国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/12/27


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年)12月27日(日曜日)
       通巻2821号  
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<チャイナ・エコノミーの闇(その1)>
 日本の多くのエコノミストが節穴である理由が分かった
  中国の公式統計を信じ込んでいるのはもとより中国の暗部を知らなすぎる
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 必要があって、たて続けに「論客」といわれる人たちの中国経済論を読んだ。
 官庁エコノミスト、シンクタンク、証券系銀行系を問わず、それらのチーフ・エコノミストのもの、外国銀行のエコノミストが予測した中国経済近未来予測など。
 中国人の宣伝を鵜呑みにする大学教授らの所論にはあきれかえるばかりだが、さすがリスクをとる貸し金業、リスクにかける証券などの分析には鋭いものが一部ある。余談をさきに書くとアカデミズムに浸る中国学者の経済論は読むも無惨、現実離れしていて、おそらく中国人学者からも相手にされないのではないか。

 何かが決定的に欠けている。
 それは何か?

 第一にGDP成長神話への疑問。
中国は過去三十年にわたって「高度成長」を遂げてきた。だからこの巡航速度を保てば次はこうなるというのは単純統計学予測だが、中国共産党自身が「保8」(8%成長死守)に自信を失いかけ、虚像が剥げ落ちるのを、かろうじて宣伝活動で防いでいる。

GDP統計は国家統計局が「智恵を絞って出す想像数字」であり、そもそも個人消費、民間設備投資、政府支出、貿易黒字の数字のうち、前者二つは統計のとりようがない。
闇のマーケット、民間企業はヤミ金融に頼り、国有銀行が全体の八割をしめる貸し出しの対象とは国有企業だけでしかない。このいびつな構造のなかで、GDP統計が絶妙に操作されており、実態とは乖離している。



▲財政出動は銀行の潜在的不良債権を増やしただけ

 第二に財政発動の四兆元(57兆円)が効果をあげて、落ち込んだ世界経済の回復を牽引したのは中国だとする過剰宣伝を信じている一群の人たちがいる。
 すでに一部エコノミストが指摘しているが、現実に政府が支出したのは四兆元のうちの四割(一兆六千元強)で、しかも殆どが土木プロジェクトに消えた。

 のこりは地方政府の負担で、これは地方銀行が強制的貸し出しに踏み切らざるを得ず、つまりは銀行の潜在的不良債権がふえた。

 表向き、土木プロジェクトが大量に発注されたから町中はクレーンが乱立し、コンクリート・ミキサー車が張りし回り、発電コンプレッサーがうなりを上げ、ブルドーザがあちこちを掘り起こせば、とてつもない繁栄と誤認するのだ。
筆者はそれゆえに現場をまわり、路地裏の町工場をまわり、シャッター商店街、おびただしい工場閉鎖を目撃し、あまりの現実との乖離を確認した上で、繁栄の永続化はありえないと断言している。

 第三は世界一の外貨準備高、世界一の鉄鋼生産、世界一の自動車売り上げ、世界一の携帯電話普及などをあげて、輝ける実績を、まるで中国人のように誇示する分析方法にも問題がある。
 
外貨準備高は中国当局の異様なドル買いの結果であり、人為的操作が主因だ。
輸出純増分の二倍以上の外貨の積み上げは、なにかトリッキーな数字だと思わないか。

鉄鋼生産は産業再編の調整が付かず過剰投資の結果であり、実需の三割ほど多い鉄鋼をつくり、とどのつまりはダンピング輸出(赤字輸出)に補助金をつけているのが実態である。石油バイプロダクツ(塩化ビニール、ポリエステルなど)も同様だろう。

自動車、家電の販売急増は「奨励金」という名のクーポンを発行し(「汽車下郷」「家電下郷」と標語した)、地方政府が景気テコ入れに「買えよ 買えよ」と叫んだからで、ローンが積み上がり、やがては支払いに支障がでるのは明らか。
 つまり上からの押し売りに等しく、筆者が目撃したのは湖南省の田舎町、中央のバザールで家電を買うと13%のキャッシュバック。だが、テレビも冷蔵庫も「売れ残り」か、二級品(中国の国産品)。在庫整理の趣き、なきにしもあらず。統計的には、たしかに個人消費の爆発的拡大となるだろう。

