国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2010/01/16

★下段にハイチ地震関連の情報あります!
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   「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010年)1月17日(日曜日)
         通巻2843号  
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<日曜版 読書特集>
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●◎ブックレビュー◎●BOOK REVIEW◎●書評◎●ブックレビュー◎●
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陳恵運・野村旗守著『中国は崩壊しない』(文藝春秋)
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 最初に封を開けて手にしたとき、本書の帯が二センチ上方へずれていてタイトルが「中国は崩壊したい」と読めた。「?」。自らは崩壊したいんだ? 帯をもどすと違った。「崩壊しない」そうである。
 表題のままの内容なら、保守の人はまず買わないだろう。中味は反語だらけ、かと言えばそうでもなく、必死で中国崩壊論を俎上にのせて、その可能性が希薄であることを、別の意味から論理的に証明しようとするのが本書の目的である。
 基盤となる考え方は独裁執権党「中国共産党」の支配システムがしっかりしているという恐るべき現実から、「崩壊論」を否定する論理が発展する。
 いまの中国に蔓延するのはコネ、暴力、詐欺だが、基本は党の存在が揺るがないという事実であり、「監視、洗脳、暴力、隷属、憎悪、謀略、捏造、欺瞞、賄賂、拝金」があるからこそ、中国は崩壊しないという。まるでオーエル『1984年』の世界がシナ大陸で完成されている?
 中国は崩壊しない。
それは当然のごとくに当然である。
詩聖・杜甫が詠んでいる。
――国破れて山河あり、城春にして草木ふかし。
崩壊するのは執権党による王朝であり、秦の始皇帝いらい、王朝はかならず易姓革命で滅び、次の王朝は天が使命感をあたえたとうい『神話』をでっち上げて、また同じように国家を壟断するだろう。いまの王朝があと何年もつか、いや数十年持つか。それは神のみぞ知る。
 しかし短期的に言えば、本書がいうように拝金主義に国民を酔わせ、反日で不満のガス抜きをして、中華思想でマルクス主義を代替しえた中国共産党は以前より強く見える。したがって短期的展望で言えば『崩壊しない』という暗いシナリオの可能性が強いのも、論理的帰結である。
 よくこなれた内容と編成で、参考になる。
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兵藤二十八『もはやSFではない無人機とロボット兵器』(並木書房)
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 防衛論の泰斗・兵藤二十八さんの新作。これからの世界戦争は米国の無人機が代表するようにロボット兵器が多用され、これこそが核武装が叶わなくなった日本の最後の切り札になるだろう、という。
 賛成である。
 人間と違ってロボットは感情線がなく、喜怒哀楽がないから、戦争の最前線でも兵器で戦闘行為に従事できるし、排便も発汗もないロボットはエコ兵器でもある。
 日本の産業のインフラと潜在の技術力があれば、すぐにもロボット兵器大国になれたのに、貧困な頭脳しかない劣化した政治家の無謀なる防衛政策の結果、ロボット開発競争に日本は出遅れている。
 それも決定的な出遅れで、取り返すには時間とエネルギーと金を注ぎ込む必要がある。
しかし、この無策状態のままでは将来、米国に特許支払いが生じる。この危機を日本の政治家も官僚もマスコミも軍事オタクも認識していないと兵藤さんは苛立つ。
 さて夥しいロボット兵器の陳列と解説は、本書に譲るとして、アフガンでもイエーメンでも無人機の大活躍は指摘する必要がないだろう。しかし軍事オタクの、あの政治家(漫画の主人公に似ている人)は知っているかなぁ。
 さてさて、評者(宮!))にとって、この本には深い興味と格別の思いがある。
 というのも1984年に拙著『軍事ロボット戦争』(ダイヤモンド社、絶版)を上梓したおり、なかみは上記と本質論で同じだったけれども、当時の防衛庁高官ならびに防衛評論家と称する人々にも意見を聞いたことがある。
 とくに某テレビ局にいた友人が有力な防衛議員なども廻ってくれた。
「うん。ナルホド。面白いな」で嗤ってお終いだった。
SF世界のこととかたづけられ、将来の技術を見通す力もない人たち、というより目の前の出世と日米安保条約の履行にのみ汲々としているサラリーマン軍人にとって、そういう戦略的な事柄は考える時間もないのだ。
そして四半世紀以上も閲して、日本の防衛論は欧米水準から言うと幼稚園のレベル。一方で保守論壇には兵藤氏のような若い世代の防衛本格派論客が最近たくさん出てきたことを欣快に思う。
 不況対策にも国を挙げての防衛産業テコ入れと防衛力強化が国益になる。鳩山友愛政権は、国を売ることに忙しく国を守ることにはいささかの関心も抱いていないようではありますが。。。。。
 本書は画期的な日本防衛への建議書でもある。
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宮崎正弘・石平『増長し、無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(ワック)
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 発売中 ! 945円
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 中国の現実を知ればしるほど抱腹絶倒、やがて哀しき虚勢の大国!
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  ●読者の声 どくしゃのこえ DOKUSHANOKOE 読者の声◎
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(読者の声1)ハイチでの大地震に関するオバマ大統領の発言ですが、何でも「米国はハイチとともにある」と言ったとか。
でも米国はそんなに今までハイチを大事にしてきたのでしょうか?
余談ですが、状況を何も知らないでこの部分だけを聞くと、全く別の意味に聞こえてしまいそうです。つまり、「米国は、あらゆる分野で失速して、今のハイチのようになる」という意味に・・・。
  ちなみに、発言の全体は、「米国はハイチとともにある。世界はハイチとともにある」となるのだそうです。でもアルカイダに手を焼くオバマ大統領が言うと、「世界の治安は、今のハイチのそれのようになる」という意味に聞こえてしまうのですが・・・。
   (T.T)


