国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み(拝啓 鳩山首相殿)

2010/04/15

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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010年)4月15日(木曜日)貳
      通巻2940号
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 拝啓鳩山由紀夫首相殿、あなたは天気予報士になるべきだった
  しかし幸いにも「米中同盟」の亀裂は「日米同盟」のひび割れより深刻
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 日米中は「正三角形」と意味不明のことを言いだして、「東アジア共同体」という米国が反対している構想をまだ声高に言いつのって、オバマ政権に不信感を抱かせ(決定打はプリーズ・トラスト・ミー発言)、ついには普天間基地問題の二転三転で米国を怒らせた。

 せっかくワシントンの核サミットに呼んで貰ってもオバマは鳩山には十分間しか時間を割かず、同時に小沢訪米団を婉曲に断った。あっても仕方がない。民主党に見切りをつけたというのがワシントンの空気だろう。

 他方、つい三ヶ月前まで米中関係は[G2]、「二十一世紀でももっとも重要な国は中国」と獅子吼してきたオバマ政権だが、昨秋の訪中で適当にあしらわれ、その後、グーグルに端を発した両国関係の冷却はオバマが台湾へ武器供与を再開し、チベットの指導者ダライラマ法王と面会し、ついに人民元切り上げ要求となった。

米中関係はささくれだった。
このため胡錦涛は予定になかった核サミットに急遽訪米し、オバマと会うや開口一番「人民元切り上げ」を否定した。
米中関係が、予想より深刻に亀裂がはいっている事態を浮かび上がらせた。

 これは日本の外交にとってつけいるチャンス。敵失を活用して日米同盟の復活に全力を注ぐことは国益を考える政治家のする仕事である。

 しかし日章旗を掲げた日本政府専用機に傘をもって乗り込む鳩山首相には国家国民の権益を背負っているという意識は希薄のようである。
感受性が鈍いのかもしれない。あのサイケデリックはシャツを愛用するのも滑稽だが、ポピュリズム重視、国益無視の現れ、やはり宇宙人だったのか。

 さて勧告である。
 鳩山首相殿、あなたは政治家になるべきではなかった。
 スタンフォード大学では不倫授業のほかに、いったい何を研究されていたのか。佐藤優氏によれば「確率理論」の由で、英語で書かれた鳩山の博士論文は「しっかりしている」と言う。


 ▲数学の偏微分方程式を政治決断に応用するな

 東大工学部時代は応用物理学、計数工学を学び、システムの信頼性回復という講演が得意で、スタンフォード大学の博士課程の研究はオペレーション・リサーチ(OR)とアンドレィ・マルコフ理論だったそうな。

 確率理論とは偏微分方程式、一種アルゴリズム数式による未来予測。たとえば九番目に見合いすると成婚する確率が高くなるという例の学問である。

  ナチスの謎とされたエニグマ暗号機は天才的数学者が、その暗号アルゴリズムを解読した。日本軍の暗号も米国の数学者が丹念に数字アルゴリズムを解析しており、日本の機密は米国に筒抜けだった。
 しかしながら鳩山首相がスタンフォード大学で挑んだのは、この国益にかなう数学とは縁の薄い確率性理論だった。
 
 以前にも指摘したが、この偏微分方程式をまとめ上げたのがマルコフ博士で、筆者はてっきり数字アルゴリズムは暗号に応用されると考えて専門家に尋ねたところ、「エニグマのアルゴリズム、北朝鮮の暗号乱数表とマルコフ理論は無関係。むしろ天気予報に応用されている」という。

 そうか。過去のパターンを考慮に入れず、直近の出来事だけで判断をするから朝令暮改。天気予報はせいぜい十二時間から二十四時間。三日後の天気ははずれる確率のほうが高い。
 
