国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2010/02/20


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成22年(2010年)2月21日(日曜日)
 通巻2883号  (日曜版)
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●◎ブックレビュー◎●BOOK REVIEW◎●書評◎●ブックレビュー◎●
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片倉佳史『『台湾鉄路と日本人』(交通新聞社)
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『台湾鉄路と日本人』は台湾の鉄道の歴史と、建設に従事した多くの日本人、台湾人鉄道員について書かれた。
サブタイトルには「線路に刻まれた日本の軌跡」とある。
台湾の鉄道史が簡潔に紹介され、また基隆と高雄を結ぶ縦貫鉄道、なにかと話題になる集集線や平渓線、さらには製糖鉄道や森林鉄道、台車軌道と呼ばれたトロッコなど、産業鉄道にも目を向けているのも特徴のひとつ。
筆者の片倉氏は知る人ぞ知る「台湾百科事典」のような存在。カメラ片手に台湾中しらみつぶしに歩かれ、誰もが忘れていた日本時代の古典的建築物なども発見され、レポートされる。
本書でも評者(宮崎)が初めて知ったのは日本統治直前の清朝時代に11キロほどの鉄道が敷設された歴史があったことだ。
第5章では台湾版鉄道唱歌とも言われる『台湾周遊唱歌』の全歌詞を解説し、これは全90章もあって、台湾各地の風物を紹介しており、その詳しさは本家の鉄道唱歌を上回る。
資料にもこだわりがあり、巻頭口絵に日本統治時代と現在の路線図を入れ、巻末には7ページにおよぶ現在までの台湾鉄道史年表、おまけは戦後に改称された駅名一覧。
日本統治時代に発行された路線図や時刻表、そして40点を数える古写真も掲載されている。貴重な一冊である。
愉しい旅行記としても読めるが、資料的価値もあるという重厚な一冊となっている。
参考のため台湾在住十数年の片倉さんは台湾の森羅万象を紹介するHPのほか、メルマガも発行されている。
片倉佳史(かたくらよしふみ)氏のHPは三つ。
 http://katakura.net/ 
 ↑台湾特捜百貨店(ブログ付き)
 http://katakura.net/malmaga/
 ↑メールマガジン(片倉佳史の台湾たより)
 http://ototetsu.katakura.net/
 ↑ktkrの音鉄特捜百貨店(音鉄ブログ)
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 ESSSAY ON CHINA ○エッセイ オン シナ
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樋泉克夫のコラム
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――荒野を徘徊する人狼も、元はといえばフツーの農民だった
             『中国匪人』(冬煤 甘粛人民出版社 1997年)
 

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自然災害に戦乱、それに飢饉が追い打ちを掛ける。耕すべき土地も失った。
目の前にあるのは地獄の日々。故郷に留まったところで、残された道は餓死。道端で果てて犬のエサ。長い中国の歴史の歩みは、なんとも過酷な生活を民衆に強いてきたものだ。

「人間の本性を忘れてからに、野良犬みてえに互いに食い合うようなことをしねえためにも、この土地を出ていかなけりゃならねえ」。
かくて謹厳純朴な百姓の王龍は、「南へ行くだ! この広い国だで、どこも飢饉だというわけはねえだ。どんなに天が意地悪でも、まさか漢民族をみな殺しにすることもあるめえて」と、一家を挙げて流民の一群に身を投じる。

南方の大都会で乞食同然の生活をしながら食い繋いでいた王は、金持ちの屋敷を襲う民衆の渦に巻き込まれる。騒動の渦中で偶然にも夥しい数の宝石を手に入れたことで、彼の人生は一大転機を迎える――これがノーベル文学賞作家のP・バックが20世紀初頭の中国における農民の生態を描いた『大地』の発端だ(大久保康雄訳 河出書房 昭和35年)。

王龍は小説の主人公だから幸運が舞い込んできた。
だが現実的に十中八九は野垂れ死にだ。とはいうものの、なかには敢えて「人間の本性を忘れてからに、野良犬みてえに互いに食い合う」ような道を選ぶヤツだっている。それが地域によって胡子、胡匪、響馬、棒子手、刀客などの異名で呼ばれる土匪ということになる。

著者は土匪を「(1)農業社会が生み出す。農村は周期的に飢饉、激甚な自然災害、戦争などに襲われ、餓死を免れんとして彼らは武器を手に仲間を集い、欲しいものはなんでも手に入れようとする。(2)その存在と活動は国家の法律の埒外にある。(3)その行為は過酷な現実への抗議であり客観的には反社会的だが、明確な政治的目標を持たない。(4)生産活動に与せず、押し込み、強盗、略奪、拉致、誘拐、殺人を生業とする」
と定義し、その生態を克明に綴る。