(宮崎正弘のコメント)ハイチはブードー教と呪術のくに。80年代に「レーガン・イニチアティヴ」という外交政策が展開されたときは、中米とりわけカリブ海周辺の安定が重要とする外交政策が打ち出され、とくに英語圏のジャマイカへ集中的援助が行われ親米シアガ政権が誕生したこともありますが、そのご、米国の手抜きにより、元の黙阿弥状態です。
 中米ニカラグア、パナマも時々、移り気の重点政策が忘れたように発動されますが、結局、米国が中米で重視するのはメキシコ、コスタリカ、パナマの順ではないかと考えられます。
 さてハイチですが、ここはクリントン元大統領とヒラリー現国務長官とのハネムーンの旅行先でした。クリントンは特別な思い入れがあり、国連のハイチ特使も、クリントン元大統領が引き受けています。彼と夫人の国務長官とがオバマ大統領を動かし、ハイチへの全面支援を促したようです。
 クリントンはTIME(1月25日号)に緊急寄稿して「04年のTUNAMI災害では、地球的規模の援助がなされたように、ハイチを救え」と訴えています。なかなか思い入れの深い呼びかけです。



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(読者の声2)一年前、ウラジオでロシア人のデモ隊が「北方領土と一緒にウラジオストックを日本に渡せ」と反プーチン路線で団結し、そういったスローガン掲げていた、と朝日新聞でも報道していました。
その後、モスクワの暴動鎮圧特別司令官等を送り込んだことも功を奏して強権にて鎮静化。
そして日本からの輸入車に高い関税をかけて事実上、日本車は輸入できなくなって、さらにウラジオにロシア国産自動車の工場を稼働させる。
一年経ってウラジオ製新車の一号車は伊首相のベルルスコーニに買わせる宣伝までも仕組むプーチン流政治手法のお手並み。
老婆心ながらイタリアへ輸出するその車が欠陥車にて逆宣伝とならないように祈るばかりです。
   (KU生、世田谷)


(宮崎正弘のコメント)ウラジオストック沖合のルースキー島をプーチンは外国人に開放すると宣言したそうですが、筆者らは昨年秋に、この島をくまなく見学しました。同島は2012年のAPEC会場となるためリゾートホテル、国際会議場の建設が急ピッチでした。



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(読者の声3)岩波新書の『シベリア抑留』は「スターリンに抑留を要請したのは日本側にある」という(驚くべき)基調で書かれています。ロシアからその資料も出てきて、その上、日本の政権が民主党になって、急にシベリア抑留補償問題がクローズアップされ来ました。
シベリア抑留についてのソ連内部の自己批判はスターリン批判も含めて日本より激しく、どちらかというと、日本のほうがこの人類史上特筆される暴虐に対して微温的ですらあります。
日本の国家/政府のやり方も愛国心を生むものではない。
 シベリア抑留には日の丸梯団と赤旗梯団の対立が伝えられています。日の丸派にも日本の恥部を感じさせるものがいくつもあります。
 よく抑留記録を多数読まないと全貌がつかめません。うその記述、自己正当化の記述もたくさんあります。日本人らしい立派な話もあります。
 日本にはシベリア物が2000冊ぐらいあるそうですが、中でもスターリンへの感謝文の中心発起人の浅原正基の「私のシベリア抑留断章 苦悩のなかをゆく」(朝日)という本は衝撃的でした。(古本でも原書より高価)
 この領域に解像度の高い内視鏡をいれないと戦後の思想の本質がわからないという感じがします。
シベリア物はスターリンの極悪非道という話なので、本来ですと、朝日新聞社、岩波なら避けて通るべき領域だと思うのですが、朝日、岩波の出しているものが意外に多く、その秘密を探ると意外なものが見えてきます。
 ネットにも無数の感想文、史実分析など情報がたくさんあります。この議論の展開はナベツネから桑原武夫、渡辺一夫、さらに丸山真男、佐々淳行、フルシチョフ、ゴルバチョフ、エリツインに及びます。
ナホトカの湾岸道路もシストラ山を望む岸壁も日本人抑留捕虜が建設したものようです。
   (TK生、世田谷)


(宮崎正弘のコメント)小生のウラジオストック、ナホトカ紀行は下記に。ナホトカの日本人墓地が荒らされ、台座の大理石が盗まれていたのには憤懣やるかたなし、です。
http://miyazaki.xii.jp/tyosya-kinkyou/index.html
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(新刊案内)
宮崎正弘 vs 西部邁『日米安保、五十年』(海竜社)
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http://www.kairyusha.co.jp/ISBN/ISBN978-4-7593-1109-9.html
 2010年1月19日は安保条約改定から半世紀。
オバマ政権下で、これまで保たれてきた日米の友好関係が大きく変わりつつある危機を、いま、どれほどの日本人が感じているでしょうか?   
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http://www.amazon.co.jp/dp/4759311092/ 

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宮崎正弘・石平『増長し、無限に乱れる「欲望大国」中国のいま』(ワック)
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 中国の現実を知ればしるほど抱腹絶倒、やがて哀しき虚勢の大国!
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『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実』(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『やはりドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
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◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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