国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/12/14


◎小誌2800号突破記念特大号をお届けします!

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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年)12月14日(月曜日)
          通巻2803号 (赤穂浪士の義挙から308年) 
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だから世の中は奇々怪々。北朝鮮からの武器密輸がばれた
  タイで発見された中東某国への武器とミサイルの数々
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 11日、タイのドムアン空港に強制着陸させられた国籍不明機はイリューシン76輸送機(登録はグルジアの会社。パイロットはベラルーシ人、乗組員四人はカザフスタン国籍)。
国連の決議に基づきタイの当局が輸送機内部を検査したところ、35トンもの武器がでてきた。
ミサイル、プロペラ式の擲弾など。

 2006年の国連決議では「武器を積んだ可能性のある航空機、船舶を拘束し、中を検査し、武器などを廃棄できる」と謳われている。

 拘束されたパイロットらは「積荷は油井管と部品と知らされていた。われわれは輸送業者であり、荷主のいう通りにモノを運ぶに過ぎない」と嘯いたが、14日からバンコクで取り調べが始まる。

 奇々怪々なのは、第一に、この北朝鮮発の輸送機は「ベラシーシに帰る」と言いながら、大きく南へ迂回し、次の給油地をスリランカとしていたことである。ベラルーシへ帰るなら中国上空からロシア領空へはいるのが近道ではないか。

 第二にタイの当局は明言していないが、CIAの情報によりドムアン空港に強制着陸を命じていることで、「給油目的」でタイに寄ったという当初の発表にも嘘がある。
機は明らかにタイを越えて、ミャンマーの軍事独裁政権の飛行場で給油をはかろうとしていたのだ。
現在、タイのドムアン空港は軍使用、一部を民間のローカル線が使用しているが、国際線などの主力はバンコック郊外の新空港に移転している。

 第三は乗組員の国籍(ベラルーシ、カザフ国籍といっても彼らは露西亜系の風貌)と輸送機の登録国籍(グルジア)。ベラルーシはプーチン政権と鋭く対立し、グルジアは08年にロシアと戦争したばかり。
 どうやら胡散臭いデータが並び、謀略工作の匂いがする。

 過去に北朝鮮の船舶を拘束したのは貳例があり、UAEがイラン向けの北朝鮮籍輸送船を検査したところ、大量の武器を発見、また今年6月と7月に米海軍が東シナ海で北朝鮮の貨物船を臨検しようとしたところ、いずれも北朝鮮へUターンした。

 これらのことから推測すれば、北朝鮮の武器はミャンマーからスリランカを経て、イランに運ばれる予定だったと考えられる。
直線の平壌―北京―ウィグルーカザフ上空を通過しなかった理由は、北朝鮮と中国との間になにかの食い違いがあるからだろう。
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(読者の声1)貴誌は中国に関しての裏情報が多く、また日本のマスコミがまったく伝えない視点の分析があり参考になります。『週刊新潮』今週号の高山正之さんのコラムでも「シナ学の泰斗宮崎正弘」とかの表現がでたりしていて、ナルホドと思います。
 ところで、最近の貴誌は中国分析がすくなく、アフガニスタン関連が多いようですが、これは心境の変化でしょうか。
   (TY生、栃木)


(宮崎正弘のコメント)意識しているわけでもないのですが、「国際ニュース・早読み」ですから、中国以外の情勢にも触れることはあるでしょう。
 そもそも日本のマスコミがどうかしているのは皆さん、ご承知でしょう?
 世界のマスコミは一面から六面までアフガンです。カブールに欧米各国は支局を開設している。ところが日本は、この重大性が分からない。カブールに臨時に特派員を送ったのはカルザイ大統領就任式のときだけです。
この戦争の左右することは今後の世界経済のみならず世界政治の根幹を揺らす世界史的事件です。米国は戦費の関係でドル安に直結し、厭戦気分は議会がいずれ正面からオバマの戦争の反対に回るでしょうから、第二のベトナム化する恐れが高い。そのあと米国はおそらくモンロー主義的になり、相対的に中国、NATO、ロシアの比重が高まる。
日米同盟に安住することは時間の経過とともに希薄化していくでしょう。それら近未来の方向性の鍵がアフガニスタン情勢次第という風に踏んでも良いのではありませんか。
 ですから小誌はアフガニスタンの行く末にも多くの焦点を当てることになります。