 (つづく)       ◎◎ ◎ ◎◎
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●◎ブックレビュー◎●BOOK REVIEW◎●書評◎●ブックレビュー◎●
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辺映晃著・荒木信子訳『「偉大なる将軍様」の作り方』(草思社)
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 北の独裁者の奇妙な写真が折々に流されるが、偉大な指導者という印象が強いものと西側のカメラが捉えた、ひょうきんな、奇妙な顔つきの金正日のクローズアップがあったりする。
 威厳に満ち、明るさに溢れた金親子の「ご真影」なぞ、合成にきまってらぁと考えてきた。
 本書の著者は韓国のカメラマンで二度、平壌へ行った経験があり、様々な取材をしながら幾つかの衝撃を受け、韓国へ帰国後、資料をあさり一つの結論を得た。
 つまり、北朝鮮は現在、指導者の写真の改竄を行っていないという、驚くような事実を辺氏は発見したのである。
 金日成はロシアの傀儡として北朝鮮に突如登場巣するや、つぎつぎと民族派、民主派を粛正し、最後にソ連派を粛正し、多くの政敵が不在となると絶対権力を手に入れた。其れまでにはソ連軍高官との写真を削除したり合成したり、イメージ創作のための改竄合成は日常茶飯だった。
 いまは改竄が行われていない、と著者は指摘する。
それは写真をとくに重要視した情報操作の手段として駆使し、クローズアップの撮影は絶対に許さず、つねに明るく、中心的に光のまんなかにいる構図が求められ、すべては演出によるもので、それによる絶対化、神格化を図っているという。
 二〇〇三年に開催されたユニバーシアードには「美女応援団」なるものが登場したが、韓国のカメラマンの感性を振るわせたのは「金正日の写真が雨に濡れている」と大騒ぎをしたことで、戦前の我が国のご真影あつかい。
 本書は絶対神による統治のためのイメージ捜査の手口をカメラの視点から抉ったもので、 こうした別のアングルから捉えた北朝鮮論、これまでになかっただけに新鮮な驚きで読んだ。翻訳者は荒木和博氏夫人。
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□読者の声▲□どくしゃのこえ◎◆DOKUSHA―NO―KOE◆◎読者の声◆
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(読者の声1)貴誌2819号所載の(読者の声3)の(88生)様に以下をお願い致します。
 拙稿ご笑覧戴き深謝。「六億円踏み倒し」の件ですが、小生が聞いているのとほぼ金額は同じようです。
あの大会には「トヨタ」「全日空」「ナショナル」などが1億円、以下は数千万円を提供。自民党を中心に媚中派議員が顧問やらなにやら意味不明な肩書きで雁首並べ。総合プロプロデューサーが映画監督と女優を両親に持ついかがわしき人物。両親の線から江沢民との太いパイプをチラつかせ、一方でNHKに出入り。二階と組んで和歌山のグリーンピアを食い物に・・・。
自民党も、いまさら北京で舞い上がった小澤チルドレンの批判はできないと思います。
(樋泉克夫)


(宮崎正弘のコメント)お人好し日本企業はまたしても強引な寄付要請に引っかかったんですね。さもありなん。華僑の大会のスポンサーをなんだって華僑がやらず、日本企業が持つの?
 上海で聞いた話。日系の上海現地法人に、縁もゆかりもない陝西省とか甘粛省とかの広告代理店(を名乗るチンピラやくざ風の男たち)がやってきて、広告を出せとたかりが横行している由。だから小生が最初から申し上げてきたように、中国進出のノウハウを伝授せよとか、中国人とのビジネス上の留意点とかをよく質問されますが、問題はそこにはなく、「進出自体が間違い」なのです。

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(休刊のお知らせ)年末年始は恒例カレンダー通り、12月29日から新年2010年1月4日まで小誌は休刊となります。
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◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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  • 名無しさん2009/12/27

    長く生きてきましたが、国家観不在・責任感放棄・世界観不視・サーカスまがいの仕分けで、国会議員の仕分けは放置して、コンクリートから人へ??これだけ「窮屈で不安を感じる政権は始めての経験」・・・馬鹿ですな、コンクリートを使うのも人、作業する人も人、日本の国土環境を考えればコンクリートを抜いたら廃墟が残るだけ。コンクリートを扱う人たちが「介護」に回る?子供手当で「消費を上げる」アホのする事。