国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2010/01/24


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成22年(2010年)1月25日(月曜日)
        通巻2852号  (1月24日発行)
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 「汚職政治」と「麻薬経済」:ガンと密輸と山賊のアフガニスタン
   マクリスタル司令官が治安部隊と警察の増員による回復プランは絵に描いた餅
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 アフガニスタン駐在米軍のマクリスタル司令官はNATO司令官を兼務する。かれが描くアフガニスタン人自身の治安部隊と警察の増員による回復プランは絵に描いた餅に終わりそうである。

 オバマ政権はマサチューセッツ州上院議員補選で共和党に敗北した衝撃から立ち直れず、国民皆保険的な保険制度改革は議会での成立が困難となった。その腹いせか、ベン・バーナンキFRB議長を更迭しようという民主党の動きに同調の気配である。
 こんな条件下で、はたして約束したアフガニスタンへの三万増派は可能なのか。

 09年12月1日にウエストポイントで演説したオバマは、三万増派を発表したが、もとより現地のマクリスタル司令官が要求していたのは四万である。不足の一万はNATOを拝み倒し、ほぼ7000名ほどの協力を得られる見通しとなった。
 こんなおりに鳩山政権はインド洋給油協力から逃げたので、欧米の対日不信感は増大した。

 オバマ大統領は2010年末までに三万増派を謳いながら、一方で2011年7月からアフガニスタン撤退を開始すると矛盾したことを言った。
両立が可能かどうかは、アフガニスタン人自身の治安部隊と警察の増員ならびに訓練にかかっているのは明白だろう。

 アフガニスタン治安部隊は年末までに134000名に充足し、2011年の米欧軍撤退時期までに171000名とすることが盛り込まれている。



 ▲増員される軍人と警官の給与をだれか計算していたのだろうか

 希望的観測だが、もし実現されるとするとアフガニスタン軍の兵士に支払われている給与165ドル、危険手当75ドル。合計240ドル x 171000名=4080万ドル(現在の月給を基礎に計算)。年間で4億8960万ドルになる。
 
 くわえてアフガニスタン自身による警官をいまの94000名から134000名へ。同様に軍と給与を同じとして計算すると3216万ドル! これも年間で3億8592万ドル。
 つまり軍隊と警察あわせて給与ベースだけで、8億7552万ドル。これに施設費、訓練費、装備費など、おそらく同額。誰が支払うのだろう?

 カルザイ大統領によれば、この予算は当然ながら「外国の支援でまかなう」としており、アフガニスタンだけの歳入で、警察と軍の予算をまかなえるには2040年頃だろう、とのほほんとして演説をして欧米がびっくり。

 日本にしてもアフガニスタン警官の給与の半分の面倒を見ている。ほかはサウジ、UAE、クエートなどに集る心づもり。

 「汚職政治」と「麻薬経済」という不治の病をかかえるアフガニスタンは武装する部族と密輸業者という凶暴な山賊との闘いである。
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読者の声 ●どくしゃのこえ ☆宮☆ ◆DOKUSHANOKOE 読者の声●
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(読者の声1)中国統計について或る専門化にお話を伺うと中国の統計は、
1 統計の専門官が非常に少なく、考えられないほど杜撰である
2 地方政府は、自分達の成績になるので水増しした数字をだしてくる
3 例えば、普通の国は付加価値でGDPとかを計算するが、中国では売り上げとかで計算しているケースが多いので二重、三重にカウントされる
 など、とても当てにならないとおっしゃっていました。
 10%成長を国全体でしているとはとても思えないのですが。。。
  (天地人)


(宮崎正弘のコメント)はい、あれは「巧緻に満ちた創作数字」です。在庫もGDP統計に算入していました。つまり不良債権がGDPに計算されていた時期もあるのです。
十年前にピッツバーグ大学の著名な先生が、それ以前の過去二十年の平均成長7%−10%を疑念に思って、中国の全ての他の経済数字(たとえば電力消費量、コンテナ取り扱い量など)を調べ直して、総合比較し、「あれは嘘、だいたいのところ中国のGDP成長率の平均は3−4%だろう」と結論しました。
激怒した中国は、この先生を「ごろつき教授」と口を極めて罵っていました。



