国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/12/16

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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年)12月17日(木曜日)
          通巻2808号 (12月16日発行)
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 習近平訪日、普天間基地で大騒ぎの日本を尻目に
  胡錦涛はカザフスタンとトルクメニスタン訪問でカクカクたる実績
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 習近平・国家副主席が皇居で25分、天皇陛下の謁見を許され、世間話をしている時期に胡錦涛・主席は中央アジアのカザフスタンとトルクメニスタンを訪問していた。
 何が目的か。
或る重要なセレモニーに列席するためだった。

 三年前、突貫工事は開始された。
 トルクメニスタンからはるばるとウズベキスタン、カザフスタンを抜けること1833キロ。
トルクメニスタンのガスが中国へ運ばれるパイプラインが完成したのである。
 
このことを一番「喜ばなかった」のはロシアである。
腹いせなのか、ロシアは09年四月にトルクメニスタンからロシアへ運ばれていたパイプラインが途中で爆破されたとして、輸入を打ち切った。何かの報復としか考えられない「爆破事件」だった。

 ロシア最大のガス会社ガスプロムは、これまで独占的にトルクメニスタンからのガスを輸入してきた。独占ゆえに価格を一方的に決め、それを西欧へ再輸出してきた。
 この独占状態に風邪穴をあけたのは、トルクへぬけるジェイハン・ルートだった。アゼルバイジャンの石油は、このルートからも西側へ輸出されはじめるのが07年である。

 対抗してロシアはドイツとの間に「ノルドストリーム」建設を呼びかけて誘い込み、多の西欧諸国にはブルーストリーム建設を提案して、EU諸国の内部抗争を誘い出し、もう一つ西側が建設しているナブッコ・ルートを揺さぶる。

 ただしロシアとしてはシベリアの石油とガスを中国へ輸出し、外貨を稼いでいる手前、おおっぴらな中国批判は控えている。

 貳番目に嬉しくないのは欧米メジャーだった。
 もともとトルクメニスタンのガスに目をつけ、これをアフガニスタン経由、パキスタンへ1540キロのパイプラインを敷設して西側へ輸出しようとしたのは米国メジャー「ユノカル」であり、その話を聞いてユノカルを買収しようとしたのは中国だった。

 タリバン政権の1996年に、いちどこの大プロジェクトは合意され、クリントン政権とタリバン政権との間に合意が成立。ところが98年タンザニアの米大使館爆破で、米国がアフガニスタンのアルカィーダ軍事基地にミサイルを50発お見舞いしたことで立ち消えとなり、三年後、タリバンが転覆し、カルザイ政権の誕生と共に復活した。と言ってもプロジェクトの合意文書がトルクメニスタン、アフガニスタン、パキスタンとのあいだに交わされただけで、パイプライン敷設工事はいつ始まるか見通しさえ立っていない。

 トルクメニスタンのガスは、南のルートの開拓も97年から始まりイラン向け輸出が少量(年間80億立方メートル)ながら開始されている。
これを倍増する工事も近く始まる。


 ▲ロシアが慌て、ドイツはモスクワと連携し、EU諸国はガス輸入先で喧嘩

 中国は大胆にもロシアの見ている前で、トルクメニスタンへアプローチをはかり、1833キロのパイプラインを提案し、了承を得るや、電光石火にパイプライン敷設工事を開始した。

 2012年には年間400−500億立方メートルの天然ガスが、中国へ輸出され、この量は従来のロシア向けと同量になる(当初は年間100億立方メートル程度)。
 
かくてロシアはプーチン企業、世界最大のガス生産販売企業=ガスプロムの独占体制に終止符が打たれた。

 胡錦涛は最初にカザフスタンを訪問し、パイプライン開所式に出席した。
 つぎにアシュガバードへ飛んでトルクメニスタン東部のサランデペ地区の現場へおもむき、最初のポンプのスイッチをいれる。パイプラインの全通を祝った。12月14日だった。


