国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2010/02/22


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成22年(2010年)2月22日(月曜日)
通巻2885号  
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 イスラエル空軍、「特製ドローン(無人攻撃機)」を初公開
  イランの核施設攻撃へ準備完了。イラク、シリアの核施設破壊の実績
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 1981年4月、イラクのオシラク原子炉をイスラエル空軍は空襲破壊した。フランスの援助でオシラク原子炉は完成直前だった。
イラクの独裁者だったサダム・フセインの核武装の野望は夢と消えた。

 2007年、シリアで建設が秘密裏にすすみ、完成直前と言われた核施設をイスラエル空軍機が奇襲し、木っ端みじんに破壊した。
 
 イランはイスラム原理主義過激派が政権を掌握して以来、核兵器開発が急がれ、十数カ所の地下に分散された核施設ではプルトニウム濃縮が開始されている。
 国際政治の舞台ではイランへの批判が強まっている。

 欧米列強はイラン制裁を強化し、中国とロシアにも国連を通じて協力を要請しているが、ロシアは欧米に巧みに反論して態度を曖昧としており、中国はひたすらイランの味方となって米国を苛立たせている。

 なぜかくもイラク、シリア、イランが核兵器に拘るのか。
 それは潜在的な歴史意識と地域覇権の野望である。イラクはネブカドネザルの夢、シリアは大アッシリア帝国の再来を夢み、またイランはいうまでもなくペルシア大帝国の再現に、その潜在する野心がある。

 イスラエルは2月21日、内外記者団を集めて新型ドローンを初公開した。
 「ヘロンTP」と命名された新型の特製無人攻撃機ドローンはボーイング737機とおなじ大きさ。


▲イスラエルの奇襲に備えるアーマドネジャッド政権

イスラエル国有企業「イスラエル・アエロスペース産業」が開発したもので、飛行継続時間は20時間、優にイランへの往復航続距離を誇り、偵察とミサイル発射機能をそなえる。
 
 エヤル・アセンハイム空軍准将は「このドローンは多くの任務を果たすことが出来る。空軍の夢を実現できる画期的なものであり、イラン攻撃だけが目的で開発されたのではない」と記者会見した。

 アハマドネジャッド・イラン大統領はただちに「イスラエルは春か、夏にイランへの攻撃準備をしているが、我々は平和利用の核開発が目的である」と反論した。

 しかしベンジャミン・ネタニヤフ=イスラエル首相は「軍事行動をとる予定はない。西側は制裁を話し合っている時に、我々が攻撃準備をしているなどとするイランの反論は悪質な情報操作に過ぎない」と軍事攻撃説を否定した。
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(読者の声1)トヨタ車のリコール問題がずいぶん話題になっていますが、2008年5月〜6月に中日新聞でトヨタ批判の長期連載がありました。
http://www.chunichi.co.jp/hold/2008/yui_no_kokoro/list/200805/index.html
その連載を読んでいたので今回の大量リコール問題は起こるべくして起きたとしか思えません。郵政選挙では下請けに自民党支援を強制する話がでてきます。
 (引用始め)「昔のトヨタなら投票先を命令するなんて考えられない。何でも命令できると思ってるんですかねぇ」
 最近、社長の会社は上位メーカーの指示通りに工程を変更して、不良品を出した。
「10年ぐらい前なら、どうして出たのか一緒に話し合って改善策を見つけたもの」
 それが今では、社長の説明を聞こうともせず、弁償を認めるまで“口撃”され続けたという。ちょうど口ぶりはあの選挙のときのよう。
 「お宅の責任でよろしく」
 確かにトヨタ系にいることのメリットは大きい。「銀行が『ぜひ、融資を』と言ってくる」「新車開発にかかわれたら、数年先までの仕事が埋まる」。経営者として「安定」は何にも替え難い。
 だが、名古屋市内の下請けのトップが言い切る。
 「カネだけのつながり。トヨタのために、なんて気持ちは、今はこれっぽっちもない」
 「乾いたタオルでも知恵を出せば水が出る」。1970年代、オイルショックのころの豊田英二(現最高顧問)のこの言葉がトヨタではカイゼンの象徴として語り継がれる。ただ、これには前置きがある。「機械的に考えるのではない」と。
 本来、モノづくりへの思いや知恵を促すための「カイゼン」が“効率”を測るためだけのもの差しになっていないか。
 「言われた通りのモノを言われた通りの価格で、言われた通りにつくり続ける。トヨタ系では、そんな会社しか生き残れない」。そう語る下請けの経営者は最近、自家用車をトヨタから他のメーカーへ替えた。モノづくりの会社の経営者として「ささやかな抵抗」だという」(引用終り)。
「何のための利益ですか」 読者からの反響(上) 足元からの声
http://www.chunichi.co.jp/hold/2008/yui_no_kokoro/list/200806/CK20080608020002
08.html
 では下請けからの生の声を紹介しています。
◆下請けとの格差は臨界点
◆車づくりに謙虚さを
◆助言もなく ただ値引き
◆コスト削減 内職まで徹底
◆過去最高益 なぜ還元せぬ

二次下請け会社の社員の声として、
「コストの削減のみをひたすらに追求して、ブレーキやハンドルを操作する意思のない、暴走する巨大な機関車のような気がするのです」
とありますが、プリウス問題での横山常務の傲慢な発言はまさに中日新聞の特集を裏付けるものでした。アメリカでのトヨタ叩きは別問題としても、トヨタ自体の病巣は深いように思われます。
(PB生)


(宮崎正弘のコメント)中日新聞と言えば名古屋を軸に中京工業地帯一帯から伊勢を抑える大新聞。地元の巨大産業に喧嘩を売ったんですね。社内の一部なのか、きっと広告部は冷や汗をかいたのでは?



