国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(李鵬回想録、出版を突如中止)

2010/06/22

●小誌三千号突破記念特大号
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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010)6月22日(火曜日)
         通巻3002号 <今号も特大号>
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 李鵬(元中国国務院総理)の『六四回想録』、突然出版を中止
  息子の李小鵬が山西省の常務副省長に出世と取引説もあるが。
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 李鵬は評判の悪い男だった。
 ソ連留学、共産党の権威を振りかざし、天安門事件では血の弾圧を主張した張本人として民主派の敵、国民の怨嗟の的とされ、海外でも評判は低い。

 それゆえ対照的に趙紫陽の評判が実力以上にたかくみられ、温家宝はその恩恵にあずかって評判がすこぶる良い。李鵬を反面教師として、庶民派のイメージを腐植するコツを温家宝は体得したからだろう。

 さて李鵬は三峡ダムの推進者としてもしられ、軍の評判も悪かった(人民解放軍が三峡ダム建設に反対したのはインドが攻撃した場合、脆弱で下流全域が洪水となるためだ)。
しかし、中国の電力利権をにぎる李鵬にとっては死活的プロジェクトだった。

 天安門事件前後に、ときの首相=李鵬に対して、ジミー・ライは言った。
 『李鵬の頭は亀の卵だ』(なにも考えていないという軽蔑の形容)。ジミーは香港で「りんご日報」を出し、ファッションのジョルダーノ(中国版ユニクロ)を経営、中国でもいくつかのチェーン店を展開していた。ジョルダーノは放火され、けっきょくジミーは、ジョルダーノを売却せざるを得なかった。

 学生運動の主役だったウアルカイシは言った。
 「李鵬がもっとも学生運動に理解がなかった」。

 さて李鵬の回想録『六四回想録』は香港で二万部が初版で用意され、発売直前だった。なかみは『天安門の弾圧は私が命じたのではない、トウ小平だ』という釈明に溢れたもの、と言われ、そういう言い逃れの表現がいかになされるか、チャイナウォッチャーの間には興味津々、発売が待たれていたのである。

 ところが6月21日、突然、香港での出版が見送られる。
 同じ日に息子の李小鵬が山西省の副省長から常務副省長への昇進が伝わった。李鵬は成都生まれで、米国留学。ビジネスに通じ、観光業にも意欲を示すが、国民の評判は悪い。現在51歳。
だから李鵬回想録の出版中止は、この人事との取引とする観測が有力だが、さて?

 というのも、李小鵬は湖南省副書記をねらって猟官運動を展開していた形跡があり、すくなくとも湖南省長に昇格という噂が流れた(博訊新聞網、4月24,25日)。

 湖南省といえば毛沢東の故郷、李小鵬がもし省長ということであれば、団派からは周強が省書記に任命され、両派のバランスをとる人事が予測された。
 ところが『省長』は見送られ、現職の副省長に「常任」が付いたくらい。これを出世とみるか、馬鹿にされたと見るかは、内部の権力闘争の評価により見解が分かれるだろう。

 李小鵬のいる山西省は仏教観光の名所、五台山をひかえ、北の大同は石炭ビジネスの中心、北京にも近い要衝である。
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  読者の声 どくしゃのこえ DOKUSHANOKOE 読者の声
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(読者の声1)「消費税増税外圧を鵜呑みする菅内閣の稚拙  先ず3%成長の4年持続を達成せよ」

 ◆菅首相の「変節」
菅首相は、7日に「早期に結論を得ることをめざして、消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始します。」とした参院選向けの民主党マニフェストを発表するとともに、記者会見で「税率については自民党が提案している10%という数字を一つの参考にさせていただきたい」と述べ消費税増税に向け舵を切った。
 財務相に就任当初の正月には、「逆立ちしても鼻血も出ないというほど、完全に無駄をなくしたと言えるところまできた時に(増税の)議論を行って」と述べていたのと比べれば180度の変更、変節といえる。

 事業仕分けで当初思っていたような無駄の削減が達成できていないことに加え、大馬鹿だと公言していた財務官僚に国会答弁で経済の基礎知識を知らず右往左往したのを助けられ屈服したこと等がこの変節の原因であろう。
 また、8月期限で具体化させなければならない普天間米海兵隊基地の辺野古移設から世論の目を逸らさせるつもりであったり、小沢前幹事長の仕掛けるであろう政界再編の機先を制して自民党との大連立の芽を作っておくこと等の計算もあるのかもしれない。