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(読者の声2)いつぞや貴誌にシベリア抑留のことが書かれていました。
《橇の鈴さえ寂しく響く 雪の荒野よ・・・》
《娘々祭だ うららかだ 娘々祭だ・・・ 娘々祭だ 人の波 娘々祭だ 馬車の海・・・並ぶ店々 売り子たち せんかうもあるよ おもちゃもあるよ なんでもあるよ》
《愛の動脈 力の泉 ・・・かけれ「あじあ」よ、ただ一飛びに 拓く使命は 南満本線》
《積もる吹雪に暮ゆく街よ 渡り鳥なら伝えておくれ 風のまにまにシベリアカラス ここは雪国満洲里》
 いろいろとフレーズが思い出されました。
     (KH生、愛知)


(宮崎正弘のコメント)シベリア抑留は66万人。そのうち六万人が亡くなった、とされていますが。記録と人数を照合した別の統計ではシベリアでの死者は8万人近いという数字もありますね。
 あのソ連への恨みは現代の日本では薄らいで、北方四島返還をいうだけになりました。あまりにも、しかしながら我が民族は寛大すぎる?



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(読者の声3)検察の三権分立についてですが。
 第76条【司法権・裁判所、特別裁判所の禁止、裁判官の独立】
  1  すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
  2  特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
  3  すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

  第77条【裁判所の規則制定権】
  1  最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
  2  検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
  3  最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

  第78条【裁判官の身分の保障】
  裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

とあり、司法は裁判所のみであることは明確です。
また、検察は
検察庁は検察官各人の独任官庁としての性質を持つが、行政機関であることから検事総長を長とした指揮命令系統に従う(検察官同一体の原則)。
法務大臣は行政機関たる検察庁を擁する法務省の長であり、下部機関である各検察官に対し指揮する権限を有しているともしうるところ、必要以上の政治的介入等を防止する観点から、検察庁法において具体的事案に対する指揮権の発動は検事総長を通じてのみ行い得る(いわゆる指揮権の行使)との制限が規定されており、直接特定の検察官に対し指揮することは認められていない。

このことにより、検察官は政治からの一定の独立性を保持しており、法の正義に従った職能を行使することが期待される。いわゆる指揮権については、法務大臣と検事総長の意見が対立した場合に問題となり、かつては法務大臣の指揮に従わないこともありうる旨を述べた検事総長が国会で問題とされたこともあったが、法的には「法務大臣の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り違法なものでも服従する義務がある」とされ、その結果の是非については、指揮権を発動した法務大臣が政治的責任として負うことになる。
                                                            (天地人)


(宮崎正弘のコメント)アメリカ製占領基本法ですね。このあたり改憲論議でも殆ど問題になったことがないポイントです。



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(読者の声4)通巻2837号(読者の声6)ST生様の外人参政権に関わる内閣法のデタラメな作成と、現在に至る経緯を拝読し、法治の姿を知ることが出来ました。卑劣にもマニフェストからは、外したようですが。 
中学生の試験に出しても、日本国籍の無い者の政治への関与、干渉は極力、これを防ぐのが正しいと、大部分が答えると思います。
多くの国民にとってほぼ唯一の政治関与、選挙、この前提、国籍に関連して疑問に思っていることがあります。2007年の参院選でペルー大統領をされたフジモリさん、今、獄中のフジモリ氏が国民新党から立候補していました。
 重国籍を得た者も二十歳ころまでに、ひとつだけ選択し以後、一国籍のはず。一般人が知らない裡に、法律が変えられたのか。または 法務官僚が被選挙権あると決定し、政府として認定し選管に指示したのか。もしそうなら根拠とした法律、その解釈をご存知でしたらご教示下さい。         
 選管が漫然と届を受理したのを放置したのかとも思いますが?
( SH生 北海道 )


(宮崎正弘のコメント)帰化したはずですが? くわしくご存じの方、ご教示下さい。



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(読者の声5)貴誌2851号三峡ダムに関してですが。15年前、2004年8月に三峡ダムの地すべり調査の報告のHPがあります。
 この中には1kmx700m,700mx700m,600mx400m,600mx500mの4箇所の写真が載っています。
或る場所では地すべりでは対岸に30mの津波が襲ったとあります。
 この15年間にどれだけの地すべり地震があったのでしょうか?
 この調査もODAだったのでしょうか?
 http://www.madlabo.com/mad/research/200408china/index.htm
   (よんなよんな、沖縄)


