国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(ウィグル”暴動”から一年)

2010/07/06

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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)7月6日(火曜日)弐
         通巻3014号 
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 「和偕社会」? 政治宣伝は消滅したのか。
   ウィグル自治区の騒擾から一年が経ってウルムチは厳戒態勢
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 7月5日はウィグル「暴動」から一年、中国は省都ウルムチに夥しい軍と警察を投入し厳戒態勢を敷いた。
自動小銃を小脇に警棒をもった漢族の警察らは30人ごとトラックに分乗してウルムチ市内の要所を警戒、新たに4万台の監視カメラも導入された。

過去一年間でウィグル自治区へ投入された「暴動予防予算」は二倍となった。力で押さえ込み、一切の抗議活動は認めない。ウィグル独立運動は「分裂主義者」というレッテルをはって弾圧の対象、ウィグル人の漢族への怨念はますます深まる。

 2009年七月の暴動は華南の工場でウィグル労働者へ差別と弾圧から血の流血事件となり、ウィグル人が殺された。

 一気にウィグル人の民族感情が爆発したのは積年の怨念の堆積があるからで、1951年の侵略以来、数十万といわれる血の犠牲、粛正の後、ロブノール周辺で核実験を強行し、被爆被害は十数万人ともいわれる。
 さらには近年の原油とガスの発見を、漢族が独占してビジネスを展開し、ウィグル人からみれば資源を盗掘されていることになる。

だから華南の事件がたちまちウィグル自治区へ飛び火し、死者200,負傷1700名という惨劇をもたらし、ついには十六年にわたってウィグルを支配した王楽泉・書記(政治局員)の更迭へと繋がった。

 

 ▲事件の真相は封印されたままだ

アムネスティ・インタナショナルは「暴動の原因、死傷者の数の実態、プロセスの究明など独自の調査を要求したが、中国はこれを峻拒した。また多くの質問にたいして中国政府は満足な回答をしておらず、あれが『ウィグル人の暴動だった』とかたづけるのは一方的ではないか」とする(アルジャジーラ、7月6日)。
そうした不満の声が国際間には広がっている。

 じっさいに一年前の暴動はウィグル人の抗議活動に対して漢族が武装してウィグル人居住区や交通人を襲ったもので、漢族の犠牲ばかりが誇張されているが、カザフスタンなどへ逃亡したウィグル人も数万といわれ、また当局に死亡を届けずに「行方不明」などの実態は伏せられたまま。

当局の総括は解釈があべこべではないか、とするのがウィグル人らの訴え。世界イスラム会議などは世界各地でデモや抗議活動を展開した。

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<付記> 読売新聞の現地レポートは読み応えがありました ↓
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100705-OYT1T01124.htm

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  樋泉克夫のコラム  樋泉克夫のコラム  樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム
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  ――毛主席の“有り難い教え”に背いているヤツは、いったい誰だ・・・
  『中国政府継続堅决執行毛主席的革命外交路線和政策』(人民出版社 1976年)                  



全部で12頁。字数を数えると6000字ほど。値段が0.06元の外交パンフレットだ。当時の外交部長である喬冠華が第31回国連総会で行った演説を印刷したものである。

各国代表を前に喬が演説したのは毛沢東の死から1か月ほど過ぎた76年10月5日で、翌6日には北京で四人組が逮捕されている。当時、北京では“毛沢東後”をめぐっての四人組対反四人組の闘争は熾烈を極め、超緊張状態であったに違いない。

「本日、我われ中華人民共和国代表団はこの場に到り、本国連総会に出席することとなったが、いまやまさに我が国各民族人民にとっては、このうえなく深い悲しみの時となってしまった。9月9日、中国人民が最も敬愛する偉大なる領袖、導き手である毛主席は不幸にも逝去された。
毛沢東主席のご逝去は、8億中国人民にとって計り知れない不幸であります。毛主席なかりせば中国革命の勝利はなく、今日の新中国もありえなかった。
毛主席指導による中国革命の勝利なかりせば、世界が今日のような大きな変化を成し遂げることはありえなかっただろう。

この上なく深い悲しみの底に打ちひしがれた中国人民は悲しみを力に変え、毛主席の遺志を継承し、毛主席が切り拓いたプロレタリア革命の事業を最後までやりぬくものであります」と切り出した喬は、次いで「毛沢東主席が深刻に分析し」たうえで提示した「3つの世界に関する偉大な戦略思想」から説き起こした。