 だが、一番の原因はギリシャを発端とした各国財政危機問題と関連付けられ、日本の巨額財政赤字が26日からカナダ・トロントで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)で、槍玉に挙がることを恐れたようだ。初の国際会議で、華々しいデビューが出来ないことに首相の高いプライドが許さなかったのだろう。
 既に国際通貨基金(IMF)が5月、「日本政府は2011年度に財政再建を開始し、消費税を徐々に引き上げる必要がある」との声明を発表したほか、フィナンシャル・タイムス等の海外メディアからは、日本が消費税率を早急に上げるべしといった論調が目立ち始めている。日本の巨額債務が、望ましいことではないのはその通りであるが、日本には日本の事情がある。

◆増税前にすべきこと
先ず、日本の経済構造は依然脆弱である。
名目3%の経済成長を達成し4年間は持続させて見せて、リーマンショックからの今年度の立ち直り効果等だけでない、しっかりした経済構造を確立しそれを証明する必要がある。18日に閣議決定された『新成長戦略〜「元気な日本」復活のシナリオ〜』は、医療・介護分野に重点が置かれ過ぎるきらいはあり、時系列の優先順位が示されず戦略性が弱いが、アイデアのインデックスとしては悪くない。
これを戦略性に基づいた指導力で実行して行けば、3%成長の4年間継続は、決して不可能な数字ではない。

次に、事業仕分けは未だ本格的に総額200兆円といわれる特別会計に切り込んでいない。また、国会議員定数削減と国家公務員賃金削減も手付かずである。
これらは地方自治の原則はあるが、何らかの仕組みによって実質的に地方にも広げて実施すべきであろう。
例えば米国では、基礎自治体の議員は定員も少なくボランティアに近い報酬である。
日本の公務員賃金は地方を含め32兆円と言われる。欧米と比べると、公務員の賃金水準は高く逆に公務員数は少ないと言われる。例えば、公務員賃金を3割減とし逆に員数を1割増やすことも考えられる。特別会計も年金会計を含んだり、公務員に自衛隊や警察官を含んだりとかの事情は当然考慮しなければならないが、「仕分け」をした上で削減を進める必要がある。

加えて、国と地方を合わせて1000兆円に届くといわれる債務の一方、少なくとも数百兆円の資産があるといわれている。
これを処分しての債務との相殺も進めるべきだ。

◆主体性なくば国滅ぶ
民主党マニフェストでは、「強い経済、強い財政、強い社会保障、好循環のニッポン」と謳われているが、その実行順序が明示されていない。
 観察するに、菅首相は経済ブレーンと言われる大阪大学教授小野善康・内閣参与の理論に影響され、「増税しても適切な分野に財政支出すれば経済成長する」と繰り返し述べているように恐らくは増税から始めるつもりでいる。
小野理論は誤りとは言い切れないが、現実的にはお金に色が付いている訳ではないから、予算編成の過程で増税分の用途は財政赤字への補填と混じり合い結局はトータルで緊縮財政になってしまうだろう。
世界各国で、増税で経済成長した事例は少なくとも現代史の中にはない。
増税優先で進んだ場合、かつての「橋龍不況」を持ち出すまでもなく足腰の脆弱な日本経済はほぼ確実に大不況に陥る。
 欧米からの増税圧力について、特に米国は自国の巨額赤字をファイナンスするために日本に増税させた分で米国債を買わせようとしているという見方もある。
多分これは当たっているのだろうが、日本経済を潰しては元も子もなくなるのだから、悪意を持っての増税圧力とまでとは言えない。
しかしIMFも含め増税で日本経済が上手く行くと正確にシミュレートして忠告して来ている訳ではなく、その結果日本経済が破綻しても責任を取る立場にない。
 要は当然のことながら日本政府がこれらの「圧力」を咀嚼して、主体的な経済国家戦略を立てるべきである。
 菅首相には、上述のように増税外圧や小野理論の鵜呑み、財務官僚への急接近や「10%税率」を借用し、当の自民党から「おんぶお化け」と言われたように少なくとも財政政策には主体性が全く感じられない。主体性がなければ、如何なる国も滅びの淵にある。
 筆者は、この紙面で菅首相および今回の消費税増税計画の実質的な責任者である玄葉光一郎特命相兼民主党政調会長に3%成長の4年持続を、消費税増税のための最低条件として公約することを要求する。
(KS生、千葉)