▲世界資源地図も原油、ガス、レアメタルと中国有利に

列席したのは輸出元のトルクメニスタン大統領、通過地のカザフスタン大統領、おなじく通過地のウズベキスタン大統領である。
 ベルディムハマデフ・トルクメニスタン大統領は「我々の歴史に金色の出来事が刻まれた」と挨拶した。
 胡錦涛は周辺諸国に経済発展に貢献するプロジェクトである、と演説し、またカザフスタンとウズベキスタンから、複線のパイプライン工事を追加して、それぞれから年間100億立方メートルのガスを輸入する計画の具体化をすすめた。

 中国がガスに執着するのは、将来のエネルギー確保もさりながら、もっかエネルギー源の70%が石炭であり、産業近代化のネックとなっているからである。

中国は産業の整合性も中央の独裁権力が牽引するために、LNGタンカーを自力で建造できる造船能力も備えてきた(二年前から)。

日本の独壇場だったLNG輸送もすでに開始されてはいるが全体のシェアはすくなく、陸上で繋がるパイプラインに魅力を感じるのは、やはり中国人のメンタリティが大陸国家だからでもあろう。

こうして世界資源地図も大きく中国有利に塗り替えられている。
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(読者の声1)連日のアフガニスタン、最新情勢。貴誌の面目躍如。ともかく日本の新聞がくわしく報道しませんから、まして普天間とか、なんとか、枝葉のことばかりを論じている日本のマスコミを読んで頭がおかしくなり、それから貴誌を読むと一服の清涼剤ですね。ご健闘をいのりたいと思います。
   (UI生、埼玉)


(宮崎正弘のコメント)御激励に感謝。国際問題に詳しかった『世界週報』が休刊となり、いよいよ世界情勢を裏側から論じるメディアが減ってきました。正論とWILLは国内問題がおおく、辛うじて『サピオ』くらいでしょうか。