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(読者の声2)貴誌2802号にありましたが、天皇という皇位の政治利用への怒りが国民間に浸透してきているようです。
一方で玉座を胡主席の後継者としての箔付けに利用しなければならない中南海の暗闘。小沢は「使いやっこ」の役回りと思えます。
何か深い背景がありそうですが、その解明がまだどこにもありません。貴紙こそ、その役割を果たしていただければ。
(SJ生)


(宮崎正弘のコメント)銭基深・元外務大臣が回想録のなかに「天皇訪中を実現し、最大の政治利用となった」云々と自画自賛した箇所があります。
 小沢訪中団は朝貢だった。交代で中国の要人が天皇陛下との拝謁を熱烈に希望する? 政治利用いがいの何の目的があるか? 中国も韓国も天皇を「日王」と呼んで、さげすんできた最大の対象。共産主義のテーゼから言えば、打倒する目標だったわけですから、この百八十度転換の面妖さ。
 つまり台湾も中国もトップに付く前に日本に挨拶にいく必要がある、ということです。二月には習近平の新しいライバル=薄き来も来日します。
(注 銭基深の「基」は下の『土』とる、「深」は王扁)。 



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(読者の声3)暴力による要求貫徹願望は動物の根強い性質です。これをどう防ぐか。自分が自分の暴力による要求実現により何を失うか。
!)関係断絶による不利益と!)相手からの報復。!)既存利益の喪失と!)将来ダメージ。今なめている!)飴の喪失と!)将来の鞭。日本の暴力的ダメージを避けるためには、この既在利益の増大と将来不利益の増大が防衛の基本かと思います。
!)既存利益の増大は交易。相手国に対して日本の存在を日々印象付けること。円による防衛。良い商品・サービスの提供、相手国の生活へのプレゼンス・存在感の絶えざるCMとしての円表示。商品の使用価値には代替品が常にある。商品の交換価値の保障はこれまではドルのみであった。これに円を加えてもらう。
80年代、この交換価値としての円の地位を確立するチャンスが日本にはあった。
しかし、このチャンスを活かす知恵も勇気も当時の日本には無かった。日米防衛戦争はどう推移したのか。日航機が1985年8月12日、群馬県高天原山(=御巣鷹山)に墜落、自衛隊による中曽根防衛大臣下の事故処理。1985年9月22日中曽根総理大臣下でのプラザ合意による円高ドル安政策によるドル危機の回避。止まらぬドル安対策としての1987年ルーブル合意。
日米構造協議。年次改革要望書。日本バブル崩壊。アメリカのリーマンショック、という歴史的経緯を経て現在に至っています。
日本のマスコミは一貫した報道規制により日米経済通貨戦争報道をしてきませんでしたが、ここ100年スパンにおいては、世界の賢者は東洋の黄金の国ジパングを裏口からこじ開けるEU、表玄関から強制的に開港させるアメリカ、の飴と鞭戦略を息を潜めて見守ってきていることでしょう。