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(読者の声2)20日日曜日夜、NHKの「プロジェクト Japan(皇民化政策の時代)は、今までの三回の放映の中で最悪のものでした。韓国の放送局が作成したかと見まがうばかりのものです。
全般にオカしいのですが、特に創氏改名と従軍慰安婦の件は、歴史歪曲を通り越して歴史捏造です。以下の質問をNHKに送りました。
「放映内容について二、三質問いたします。
1.創氏改名についてですが、このシリーズの第二回目の放映内容についての質問に対し、NHKは、「(日本風氏名を)強制したとコメントしておりません。そのような法律、命令はありません。有名人、有力者で朝鮮名を名乗り続けた人が可成り居たことを知っております」などと回答されております。しかし今回第三回の放映で、韓国人が「名前を奪われた」と語ったことに対し、何らコメントを加えず垂れ流しにしており、後の方でも創氏改名を話題にしております。
そこで、確認しますが、NHKは当時の朝鮮人に日本風の氏名を強制したと考えるのか、強制はしなかったと考えるのか明確な回答をお願いします。

2.従軍慰安婦という文字を映像の中で示していますが、所謂従軍慰安婦と言うことが事実であるという検証された証拠を教えて下さい。
今まで証拠とされたことのほとんど(例えば、吉田某の本)は虚偽であるか、女子挺身隊と混同しているかであることが分かり、中学校の歴史教科書からも従軍慰安婦の記述が無くなっていると理解しておりますが。NHKは、従軍慰安婦があったという立場ですか。明快なお答えを期待します」。

私は引き続きNHKに質問を浴びせるつもりですが、皆さまもそれぞれ出来ることをお願いします。
(MS生)



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(読者の声3)下記案内の通り、内モンゴルにおける文化大革命の実態を、体験者の証言を軸に克明にたどり、自身や家族の経験も交えてつづられた大量虐殺の記録、「墓標なき草原」の著者、楊海英先生(モンゴル名オーノス・チョクト、日本名は大野旭)の講演が添付案内の通り、岐阜大学モンゴル歴史研究会で聴講出来ます。
http://www.lupm.org/japanese/pages/100618j.htm

(岐阜大学モンゴル歴史研究会のお知らせ)
 皆様のご支援のお陰をもちまして、このたび下記の要領で、第3回目の岐阜大学モンゴル歴史研究会を開催する運びとなりました。
モンゴル民族が自らの歴史を知るべきであるのは当然のことですが、中国での学校教育の中では、ほんの僅かな出来ことしか教えられてきませんでした。しかし現在、経済発展を唯一の目標とし、金銭と権威の獲得を至高の目的とする中国社会の中で、歴史を始め生活習慣から言語まで、モンゴル文化のすべてが忘れ去られようとしています。
こうした中で、この異国・日本においても、モンゴル民族の未来を憂える先生たちがおられ、モンゴルの歴史をモンゴル民族に教えて下さることは誠に幸運であり、本研究会はお互いを切磋琢磨する極めて貴重な機会と考えます。

今回は、静岡大学人文学部教授の大野旭(楊海英)先生が足をお運び下さることとなり、岐阜大学大学院連合農学研究科博士課程のジリガラ氏の研究報告を交え、有意義な研究会になるものと確信いたしております。皆様、どうかふるってご参加頂きますよう、ご案内申し上げます。

日付:2010年6月26日(土) 午後1時〜午後4時
場所:岐阜大学応用生物科学部101教室
内容・時間:
開会挨拶 研究会顧問・天谷孝夫(岐阜大学応用生物科学部)
研究発表 ジリガラ「最後の遊牧帝国・ジュンガルとその後裔たち」<13:05〜14:00>
講演   楊海英「ジェノサイドとしての中国文化大革命ー内モンゴル自治区の事例から」<14:10〜15:30>
総合討論 <15:30〜16:00> 閉会挨拶 ジリガラ