(宮崎正弘のコメント)ほかに地盤の崩落も凄い。地表では見えないのですが、秋芳台のように地中が穴だらけ、巨大な洞窟という場所なんぞへは容赦なく水が入って、ガラガラと陥没し、地震が起きる。
身体に感じた地震だけでも数百回という統計があり、事態はより深刻でしょうね。



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(読者の声6)貴誌通巻2851号で「伊勢ルイジアナ」氏に対して貴見は「アメリカから日本が透視できるんですね」
とあります。
私は日本からアメリカを透視させていただきます。
今、米国政府の日本専門家たちの間で一番の話題になっているのは、第一次湾岸戦争で日本政府から米国政府へ支援金130億ドルを提供するように関係者を説得して話をまとめた者へのリベートに関する情報を現在の日米関係改善のためマスコミにリークするべきか、その必要はまだないか、別なことのためにとっておいた方が米国政府にとって得であるかです。
なにもたいそうなことではありません。
情報公開法の公開期限がきたといって、記事のネタに飢えている記者にこっそりと耳打ちするだけのことです。
効果絶大、リベートの送金方法とそれに協力した組織や人士をも発表すれば、絶大なる効果があるうえ、米国政府には一銭も必要ありません。
しかし、将来のためにとっておきたい気持ちも判ります。
  (ST生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)日米政界の闇ですか。



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(読者の声7)通巻2851号の読者の声6を読ませて戴きながらふと思うことがありました。
偶然ですが、この日我が家に次男の友人二人が遊びに来ており、今晩はお泊りだそうです。二人とも韓国からきた子供たち。うち一人が近々帰国するので、子供たちだけのサヨナラパーティーです。
当地では永住権をもたない家庭の子女も、公立学校が子供を受け入れています。但し私立学校並みの授業料を取ります。それは学校の備品充実に使われています。
二人とも高い授業料を覚悟している家庭の子供たちです。韓国人家庭との付き合いは子供を通してですが頻繁で、子供を遊ばせに来る親御さんは必ずといってよいほど手料理を持参してきます。白人の親御さんには少ない、日本人には良くわかる風習です。
『国』を背負わない環境にいる韓国人との付き合いは実に心地よいところがあります。
 さて「読者の声6」にある熊本本妙寺ですが、この寺の奥山に屹立する清正公像が見つめる熊本市街の眺めは素晴らしく、そこで見かけるのは観光客ではなく、あの長い階段を溢れる汗をふきふきジョギングで駆け上がってくる地元の方ばかりです。
ここに清正公に殉死した朝鮮出身の高官の墓があることは知りませんでした。
かつて日本に帰化した半島の人々はおそらく相当に心地よく日本に同化していったのではないでしょうか。
桓武天皇生母高野新笠は百済系ですが、御陵は桂川の西にあります。本能寺に向かう明智の軍勢が早暁、戦の前の朝飯を食べた辺りにある丘で大事に守られています。
高野山にも朝鮮の役での戦没者を分け隔てなく祀った島津義弘の建立した慰霊碑があり、鹿児島にも多くの朝鮮人陶工がやってきました(連行されてきたという表現もできますが)。かつて二つの民族にはそれなりに心地よい付き合いの工夫していたのだろうな、と思わせる歴史遺産が日本にはあります。
それがどこかで変質してしまった。それとも私のせまいプライベート空間での観察がナイーブすぎるのか。
本妙寺を訪れた夏を思い出しながらの感慨でした。
  (カナダ、SW生)



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(読者の声8)ミッキー安川さんの通夜報道があります。石原都知事も出席したようです。
http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20100124-OHT1T00022.htm
  (ファン)


(宮崎正弘のコメント)ミッキー安川追悼特別番組があります。
30日土曜午後八時。ラジオ日本の予定です。

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 樋泉克夫のコラム  樋泉克夫のコラム  樋泉克夫のコラム  樋泉克夫のコラム
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 樋泉克夫のコラム
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――ぼ、ぼ、僕らは抗日少年ゲリラ隊・・・
          『石荘児童団』(上海人民出版社 1963年)