その西洋vs東洋の長期的覇権戦争の文脈において現在の日米欧関係を俯瞰すべきでしょう。(ちなみにお隣の中国はイギリスの時にしろソビエトのときにしろ、食いつか、食いつかれては一方的に追い払うという国情の様子。日本企業も懲りずに痛い目にあってきています。現在の金融軍事独裁主義者の食い込みをそのうち裏をかいて追い払うことが歴史的には想定されますが、どうなることやら。ま、プーチンあたりは9.11同様止めておけばいいのに、と冷ややかにみていることでしょう。)
この俯瞰からみたときアメリカの核の傘とはいったい何物なのかが見えてくる。
 日本は核による相手国の先制攻撃を防ぐ鞭は持っていません。
アメリカが日本に向けられた核兵器配備に対してどういった対応をしてきたかをみれば、仮想敵国による日本核攻撃に対してのアメリカの対応は明らかでしょう。(戦争好きのブッシュ政権がお膳立てした日中戦争に備えて、アメリカはグアムに撤退する様子。その撤退費用まで人のいい日本は用意していたのに、がめつい家内がもったいないと言い張って中に浮いてしまった様子。お互いの単年度ベースの財布事情はそれなりに大切だとは思いますが、それだけのことだという醒めた感覚を覚えます。)
私は少なくともブッシュ政権下のアメリカは日本の仮想敵国による日本核先制攻撃にたいして現実的に防衛的核攻撃を実施することはありえないと判断しています。
なぜなら、ブッシュは9.11において、第2の真珠湾だとコメントしました。そのとおりでしょう。ブッシュはある意味正直でした。ルーズベルトがイギリス宗国の要求により1941年8月9日対日戦争を決意して以来、真珠湾は用意された舞台(あるいは想定された舞台)であったと見るべきでしょう。(西村真悟の時事通信(平成 21 年 12 月 5 日号)参照のこと)

これがどの程度の情報工作の結果なのかは歴史が明らかにするでしょうし、「怪しげな陰謀論」なるものの実相も見えてくることでしょう。これはブッシュが発言するとおり9.11においても明らかになることでしょう。
本土テロを容認する国家が日本核攻撃を容認するのはたやすいことでしょう。というより少なくとも想定済みでしょう。したがって、アメリカの核の傘のもとで日本が仮想敵国からの核先制攻撃を「鞭」により防ぐことは現実的ではありません。
ではオバマはどうか?
ノーベル平和賞を貰った彼が日本を仮想敵国からの核先制攻撃に対して、少なくとも核の鞭で防衛することは絶対ありえません(これは是非お祭りの後始末として小浜市民がオバマさんに直接聞いてほしいテーマです)。
したがって、その意味では現在の日本は仮想敵国からの先制核攻撃にたいする「鞭」は持っていません。であれば、現在の日本が使えるのは仮想敵国に対する「飴」供与しかないでしょう。 

では日本に現在核弾道弾を現実に向けている国はどこか。
素人で恐縮ですが、私は中国の対日核弾道しか知りません。北朝鮮は対米核としたかっただけ。
であれば中国に飴を持っていくのが日本防衛の現実的姿ではないか。小沢氏の政治手法やら人相への毀誉褒貶は承知していますが、今現実的に日本の核攻撃リスクを下げているのは小沢氏ではないかと素人は思います。
 浅学で恐縮ですが、核先制攻撃に対して、日本は防衛力はもっていない以上、相手国の核発射ボタンから15分以内に日本ができるのはせいぜい役立たずのMD配備程度。無理。現実的には諦めるしかありません。
 では鞭はどこから調達するか。
どうせCIAの暗殺など怖くないと公言している亀井氏意外にはアメリカ国債を手放す選択肢を持たない日本なので、これを担保にアメリカの核装備の船なり潜水艦をリース契約するほうが現実的ではないかと素人は思います。
非核3原則では日本が核攻撃報復用核を他国からリースすることは禁じられているのでしょうか?
核装備艦をリース期間中運転するのは自衛隊が望ましいのですが、それは日本の法律体系上どう解釈されるのでしょうか。世界の法体系からいえば、自国を防衛しない国などありえないので不毛な議論。
 核武装は現実コスト的にも高くつくようです。劣化ウラン弾の如きリサイクルも危険なものを自国軍人の核被爆リスクにもかかわらず保持し続けてくれる核兵器保有国に対して、期間リースのビジネス交易を求めるのはウインウインのビジネス商談と思います。そのうち核兵器オーナー国は馬鹿らしくなって減っていくのではないか。
核のリース期間ですが、核報復終了までです。
したがって、日本に核攻撃をした敵国が攻撃後のリース艦を攻撃することはオーナー国への宣戦布告になりますので、リスクが高すぎる。しかも厳密に言えば、日本がリースする時間は核の発射準備をして(15分程度か)発射ボタンを押した瞬間から相手国が被爆する「15分」だけです。その時間帯意外は日本の使用権はありません。したがって、その時間帯意外での攻撃はオーナー国への宣戦布告となります。戦争好きなブッシュ政権にとっても核兵器廃絶のオバマ政権にとっても、有利な商談だと思います。核報復核使用の責任はあくまで日本です。