 普天間基地移転をめぐって過去の半世紀に亘る日米安保条約も、十数年にわたって日米が協議してきた普天間基地移転先の合意事項も、すっぽりと忘れ、直近のデータとは沖縄の政治、小沢の顔色、党内事情、朝日新聞の論調をインプットして、二十四時間ていどの決断だけをする。

だから朝の発言と昼の発言がぶれる。
 嗚呼、鳩山首相よ、あなたは天気予報士になるべきではなかったか。
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 (読者の声1)「カチンの森事件の意味」
 このたびロシアでカチンの森事件の慰霊祭が行われることになった。しかし出席するポーランドの首脳が航空事故で全滅したのは誠に気の毒なことであった。 
歴史家にとりこの事件の史実は第二次大戦の歴史観を正す重大な意味を持っている。

1.史実:スターリンは1940年春、前年の秋の独ソポーランド分割戦争で捕えたポーランド軍将校二万人をロシア西部のカチンの森でドイツ製の銃弾をつかって処刑し埋めた。
翌1941年ドイツがソ連に攻め込みロシアの西部を占領した。そして事件2年後の1943年に遺体を発見し国際赤十字に調査を依頼した。ソ連は銃弾から独軍の仕業と主張したが、死体の組織変化状態、犠牲者の日記、新聞などから独ソ戦以降のものがないので、国際的にソ連の犯行と断定された。
ソ連は認めなかったが、ソ連が自滅しロシアになってプーチンが謝罪し今回の慰霊祭の実施となったのである。

2.事件から分かること:スターリンがポーランドの将校を殺そうとしたのは、民族の指導的人材を奪い民族を弱体化するためであった。ヒトラーと同じである。もちろん彼はポーランド人将校の失踪が早晩国際問題になることは分かっていた。
そこでドイツ軍のせいにすることを考えた。そしてソ連東部ではなく西部のカチンの森を処刑場に選んだ。これからわかることは、スターリンはドイツの攻撃を少なくとも一年以上まえから予想していたこと、またロシア西部をドイツに占領させる予定でいたことである。これが重大である。

3.ソ連の緒戦の大敗は計画的:戦後の歴史観ではソ連はヒトラーの奇襲を受けたことになっている。そうでないと緒戦の大敗は説明がつかないからである。
しかしもう一つの考えが出てきた。
それは緒戦の大敗はスターリンの予定の行動であったということである。その狙いは結果からみて二つ考えられる。
すなわち、対米工作とドイツ軍の奥地引込である。それまでソ連をきらっていた米国民はソ連の緒戦の大敗を聞いて、無条件援助に転換した。これでソ連は115億ドルという天文学的な援助を手に入れるのである。またヒトラーは油断してモスクワまで軍を進め、厳冬の到来と補給線の伸びきったところをスターリンにかねて用意の極東軍の投入で反撃され大敗するのである。
スターリンがヒトラーを信用していて騙されたという俗説は、「自分さえ信じない、底知れぬ猜疑心の男」といわれたスターリンにはふさわしくない。

4.独戦の準備工作:次はいつからスターリンはヒトラーの攻撃を予想していたかということである。
それはヒトラーが首相になった1933年と考えたい。この年スターリンの命令でソ連赤軍工作員ゾルゲが日本に侵入し、米国には大統領府に及ぶ大諜報網の構築が始まる。
1937年の支那事変もスターリンの独ソ戦に備えた東西挟撃防止の東部国境工作と考えると分かりやすい。だからソ連は1936年の西安事件で傀儡にした蒋介石に三億ドルに上る大軍事援助(戦闘機、爆撃機一千機、赤軍将軍、将校四千名)を行い、蒋介石には日本との講和を許さなかったのである。
このように分析するとカチンの森事件が従来の第二次大戦や大東亜戦争の歴史観を正す非常に重要な史実であることがわかってくる。

