国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(トルーマンのマッカーサー将軍解任に匹敵)

2010/06/25


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)6月25日(金曜日)弐
         通巻3006号 
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 米国版「田母神事件」、米国政界に悲観的な余震をもたらした
  「アイカンベリー大使とホルブロック特別代表も更迭するべきではないのか」
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 スタンレー・マクリスタル(アフガニスタン米軍兼NATO司令官)をいきなり更迭したオバマ政権が露呈したのは政権内のチーム意識の欠如、とても未曾有の戦争をやっている戦略レベルの人々が、ここまで足並みが乱れている実態を暴露したことは憂鬱なことであろう。

 ベスト&ブライテスト?(うつろな言葉に聞こえますね。ケネディ政権からジョンソンにかけてのベトナム戦争はマクナマラ国防長官の合理主義とウエストモーランドらの軍事戦略との衝突があり、最後は政権内不一致、マスコミの反戦ムードも手伝った米国はベトコンに惨敗した)。

 アフガニスタンを外国軍が統治した歴史はない、とヘンリー・キッシンジャーも書いた。
 アレキサンダー大王もペルシアもチンギスハーンも大英帝国も、そしてソ連も。

 さっそく、ヘラルドトリビューンに辛辣は漫画が配されて、事態を風刺している。
 帰任するためがっかりした表情で輸送機にのりこむマクリスタル現地司令官を遠くの山稜から観察しているタリバン兵士がつぶやく。
「どうやら米軍の撤退がはじめったようだ」。

 「マクリスタル現地司令官の更迭は営々として築きあげた米国とカルザイ大統領との信頼関係を犠牲にするだろう」(トーマス・リックス、新米国安全保障センター、シニアフェロー)。

 マクリスタルはイラク戦争における戦果も華々しく、とくに特殊チームを率いての作戦に幾つかの軍功があり、このため2009年五月にアフガニスタン戦争の最高司令官として赴任した。
前任者はアイカンベリー准将だった。軍の序列から言えば、アイカンベリーはマクリスタル現地司令官の下、それが大使に横滑りして「文民統制」を錦の御旗に新任司令官には協力的ではなく、そのうえ、マクリスタルの機密報告をマスコミに漏洩したのではないか、と噂されている。

つまりマクリスタル司令官とアイカンベリー大使は肌が合わず、鋭角的に反目し合い、ましてやカルザイ大統領はマクリスタル現地司令官を信頼していた。アイカンベリー大使は、カルザイ大統領の閣僚らの腐敗ばかりを報告し、ろくに会おうともしなかった。
(よくいますね。このタイプ。日本の外務省にもごろごろ)。

 アフガニスタン増派を要請し、さもなければ米軍の勝利はないとしたマクリスタル機密報告書は09年8月に提出され、オバマは三ヶ月、その決断ができずにおろおろして、ようやく09年12月1日、陸軍士官学校での演説で要請された四万を三万に削減して、遅ればせの増派を決めたのだ。

 マクリスタルはバイデン副大統領も批判したとされる。バイデンは瞬間湯沸かし器。上院議員時代にもカルザイと夕食会の席で「腐敗を何とかしろ」と大統領に迫り、カルザイが「アフガニスタンには腐敗がない」と答えるとかっとなって席を蹴って帰った。パフォーマンスが目的の安っぽい政治屋と評されても仕方がないだろう。


▲トルーマンのマッカーサー将軍解任に匹敵する出来事だ!

イラクからアフガニスタン・パキスタン問題を包括的かつ専門知識を駆使してアドバイスする大統領特命全権大使的な役割を担うのは、ホルブロック特別代表。だが、かれの評判もまた芳しくない。

だからNYタイムズは社説に掲げてこう言ったのだ。
 「ならばオバマの戦略に理解の浅いアイカンベリー大使と視野狭窄的なホルブロック特別代表も更迭するべきではないのか」(6月24日付け)

マクリスタル現地司令官を更迭したことは朝鮮戦争のおりにハリー・トルーマンが独断専行的なマッカーサー将軍の更迭をきめて以来の出来事。戦争中の最高司令官の更迭は兵士の士気を傷つける。

