国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(ユーロ危機は去ったか?)

2010/05/12


●小誌愛読者16050名!
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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成22年(2010年)5月12日(水曜日)
          通巻2964号 
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 ユーロの危機に一兆ドルを協調融資(日米も欧州中銀に協力)
  しかし、これでユーロの危機は去ったと言えるのか?
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 ギリシアが困窮している債務の総額は、ドイツのGDPの1%にも満たない。
 だからメルケルは消極的だった。ギリシアは自助努力をするべきだ、と。

 統一通貨ユーロは十六カ国が加盟する。拙著『ヨーロッパの悪夢』(カッパブックス、絶版)で述べたように、「通貨発行は主権行為。これを放棄しての統一通貨は政治統合が無ければ実現しない」のである。
 すなわち、「ユーロの罠」が待ち受けている、と予測した。

 ようやくにして欧州中銀は日米の強い後押しもあって、緊急融資一兆ドルに合意した。
「これは欧州中銀の路線の百八十度変更、或いはUターンであり、昨秋の危機発生以来、初めての決定的行動であり、従来、欧州中銀は加盟国の国債は買わないと言ってきた姿勢を転換したのだ」(バーナビ・フィリップス、『アルジャジーラ』、5月11日付け)

 「ユーロの罠」というのは、政治統合なき通貨統合は基本的矛盾であり、一つの加盟国のデフォルトが全体を揺らし、ギリシアが債務不履行に陥れば次はスペイン、ポルトガルに連動し、さらにイタリアを襲う。しかもギリシアもスペインも自国通貨を消滅させた以上、独自の通貨切り下げが出来ず、輸出競争力回復による独自の景気回復策に手が打てないからだ。

 しばしの危機は先送りされたが、基本的危機を内包したままである。
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(旧満州紀行)

                         樋泉克夫


――「北満洲の国境(くにざかい)」は全中国の縮図だった
               愛国主義教育基地探訪(その2)



空路で北京から黒河空港へ。流石に国境近くの空港だけあってロシア人客も目立つ。もっとも、何の変哲もない田舎のチッポケな空港ターミナル・ビルを物珍しげにデジカメで写しまくる日本人の方が目立っていたのかも知れない。

荷物を受け取り係官の横を通り空港の外へ。ふと横を見るとロシア人女性が係官に盛んに抗議している。あるいは彼女は運び屋で、これから別室での荷物検査が待っているのか。だが、蛇のみちはヘビ、いや魚心あれば水心ともいうではないか。おそらく国境の街では日常的に繰り返されているありふれた光景なのだろう。

空港ターミナルにA4の大きさの白い表紙の冊子が置かれていた。表紙には鮮やかな真紅の文字で『黒河市人民政府公報 2010 第1期(総第12期)』と。目次には「宣伝政策 指導工作 関注民生 服務社会」と漢字4文字句で公報の目的が記されている。巻頭を飾るのは市長の掲げる「五明確・三要」なる施政方針だ。毛沢東時代以来、上は北京の中央政府から下は地方政府まで指導者・幹部と称せられる人々は数字を入れた政治的スローガンを掲げ、人民を指導するのがオ好きなようだが、これまた中国で上に立つ人々に共通する“性癖”とでもいっておこうか。

ところで、肝心の「五明確・三要」だが、それを要約すると、!)建設目標、!)建設任務、!)建設責任、!)完成期限、!)賞罰措置――を明確にし、!)建設(計画から施工まで)全般における公正性と透明性の確保。!)建設過程での無駄排除へ向けての関連各部門の連携強化。!)建設に関するムダな資金運用を排除するための金融部門との連携の確立――。

この方針を素直に裏読みすると黒河市ですら、政府各部門で公金をジャブジャブ使った無駄で気儘な建設が横行しているということ。
いいかえるなら高度経済成長の波は国境の街を潤し、野放図な建設ラッシュを巻き起こし、公金が右から左へと奔流のように流れ、幹部や業者の懐を大いに潤していることだろう。これを持てる者の贅沢な悩み、というのか。

市長の姿勢やヨシといいたいところだが、「上に政策あれば下に対策あり」の社会である。これまで、この種のスローガンがそうであったように、この「五明確・三要」もまた、市長はいいっ放し、市長以外は聞きっ放しで終わる可能性は大だ。