5.映画界:この事件で父を失ったワイダ監督は、近年犠牲者の鎮魂のためにカチンの森事件を映画化した。完成するまで死ねないという覚悟であっという。
翻って我が国の戦争映画をみると、ソ連の侵略でカチンの森以上の犠牲を出しているのに、戦後敵国ソ連に迎合する左翼的な作品しか作れなかった。これは誠に情けない事実である。
今、危機の時代を迎えた日本は、民族の連続性と国民の連帯性を確保するために、日本民族主義の視点でとらえた新しい戦争映画を真剣に必要としている。時代は変わったのだ。
   (東海子)


(宮崎正弘のコメント)映画による自己主張は国がやるべきことであり、南京大虐殺の否定も国家がやるべき事業です。



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(読者の声2) 「必殺仕分け人」と喧伝されマスコミの脚光を浴びている蓮某が先日都内で行った会見で、かつて批判されたスパコン(スーパーコンピュータ)についての「二番じゃダメなんですか」との発言について弁明をこころみていました。
国のスパコン開発に参加していたメーカーが3社から1社に減っても予算計画を変更しなかった硬直性を理由に予算の削減を図ったもので、大学や研究機関の既存のコンピューターをネットで繋げて、クラウド・コンピューティングにすれば、カネがかからないで済むとの暴論を吐いていました。
なぜ暴論かというと、基幹システムの違うコンピュータどうしを繋ぐこと、さらに各々の処理内容を割り振る作業の困難さ、非現実性、非実効性に目をつぶり、知らんぷりしているからです。
専門家によりますと、スパコンは暗号解読などの機密情報防衛、偵察衛星設計シミュレーション、防衛シミュレーション、兵器製造(高い崖からの落下にも耐えうる戦車設計)などに欠かせない『現憲法下でも可能な戦略兵器』で、安全保障上も有効です。
平和利用としては、分子化学分野では新物質開発、新薬開発、エネルギー分野では電池素子の新物質開発などが用途です。資源の無い日本にとって必須のシステムであり、「戦略兵器」なのです。
日台関係について訊かれた蓮某は「父親は台湾人だから台湾への思いには強いものがある。しかし日本人として、日本国民に選ばれて、日本国民のために仕事をしている」と言い、これに続けて「両岸関係については中国と台湾の問題だから日本は口を出すべきではない」と言わずもがなの発言をピシャリと加えました。
かつて平沼赳夫氏が蓮某を「もともと日本人ではない」と斬っていましたが、洞察力のある発言だったのです。平沼氏は「日本に帰化した蓮某は愛国者ではなく、じつは売国奴なのだ」と見抜いていたのですから。
(HN生、品川)


(宮崎正弘のコメント)ま、有権者が賢いという前提に立てば彼女は七月半ばには「ただのおばはん」になります。



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(読者の声3)貴誌2939号の貴見にNHK「民営化」を言われていますが、それが最終的にどのような姿を描いておられるか不明なので、意見を言い辛いのですが、一般的に言えば民営化するべきではないと思われます。
理由は以下のとおりです。
 民営化するとすれば収益源を何に求めるのか、ということが経営的には非常に重要な問題となります。仮に今ある民放と同じで、広告料を収益源とするのであれば意味が無いことになると思います。これ以上スポンサーの顔色を窺って大衆受けを狙う放送局が増えるだけであれば、有害無益と断言できます。
私はNHKの存在意義は視聴料という安定収益源に守られて、後顧の憂い無く報道の本筋に邁進できることにあると考えております。しかしながら現在のNHKは本来の目的を見失って、更には自らの存在意義を勘違いして、我国の自立という方向にブレーキをかける役目をその使命と思っているといわざるを得ない所に問題の根があり、これを是正して、本来の使命である事実に基づいた報道に立ち返ることが出来れば、大いに存在意義があると考えております。
「民営化」は、いかなる場合でも通用する魔法の杖ではないと思っております。赤字で行き詰っているならば、民営化も一つの手段と思わないでもありませんが、今のNHKはそれとは逆に、豊富な視聴料に支えられて経営的には不安が無いことが、何をやっても許されるという思い上がった姿勢に繋がっていると考えます。
従って原点に返り、綱紀を粛正し謙虚に事実に耳を傾け、多くの国民の目となり耳となって、国家を取り巻く状況や国家の将来の方向を見つめるための精度が高く内容が濃い報道を行うことが望むべき方向ではないでしょうか。
そのためには組織の改変騒ぎに時間を費やすよりは、相応しい指導者を求めることが期待されていると考えるのです。
  (宮崎太郎)