58年にはじまった大躍進政策は惨憺たる結末を迎え、3年続きの自然災害が追い討ちを掛け、3000万から4000万人が餓死した。
この危機的情況を打破し「V字回復」を果たした最大の功労者は、毛沢東に代わって国家主席・国防委主席に就いた劉少奇だ。

だからこの本が出版された当時は劉が大いに讃えられてしかるべき時代だったはず。
だが黙って引き下がる毛ではない。得意の“搦め手”による劉少奇追い落とし策に手をつけ始めていたようだ。

《毛沢東の正しさ》を子供に植え付け、毛沢東を《絶対無謬の神》と思い込ませ、しかるべき政治決戦に備え、虎視眈々と一剣を磨く。冷酷非情・用意周到・奇奇怪怪。
無邪気であるがゆえに喜々として冷血・残酷にもなりうる子供たちを操って反劉少奇の大混乱を起してしまえば、こっちのモノ――この本から、こんな底意が読み取れる。

小栄クンはちびっ子だが肝っ玉が据わっている。日本鬼子(ぐん)が駐屯する東港を流れる平洋に飛び込んで、今日も魚獲りだ。水に潜ったかと思えば川面に浮かんでは遊んでいた。
ふと岸辺を眺めると、兄ちゃんの小順たちが手に手に槍を持って玉蜀黍畑の中に消えてゆく。日本兵の偵察だ。

小栄クンは慌てて岸に上がって、兄ちゃんたちを追いかける。
やっと追いついてしばらく行くと、川の方からジャブン、ポトンと音がする。川辺の葦の間から伺うと、日本兵が川に入り測量をしている。

どうやら、この川に橋を架けるための準備をしているらしい。この光景を目に小栄クンは子供心にも、「チクショウ、日本鬼子に橋を架けられたら、おいらたちの村は全滅だ」。「子供たちの目は日本鬼子に釘付けとなり、目からは復仇の怒りの炎がメラメラと燃え上がる」。

小栄クンは小順兄ちゃんの命令を受け、村の民兵隊に報告に走る。相変わらず偵察を怠らない子供たちの目に飛び込んできたのは、メガネの「ちびでデブの日本軍隊長」。
歩きながら部下を叱り付ける姿は、「まるで生きた凶暴な猪」。と、川上からスイカを満載した小船が。船にはおじいさんと子供が。と「ヤバイゼ、小栄のヤツ報告に行かずに船の上でさぼって遊んでいやがる」

炎天下である。
川の中で測量していた日本兵は喉が渇いたのだろう。小船に近づいてはスイカを勝手に取り上げ、喉をゴクリと鳴らしながら、冷えたスイカをムシャムシャ。と、ピューン、ピューンという銃声。

スイカを手に慌てて逃げ惑う日本兵。デブの隊長は船尾でブルブル。そこで小栄クンがデブの腹を目掛けて頭突き一閃。やつは、もんどりうって川の中へ転落だ。

船上のおじいさんが付け髭を取り外すと、なんと民兵隊長。大声で「生け捕りだ」。一斉に川に飛び込んだ子供たちは、必至に逃げようとする日本兵の足や手を掴んで川の中に引き釣り込んで溺れさせる。戦闘はしばらく続いたが、全員が民兵に捕まってしまう。

静かになった川面をスイカ満載の小船が行く。船上の子供たちはハシャギながらスイカを頬張る。
そこに「日本の侵略者を我等数億の立ち上がった人民の前に引きずり出し、一匹の野牛を火陣の中に追い込むように仕向ける。
一声挙げて吃驚させれば、この野牛は焼け死ぬしなかい」と毛沢東の教えが重なり、「毛主席の教えは何とすばらしいことか」と。
この本は毛沢東からの有難い“子ども手当て”。文革開始まで・・・余すところ3年。
《QED》

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 樋泉克夫のコラム  もう一本
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  ――とり急ぎ・・・熱烈慶祝「保八」政策大成功


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 1月21日の中国国家統計局の発表に拠れば、09年10月から12月期の実質GDP(国内総生産)は前年同期比で10.7%増。09年通年のGDPは前年比で8.7%増とのこと。

一昨年秋のリーマン・ショックを引き金とする世界同時金融不況の荒波を回避し、前年比8%の経済成長を確保すべく、中国政府は大規模な財政出動を実施して農村部での家電製品購入などを軸とする内需拡大策を昨春に打ち出した。
この胡・温政権による「保八(8%維持)」政策が奏功したということか。加えて大方の予測では、GDP総額で今年中には日本を追い越し「世界第2位の経済大国」に伸し上がることはほぼ確実だそうだ。