巻頭言の次に置かれたのは、「在全市金融機構表彰大会的講話」。つまり今年2月3日に行われた黒河市の金融機関の表彰大会における市長の講話の全文だ。

些か長文だが、簡単に骨子を挙げれば、!)全市の経済発展と金融機関の有機的連携を強化し、!)国全体の経済情況を把握し、!)金融機関の地方経済発展に対する貢献度を増し、!)黒河市の信用を高めて公正・公平な建設を目指し、!)金融機関に対する関心と支持を大いに持つべきだ――。

そして「銀行と企業の対接会(マッチング)を定期的に開催し、銀行と企業の合作のための基盤を作り、銀行と企業の相互信頼を促進し、三方共贏を実現させる」とした後、最後を「同志諸君、我われの共同の努力を通じ相互の支持・協力を確立し、新しいスタイルの政府・銀行・企業の合作関係の発展を互いに模索し、黒河の発展のために更なる貢献を成し遂げようではないか」と結ぶ。

「三方共贏」を正確に訳するなら、政府と銀行と企業とでテキトウにヨロシクやりましょうや、である。
やれやれ、楽しみな旅となりそうだ。
                      (つづく)
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(読者の声1)貴誌通巻2961号に英国の下院選挙に関して「『保守新党』などが伸びず、結局のところ、小選挙区制のひずみから、二大政党に収斂されてしまうという投票動向は変わらないということである」と書かかれました。
私は、この度自民党の議席獲得数が減ったことは、英国民の投票動向の大変動が根底にあると思います。党首に人気が有り、政党支持率が上昇しても、候補者の得票に結びつかないということが今までの英国の投票動向からの大変動です。
以前私が英国に住んでいたころは、英国人はたとえ猿が候補者でも支持政党の候補者に投票すると言われていました。今回の選挙では労働党の候補者でも議員経費の不適切な使用で問題となった議員が多く落選するというように、選挙民が支持政党とは関係なく、候補者に対して投票するという新しい動きが出てきたことが一番重要な変化であると考えます。これは、小選挙区制か中選挙区制かということよりもはるかに大きな動きを英国の政治と社会にもたらしつつあると考えます。
ちなみに今年の参議院選挙で一番の変化は、ここ数年得票数が停滞している公明党が大きく議席を減らすことであろうと私は予測します。
創価学会マジックが通用しなくなる時代の始まりとなることでしょう。

 韓国の軍艦沈没には大きな謎があります。
北朝鮮がやったとすると、今まで推測されていたレベルをはるかに超える軍事技術を以下のとおりにもっていることになります。
(1)あそこまで、韓国海軍に見つからずに進入した。
(2)魚雷を直接当てるのではなく、近くで爆発させてその衝撃で沈没させた。
(3)事件のあった場所で魚雷の破片と見られるマグネシウムの合金が見つかった。
韓国情勢に詳しい方はご存知でしょうが、米国海軍の潜水艦からの誤射が原因であるという説を唱えている人がいるようです。荒唐無稽で韓国のサヨク人士が言いそうなことではありますが、上記の謎解きにはなるので、1%くらいの事実である可能性を否定することはできないと考えます。
昭和57年10月に米国海軍の潜水艦が急浮上して漁船にぶつかり12人の日本人漁民が死んだ事件がありました。その直後に英国の週間新聞紙「The Economist」にこれは、米国政府が、日本の世論はこういう場合どう反応するかを診るためにわざとやったという説があると書かれていました。
これもそうであると強弁する気はありませんが、妙な符合で気になります。なにはともわれ亡くなられた方々のご冥福を祈ります。
  (ST生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)たとえ候補者が猿でも英国民は政党を選んだ。わけですね。
そういう感じで前回民主党にいれたらブタとか、テナガザルとかも混じっていた?
 さて韓国哨戒船沈没ですが、もうひとつの説は、あれは韓国製。デパートが倒壊し、橋梁が落ちる韓国製。哨戒船だって?という説がかなりの有力者のあいだに流布しています。