(宮崎正弘のコメント)であるとすれば既存NHKは解体し、新NHKが必要ですね。NHK民営化に反対しているのはNHKより民放です。広告争奪競争になりますから。
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 サイト情報
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4月13日、米国で開催された「核安全保障サミット」では、核テロを国際安全保障における最大の脅威の一つと位置付け、4年以内の核物質の管理徹底を目指すとしたコミュニケが採択された。
(1)コミュニケ
Communiqué of the Washington Nuclear Security Summit
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/communiqu-washington-nuclear-security-summit
(2)作業計画
Work Plan of the Washington Nuclear Security Summit
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/work-plan-washington-nuclear-security-summit
(3)オバマ大統領の全体会合での演説
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-opening-plenary-session-nuclear-security-summit
(4)オバマ大統領のサミット終了後の記者会見での声明
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/press-conference-president-nuclear-security-summit
(5)ホワイトハウスの解説記事(核安全保障サミット公式文書へのリンク付)
"An Enormously Productive Day"、The White House, April 13, 2010
http://www.whitehouse.gov/blog/2010/04/13/enormously-productive-day
(6)核安全保障サミットに関する国務省国際情報プログラム局ページ
 http://www.america.gov/relations/nonproliferation.html
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(告示)「藤井厳喜を応援する会」
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今般、国際問題アナリストとしてだけでなく、国政の変革を視野に入れた幅広い活動をされておられる藤井げんき氏を応援する会、「頑張れ、げんき!藤井げんきを応援する会」を開催いたします。
この会は「頑張れ日本!全国行動委員会」の神奈川県本部ならびに藤井げんき後援会事務所の発足式もかねております。
ご多用の折とはいえども是非、御臨席を賜りたくご案内申し上げます。
  
<発起人(50音順敬称略) ※平成22年4月13日現在>阿羅健一、井尻千男、伊藤哲夫
小田村四郎、小山和伸、加瀬英明、小林正、佐藤守、すぎやまこういち、石平
田久保忠衛、田母神俊雄、土屋敬之、富岡幸一郎、西尾幹二、西村幸祐、西村眞悟
藤岡信勝、藤本隆之、松浦芳子、三宅博、宮崎正弘、三輪和雄、山田惠久、柚原正敬
渡部昇一ほか。
          記
 とき    4月20日(火曜日)午後六時半
 ところ   市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」冨士の間
 会費    おひとり 10000円
 来場予定: 赤池誠章、荒木和博、小田村四郎、加瀬英明、佐藤守、田母神俊雄
土屋敬之、西村幸祐、藤岡信勝、松浦芳子、水島総、宮崎正弘、三輪和雄、柚原正敬他。 

お問い合わせ「頑張れ日本! 全国行動委員会」(03−6419−3900)
特記    とくに御予約の必要はありません。どなたでも参加できます!
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宮崎正弘の最新刊! 
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宮崎正弘 v 佐藤優『猛毒国家に囲まれた日本』(海竜社、1575円)
  お待たせしました。増刷出来!
<ロシア、中国、北朝鮮の猛毒国家に囲まれて日本はいかに生き延びるのか?>

