国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/12/24

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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)12月24日(木曜日)
         通巻2817号 
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 キルギスでも独裁暗黒政治が静かに進行している
  「民主化の希望の星」だったバキーエフ大統領もプーチン流独裁へ
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 キルギスで静かに進行している政治の暗黒化。
 政敵とジャーナリストがつぎつぎと消されている。プーチンの政敵、とりわけジャーナリストが闇から闇に消されたように。

 ビシュケク(キルギスの首都)で出ている『コムソモールスカヤ・プラウダ』の前編集長で、キルギス最大野党の論客でもあったゲンナデ・パヴリユクは、隣国のカザフスタンに出張中、なにものかに連れ去られ、首都アルマトゥの高級アパートの六階から手足を縛られて突き落とされ(12月16日)、危篤状態に陥っていたが、22日に死亡が確認された。妻と息子が看取った。

 パヴリユク前編集長は野党勢力を糾合したウェブ・マガジンを発行する準備をしていた。
 野党はテケバエフ(前国会議長)が率いる。

 キルギスでおきた民主化は2005年にアカーエフ前大統領を追い出し、世界は民主革命の成功とたたえた。
アカーエフもソ連の恐怖支配から初の民主選挙で選ばれた学者だったから世界のジャーナリストがたたえたが、この地域では遊牧民社会の長老支配が歴史的な体質でもあり、一族郎党がポストを独占し、すべてを一族が優先する。
こうした一族の利益独占という体質は、なにも南のアフガニスタンで、あるいはパキスタンではびこる政治的質と変わらない。

 アカーエフ体制が一族の賄賂収賄政治に陥ったように、現在のバキーエフ大統領体制も彼の一族が利益を独占する、全体主義的政治に陥った。西側のいう『民主化』とは投票箱政治のことであり、選挙には買収がはびこる。

 夏に再選をはたしたバキーエフの選挙は、票をカネをばらまいて買う政治であり、そのためにマナス空港に駐在するアメリカ軍の撤退を一度は声高に要求し、土壇場で値上げと非公開の妥協条件でなんなく決着をみた(09年二月に米軍撤退要求を議会が可決、6月に米国の必死のロビィ活動で巻き返し、七月にバキーエフは再選された)。


 ▲暗殺事件はつぎつぎと迷宮入り

 オバマ政権にとってキルギスの首都に隣接するマナス空港は兵站輸送の前線基地であり、アフガニスタン戦争の遂行にはかかせない戦略的拠点である。

 野党は、バヴリユクの暗殺はバキーエフ大統領側近の暗殺グループの仕業と断定し糾弾している。大統領府は『事件とは一切関係がない』とする声明を白々しく出した。

 キルギスは国の南北を天山山脈が分断し、東部の山岳地帯に古代の浪漫を秘めた謎の湖イシク・クル湖が横たわる。
ソ連時代は共産党幹部の保養地、最大のリゾートとして知られ、いまでは庶民にも観光が開放されて世界からのツーリストで賑わう。
http://miyazaki.xii.jp/tyosya-kinkyou/index.html

 殺されたパヴリユク編集長は、このイシク・クル湖を愛し、古代からの歴史を一冊の著作にしようと住まいも湖畔に移すほどの愛郷精神の持ち主だった。

 キルギスでは政敵の襲撃、ジャーナリスト襲撃事件が頻発し、負傷者は数えきれず、殺されたジャーナリストも多い。
07年にはタクシーをまっていたアリシェール・サイポフ(ヴォイス・オブ・アメリカの常連寄稿家)が狙撃され、死亡した事件でも、いまだに犯人は検挙されておらず大統領警護のセキュリティ・サービスの関与が言われた。
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 宮崎正弘のホームページ更新
http://nippon-nn.sakura.ne.jp/tkikan/miyazaki/column/index.html

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□読者の声▲□どくしゃのこえ◎◆DOKUSHA―NO―KOE◆◎読者の声◆
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(読者の声1)今日12月24日は耶蘇教における聖夜(クリスマス・イヴ)ですが、耶蘇教という当て字はイエスを当てた中国語から来ているという説は本当でしょうか?
  (TU生、栃木)


(宮崎正弘のコメント)現代中国語は天主教と言います。耶蘇は現代の北京語的な発音をあてるとヤースゥですから、イエスと聞こえますね。あるいはそうかも知れません。イエスは預言者で、キリスト教の神はデウスですが、信長は「大臼」と祐筆に書かせました。
いまのように電話やメールで世界をいきかう時代ではなかったので、中世の中国の感覚では南蛮渡来の新興宗教は椰子と蘇鉄の印象があったのでしょうか。
 耶蘇教の宣教師らが最初に上陸は海南島、マカオ、広州、珠海、中山、それから北上し福建省一帯から寧波、やがて上海という風にたどって行ったのでしょう。
 海南島は宋美齢の、寧波は蒋介石の、中山は孫文の、それぞれの出身地。