 と、浅学で恐縮ですが、3日後核武装が現実的でないとすれば、30分核リースのほうが現実的かもしれません。有望な商談相手は案外イスラエルかもしれません。北朝鮮は将来は想定可能でしょう(建国当初からそのつもりだという意外なオファーが向こうから横田恵さん経由で来たなんかして)。
現実的にはアメリカ、フランス、ロシア、中国など、核兵器リースビジネス相手国は多いようにおもいます。と、素人は仮想しますがどうなのでしょうか。諸賢のご指導をお願いします。宮崎さんから教えていただいたテキストは手配中ですので、勉強します。ありがとうございます。
   (アシカビヒコ)


(宮崎正弘のコメント)ご意見はシミュレーション小説の世界ですが、それなら絶好の参考書はポール・アードマンが書いた『1979の大破局』がもっともヒントになるかも知れません。ペルシアやドイツが一晩で核武装する方法を説いたものです。
 いまでは彼の名前を覚えている人も稀ですが、80年代まで世界的な有名作家で、日本でも殆どの翻訳がでました。古本ルートでも入手は難しいでしょうけれど。



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(読者の声4)いよいよ日本は非常事態になってきました。「これは演習ではない」です。
 以下のご提案に大賛成です。

<引用>(読者の声3)民主党の実態、小沢一郎の実態、鳩山由紀夫の実態等々をアメリカに広く知らせる必要があると思います。それが民主党政権の崩壊につながると思います。
 新聞、雑誌の記事で、皆様がこれはアメリカに知らせたほうが良いと思った記事をコピーしてアメリカ大使館の大使宛てに送るのです。日本文で構いません。翻訳する人はいくらもいると思うのです。アメリカも日本の今の実態は、そんなに情報収集しきれていないと思います。アメリカにとって全体から見ると、今の日本問題はそんなに大きい問題ではないからです。アメリカは今、アフガニスタンの問題や金融の問題、北朝鮮の問題を抱えています。だからといって日本問題は大したことではないでは済まされません。日本にとって中国よりアメリカとの同盟のほうが良いに決まっています。日本の民主党や小沢一郎、鳩山由紀夫の記事を、皆様の判断でこれはと思った記事を、日本文のままでよいので、日本のアメリカ大使宛てに送ってください。今の日本政府は、中国一辺倒ですからアメリカも勇気づけられると思いますし、小さな情報収集もできると思います。(TK生、目黒)」<引用終わり
 意見:上記資料のほか、日米関係についてご意見を葉書に1行書くだけででよいのでさっそく送りましょう。私も今日送ります。
 日本語でもよいのですが、英語で書きたい人には以下文案です。他にもあるでしょう。一行でOKです。
1.われわれは良好な日米関係の維持を望んでいます。  We hope to keep  good Japan and US  relation.
2.われわれは鳩山政府を支持しません。  We don't support Hatoyama government.
3.われわれは沖縄米軍基地の維持を支持します。 We support to keep the US base in  Okinawa.
4.われわれは米国は好きです。しかし中国と北朝鮮は大きらいです。
 We like US but hate Red  China and North Korea very much.
5.日本のほとんどの新聞とTVは中共の管理下にあるので、米国は彼らの主張を信じてはならない。圧倒的な日本人は米国が好きである。
 Most Japanese news papaer and TV are under Chiese controle、therefore US government should not believe in their opinion . Overwhelming majority of Japanese like US.
 このほかにもよい表現があるでしょう。
 宛先:アメリカ大使館の住所は、以下のとうりです。
 〒107-0052  港区赤坂1ー10ー5、
        米国大使館  ジョン.ルース駐日大使閣下
以上
  (東海子)