<佐藤優「まえがき」から抜粋>「国家には、生き残り本能がある。去年(2009年)8月30日の衆議院議員選挙(総選挙)で民主党が308議席を獲得して、政権交代が実現したことも、日本国家の生き残り本能によるものだ。
 マスコミは、総選挙で民主党が圧勝したと報じたが、これは間違いだ。自民党が自壊しただけのことだ。2001年4月の自民党総裁選挙で、小泉純一郎氏は、「自民党が変わらないならば、自民党をぶっ壊す」という公約を掲げ、当選し、自民党総裁兼内閣総理大臣に就任した。自民党は変わらなかった。それに加え、新自由主義という猛毒を「改革」という名で導入してしまった。その結果、富裕層と貧困層の格差がかつてなく開いてしまった。日本の総中流社会は、崩壊しかけている。競争に敗れ、底辺に転落してしまうと、自力で這い上がることができない状態になってしまった。都市と地方の格差も開いてしまった。地方で生まれた人々は、教育や就職で不利な状況に置かれている。

 問題は、経済面だけではない。新自由主義が浸透したことによって、一人一人がばらばらに分断されてしまった。そして、同胞意識が稀薄になった。北朝鮮による日本人拉致に関しても、国民的関心が低くなっている。拉致問題は、日本人の人権に対する侵害であるとともに、日本国家の主権を北朝鮮政府の工作員が侵した複合事案だ。国権と人権に対する侵害を回復できない国家は、まともな国家ではない。
 北方領土交渉もまったく進捗していない。それどころか、法的にはわが国の領海である北方領土周辺において、日本漁船が銃撃される例が後を絶たない。(中略)

 日本は、中国、北朝鮮、韓国、ロシアという、実に面倒な諸国に囲まれている。もっとも世界のどの国を見ても、隣の国との関係は、常に難しいのだ。しかし、東西冷戦の時代、このような隣国との関係の難しさを日本人はあまり自覚しないで済んだ。日本がアメリカの傘の下に入っていたからだ。しかしそのような甘えはもはや通じない。今年2月に突然始まったトヨタ・バッシングで明らかなように、アメリカも自国の国益を第一義的に追求しているのだ。
 検察が民主党の小沢一郎幹事長に「戦争」を仕掛けた後遺症で、日本の政治エリートの関心が極端に内向きになっている。検察・小沢戦争は、「誰が日本国家を支配するか」を巡って展開されている官僚と政治家の権力闘争に過ぎない。こんなつまらない諍いを起こしている間に、日本の国際的地位が低下していく。

 このような情況を変化させ、日本の国家体制を少しでも強化させ、猛毒国家と対抗できる力をわれわれがつけなくてはならない。私は宮崎正弘氏をとても尊敬している。それは、宮崎氏が、私の言葉では親日保守で右翼、宮崎氏の言葉では真性保守だからだ。宮崎氏は中国事情に関する第一人者だ。日本人のみならず、中国人が、中国情勢に関する情報や分析について宮崎氏に尋ねる。私の外交官としての仕事は、ほとんどロシア絡みだった。いまでもときどきロシア人から、クレムリン(露大統領府)の権力闘争についての見方や、ロシアの国家戦略について意見を求められることがある。こういう質問をしてくるロシア人に、「なぜ現役を退いている僕の意見を求めるのか」と尋ねたら、「政争に絡む利害関係がなく、熱い政局から距離がある外国人の方が、政治の流れを正確にとらえることができる」という返事がかえってきた。

 この対談で、宮崎氏は主に中国について、私は主にロシアについて、特定の勢力に肩入れをすることもなく、また、日本にとって都合がよい希望的観測も入れずに、突き放して、冷静に分析することを試みた。宮崎氏と話していると、外務省国際情報局の主任分析官として、諸外国インテリジェンス機関の分析専門家と共同作業をしていたときのことを思い出した。
 猛毒国家に対抗して、日本国家と日本人が生き残っていくためには、われわれが強力な解毒剤をもつ必要がある。この解毒剤は、思想の力によってのみつけることができる。南北朝時代に南朝の忠臣であった北畠親房は、『神皇正統記』の冒頭で、われわれの思想の神髄を「大日本者神国也(おおやまとはかみのくになり)」という一文で表現した。神の国である日本にたくわえられてきた叡智によって、現在の国難を乗り切るのだ。まず、中国、ロシア、北朝鮮という危険国家に囲まれている現実を直視することだ」。
http://www.amazon.co.jp/dp/475931122X/



