国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2010/01/13


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   「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成22年(2010年)1月13日(水曜日)貳
         通巻2838号  
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 イランで核物理学者が暗殺されたが、CIAとモサッドの関与はありえず
  欧米筋:「狂信的イラン体制が、ムサビ陣営の学者が邪魔になったからではないか?」
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  1月12日、イランの首都テヘラン北部にある住宅街で、テヘラン大学で核物理学を教えるマスード・アリモハンマディ教授(50歳)が殺害された。日本のマスコミも小さく報道している。

 路上に駐車してあったバイクに仕掛けられた高性能爆弾が遠隔操作によって爆発し、付近にいた通行人ふたりも負傷、100メートルほどの付近の家々は窓硝子が粉々に飛び散ったという。
  アリモハンマディ教授は核に関する論文を国内外で発表していた著名人。著作も数冊ある。

 ただちにイラン外務省のメフマン・パラスト報道官は「この犯行に米国やイスラエルの情報機関が関与している」と矛先を外国に向けた。
 イランの国営テレビは「シオニストによってイランの学者は殺害されたのであり、かれは殉教者だ」とした。同教授はイランが推進する核兵器開発に関与していたとアルジャジーラも報じた(1月12日付け)。
 
 「しかし彼の仕事は論文が中心で核開発の現場とは関係がない」(英紙テレグラフ、12日)。

 事件の真相は藪の中、米国は国務省スポークスマンのマーク・トナーが記者会見し、ただちに米国の関与を否定した。「イランでは核開発に携わる学者、技術者等は厳重に護衛されているはずだ」とも。
 
 直前にもイランの核物理学者のシャラム・アミリ教授がサウジアラビアへ巡礼に行くと言って、でかけてまま七月以来、行方不明になっている事実が判明した。

 イランのモッタキ外相は「誘拐されたのだ。米国の仕業だ」とテレビで会見した。
 事件の謎はなぜサウジアラビアで、この学者は消えたのか。多くの秘密情報を携えて米国へ亡命し、それをサウジアラビアの情報機関が助けた可能性は残る、とイスラエル在住の専門家メイル・ジャベンダンファーは言う。

 07年にトルコへでかけたイランのアスガリ外務次官が行方不明となり、いまも亡命説がながれている。イランの家族は否定している。
 同外務次官は米国へ亡命した可能性が高いと噂が飛んだが、1月7日、米国務省はこのケースでも米国の関与を明確に否定した。
 

 ▲暗殺された教授はイラン反政府の学生運動に理解があった

 ウォールストリート・ジャーナル(1月13日付け)は「暗殺されたアリモハンマディ教授は昨年のイラン大統領選挙で、反対陣営のムサビを支持したテヘラン大学の240名の教授陣のリストにある」とした。
 
 英国情報筋は別の見方をとる。
 英誌テレグラフに依れば、イランの反政府運動との関連で、アリモハンディ教授はムサビ前首相との絆が深く、しかも国家プロジェクトには消極的でIAEAの査察に協力的だった。

 基本的にイランの科学者、物理学者等は現体制を支持しておらず、ムサビもと首相支持派が多い。蛇足だが、筆者もテヘランでいろんな人と話し合いをしたが、匿名を条件に反政府の立場を語った。
 
 つまりイランの狂信的アハマドネジャッド政権は、このような反政府的な知識人を目の敵にしており、イスラエルと米国の仕業として国際的に糾弾し、国内を結束させるばかりかムサビ支持派への無言の圧力となる、見せしめのテロではないのか、という示唆が欧米メディアの分析には含まれる。
 
 ニューヨークタイムズは「暗殺されたアリモハンマディ教授は核物理学のなかでも高分子工学と中性子理論の研究家で核爆発との関連は薄い。また事件は反体制派のカロウビ師暗殺未遂事件直後におきており、イラン当局の反対派への血の弾圧が強化されたタイミングでなされている」(13日)とした。
 
 ロスアンジェルスタイムズはテヘランの学生たちからの投書、ブログへの書き込み、インタビューなどから次の事実をつたえた。
 「同教授はテヘラン大学でもイラン革命防衛隊に1979年革命の折は参加したが、その後、離れており、最近は授業中にもイランの高官らを、実名を挙げて非難した。教授は自由をもとめる学生運動に理解をしていた」(12日付け)。
 
 さて犯人と名指しされたモサッドのくに、イスラエルの反応は?

 エルサレムポスト(1月12日付け)は 「ヒラリー米国務長官は改めてイランへの制裁を主張し、他方、イランでは現体制に反対する勢力が強くなるばかり。昨年六月のイラン大統領選挙はアハマドネジャッド派の不正操作で、事実上、ムサビ師が勝っていた。その後の暴力的な当局の取り締まりと街頭行進をする反対派への弾圧ではムサビの甥も殺されている。暗殺された教授は核爆発とは無縁の学者で、米国の核物理学者の間でも無名のひと。かれはアハマドネジャッド政権に反対するムサビ陣営にあったが、著名な反体制運動かでもなかった」と事実だけを淡々と伝えている。
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(読者の声1)英文記事ですが、読んでください。
http://bomanchu.blog81.fc2.com/ 
ヒラリーらは、「普天間は問題ではない」という顔付きですね。つまり鳩山は反米ゲームをやっているだけだと。やはり、イランの核に神経を尖らせている。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)小学校の学芸会だった鳩山政権のよちよち歩きも、ようやく世界の冷たい現実に晒されて、その国際政治の不条理を日々感得している。
 「目がイっていた」岡田外相も、おちついた視線でした。
 ハワイでの日米外相会談、普天間移転は五月までに解決と岡田外相は発言しながらも、今後は日米同盟の深化を目指すと言い、ヒラリー国務長官も「(うまくいった)これまでの日米同盟の五十年、これからの五十年の同盟を考えよう」と前向きだった。
しかしこれだけ日米関係をハチャメチャにしたあとからでは修復にも時間がかかりそう。



  ♪
(読者の声2)1月19日に日米両国政府は『安保条約五十年』を記念する声明を発表するそうです。
このタイミングで宮!)先生と西部邁先生の対談『日米安保、五十年』(海竜社)を手にとって、一晩で読みました。
非常に有益で、しかもじつに面白かったです。参考になります。
かたや60年安保で東大自治会委員長だった西部さんと、こなた70年安保で民族派学生運動の指導者だった宮崎さんとの雌雄の対決とおもっていると、「あの時代、安保条約の条文なんてだれも読んでいなかった」とあっけらかんとする西部氏。対して宮!)さんは、「60年安保はナショナリズムの発露、学生運動の指導者は三国志にでてくる主役のように見えた」と振り返るあたりから、安保条約解釈ではなくて、ふたりの歴史、文化、伝統そして国防のあり方を論じる本質的なイシューに踏み込んでいて、それがまた有益な議論と思いました。
  (KT生、岐阜)


(宮崎正弘のコメント)喧嘩上手な西部先生、この対談では意外にけんか腰ではなく、情緒的な安保体制論議から、言葉の解釈としての国防問題にまで発展して、本書に収録できなかった部分も沢山、積み残しとなりました。
 これから普天間基地、防衛予算、アフガニスタン等々。日本では安保論議が本格化する筈です。
その第一弾として論争の口火を切ったか、どうかは読者のご判断に。
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(お知らせ)1月15日(金曜日)午後一時からラジオ日本『ミッキー安川のずばり勝負』に宮!)正弘が生出演します(午後二時四十分ごろまで)。
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