 講演者紹介:楊海英 モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。1964年、内モンゴル・オルドス生まれ、北京第二外国学院大学日本語学科卒業、89年来日、国立民族学博物館・総合研究大学院大学博士課程修了、博士(文学)。主な著作に「草原と馬とモンゴル人」2001年、「モンゴル草原の文人たち」2005年、「モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料(1)−滕海清将軍の講話を中心に」2009年、「墓標なき草原」(上、下 岩波書店2009年)などがある。
 連絡先:天谷孝夫(090-4794-6392)、アリチア(080-3652-0935)

 参考までに『墓標なき草原』(上・下、内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録)。著者:楊海英(大野旭、オーノス・チョクト)。出版:岩波書店。
書評を「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」(2009年)12月28日(月曜日)通巻2822号(12月27日発行)より下記に引用します。
「樋泉克夫のコラム   ―野蛮で残虐で酷薄な「赤い漢人」への尽きない憤怒、『墓標なき草原(上下)』(楊海英 岩波書店 2009年)」
(引用開始)
内モンゴルでの文革をGenocide on the Mongolian Steppeと捉える内モンゴル出身の著者は、中国共産党の“植民地”と化し漢族に蹂躙されるがままの内モンゴルの悲劇を、モンゴル人へのインタビューを交えつつ、歴史的に明らかにする。なにはともあれ、著者の見解とモンゴル人たちの心の叫びに耳を傾けてみよう。(なお▲は著者の見解。●は証言)。
▲アヘンは中国共産党の軍資金になる。国民政府の軍隊が前線で日本軍と死闘を繰り広げていた際、共産党はアヘン製造に集中していた。・・・延安で女性を抱いていた。
●モンゴル人はひどい国に編入されたものだと思いました。飢餓なんて、満洲国時代には
なかったですもの。
▲共産党は・・・延安にいたころから、国民政府の兵士たちが前線で日本軍と死闘を繰り広げていたころは、ソ連から伝わったヨーロッパ式のダンスパーティーに興じていた。
●私は生き地獄をみました。(漢人によって)目が失明させられた者、腕や足を切断された者、そして頭の中なかに釘を打ち込まれた人など、言葉では表現できない惨状でした。
▲(文革時も)モンゴル人を殺害する行為は革命行動として推奨されたのである。
●あの時(日本統治下)は本当に良かった。知的な青少年が集まって、近代教育を受けて立派な人材になって・・・今や日本統治時代を評価しないけど、事実は事実です。
▲(騙されて共産党に参加させられた解放軍に編入させられた内モンゴル兵士は)朝鮮戦争の際には最前線に立たされて人海戦術の消耗品となった。
▲(日本統治時代の興安女高の写真への解説。袴姿の凛々しい日本人女性教師・堂本修を囲むようにオカッパ頭・セーラー服・スカートの8人のモンゴル人少女。撮影は1939年)「先生はとにかくもモンゴル人に優しかった」、「私たちもなんと幸せな顔をしていたのだろう」、と日本統治時代を経験したモンゴル人たちは証言する。1949年10月1日以降、彼女たちはことばでは言い尽くせない苦難を嘗め尽くした。「幸せなモンゴル人」たちに笑顔がなくなった。
▲現代中国で「人民の良い総理」(人民的好総理)と謳歌されている周恩来だが、まったく無関係にモンゴル人指導者たちに、革命大衆の憎しみの矛先を巧妙に転換させようとしていることが分かる。
▲内モンゴル自治区でも「封建的な残滓」とされた民族衣装を漢族の人たちがまとい、「モンゴル人」と「朝鮮人」を演出した。この「伝統的な演出」は2008年に開かれた北京オリンピックの開幕式でも踏襲された。
●中国の漢人たちは確かに、ここ数年で豊かになってきました。しかし、我が内モンゴル自治区は(漢族に)略奪されつづけています。モンゴル人たちは極貧生活を強いられています。極貧生活を送るモンゴル人たちが少しでも自己主張をすれば、たちまち民族分裂主義者だと批判されてしまいます
●今のモンゴル族は中国の奴隷にすぎません。
もはや多言は不要。それにしても、こんなにも過激な反中姿勢に満ちた“告発本”が、しかも岩波書店から出版されたのである。流石に岩波だ。やる時はやるもんだナッ」
(引用とめ)
以上
(MU生、足立区)