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(読者の声2)小生の沖縄問題に関する拙論につき色々ご意見を賜り恐縮です。大阪HK生殿のいわれるご意見は現実論として全て肯定します。
実際、今般陸自はようやく1800人の混成団を2100人にして第15旅団に格上げしましたが、たった2100人では国際標準の旅団に程遠いものです。
沖縄本島以外の島嶼の防衛は手付かずで、昨年防衛省が進めようとした与那国島への部隊配備を民主党の北沢防衛相は「隣国に刺激を与える様なことはすべきでない。」と却下しました。
一体、彼はどこの国の防衛大臣でしょう(もっとも最近は部隊配備の必要性に理解を示してきたらしいですが。)
海自は那覇基地に相当数のP3Cを配備しているのは当然としても、航空優勢の主力たる空自のF15Jもまだ数不足です。P3CもF15Jもそろそろ次期機種に替える時期です。現実は圧倒的な米軍に依存せざるをえないとしても、国家の基本として一体誰が国を守るのか、ということを議論すべきです。
結局、与野党いずれも、日本はアメリカが守ってくれるのだから、基地提供も思いやり予算も当然だという議論です。
社民党も憲法九条を守れ、という割りに、米軍も日本から出ていけとデモをかけたことなど聞いたことがありません。かつて小沢一郎氏がアメリカ軍は第7艦隊で十分だと言いましたが、彼がそのかわりに日本の自主防衛体制を確立するというのであれば私はたとえ金権政治家の「汚沢」でも支持しますが、実際は人民解放軍の野戦軍司令官気取りですから、とんでもない話です。
横須賀では本来の帝国海軍のスペ−スはアメリカ軍が占拠していて、海自はその片隅で小さくなっています。横田もそろそろ返してもらっていいのではないでしょうか。もちろんその前に国防費を今の対GDP比0.9%から欧米並みに1.5〜2%に引き上げる必要もあるし、憲法改正も当然必要ですね。
自衛隊の将兵諸君には申し訳ないが、現在の自衛隊はまだまだアメリカ軍の補助軍、弾除け的存在です。真の国防軍にしてゆく責任が我々国民にあります。
ドイツは既に55年前に憲法(基本法)を改正して、陸海空軍からなる連邦軍をつくり、同時に徴兵制も設けています。
日本ではいつできるのでしょうか。
三島由紀夫氏が昭和43年に書かれた論文に「栄誉の絆でつなげ菊と刀」というのがありますが、三島氏は西ドイツ(当時)を範にとって自衛隊も真の国軍にすべきであり、国軍に対する栄誉大権を天皇に与えよ、と述べられました。三島氏の論文から42年、その死から40年です。
国民と政治家がその気になればいつでも出来るのです。第三次ポエニ戦争で玉砕したカルタゴ、ユダヤ戦争でローマ軍の前に玉砕したユダヤ軍、彼らの誇りのために死を選ぶ気概には感動します。
ユダヤはたとえ国が滅びてもその誇りゆえに二千年後に再興できたのです。米国人は実は日本人を心ひそかに畏敬しています。
何故か?それはかつて特攻隊の勇士たちが、硫黄島の勇士たちがそして戦艦大和が祖国を守るために死をも恐れずに戦ったからです。形而上学的価値は時として形而下的存在を超越するのです。つまらぬことを長々と失礼しました。
  (武蔵国杉並住民)


(宮崎正弘のコメント)コラムニストの高山正之氏から聞いたのですが、硫黄島ではあちこちから霊が呼び掛け、硫黄島へ行くと眠れない体験をした人が多かった。ところが先年、天皇皇后両陛下が慰霊にご訪問されて以後、霊は収まったそうです。
 その地をオザワとカンが笑いながら訪問している写真が残っているそうです。
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 三島由紀夫研究会主催の公開講座
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次回は古田博司(つくば大学教授)が登壇
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  記
とき    5月22日(土曜日) 午後3時ー5時
ところ   高田馬場駅前「ホテル・サンルート」三階会議室
      http://www.sunroutehotel.jp/takadanobaba/access.asp
講師と演題 筑波大学教授 古田博司「文化防衛論と日本文明圏」(仮題)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E7%94%B0%E5%8D%9A%E5%8F%B8
会場分担金 おひとり2000円(会員と学生は1000円)
(ふるたひろし先生は産経新聞「正論大賞」新風賞受賞者。朝鮮文化歴史に造詣が深く、独自の視点からの日本文明論史観に切り込む話題の論客です)。
   ◆
(特記)土曜日の午後なので会場が変わります。いつものアルカディア市ヶ谷ではありません。高田の馬場です。なお、終了後、講師を囲んで懇親会を付近の居酒屋で予定(別途会費お一人3000円)。
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<< 宮崎正弘の最新刊 >> 
宮崎正弘 v 佐藤優『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社、1575円)
<ロシア、中国、北朝鮮の猛毒国家に囲まれて日本はいかに生き延びるのか?>
http://www.amazon.co.jp/dp/475931122X/

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<宮崎正弘のロングセラーズ>
『中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
『日米安保、五十年』(西部邁氏との対談。海竜社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/
   
♪♪♪
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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 ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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