宮崎正弘『中国ひとり勝ちと日本ひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
http://www.tokuma.jp/book/tokumabooks/4e2d56fd30723068308a52dd3061306865e5672c30723068308a8ca03051306f306a8d77304d305f304b
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宮崎正弘 v 西部邁
『日米安保、五十年』(海竜社、1680円)
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/
 

<宮崎正弘のロングセラーズ>
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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  ◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有)宮崎正弘事務所 2001−2010 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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  • 鳥男2010/04/15

    ほんの数日前中国の艦隊が威嚇してきたというのに報道もせず、本日のNHK19時ニュースは中国の地震がありました副首相が現地訪問しています、国際間の救援が必要ですと延々流しその後で鳩山さんのニュースを流しその後に中国の経済は発展している経済成長10%だと報道。菜飯を食べながら駄目だこりゃと唸りました



    NHKには何も期待できない潰した方がいいと思うがNHKの徴収システムを利用して次の仕組みを作ったらどうだろうか

    年間3万円の徴収金をそれぞれ国民が分配出来る仕組みです

    100ポイントと単位を作り各自がそれぞれポイントを振りその合計で徴収金を分配する仕組みです

    NHKは徴収システム維持と公共放送という立場で自動的に30ポイントはもらえるとしましょう

    残りの70ポイントを国民が自分の意思で分配出来る。

    徴収金を3万円としてTV朝日に10ポイントをふったらTV朝日は3000円貰えるTBSは誰もふらないので貰えない

    さらにアメリカで始まったネットを使った電子書籍システムをこちらでも構築して売上の落ちている雑誌や新聞も参入できるようにする(ただしネットでの閲覧にたいしてのみ)

    週刊新潮ネット版10ポイントで1年間ネット閲覧出来ます田舎の地方紙15ポイントでネット閲覧出来ます

    マスコミはこうすることでスポンサーの意図にかならずしも服従しなくてもよくなる国民はより良い(だろう)マスコミを自らの意思で維持育成出来るという大きなメリットがあると思えるのですがどうでしょう、技術的な面は問題なく出来ると思います

  • 名無しさん2010/04/15

    貴方の論評はまるで、唯々諾々総理が好いみたいです。外交で歴史的政策転換を果たさなければならない日本は、オバマ政権の米国にとって、言いなりの子分では無くなったという事だと思います。貴方が真に日本の国益を考えるなら、何故日本人の国防意識を啓蒙しないのか?疑問が募るばかりです。

  • 名無しさん2010/04/15

    (宮崎正弘のコメント)であるとすれば既存NHKは解体し、新NHKが必要ですね。NHK民営化に反対しているのはNHKより民放です。広告争奪競争になりますから。

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    NHKや民放に限らず、その裏に蠢いている勢力を排除することの方が重要では?

    無理ですかね?



    偽ユダヤ=シオニスト

  • 名無しさん2010/04/15

    NH生さんへ

    >基幹システムの違うコンピュータ…知らんぷり



    知らんぷりというより、実際知らないんでしょう。売国目的がどうこう以前に馬鹿がデタラメやってるだけ状態の政権ですから。

    <成功したサイコパス>の首相を始めとして。

  • 名無しさん2010/04/15

    毎日ストレスがたまる様な感じです。手抜き工事どころか設計図もない建物を民主党が建築主を騙してやろうとしている。

    こんな党に投票した人を怨みたくなる。

  • 名無しさん2010/04/15

    鳩山首相10分間非公式会談は、反民主党の私でもみょーに惨めになった。