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(読者の声2)貴誌読者欄に寄せられた「東海子」様、感想ありがとうございます。
ロシアが核弾頭を常時日本に向けて配備しているか、知見が無かったのですが、当然、向けていておかしくないです。
実際向けていなくても1日もあれば核弾頭の向きなど直ちに変る。北朝鮮も「窮鼠猫を食む」。要注意であることに変わりはないと思います。
ロシアに関していえば、ブッシュ政権下に佐藤優氏鈴木宗男氏らロシア人脈が国策逮捕されて、日本のインテリジェンス機能は多分ズタズタでしょう。これがブッシュ政権の意思だったのか、ブッシュ政権の意思を威を借りた外務省の内乱だったのか、私にはよくわかりませんが、歴史的にみれば、9.11でスタートした第3次世界大戦モードでの情報統制上、日本におけるロシア情報網は潰しておく必要はあったとは素人でも理解できます。
これは軍資金としての日本国民資産収奪策としての郵政民営化に盾突く植草一秀氏潰しも同様の文脈で理解可能。
ではそのブッシュ政権からオバマ政権に変わった親分アメリカに対して子分の日本はどう対処していくか。
これまではアメリカは子分の日本を非常にすばらしく情報コントロールし、他の世界中の子分達同様に掌握に成功してきました。この力量で日本はある意味ぬくぬくとエコノミックアニマルを享受してきた。
現実的には、牙を抜かれた痛みよりも経済的利益のほうが国民的利益は大きかったと推測します。この辺が卑怯と国際的に言われる理由。これは親分が現役バリバリのときには正しい選択です。では親分がそろそろ老体化し、宗家の英・EUから見放されつつある情勢で、子分はどう生きていくかが問題でしょう。日本の国体をやっと論じる乱世になってしまったわけです。
ここの場が注目を受けるのも当然の世界情勢。
 ロシア対策、重要ですね。現状ではロシアは日本と共存共栄する意志がない様子。表としては自動車電機産業のロシア工場の建設、投資が重要でしょう。
では、裏、核はどうするか。知恵不足で恐縮ですが、モンゴルのインテリェンス機能、国家防衛機能と強い連携をしていくことが中長期的地政的には大切だと思います。モンゴルと連携して、中国ロシアアメリカそれぞれとモンゴルが核リース条約を締結し、そのモデルを参考にして日本も同様の核リース条約を締結する。アメリカから見ても、中国から見ても、ロシアから見ても、日本のインテリジェンスも暴力能力も高が知れている。
しかし中国にしろ、ロシアにしろ、日本に核先制攻撃をした日には、まってましたとばかりに核リース契約を盾に専制核攻撃をした国に核を打ち込むことは充分に想定される国柄です。
これに妖しいイスラエルまで加わると、もう、想定不能。先制核攻撃のプラスはマイナスを上回る。
現状では日本の核武装を肯定しそうなのはアメリカだけ。しかしノーベル平和賞を英EU連合から貰ったオバマ政権下では、日本の核武装をアメリカは認めないことは明確。
であれば、世界の核保有国で唯一日本の核に技術を供与するのはイスラエルと北朝鮮だけじゃないかと素人は思います。地政的にも歴史的にもインド近辺もねらい目ですが、日本から営業に行く人材が極めて不足しているように思います。ま、インドの営業マンも逮捕されたようだし。
とはいえ、こういった子供の火遊びよりは核リースの方がリーズナブルのように思います。いずれ、少なくとも報復核防衛力は日本には必須であると私は思っています。
 さて核同様、国体の重要課題が天皇制なのですが、この辺、鳩山内閣はブレーン機能が手薄ですね。特にも小沢氏周辺がブレーン能力不全。これは彼の性格に起因する様子。
この辺が、本人も自覚する次期政界編成の必要性でしょう。天皇制、これは制度であって制度ではない。制度を超えたメタ制度。免疫学の多田富雄氏の用語を借りれば、超システム。思うにこれは「0=∞」のシステム、制度です。憲法同様に教育基本法が重要であるように、天皇は憲法の規定範囲内にある制度ではない。憲法という制度をも必要に応じて改変する超制度として日本の天皇制は存在している。これを近代で理解していたのは三島由紀夫。現代人では西村真悟氏の天皇制理解が深いと私は感じています。天皇は機能的には主権者と一体でなければならない。何故天皇が人間になったか、それは良くも悪くも現代の主権者が人間だからでしょう。
 核と天皇となると、「アインシュタインの予言」と呼ばれている文章が思い浮かびますが、ウイキペデアから関連文章を引用しておきます。
引用開始
どうも日本という國は、古い國だと聞いたから、これには何か立派な原因があるだろうと思って、これまで訪ねて來た日本の學者や政客等に就いてそれを訊ねても、誰も話してくれない。私の國にはお話し申す様な史實はありませんとばかりで、謙遜ではあろうが、あまりに要領を得ないので、心ひそかに遺憾におもって居たところ、今日うけたまわって始めて宿年の疑いを解いた。そんな立派な歴史があればこそ東洋の君子國として、世界に比類のない、皇統連綿萬世一系の一大事蹟が保たれて居るのである。世界の中にどこか一ヶ所ぐらい、そういう國がなくてはならぬ。というわけは、今に世界の將來は、段々開けるだけ開け、揉むだけ揉んだ最後が、必ず爭いに疲れて、きっと世界的平和を要求する時が來るに相違ない。そういう場合に仮りに世界各國が集まってその方法を議するとして、それには一つの世界的盟主をあげようとなったとする。さていかなる國を推して「世界の盟主」とするかとなると、武力や金力では、足元から爭いが伴う。そういう時に一番無難にすべてが心服するのは、この世の中で一番古い貴い家ということになる。あらゆる國々の歴史に超越した古さと貴さをもったものが、だれも爭い得ない世界的長者ということになる。そういうものが此の世の中に一つなければ世界の紛乱は永久に治めるよすががない。果たして今日本の史實を聞いて、天は人類のためにこういう國を造って置いたものだということを確め得た。
引用終了
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%BA%88%E8%A8%80
  政治利用の域をすでに越えてしまった昭和天皇を新しい世界第2基軸通貨「円」の肖像とする時代が近づいたのかもしれないと妄想します。国際平和と政治利用とはレベルが違うと思うのですが。
(アシカビヒコ)
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  • kn32009/12/16

    アインシュタインの「世界の盟主」は残念ながら捏造です 

    http://pandaman.iza.ne.jp/blog/entry/528289

     【アインシュタインの予言】の元となったのは、田中智学の『日本とは如何なる国ぞ』(昭和三年)という本にある次の文章です。