国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2010/02/17


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成22年(2010年)2月17日(水曜日)
       通巻2878号  
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 堪忍袋の緒が切れた? 中国のインド洋シーレーン支配の思惑が不快?
  ロシアがミャンマー軍事政権に虎の子のミグ29戦闘機を供与
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 ロシアはミグ29ジェット戦闘機を十機、ミャンマー軍事政権の空軍へ輸出する。
ミャンマーと言えば国際的孤立をすくって軍事物資、民生物資をひたすら援助しているのは中国であり、かわりにアンダマン沖合の無人島を中国の軍事基地として貸与し、インド洋の海底ガス田の開発権利を中国に与えた。

だからミャンマーは中国の家来と考えがちである。
実際にミャンマーを南北に縦断する道路を造成しているのは中国企業、経済の流通を握るのは華僑とされる。

 ジェット戦闘機でいえば、中国がソ連製ミグを模倣した「殲」シリーズがあり、とくに「殲10ジェット戦闘機」はロシア製のミグ29よりはるかに安い。
 スホイ27,スホイ30は中国がライセンス生産をしている。

 にもかかわらず最大援助国の中国を袖にしてミャンマーがロシアから買う動機はバランス外交以外の何ものでもないだろう。

 ロシアにとって、目の前の動機は輸出競争力である。
 石油、ガスのほかは武器しか輸出品目のないロシアとしては、自動車産業のテコ入れを本格化させ、てはじめに極東から日本車を追い出す作戦を09年から開始した。関税を二倍近くに引き上げたため、日本からの中古車輸出産業はほぼ壊滅、ロシア向けで潤った日本海沿岸の諸港湾、新潟、富山、金沢、鳥取などは閑古鳥。

くわえて2012年にウラジオストックAPECを開催するために極東開発にエンジンがかかり、これを契機に極東に一大輸出工業拠点を構築する。
 だが米韓条約、日米安保条約、台湾関係法があってロシアの武器を北東アジアには事実上、輸出できない。


 ▲ロシア製武器は市場が縮小されていた

 嘗てのエジプト、インド、イラン、イラクといった武器輸出のお得意様は米国製に代替され、僅かにシリア、レバノンと若干のアフリカ諸国にしか武器市場はなくなった。ちなみにロシアは07年にアルジェリアにミグ29を売却。ほかにスリランカに六機、レバノンに十機。
 ほかにこれといった商談はなかった。

 巻き返しがプーチンの大号令で開始され、イランとインドへの武器売却が大々的となる。「米国が制裁を叫ぶイランへ堂々とロシアが輸出するのも、インドとパキスタンの核武装を黙認したばかりか経済支援をあたえ、イランと北朝鮮の核武装に反対するのは、これらは米国の同盟ではないからであり、ロシアは、そうした国々を制裁することに反対する」(プラウダ英語版、2月15日付け)。

 中国はすでにソマリア海域に海軍を派遣して周辺海域を偵察しはじめたが、ホルムズ海峡に近いパキスタン(イラン国境のガイダール港)の近代化、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマーにそれぞれ近代港湾設備建築をおこなって、近未来の中国艦隊寄港に備えだした。

 この中国の世界戦略を不愉快とみるのは米国ばかりではない。インドもそうだが、背後にあって中国の支配に狡猾に間接的に妨害するのがロシアの遣り方だろう。
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(読者の声1) 僻地在住の身、拝聴できなく残念ですが、貴誌に18日のシンポジウムのご案内がありました。 
『シナ人とは何か―内田良平の「支那観」を読む』発刊記念シンポジウム(2/18)<鳩山内閣・小沢民主党による対中叩頭・朝貢外交といった売国政策は何故行われるのか? その原因に日本人の「シナ観」の不徹底さがある。今こそシナ人の正体を暴き、中共の実体を明かす必要がある>と案内にあります。
朝鮮・シナと連帯する夢は黒船以来の日本人の宿病でした。
そして戦前、大陸にかかわった日本人の中国認識の到達点が、たとえば内田良平、長野朗、小竹文夫や津田左右吉あるいは満鉄調査部の成果。しかしこれらは正当に継承されぬばかりか、閉ざされた言語空間の中で、また大正以来の左傾思想の伏線上で、さらに(宮沢元首相によると)かつてはアメリカからも一目置かれていたシナ通の知恵者の退場によって、ペテン師スノーを尖兵とする中共宣伝部の宣伝が、ますます社会に浸透してゆきます。 
 戦前の成果を継承しないで、世界史の単系発展理論にこだわりつつ、新中国なるものを学問的に根拠づけようとした戦後の「研究運動」が実証史学としてゆきづまるのは当然としても、社会の中では未曾有の敗戦による国民のトラウマと左翼史観、そしてシナに対する先代ゆずりの親近感にもなじむものとして、中国への甘い幻想は、マスメディアによっていまなお日々に再生産されている。
シナと日本は一衣帯水、歴史的に政治・経済・文化的に甚大な関係があるのはいうまでもなく、もしその隣国への事実認識にひどい見当外れがあれば、とりもなおさず自国の歴史認識も、現状認識も、歪んでくることは必定、世界観さえフェイクになり、世界にも珍な現代日本人、たとえばかの宇宙人もできあがるというもの。貴誌は最良の宇宙病対策ワクチンですね。