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(読者の声4)貴誌通巻3000号 おめでとうございます!
当該号の(読者の声2)「貴誌の中国報道ならびに分析は、大手マスコミに殆どでないニュースが多く、有益です。中国通といわれる人が、商社にも多いのですが、かれらは中国語屋か、文献派で、しかし視野狭窄のわりには誇りだけ高い。保守陣営の中には、中国の要人の誰を識っている、あれを知っていると変な自慢もする輩も目立ちますが、そうした皮相な環境のもとで、派に衣を着せぬ貴誌の中国報道ならびに分析に今後も期待します」(引用止め)

『文藝春秋』7月号に丹羽宇一郎(前伊藤忠商事相談役、次期在北京日本大使)が「2015年、中国バルブに日本の勝機あり」と寄稿しています。
概略は(1)中国の「バブル崩壊」はないし、これからも成長しつづける。(2)中国の経済成長を活用することで日本は経済大国に復活できる (3)中国の高度経済成長はあと5年くらいで終わるが、2015年頃から成長率4〜5%の中位安定経済成長」期に入るだろう、この中位安定期は35年間ほど(2050年まで)続くだろう。(4)共産党一党独裁体制は長らく中国経済の弱み(チャイナ・リスク)と見られてきたが、現在までの高度経済成長はこの一党独裁の「強み」があったからこそ成し遂げられたものである。中国は今、国自体が一つの巨大な企業となって、経済成長に邁進している。その経営をしているのが共産党だと捉えるべき(=国家資本主義)。(5)2015年から沿海部に出現する高品質の商品やきめ細かいサービスを求める巨大な消費市場が出現し、それを制することができるのが日本企業である。(6)日中韓がひとつの巨大な市場となれば(東アジア共同市場、FTA)、日本が東アジアのビジネスセンターとして世界経済に返り咲くことも可能だろう」
などと経済面のみに言及した、「日本にとっての中国(市場)の有用性」を強く説いておりますが、かねてより日本企業の過度の中国傾斜に警告を発してこられた宮崎先生と、この次期日本大使丹羽氏の予見をどのように判定されますか? 
(KI生、尼崎市)


(宮崎正弘のコメント)くわしく反論するには当該『文藝春秋』の論文を読んでからにしたいと思いますが、基本的にこれが日本政府、外務省、財界の多数意見とかんがえて差し支えないと思います。



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(読者の声5)仕分け仕分けの民主党は国益をそこなう選択もした。
 「はやぶさ」の後継機に必要とされた今年度予算額17億円、民主党政権はこれを5千万円に削り、蓮舫氏は更に「事業仕分け」で3千万円に削った。その為、後継機製造に着手できなかった。
 地球から小惑星に打ち上げる為には4〜5年後に打ち上げないと、その後10年以上打ち上げられなくなる。直ぐに製造を始めないと間に合わない。しかるに鳩山氏が母親から受け取った「子供手当」は12億円余。小沢氏が「組織対策費」として支出した使途不明金が22億円余(「文藝春秋」7月号)にのぼる。
 「はやぶさ」後継機を仕分けする前に、民主党は自らの体質を「仕分け」すべきではないか。
(KY生、茨城) 


(宮崎正弘のコメント)鳩山さん、追徴金支払いの時に周囲から「田園調布のお屋敷を売却してください」と迫られたら、「税金はいくらかかるの?」「六億円くらいかと」「あ、それくらいなら売らなくてもある」と言ったとか。
 お坊ちゃま総理も、ここまでくると無神経鈍感、無責任の典型ですね。
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前提なき消費税上げは、本質隠しだ
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西村真悟のコラム
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 前提なき消費税上げは、本質隠しだ


 ▲鳩山政権の疑惑、混乱は関係ない、と置き去り

菅内閣の、猫騙しが効を奏しつつあるようだ。消費税上げである。
菅氏は、突如この議論を掲げることによって、鳩山内閣以来のつい最近つまり今月の懸案、疑惑、混乱そして無責任、無能ぶりを全て「関係のない過去のもの」としておき去り、「責任ある政治の議論」に取り組む内閣という姿を演出している。
安倍晋三内閣の時を振り返って欲しい。閣僚の議員会館の「水道代」や「交際費」問題だけで、連日新聞一面がつぶされていたではないか。この数倍の額の「偽装事務所費」問題が菅内閣の複数の閣僚にあるのに、予算委員会を回避して、参議院選挙に突入するや、マスコミの飛びつく「消費税上げ」をぶち上げ、新聞一面に数日間登場させている。