「東北王」の張作霖、「雲南王」の陸栄廷、「東陵大盗」の孫殿栄、「狗肉将軍」の張宗昌、「中州大侠」の王天縦など、近現代の中国で傍若無人の悪行を重ね社会を恐怖に陥れた軍閥も、その元を辿れば腹を空かした挙句に敢えて「人間の本性を忘れてからに、野良犬みてえに互いに食い合う」道を選んだわけだ。

当初は数人で徒党を組むが、腕と度胸とワルを武器に勢力を拡大してゆく。
数万の私兵を蓄え堅固な山塞を根拠に一県から数県、数県から一省、一省から数省を押さえ中央政権の影響力を排除し、独立王国を形成する。こうなると中央政権は手も足も出ない。

討伐できないのなら共存共栄だ。そこで形だけでも役職を与え中央政権に取り立てる形を取る。これを「招安」といい、頑強な敵を一瞬のうちに味方にしてしまう便法だ。蒋介石は多くの軍閥を招安によって味方の側に置いた。私兵は正規軍に化け、晴れて蒋介石の幕僚となった彼らは将軍と呼ばれるようになる。

招安を受け中央権力の一角にしかるべき立場を占める軍閥を政治志向型土匪とするなら、「狐や狸より狡猾で、泥鰌より掴みどころがなく、虎よりも凶暴で、蛇蝎よりも毒を持つ」という性格で、一貫して悪の限りを尽くし民衆から恐れられた匪賊も少なくはない。これが「黒吃黒(ワルを喰うワル)」だ。

彼らは目的のためなら手段を選ばず。親も惨殺すれば、我が子の扼殺さえ厭わない。神出鬼没で悪逆非道、徹頭徹尾に冷酷無残。まさに人狼デス。
かくて中国の近現代史は土匪たちの合従連衡と栄枯盛衰ということに・・・なる。
《QED》

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(読者の声1) 貴誌2882号 DM氏の(読者の声)に対する(宮崎正弘のコメント)で「オーストラリアのラッド首相は日本が鯨調査捕鯨を止めないのなら国際裁判所へ訴えると吠えた。ラッドは親中派、キャリア外交官あがりで中国語がぺらぺらの首相ですが、ひょっとして中国との外交挫折のすり替えかも。岡田外相が訪豪する予定ですが、さて何を言い出すか」
とあります。
親中派のラッド首相が中国にいいように弄ばれていることばかり日本から観ると見えますが、内政は非常に深刻です。
資源価格高騰で潤っているのは一部の資産家だけで、不景気で失業率が高く、一般労働者の賃金は低く年間400万円稼げれば立派なものです。
嘗て世界に誇った優雅な年金や充実した社会保障は過去のものです。高い税金の代償で未だに医療は無料ですが、救急車を呼べば高い料金が請求されます。今のところ一般市民からあまり不満が出ていませんが、最近にわか作りのアボリジンが多数現われてきています。
アボリジンの血が少しでも入っていれば、奨学金、社会保障、就職で優遇されるからです。さらに「アボリジンもどき
が増え続ければ、本物のアボリジンと純潔白人の両者にとって大きな脅威となり、社会問題化します。
難しいのは、アボリジンに対する迫害の歴史に起因する贖罪ということを前提とせざるを得ない状況のもとで、確実な資料がないために、ごまかしを防ぐことが難しいことです。
戦災で土地台帳や戸籍が失われたため、本土から流れ込んだにわか地主が、実際の基地の面積の十倍分の基地補償に群がっている沖縄の現状と似てきます。こういった爆弾を抱えた舞台の上にラッド首相の見得を切る姿があります。
この現状をよく理解したうえでオーストラリアと渉りあう必要があります。うまくやれば、対中、対米で関係に於ける切り札ともなりえます。
シーシェパードのスポンサーが米国の食肉業界と解明したうえで、日本はこれから牧草飼育(grass fed)のオーストラリア肉を積極的に輸入するといってオーストライア政府と手を打って、返す刀で反捕鯨派を撃つことが出来ればよいのですが。。。。。
  (ST生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)文面から拝察して、どうやらSTさんは豪州へ行ってこられたようですね。現場の雰囲気、政治の駆け引きの濃淡が分かります。
来月、じつは小生もオーストラリアから知り合いが来日するので、この問題、聞いてみようと思います。