 日本人としては悔しいかぎり。だが、彼らのような意地汚い罵倒は見苦しいだけ。一先ず「保八」政策大成功をお祝いするのが、隣人たる神州高潔の民の正しい作法というもの。

 さて、今を去る50年ほど昔、毛沢東が掲げた大躍進政策に国を挙げ寝食を忘れ狂奔し、
毛沢東式社会主義経済の成長に邁進していた頃のことだ。当時は世界第2位の経済大国であったイギリスを15年で追い越し、第1位のアメリカに追いつくと毛沢東が大号令を掛けるや、誰もが異を唱えることなく諸手を挙げて毛に唱和した。挙国一致のゴマスリである。だが、そのゴマスリには矢張り裏があったようだ。

たとえば劉少奇夫人の王光美の実兄で著名な民族資本家だった王光英は、「我われ企業家は空気を読むことに長けていなければならない。共産党が『左』になったら、資本家は立ち位置を共産党より更に『左』に変えることができる。誰かが直ちに大声で『15年で英国を追い越す』といったら、勢いよく『2年でイギリスを』『3年でアメリカを』と。さらには『もう追い抜いた』とさえいってのける。

どだい、なにか魂胆あっての発言。だが、企業家の間では極く当たり前のこと。追いつけないなどとは口が裂けてもいえるわけがない。雲を掴むような嘘八百を並べ立て、目の前の苦境を乗り切るだけ。人には生きようとする本能があり、だから誰もが環境に対応すべく努める」と、日頃から嘯いていたという。

毛沢東の政策に異を唱えた劉少奇の義兄だが、そんなことは無関係。王光英もまた大躍進の狂騰に飛び込んでいった。
もちろん「なにか魂胆あって」、「立ち位置を共産党より更に『左』に変える」。彼が企業活動の拠点としていた天津で「企業家は大躍進に即して自らを改造せよ」と呼びかけ、「企業家は半年で社会の先進分子に、1年で模範に、2年で共産党に入党」を骨子とする天津企業家向けの「改造規則」を率先して策定したのだ。

文革時、劉少奇の義兄であり企業家であることから紅衛兵などから過酷極まりない扱いを受けたはずだが、83年には国務院直属の持ち株会社である光大集団や同集団傘下の香港光大実業で経営のトップに立つと共に、全国政協副主席、全人代常務副委員長など国政の要職を占めた。

このように改革・開放を機にゾンビのように蘇生し、改革・開放当初の!)小平時代には「紅い資本家」の代表的存在として内外から注目されることとなった王光英だが、大躍進当時の過激な言動を振り返り、一片のバカ話と笑い飛ばしたそうな。

王光英は「立ち位置を共産党より更に『左』に変えることができる」。ならば後輩の「紅い資本家」は当然のように共産党より更に「右」にも「変えることができる」はず。
融通無碍で無原則。それは共産党も織り込み済み。魑魅魍魎が群れ集い、「なにか魂胆あって」化かし合った結果が冒頭の数字なら、統計というより詐術じゃあないかなァ・・・。
《QED》

(ひいずみかつお氏は愛知県立大学教授。京劇と華僑研究の第一人者)。

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  • 名無しさん2010/01/24

    (読者の声4)通巻2837号(読者の声6)への先生のコメントに対する返答(フジモリ大統領の参政権について)→フジモリ氏は、昭和59年5月法律第45号による国籍法改正の際、同改正法附則の規定によって、同改正法施行時(60年元旦)に二重国籍とみなされることとなり、国籍を選択しなければならなくなりました。そして、2年以内(62年1月1日まで)に選択しない場合は日本国籍を選択したものと看做す旨規定されていました。フジモリ氏は特に選択する宣言をしていなかったので、この看做し規定を根拠に、平成12年の亡命の際に、河野外務大臣は、フジモリ氏が日本臣民であることを確認した旨記者会見で述べています。フジモリ氏は、この昭和59年5月法律第45号附則の規定を知らずに、外国元首となっていた可能性もあります。そして、ある日突然外国元首であったフジモリ氏は天皇陛下の赤子であるとされたのです。(早稲田院生)