菅氏から、論戦を呼びかけられている自民党も、哀れである。その論戦にのっている。従って、菅氏が党派の為ではなく、また、選挙に有利不利を離れて、「国のために選挙戦をする責任ある与党」であるという姿を演出することに協力している。

さすが、市民運動家上がり(or崩れ)である。菅氏なかなかやる。しかし、はっきり言う。この菅氏の消費税議論のぶちあげは、騙しである。まじめに、取り上げてはならない。以下、述べる。

そもそも、消費税の値上げは、何のためにするのか?
「福祉に10兆円足りないから消費税を10%に値上げして福祉の財源とする」ということである。目的は、10兆円の財源を得ること。では問う。今、消費税を上げて税収が増えるのか。
答えは、税収は増えない。
何故なら、今、消費税を上げたら、国民の消費意欲が落ち込み、消費が減退するからである。消費が減れば、消費税値上げは画に描いた餅どころか、景気をも減退させる「毒」となる。
また振り返って欲しい。即ち、自社さきがけ連立の橋本内閣時代。消費税を3%から5%に上げたが、税収は2%分増えたのか。消費が落ち込んで消費税収は増えるどころか以前よりも減ったではないか。この時、菅氏は自社連立内閣の閣僚で今の政権の他の者も自社連立の与党にいた。覚えているはずだ。

同時に、菅氏は、法人税を引き下げる、と中小企業を喜ばせることを言った。企業経営者は歓迎する。
だが、待て。
企業は何が原因で倒産するのかを考えるべきだ。

企業は、消費、需要が減ったら倒産する。従って、消費税アップでさらに消費を冷え込ませて、企業倒産の危機を造っておいて法人税を引き下げられても無意味ではないか。以上、菅氏の議論は、自民党時代から陥っているスパイラルのなかで、選挙用にショッキングな議論を仕掛けて、他の本質的議論に国民の目がいくのを巧みに回避しているだけである。


▲すべて菅は隠して答えないではないか

菅内閣は、外国人参政権をどうするのか。夫婦別姓をどうするのか。東アジア共同体を推進するのか。国防をどうするのか。隠して何も答えない。よって消費税アップは猫騙しだ。それも、仮に実現してしまえば、日本経済をさらに冷え込ませる有害な手である。

そこで、自民党時代から陥っているスパイラルとは何か。
それは税収不足だから、増税か国債発行かという二者択一の発想である。この発想で、自社連立時代から現在まで15年、何が良くなったのだろうか。失われた10年が、失われた20年になってきただけである。今、必要なのは、このスパイラルからの脱却だ。
それはあっちの税率を上げ、こっちの税率を下げる、また、国債をどれだけ発行するという、ちまちました官僚的技術ではなく、大きくGDP(実質所得水準)を大幅に増大させる政治的決断である。

現在の日本経済は、巨大なデフレに苦しんでいる。デフレとは、企業の供給力は十分にあるのに、需要が伸びないために、製品が売れない、失業者が増える、という情況である。
このデフレからの脱却とは、国民の消費、需要を活性化させて、企業を完全操業、完全雇用に近づけていくことである。
その為には、政府が巨額の資金を公共事業に投入することが必要となる。
その財源は、それこそ、我が国政府がもっている「政府貨幣発行特権の発動」である。
この決断は、官僚の領域ではなく、本当の政治家の決断の領域にある。巨大デフレのもとでの政府貨幣発行は、インフレにはならない。安心して決断せよと言いたい。

ところで、この発想は、民主党の発想のまさに逆である。民主党は、「事業仕分け」と称して、タレントのように気取った素人が、投入する税を削り、流れる金を減らしているからである。これを得意になってしているので、ますます消費が減る方向に圧力がかかっている。そして、その上で消費税率を上げてさらに消費を冷え込ませようとしている。