――アメリカとソ連の超大国を第1世界、アフリカ・ラテンアメリカなど他の発展途上国を第3世界と位置づけ、その中間にヨーロッパ・日本・カナダなどの第2世界が挟まれているとする。第1世界は最大の圧迫者・搾取者であり、新たな世界戦争の策源だ。第2世界は第3世界を圧迫・搾取する一方で、超大国の圧迫・搾取・脅威をも受けている。帝国主義と植民地主義の圧迫と搾取を最も深刻に受けてきた広範な第3世界こそが帝国主義、殊に超大国の覇権主義に反対する主力軍である――。

これが「3つの世界に関する偉大な戦略思想」の概要だが、喬は米ソ両超大国が進める軍縮を「論評を加える些かの価値も見出せない」とニベもなく否定した後、第3世界における民族解放、朝鮮人民の「自主と祖国の平和統一への正義の闘争」への支持を高らかに表明する。

さらには「長期間にわたって鍛えられたアフリカ人民は冷静な頭脳を持つ。彼らは帝国主義、社会帝国主義が語る耳触りのいい話は信用しない。・・・『万悪の植民地主義、帝国主義制度は奴隷と黒人売買と共に起こり栄えたが、黒人(原文では「黒色人種」)による徹底的な解放によって滅びる』と毛主席が語るように、アフリカの前途は、無限に光り輝いているのだ」と、アフリカの将来を讃えていた。
この演説から30有余年が過ぎたいま、中国はアフリカ各地のみならず第3世界で見境のない資源漁りを、醜いまでに推し進める。

当時は第3世界を自認していたはずの中国だったが、第2世界を軽々と飛び越え、大変身、大々出世、いや大々々膨張。いまや威風堂々と第1世界の仲間入り。かつてのアメリカ帝国主義もソ連社会帝国主義も真っ青の超大国膨張主義路線を驀進中だ。となると態度は、勢い厭らしくも横柄になる。

であればこそ、「国際社会における付き合いにおいて、中国人は断固として、徹底して、きれいさっぱりと、全面的に大国主義を消滅させなければならない」との毛沢東の呟きが、改めて懐かしく思い出されはしませんか・・・ネエ。
《QED》
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  ★読者の声 ☆どくしゃのこえ ☆DOKUSHANOKOE ★読者の声
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(読者の声1)「埼玉の貧農の出」と書いて、近藤勇の出自や出生地で批判を受けております。ウイキを読むべきだったかも知れない。だが、「近藤勇のような強い指導者が必要」との主旨には意見がなかった。
これはどうしたことでしょう? 投稿の要旨よりも故事来歴に関心があるとは? 一億評論家という社会現象でしょうか。
さて昨夜(7月4日=アメリカ独立記念日)、独立祭の花火を見るために、ミシシッピーの最も古い町、NATCHEZに来て泊まった。
南北戦争で死者は、たったひとり。戦火に見舞われなかった。ANTEBELLUMというコットン・プランテーションの巨大な館が国宝となっている美しい町です。100キロミシシッピー河を北上すると激戦場だったVICKSVERGがある。
ユリシーズ・グラント将軍が率いる北軍に丘の上の町が包囲されて、水と食料を断たれた。集中砲撃によって全滅した。150年前の南北戦争も沖縄戦に似ている。
アメリカ人の戦争とは、同国人にも容赦のないものです。幌馬車で西進したときに、老いた親や病死した子供を荒野に埋葬した。「死んだ者はみんなイエス・キリストのもとに帰る」と信じるキリスト教徒の納得なのか、「明日はわが身」と覚悟した開拓者の特徴でしょうか。花火見ながらそんなことを考えていた。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)独立戦争の記念パレードで馬車隊の馬が暴れ出し、アイオア州で21名が死傷したとか。お悔やみを申し上げます。



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(読者の声2)6月15日(樺美智子死亡)と23日(条約発効日)は、日米安保条約改定から五十年でした。
記念切手も出たというのに、マスコミもテレビもちっとも騒ぎませんね。いま改めて先生と西部邁さんとの対談『日米安保、五十年』(海竜社)を手にしてページを改めつつ、安保の本質的議論が我が国に不在であることへの不安を抱いているところです。
  (UI生、神戸)


(宮崎正弘のコメント)西部邁氏が『表現者』最新号で、樺美智子さんとの思い出を珍しく語っています。西部さんを積極的にオルグしたのは樺さんで、それに距離をおいた西部氏は電車の中でも偶然あった。彼女は紛れもなく『活動家』だったことに生々しく触れています。
 ところで日米安保五十年の記念切手、まだ売れ残っていますね。国民の関心のなさを裏付けているようです。

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(休刊のお知らせ)小誌、地方講演旅行のため7月9日―11日を休刊します。ついでながら小生儀、期日前投票は済ませました。
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< 宮崎正弘の最新刊 >
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  ★
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
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 ★
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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 ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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