 ところでシナ観を深める。そのためには『マオ』が描くようなシナ共産党の実態もさることながら宮崎先生が、
「孔子様の弟子たちが弘めた「儒教」は「教」がつくのに、死後の世界がない。現世のみです。いや、宗教とも言えないかも知れない」
と述べられているようにシナが極めて独特の神なき宗教観、特異な来世・超越次元観を、土俗レベルの信仰にもっていることへの注意が(その社会構造の基礎のところに「中間団体」を発達させるような封建時代を持たなかったことへの認識とならんで)欠かせない気がします。
(そして、これらを統一して説明する根本の原因は、なにか?)
 たとえば彼らの伝統的な観念では、現世の中華の支配構造がそのまま、彼岸の構造となる。
「冥府」は現世の朝廷にあたり、その下の重要都市に「城隍神」が、その支配下の村落には「土地神」がいる中央集権。構造ばかりか、働き方もまた同様で、賄賂がはばを利かせたり、手違いや事務の凝滞などはいつもありがちなこと。
また中共が権力批判だとして自殺を非難する背景にも独特の来世観があり、自殺者は鬼として冥府に拘引されてすぐ輪廻に入るのでなく、いつまでも供養の供物も食べられずに自殺した場所に待機しなければならないとされる。
自分が自殺した場所で身代わりの人間が自殺するまで、これが許されないので、自殺者はかならず身代わりを求める。
 というようなことがその一端であり、これらはゾンビや幽霊美女が徘徊する「志怪小説」や、文人の随筆にもうかがえます。
(石川県、三猫匹)


(宮崎正弘のコメント)中国の武侠小説はいまも空を飛び、口から火を噴くスーパーマンばかり。即物的な日常生活には情緒が薄く、だから中国語には「優しい」「愛しい」という語彙がない。渡辺淳一がベストセラーになる理由がよく分かります。中国人作家が表現できなかった領域ですから。



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(読者の声2)速射砲のように間段なく発射、もとい、発行される貴誌のコンテンツはもとよりそのパワーと熱に敬意を表します。
樋泉教授のコラムも大いに楽しみにしています。コラムというには余りに重厚かつ飄逸諧謔味の綾なす広く深い中国文明史ですね。このような書き手に出会えた僥倖を嬉しく思っています。
ロンドンの中華街、味の「不好喫」をよく知っているのは当の中国人たちでしょう。
いつぞやハロッズからほど近い店に歩いて昼飯を食べました。円卓の相席で中国人のおばちゃん二人が、「あれはきっと日本人よ」と小生を見ながら南方の訛りで喋っていました。「そう、東京から来たんだ」と北京語で話しかけたら、ニコリとして「ここの料理はまずいだろう」といいます。
おばちゃんの皿は半分ほど食べてしまっていました。信じられないことにおばちゃんは服務員を呼び、「まずいから、交換して」と言うではありませんか。言う方もですが、しぶしぶ交換して新しい皿を持ってくる店にも驚きました。
この中国人のおばちゃんのタフさのひとかけらでもわが国の友愛政権に持ってほしいと思います。
 
 樋泉教授のコラム曰く。「いまや世界中に無数の相互扶助組織が展開し海外進出を支え、彼らの手前勝手な振る舞いを許しているのだ。この本は、彼らの民族移動のカラクリを解き明かしてくれる」。

