト。体当たり、渾身の力を込めて、現下日本のわびしくて切なく、なっていない防衛産業の劣情をレポートする。
日本の防衛の要、国産の防衛システムは町の工場が支えている。戦車一両作るのに関連する日本企業は1300社。読めば読むほどに慄然となる日本の国防産業の貧弱な実態に背筋が寒くなる。
 名車プリウスのハイテク技術も、もとは防衛産業のテクノロジーから生まれた。
 それにしても著者の桜林美佐さんは、毎日、メモ帳を片手に全国を東奔西走、自衛隊への突撃取材にはじまって、大手から下請け、孫請けのメーカーまで足で歩いてまとめた迫力が全編にみなぎっている。



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中澤伸弘『宮中祭祀 連綿と続く天皇の祈り』(展転社)
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 天皇陛下は毎日何をなされているのか。国家と国民のため祈念せられる核心は、「まつりごと」であり、その知られざる宮中祭祀の意義、内容、現状をつぶさに解説した書物である。
 巻末に歴代天皇の御陵の場所が一覧されている。
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  ◎書評 ブックレビュー しょひょう BOOKREVIEW 書籍評価◎
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  ○ ◎ ○
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樋泉克夫のコラム  樋泉克夫のコラム ♪ 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 427回】                     
――胡錦濤主席ドノ、模範共青団員だった胡業桃を覚えておいでですか・・・
『“模範共青団員”胡業桃』(上海人民出版社 1971年)
 

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1970年1月25日、この物語の主人公である胡業桃は「為人民利益而死、就比泰山還重(人民の利益のための死は泰山よりさらに重い)」と、20歳の若い命を捧げた。

彼が生まれた安徽省の家は、まさに極貧としかいいようのない農家。「祖父は数十年を地主の家で牛馬のようにこき使われ、両親は幼いころから乞食をしていた」。
1947年、彼の3歳の姉と1歳に満たなかった兄は、両親が街で物乞いをしている間に餓死していたのだ。

毛沢東が導いた新中国に生を享ければこそ、彼は「幼い頃から旧社会に対する大いなる恨みを心に刻み、偉大なる領袖・毛主席への無限の熱愛を抱いていた」。
両親を失いながらも、胡少年は「物心つくようになると、貧農下層中農と人民解放軍の心からなる教育を受け、毛沢東思想の陽光と慈雨になかですくすくと成長した」というから、幼いながらもリッパな毛沢東思想サイボーグ戦士だった。だから、20歳での犠牲は運命だったのでは。

1961年に彼が住む村に進駐してきた人民解放軍の兵士によって、毛沢東の著作を教えられる幸運をえた。
「ランプの光が明るさを増すほどに、彼の心はいよいよ輝く。メシを食べず、睡眠を取らなくとも、毛主席の著作の学習は止めるわけにはいかない」。学習の効果というものだろう、やがて彼は村一番の働き手であり毛沢東思想の導き手となって文化大革命の活動家に成長する。

18歳の彼に向って村人が将来の希望を問うと、「彼は毛主席像を真正面に見据え、壁に貼られた世界地図を指差して『銃を手に毛主席の歩哨となって、プロレタリア階級のために天下に打って出て、全人類を解放したい』と熱く語った」というから、これはもうリッパなもの。いや、リッパすぎて頭が下がります。

1969年3月2日、念願が叶い、彼は人民解放軍の新兵に。
来得遅、説得快(その時遅く、かの時早く)、「憎っくき社会帝国主義が我が領土を侵犯したとの情報が入った」。彼は連隊本部に駆けつけるや、「連隊長ドノ、前線に急行し祖国防衛の任に当たらせて戴きたいであります」。

すると連隊長は彼の両腕を強く掴み、「祖国防衛の真の戦士になるためには、毛沢東思想を活学活用しなければならない」

その時以来、彼は「毛主席の著作を読み、毛主席の話を聞き、毛主席の指示に従って事をなせ」という林彪の有難い教え(?)を忠実に励行することになる。ともかくも苦労を厭わず、働きに働く。ケガなんかで弱音は吐かない。ケガを押して軍務に励む。

やがて連隊長の推薦をえて共産党への入党を申請する。69年12月29日に提出された申請書の最後を「全人類を解放するため、燃え滾る真紅の血で地球全体を染めあげたい」と結んだ。

年が明けた1月25日午後、作業を誤り電線を切ってしまった戦友を救うべく、彼は電線を掴んだ。その刹那、高圧電線の先から火花が飛び散る。
かくて人々の願いも虚しく、「胡業桃の心臓が再び元気良く動き出すことはなかった」。そりゃそうだ。高圧電流の流れる電線を素手で掴むなんて無謀が過ぎます。さすがに百戦百勝の毛沢東思想でも、敵いません。