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(読者の声2)オランダ在住の太陽電池研究者です。
オランダ連立政権の崩壊について。実は2,3ヶ月前に、イラク派兵における意思決定過程の再検討について国会で審議され、その結果、「米国のウソ情報を吟味せずに鵜呑みにして派兵を決定したのは間違いであった」との結論が導かれました。
もう少し妥協的な結論が出ることに期待していたらしいバルケネンデ首相は、この結論にかなり立腹したようで、内閣崩壊がウワサされました。
内閣崩壊の火種はそのときから燻っていたわけですが、今回の派兵延長の議論においてとうとう燃え上がってしまったようです。
   (YK生、オランダ在住)


(宮崎正弘のコメント)オランダ軍が本気で撤退を開始すると米軍とNATOの多国籍軍に強いボディブローとなり、空隙をうめるために中国軍が入ってくるという悪夢が正夢となりそう。



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(読者の声3)イスラエルの諜報機関によると見られるパレスチナのイスラム原理主義組織ハマス軍事部門創始者マフムード・マブフーフの暗殺事件でモサッド特務部門は足跡を残し大きなミスを犯した模様ですが、ネタネヤフは同じ間違いを繰り返した。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_depth/8517716.stm
一度目は1997年9月、イスラエルの中東での数少ない友好国ヨルダンでハマス政治部門の頭領ハレド・メシャルを毒殺しようとして失敗して実行者はヨルダン当局に逮捕された結果、圧力がネタネヤフにかかって投獄されていたハマス指導者ヤシーン師を釈放するというざまでした。
ここからネタネヤフの冒険主義的傾向と圧力や危機時に対する精神的脆さが指摘され、前回の国政選挙でのネガティブ・キャンペーンに使われましたが、悪い癖がまだ直っていないよう。
恐らくは実行期間などでモッサドに無理を要求をした為に計画が乱雑になり、その代償を払う羽目になっているのではないか。
それにしても今回の事件では引っかかったモサッドの間抜けさというよりも、中東の経済先進国ドバイのカメラ監視網の凄さが印象的でしたが、もしかするとイスラエルはドバイの背後にいる「オーナー」の英国の罠にかかったのかもしれません。
というのはドバイにおける英国の影響力に加えて、国民一人当たり一日平均800回盗写されているという世界一厳しい英国のカメラ監視網の存在という事実があるからで、さらには自国パスポートでドバイ入り出来ないイスラエルは英国の偽造パスポートを使っているというあたりから、英国から傍若無人なネタネヤフへ巧妙な政治的嫌がらせが行われたと仮定すると面白い。
ここで思い当たるのは、2006年秋に英国諜報部MI6の元部員アリスター・クルークがオスロ合意の秘密交渉者ヤイル・ヒルシュフェルド博士など数人のイスラエル人とハマスの代表者とをロンドンで秘密会談させた事。
http://myrightword.blogspot.com/2006_10_01_archive.html

この交渉自体は「テロリストとは交渉しない」という原則を強く出した当時のリヴニ外相らオルメルト政権に全く無視されましたが、意外にネタネヤフの性格からして弱みを握ればハマスとの現実的な交渉は可能なのではないだろうか。
中東和平が進まない事に失望したとメディアに漏らしている米国オバマ大統領の意向をイスラエル諜報の師匠筋にあたる英国が察知してイスラエルとハマスとの交渉に当たらせる壮大な罠と考えるのは妄想だろうか?

少し話が逸れますが、昨年創られたピーター・トラヴィス監督の映画はアパルトヘイト末期の南アフリカが舞台で同国諜報機関は徹底的な監視網で黒人弾圧を継続しANCアフリカ民族評議会と対決しているところ、英国諜報部MI6が送り込んだエージェントが潜入するというストーリー。
http://www.endgame-themovie.com/
 そして南ア諜報機関の監視を受けたり、黒人地区へ乗り込むなど危険を顧みずにアパルトヘイトを軟着陸で終わらせようとするのですが、暗殺や情報収集しか出来ないイスラエルの諜報機関に対して英国諜報部は辛抱強く対立する勢力をソフトに仲介するという能力が有る。
http://www.collider.com/entertainment/news/article.asp/aid/10563/tcid/1
加えてもともとイスラエルと同国占領地区は英国委任統治領パレスチナが前身で英国以外に誰が仲介しえるのかという根本的問題があるので仮説を立ててみましたが、今後の成り行きを見守りたい。
 ところで今回の暗殺実行団の写真等の暴露から何が見えるかというと、日本の入国管理局も導入した生物学的人物判断装置などの技術の進歩に人的諜報が立ち向えないのでは無いかという事で、今後これをイスラエルや英国などをはじめとした諜報先進国がどう克服していくのかという事は緊急に対外諜報機関を創る必要のある日本にとっても大きな課題となるでしょう。
  (道楽Q )
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 http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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(休刊のお知らせ)小誌は地方講演旅行などにより2月25日―27日を休刊します。
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