従って同じ悪いスパイラルに陥っているといっても、民主党は自民党よりさらにたちが悪い。このまま続けさせれば、日本経済崩壊の元凶になる。しかし、責任は取らない。
では、今、巨額な政府貨幣を発行して何をすべきか。
それは社会資本の充実、国防力の増強、科学技術、学芸、学術の振興、自然環境の改善、乱開発で消滅した歴史的風土・景観の回復などである。
 
先日、小中学校の校舎の耐震構造を改善するとの施策が伝えられた。そこで、言いたい。
政府は大地震が来ることを想定するなら、何故核攻撃を受ける確立を想定しないのかと。
耐震構造では、核攻撃から児童生徒を守れない。しかし、核シェルターなら、核からも安全で地震からも安全である。

従って全国民が、核から身を守れる核シュエルターを全土に建設することを提案したい。スイスは、これを実行しているではないか。これこそ、国民の命を守り、同時に巨額の有効な公共事業となる。そして、総需要を喚起する。
日本は二度、核を落とされた国である。そして、現在、三度目の核を落とされる確立が世界で一番高い国である。一石三鳥ではないか。
また国防力の増強は、我が国の総需要を一挙に喚起すること確実である。また、ハブ空港の建設も有効である。
その他、官僚の領域ではない、政治家の決断の領域に、巨大な総需要喚起策が眠っている。


▲消費税問題を本質的に論じていない

菅氏の選挙用に掲げた消費税率アップの議論に飛びついてはならない。国民の実質所得水準を大幅に引き上げるという発想と実行の意思なき消費税引き上げは、既に経験済みで明らかなように、消費を減退させて日本経済をさらに弱めて倒産相次ぐ取り返しの付かない経済崩壊にいたる。そして、また言う。彼らは、その責任を取らない。それが、市民運動家の本領である。

そもそも宮崎では口蹄疫病で、現在人の集会ができない。人が集まることができない。
選挙ができる状態ではないではないか。即ち現在、宮崎だけの問題ではなく、このままでは、我が国の畜産が潰滅するという国家的重大問題に直面しているのである。
しかし菅内閣は、国会の予算委員会での追及を避けるために、国会を閉会させて早期の選挙を実施する。
この首相は、偽善者である。
国民のことを考えず、自分の「運動」だけが大切な「国家と国民なき市民」運動家である。

次に、今こそ適切な、西郷南洲の遺訓をご紹介したい。
「政の大体は、文を興し、武を振るい、農を励ますの三つにあり。その他百般の事務は皆此の三つの物を助くるの具なり。」
「租税を薄くして民を裕にするは、即ち国力を養成する也。・・道の明らかならざる世にして、財用の不足に苦しむときは、必ず曲知小慧の俗吏を用い巧みに収斂して一時の欠乏に給するを、理財に長ぜる良臣となし、過酷に民を虐げ・・・。」

西郷さんが今おれば、政府貨幣発行特権を行使して、必ず、文を興し、武を振るい、農を励ます、であろう。これが、「政治の大体」であり、戦後の我が国に一番欠けていることだからである。
またタレントのようにテレビで得意になっている「仕分け人」を見るとき、そして、市民運動家の街頭での顔を見るとき「曲知小慧の俗吏」とはこれかと思う。いまは、まさに「道の明らかならざる世」である。

最後に、また言う。菅氏のふっかけた消費税上げ議論は、政治問題の本質から目を逸らさせる為の「俗吏」の知恵であり、自らの本来の目的である、「日本解放」(日本解体)を国民に隠して選挙を乗り切るための騙しである。
(了)
(にしむらしんご氏は前衆議院議員)

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日本保守主義研究会の『澪標』60号が刊行されました
内容は下記の通りです。

巻頭言 石平 出陣学徒慰霊祭に参列して〜靖国の意味を再認識する
シンポジウム  出陣学徒の精神 桶谷秀昭 井尻千男 佐藤優 岩田温
桶谷秀昭  思想と思想者〜回想の人々
早瀬善彦 諸外国における外国人参政権導入の経緯とその実態
西尾幹二 三島由紀夫の死と私 第二回
岩田温  国民国家の形成〜外国人参政権研究序説〜
書評   『保守主義とは何か』

いずれもかなりの分量のある力作揃いです。「情報殻思想へ」を編集理念として掲げる編集部としては、満足のいく内容になりました。
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『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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 ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
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