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(読者の声2)18日、宮崎正弘さんもパネラーだった、内田良平のシンポジウム、大変有意義な集まりでした。
特にこれまで「美談」として語り継がれてきた、孫文を助けるなどした宮崎兄弟や遠山満らが実はよくいへばイノセント、悪くいへばお人よしだつたことも理解されました。
「大アジア主義」の盲点みたいなものも、今後は少し自分なりに見ていかなくてはと思はされました。
戦前は蓑田胸喜一派などから、戦後は左翼や進歩派から叩かれた津田左右吉が「支那」に対して結構厳しい見方をして居ることを、最近入手した全集で知りました。
中国といへば竹内好や武田泰淳の文章を通じた中国理解を疑ひもなく開陳し、無邪気な日中友好を説く年配の大学知識人がまだ生きてをりますが、さういふ連中の迷妄を、目に見える形で、粉砕しなければならないとも考へさせられたシンポジウムでした。
書評も拝読。
松本徹氏の光厳院について書いた小説(『風雅の帝 光厳』、鳥影社)、ぜひ買つて読んでみるつもりです。
光厳院については亡き川村二郎が、晩年に『イロニアの大和』で、あの人にしては珍しくずいぶん高く評価して居ました。非暴力、無所有の帝といふところがお気に召した理由かもしれません。
  (KN生、草加市)



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(読者の声3)トヨタ問題に少なからず不安を覚えています。トヨタバッシングはトヨタ自動車だけの問題ではない。
日本の国益の中核をなす問題である。
トヨタに対する米国の集中攻撃はイランの核開発に対する執拗な攻撃と同種のものであると受け止める必要がある。これは国益のためなら何でもありの米国流魔女狩り体質、太平洋戦争は終わっていないと受け止めねばならない程の重大な問題を包含している。
 鳩山総理の「トラスト・ミー」は「捉えてミー」に聞こえたのか、或いはそう翻訳されていたのではないだろうか。
創業家出身の豊田社長に交代した直後を狙っての集中攻撃は、意図的なトヨタつぶしの集中攻撃であり、豊田社長の資質と能力が試されていると痛感する。
 今こそ、日本の政財界は一丸となって、国益を最優先にして国家体制でトヨタ自動車をバックアップする必要がある。日本のマスコミは外信伝を中継報道するだけではあまりに
能が無さ過ぎる。我々日本人は傍観者であってはならない。
国益を考えない日本のマスコミは失格だ。
株価が暴落すればトヨタ社が乗っ取られる可能性すらある。国民が傍観していては他の業界にも波及する可能性大だ。不安は山盛り、心配だ。
(一愛国者)


(宮崎正弘のコメント)じつは昨晩、コラムニストの高山正之氏と呑んでいましたが、今週の『週刊新潮』の氏のコラム、この問題です。
 オバマの民主党というのは日本の民主党とすこしだけ違うのは、たちの悪い弁護士集団ですので(日本の民主党はトップが馬鹿揃い。せめてオバマ程度のIQがあれば。。。)、トヨタから徹底的にカネを巻き上げるでしょうね。



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(読者の声4)「戦略・情報研究会 2009年度東京第11回講演会」
 〜 民主党政権の「東アジア共同体」論で日本はどうなるか
          −アジアとの適切な“距離感”を考える 〜

講 師: 渡辺 利夫 氏 (拓殖大学学長)
日 時: 2010年3月6日(土)15:30〜17:45(開場15:00)
場 所: スター貸会議室 四谷第2(03-5217-5577、
     東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル301号室
     http://www.kaigishitsu.jp/map/map-yotsuya.html
     JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口徒歩1分
     東京メトロ丸ノ内線「四ツ谷駅」2番出口徒歩1分)
     【↑いつもと場所が異なりますのでご注意下さい!!】
参加費: 2000円(事前申し込みの学生に限り1000円)
定 員: 80名(定員になり次第申し込み締切)

お申込/お問合せ先: 久野 潤 kunojun@amethyst.broba.cc
   [当日] 090-2933-8598 
<御名前・御通勤御通学先を明記のうえ事前お申込頂きますと当日の御記帳無しで
 入場頂けますので御協力頂ければ幸いです、「@」マークは小文字にして下さい>
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宮崎正弘最新刊 
『中国のひとり勝ちと日本のひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店、1680円)
今月号『新潮45』に全ページ広告があります。

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宮崎正弘 v 西部邁『日米安保、五十年』(海竜社、1680円)
 増刷出来!
http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/

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<宮崎正弘のロングセラーズ>
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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