「胡業桃は偉大な一生を送った。生前、革命の青春は燃え盛る炎に似て、死後、英雄的な行いは四海(せかい)に伝わる」。かくて「1970年12月、中共中央は光栄ある党員として追認し、併せて“模範共青団員”の光栄ある称号を授与した」とか。まあ、いまや“忘れられた英雄”の1人ということになるが、果して胡業桃は実在したんだろうか。
《QED》


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【知道中国 428回】                       
――ここに中国庶民のユーモア、洒落、皮肉がある
『歇後語彙編 ――中国の諧謔語』(川瀬正三 明善堂書店 昭和44年)
 

 △
歇後とは隠語であり短縮語でもある。前後2つの句で構成され、前の句が後の句の内容を暗示し、あるいは連想させ、ある意味を表現する。
北京や上海などを中心に庶民生活のなかで日常的に使われた表現方法――などと説明したところで、実際には乱七八糟(チンプンカンプン)だろう。
そこで実例を2つ、3つ。

たとえば「鉄匠作官(鍛冶屋が役人になる)」の4文字は問答無用を意味する。なぜか。この4文字に続く後の句は「開頭就打(ショッパナから殴る)」。真っ赤な鉄を炉からだすと、なにはともあれひっぱたいて鍛える。
これが鍛冶屋の商売であり身についた習性だ。そこで、あいつは「鉄匠作官」といえば、聞いた方は、ああそうか、あいつは四の五のいわせず相手構わずに殴り飛ばすひどいヤツなんだなと、合点がいく。

次いで「六月裡戴風帽(夏6月に防寒帽を被る)」。後の句は「不識時務」。
あいつの言っていることは「六月裡戴風帽」じゃないか。そこで聞く側は、ああそうか「時務(現状)」を識らないんだな。昨今の日本風で表現するなら、あいつはKY(空気が読めない)ということになるだろうか。

さて、上海地区限定を1つ。
「大舞台対過(大舞台の筋向い)」の対句は「天暁得(お天道様はお見通し)」。往時上海には大舞台という名前の庶民の娯楽場があり、その筋向かいに天暁得という看板を掲げる有名店があった。

かくて、あいつは誰にも判るわけがないと思って悪事を繰り返すが、ありゃ「大舞台対過」だな。そこで上海の庶民は大舞台の筋向いの店が掲げる天暁得の看板を思い浮かべる・・・お天道様はお見通し。
バレバレです。

著者は歇後語を「文人墨客や文豪の作ではなく、芸能界の某が言い出したとかいう薄っぺらなものでもない。
実にその地方の人々に共通な言葉、風俗、習慣、伝説、考え方からそこの大衆に親しまれている小説、芝居はもとより迷信に至るまでの広い分野におけるどれか、あるいはその時代の強い反映を基礎にしているのである。

いわば大衆の英知による巧まざる創作ともいえよう」と定義している。これを判り易くいうなら、庶民の日常生活が生んだ洒落でありクスグリということだろう。

世間をスカし、怒りを躱し、愚痴をクスリと笑い、権威を洒落飛ばす。いわば中国庶民生活の潤滑油でもある歇後語を2000ほど収集し、詳しい解説を施したのが、この本だ。

「一顧すれば三十余年前、昔風にいえば笈を負うて燕京に遊んだとき」に「歇後語を聞かされ面白いものだと思った」著者は、以来、折にふれ燕都・北京で歇後語関連の資料を集めていたようだ。

だが「時局は厳しさを加え遂に終戦、サテ落ちついて本でもと思ったら今度は国府の敗色が日に濃くなって情況一変」。「外国同様不案内の内地生活の数年は夢中で過ごし」、一段落の後、「日本の中国語愛好者に中国語の面白さを是非紹介したいと思い稿を起した」のである。

著者が告白しているように、資料整理・原稿執筆から出版までの苦労は並大抵のことではなかっただろう。
だがこの本を残してくれたことは中国庶民の心根を知る上で後学には大いなる助けとなっていることは確かだ。
感謝不勝。

そこで海外における中国人の昨今を歇後語で表すと、「六月裡的糞缸(夏6月の肥溜め)」がピッタリ・・・「越掏越臭(汲むほどに臭い)」。
評判は悪化の一途ッてことです。
《QED》

(ひいずみかつお氏は愛知県立大学教授。華僑、京劇研究の第一人者)。
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(宮崎正弘の新刊予告)
『上海バブルは必ず崩壊します』(仮題)
 九月十日頃発売、清流出版、予価1680円。詳細は八月下旬のこの爛で告示します。


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『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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 ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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