新宿や池袋の店を定点観測していれば(というか、ただ飲みにいっているだけですが)、経営者家族だけでなく、様様な中国人スタッフの面子が継続的に替わっていることがわかります。「あの子はカナダに行ったよ」とか「ベトナムに行った」とか、それらの店を基地にして民族移動しているからくりを実感します。
それにしても思い憂うるのは、友愛という島国根性を臆面なくもしゃべり散らす小鳩のぼんぼん…没法子!
  (w88生)


(宮崎正弘のコメント)池袋のチャイナタウンにはよく華字紙を仕入れに行きますが、あの辺の通行人のあいだに飛びかう中国語と、独特の食材の匂い。臆面もなく日本人を押しのけるパワー。鳩山政権は本当に本当に、かれらから見れば「ハト」ではなく「カモ」ですね。




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(読者の声3)石平さんとの御共著『「欲望大国」中国のいま』(ワック)を遅ればせ、ようやく拝読しました。貴誌「国際ニュース早読み」での充実した中国情報は欠かさずフォーローさせていただいていますが、お二人の「現場」での対話には、ひときわ実感がこもっていて興味深く拝読しました。
最近、読んだ『上からの革命ーーソ連体制の終焉』の中に当時のソ連体制エリートは「共産党員ではあったが共産主義者ではなかった」。
彼らは自分たちの特権が、自由経済化によって一層増大することを狙って、体制の資本主義化を選んだのだ、というくだりがありました。
貴著178頁の、お二人の、ポスト胡錦濤の激動予測を拝読して、いまの中国エリートはまさに「共産党員ではあるが、だからこそ共産主義者ではない」のではないか、との思いを深くしました。
そうなると188頁で語り合っておられるように、歴史的伝統という基軸を欠いた国家には「ビッグバンが起きるしかない」というご指摘には、深い説得力があります。
  (ST生、世田谷区)


(宮崎正弘のコメント)そうなのです。中国共産党は幹部党員ほど共産主義を信じていないのです。大学生がすすんで入党手続きをするのは就職に便利だから。つまり車の免許と同様な「資格」取得という感覚でしかないのですね。



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(読者の声4)貴誌16日付「通巻2877号」の「中国の労働者不足」の記事に接し、過去に小生が投稿した「中国の大儲けの根源は安価な人件費」との趣旨に極めて近い御意見であると意を強くいたしました。
安価な人件費で労働者をこき使い、国家が大儲けをしてきた付けが、ようやく国家レベルで顕在化してきているとの感を受けました。
今後、高騰する人件費と、上海ショック、人民元切り上げ等々で中国経済の先行きもあやしくなることでしょう。
貴誌の記事では、中国すらも既に安価な人件費を求めて海外に進出とは日本の後追いのような構図で愉快です。我が国企業も、これで中国進出を思いとどまってくれるといいのにと強く願うものです。
  (KT生、大阪)


(宮崎正弘のコメント)いずれじっくりと論じたいのですが、人民元をひたすら安いレートのまま墨守する中国は、逆に人民元の切り上げによるメリットを認めない。85年プラザ合意により日本円切り上げ以後、日本経済が輸出競争力をなくしたという、その一点だけの「教訓」を、中国は恐怖しているのです。
 ところが、外貨準備世界一、鉄鋼生産世界一、輸出世界一、造船受注世界一、自動車販売世界一となった中国は、鉄鉱石も石油もガスも輸入しなければならず人民元を切り上げないと猛烈インフレになり、総合的判断にたてば人民元をはやく変動相場制へ移行させたほうが得策という判断をするように、やがてなるでしょう。
 所詮、労働賃金の安さだけが勝負の産業は衰退し、ほかの国々へ移転せざるを得ない。
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  ◆ 「正論を聞く会」のご案内 ◆
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本日の「正論を聞く会」は宮崎正弘の独演会です。
       記
と き    2月17日 午後六時半(六時開場)
ところ    大手町「産経プラザ」三階会議室
講師と演題  宮崎正弘「日米中関係と民主党」
参加費    おひとり1500円(学生1000円)
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 会場では下記二冊の頒布会も開かれます
宮崎正弘最新刊 
『中国のひとり勝ちと日本のひとり負けはなぜ起きたか』(徳間書店)
宮崎正弘 v 西部邁
『日米安保、五十年』(海竜社)
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<宮崎正弘のロングセラーズ>
『増長し無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(石平氏との対談。ワック、945円)
『朝日新聞がなくなる日』(ワック、945円)
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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  • 名無しさん2010/02/17

    世界は本当に対立しているのだろうか?

    世界に対立を創り出している奴らは、使い捨てにされるのを知らないのか?