もっともトルーマンはダグラス・マッカーサー将軍が国民的人気を誇り、大統領候補への出馬の噂もあったことが重なった。
オバマの場合はどうか。
げんに「マクリスタル現地司令官は全米保守層の人気が高く、次期大統領候補におす動きがある」(ヘラルドトリビューン、6月24日付け)。

 さてペトロウス中央軍司令官が当面、アフガニスタン司令官を兼務することとなったが、ペトロウス将軍もイラク戦争の局面を転換させた軍功があり、指導者として尊敬される軍人という。ただし中央軍は中東ならびアジア戦域全般をカバーするのであり、アフガニスタンの戦場には副官が必要だろう。

 ペトロウス司令官はヒラリー国務長官、ゲーツ国防長官とも親しく、毎日6キロを走る体力も保持している強者。

しかしイラクの局面好転とアフガニスタンとは異なる。
これからNATO軍はカンダハルというタリバン聖地に総攻撃を仕掛けるというタイミングで行われた最高司令官交代劇は、見えない影響をマイナス方面に与え、すでに現地軍人の士気に衰えが目立つという。
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  読者の声 どくしゃのこえ DOKUSHANOKOE 読者の声
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(読者の声1)政治系のブログにメキシコ湾原油流出事故についての興味深い記事がありました。
http://kkmyo.blog70.fc2.com/blog-entry-632.html
 「オバマ大統領の英BP社叩きが英国世論の反発を招きアメリカ離れを加速させている」という話と関連して、産経新聞記事『「手抜き工事」「油井には安価な単体のパイプを使っている」』の「安価・手抜き」の主役は韓国の現代重工業だ、とあります。
英米関係はさておき、耐用年数30年の石油プラットフォームがわずか10年で崩壊とはひどいものです。韓国企業の手抜き工事はいつものことですが、韓国国内のデパートや橋の崩落、パラオやインドの橋の崩落、台湾新幹線の韓国企業受注工区の手抜き工事による開業遅れなど枚挙にいとまがありません。
台湾で近郊電車に乗ったとき、走行中、開け放したドアにチェーンが張られている車両がありましたが、韓国製の車両でドアが閉まらなくなるトラブル多発とのことでした。インドネシアでも都営地下鉄の中古車両がバリバリ現役で走っているのに韓国製の新車はすぐに故障してお蔵入り。
韓国企業は中東の原発も受注していますが、手抜き工事でメルトダウンなどといった状況だけは勘弁してほしいものです。
  (PB生)


(宮崎正弘のコメント)1990年の湾岸戦争が始まった折、イラクへの空爆の報道に接するや、拍手喝采したのは韓国のゼネコン関係者だったと、直接、工事に携わった人から聞いたことがあります。
なぜ?「これで手抜き工事がばれずに済む」ってわけです。



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(読者の声2)前号貴誌の在仏華人のデモですが、在日華人らが発行している中国語メディア(たとえば「連合週報」647号)等によれば分析は真っ逆さま、中国人が外国人排斥でしばしばスキンヘッドやフーリガンに襲撃をされるので、治安をよくして欲しいという要望のデモである、と書いています。如何に?
  (YO生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)「連合週報」、小生も愛読しています。「半月文適」も。これらのメディアは中国語で書かれており、在日中国人を鼓舞する目的と中国人コミュニティにおける消息、不動産情報などが主で、国際情勢は新華社など管制報道に準拠している。だから官報のような分析にもなる。
 おしなべて反日基調で退屈な記事も多いのですが、それより面白いのは「半月文摘」(6月23日号)にでた辛口の中国人批判。これが辛辣です。
 「日本の新首相の家が借家だって知っているかい? 中国の政治家トップはふたつもみっつも豪邸をかまえ、外国にも別荘をもっているっていうのになんと日本人は清廉だろうか」と共産党幹部批判になっているからです。
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(休刊予定)小誌は明日6月26日―30日が休刊となります。7月1日付けより再開。
(編集部より)ご投書、ご意見も同日付け配信分からの掲載となります。
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