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(読者の声2)貴誌前号で雑誌について読者の質問に、宮崎さんが答えていましたが、「撃論ムック」にも言及して下さい(笑)。
すでに15冊以上出ていて特に今年の「反日マスコミの真実2009」はアマゾンでランキング1位になりました。
今年になってから増刷続きです。年末の12月28日には「反日マスコミの真実2010」が発売されます。今はムックの形態で発刊されていますが、雑誌になる可能性もあります。雑誌になれば価格も抑えられると思います。
 西村幸祐(編集『反日マスコミの真実2010』(日本を壊す、言論統制と情報封殺システム、OAK MOOK 327 撃論ムック)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4775514822/
   (ムックKN)


(宮崎正弘のコメント)そうですね。失礼しました。月刊の雑誌を論評しましたが、ムック版も、いまでは雑誌の列に加えるべきでしょうね。ついでに書き忘れましたが『VOICE』も重要、とくに経済イシューでは欠かせない媒体です。



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(読者の声3)前にも小生は「中国の経済力の強さの秘密が低廉な人件費にある」と申し上げました。貴誌2816号の記事を拝読し、益々この意を強くしております。
中国共産党は、人件費を低く抑えておりますことを全く問題にしておりませんが中国経済力の根源は「低廉な人件費」にあるとの認識が、徐々に世界に認識され始めております。
 以下の記事を見つけておりましたので御一報いたします。12月18日付産経新聞朝刊の囲み記事です。
「米タイム誌「今年の人」で「中国の労働者」が次点となり、話題沸騰」
http://sankei.jp.msn.com/world/china/091218/chn0912181932001-n1.htm
 このことが世界的に認識されれば、先進国も安易に中国進出することを疑問視するのではないかと期待しております。
  (HK生、大阪)


(宮崎正弘のコメント)当該記事はタイム2009年12月28日号で表紙は「年男」のバーナンキFRB議長です。二番目の年男はマクリスタル駐アフガニスタン米軍NATO軍司令官。四番目の年女はペロシ下院議長。
その2と4に挟まれて三位が「中国人の低賃金労働者」を五人ピックアップし、どのような苦労をしてきたかを簡潔にまとめ、低賃金と重労働の実態を語らせています。グラビアも意図的に白黒なので、迫力があります。


 
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(読者の声4)貴誌の投書欄に「よく(保守系の)勉強会に出るのですが、講師らは時勢を悲憤慷慨されるのみで、なんら実行が伴わない方が多いです。それでは日本は変わらないのではないでしょうか。(天地人)」とありました。
「悲憤慷慨ばかり」
確かにそうです。
「天地人」さんは、どのようなことを実行すれば良いと思われますか?
イデオロギーでない、大衆が分かりやすい行動とは何ですか?
日本社会の欠点をあげつらえば切りがないが、学者、権威、いわゆる先生という政治家を崇拝する傾向があると思う。
南米を歩いていると現地に住み着いている日本人に会う。チリで現地の女性と結婚し、子供6人の人に会った。日本では高校卒で日本の製作機械の部品のセールスマンでやってきた。日本に帰らなかった理由は、日本は学歴社会で出世できないと。「南米の良いところは何?」と聞くと「コラソン」(ハートのこと)と言っていました。胸にストンと納得できるものがあった。
 中国の通貨=人民元に関して、宮崎先生以外に闇の深さを解説できる人を見たことがない。ぼくは学者は嫌いなんで、現地を歩いたか、生活した人の話ししか興味はない。
そこの言葉ぐらい出来なければ話にもならない。だから、アメリカ浪人42年となっても出世しない(笑)。
(伊勢ルイジアナ)



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(読者の声5)貴誌2816号「御一新」「維新」の説明ですが、これは史実の確認が必要と思います。
 江戸時代の身分制度は士農工商でその下に所謂「エタ」「非人」という歴史的名称の被さった人たちがいました。
 前者は伝統的な職業差別、後者は心中の生き残りなどの刑罰組です。これらは内部でさらに種類、階級がありました。前者は一般には動物の処理をした職業集団と思われていますが、サンカという木工集団も農民から差別されていたと思います。それぞれ頭目がいて幕府の支配下で配下を統率していました。
 後者の場合、頭は世襲制であったかと思います。非人頭では車善七が有名です。
 さて明治維新の動乱では、長州藩では高杉晋作が奇兵隊を組織して、武士以外の青年が参加したといいますが、それは農工商出身という意味であり、特に被差別部落の民だけが活躍したという歴史情報は知りません。また個人的理由は別として、社会集団としての行動の動機もわかりません。
 名誉回復の口約束というのも史実と意味がわかりません。もし四民平等というのなら、他の農工商も同じ動機があり、かれらに限られることではありません。こうした同一国民内の差別は、近代国家では国民皆兵制度によって解決されていました。
 米国の人種差別も、戦後の戦争で白人と黒人が生死をともにする体験から克服されてきたのです。
   (東海子)



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(読者の声6)ST氏がカトリックと新教、エイン(アイン)ランドの話題(でよろしいのですね。
とすれば私は彼女は不勉強。肩をすくめるアトラスが積読状態)をしていただいたので、話が速いというか、みなさん実は詳しい。
関連ですが、プラトン症候群の次の西洋の精神的背景はバチカンとロンドンの対立、要はカトリックとプロテスタントの対立ですね。その手前に共通の根としてあるのは根強い白人至上主義と一神教の複合的精神構造でしょう。
国内の諸勢力の対立もよくよく調べていくとバチカンにたどり着くか、アンチ・バチカンの英EU貴族にたどり着くことが多いようす。このベースまで降りてみると国内の右翼とか左翼とかの区別は表面的なものに見えてしまうところがあります。
世界情勢は国内よりははるかに複雑。とはいえイベントに振り回されず、2、3回微分すると比較的分かりやすい図式が見えてくるように思っています。
(アシカビヒコ)
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『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
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◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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  • 名無しさん2009/12/24

    ●最近の民主小沢

    普段から目に余る傲慢さ恥を省みない発言と行動に非常な不快感を抱いていたが、周囲の閣僚から就活終了新人議員集団まで自己保身よろしく黙視黙認を決め込む図は、あまりにも’人間のさもしさ’を感じるのは私だけか。自己勢力の誇示だけの中国研修旅行(まさか経費は税金からではないでしょうね)から中国・韓国での天皇に対する不遜な発言は極めて許しがたき行為である。周囲が黙視するのを由として日に日にボリュームアップしているようだ。小沢本人は一体何様だと思っているのだろうか。友愛幻想で自己陶酔している鳩山(首相)も常に逃げ道つくりのメデア発言は、自己責任の伴わない流れにあり、これすら現閣僚を含めた民主党員集団は一切黙視の現状に非常な危機感を感じている。

    ●主要閣僚の資質と現状認識

    これまた低劣に呆れるばかり。しかも、小沢の飼い犬如き立ち回りに職務付託をした選挙民はどう感じているのだろうか。個々人の発言を見る限り殆ど賞味期限切れの印象を否めない。特に、外務・財務・法務関連の諸大臣の発言には’国を売る’的な印象すら感じられるのは言いすぎか。

    ●戦略室の主人

    相変わらずの能天気的な発言と行動にはコメントすることすら時間の無駄と思う。

    ●鳩山イニシァテブと彼のブレイン

    友愛幻想と自己哲学の薄い鳩山氏の発信した提案は軽く無視されている現状に提案者の発信責任の無さに呆れるばかり。加えて氏の要請したブレーンの米国感のお粗末さはこれまた呆れるばかり。今度は、岡本氏に職務を要請とか・・・・要請された岡本氏も戸惑いながら’個人的に支援します’とのコメント(の様子)。

    ●隣国中国

    躍進を続ける隣国中国。隣人として大いに賞賛しているが、実務的に陰に陽に動いている中国とその尖兵達の現地での行動には彼等の常套用語’互恵’’相互協立’から可なりかけ離れている実態を厳しく分析してゆく必要がある。最終目標は、中華思想を基軸にした侵食であることは、常に認識の上で’隣人として対応’するべきである。旧中国に未だ幻想を抱いている御仁多い日本は、これからの10年は’日本存立’に大事な時期であることを肝に銘じて今後を注視して行きたいものである。

  • 名無しさん2009/12/24

    >イデオロギーでない、大衆が分かりやすい行動とは何ですか?



    伊勢ルイジアンナさんの問いかけに対する答えですが、私はずばり「日本の国益になるか否か?」で切ってます。イデオロギーは結局自分は正しくて相手が間違ってるという所に陥るので一般大衆には敬遠されますから。日下公人氏や三橋貴明氏の著書が売れているのは国益になるかどうかというスタンスで書かれているからだと思います。