(宮崎正弘のコメント)ご努力を多としますが、政治的効果を期待しないほうがいいと思います。第一、駐日アメリカ大使館はリベラルの巣窟です。外国の出先機関を総括するワシントンの国務省もまたリベラルの巣窟です。鳩山やオカダの間違いは駐日大使館のリベラル人脈と接触し、間違った情報を仕入れている可能性もあります。
このリベラル人脈のなかでも確信的コミーが謀略的な工作をしますから、抗議文なり激励文なりをおくるのならホワイトハウス直送が良いでしょうね。ただオバマの周囲もろくなスタッフがいないことにも予め留意されて。
ルース大使はビジネス畑出身の法律家だけに、日本企業に良い感情を持っているとは考えにくい人です。かれはオバマと直通電話をかける役割くらいで、日本のことはなにも知りませんから。嘗てのアマコスト大使のように日本のリベラルとだけ付き合うような愚を繰り返させない程度で良いのではないかと思います。
 日米関係のいまのキーパーソンはカート・キャンベル国務次官補です。
 そもそも今回のぎくしゃくの始まりは、キャンベルのような温厚な知日派を怒らせたことにも原因があるようです。
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  ★ ☆アンディ・チャンの台湾コンフィデンシャル AC通信☆ ★
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アンディ・チャンの台湾コンフィデンシャル
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「馬英九の影武者」

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馬英九が金溥聰を国民党秘書長に任命したことが話題となっている。この男は愛新覚羅金溥聰といって満州皇族の後裔だが、台湾ではあまり彼の真面目を知らないらしく、与野党、新聞の評価が的を外れているように感じる。
 私は金溥聰は馬英九の影武者で、常に秘密の任務で行動していると思うが、誰も賛成しない。台湾人は国民党メディアの報道に頼るから金溥聰の真骨頂が見えなくて、私は海外に居るから見えるのだろう。
或いは台湾人の国際感覚が鈍く、影の任務が見えないのかもしれない。憶測がどうであれ、彼に最大の注意を払うべきである。

以下は私の愛新覚羅金溥聰に対する憶測だが、単なる憶測で証拠はないので賛成者は少ない。たとえ私の憶測が間違っていても彼の隠密行動が馬英九の推進する重大政策にマッチしていることは確かである。

●愛新覚羅の後裔

金溥聰は満州皇帝の親戚、愛新覚羅の一族である。
満州皇族は名前の第二字で親族関係がわかる、溥儀、溥儒など人偏の付く者は直系で、溥聰は耳偏だから傍系だとわかる。
 国民党員は金溥聰を「金小刀」と呼び、忍者、謀略工作に富む、背後から人を刺す男としている。つまり馬英九の「懐刀」、正確に言えば懐刀よりも影武者である。隠れた任務を帯びて行動する男である。
一部の台湾人は、満州人はシナ人に恨みがあるはずなのに、なぜ馬英九を補佐するのかと言うが時代錯誤もはなはだしい。満州族も漢民族も台湾族を敵視しているのが台湾における事実である。台湾人にとっては満州族も中国人もチャンコロ、清国奴である。

●馬英九の市長時代から影武者だった

馬英九の台北市長時代から金溥聰は重要幕僚として知られていたが、特に選挙策略の第一人者といわれてきた。当初は台北市の新聞署長だったがメディア、新聞、民意調査などで鋭い洞察力を持つので馬英九の信頼を得るに至り、馬英九が第二回目の台北市長選挙に関与した功績で副市長に抜擢され影武者として活躍してきた。
 この間、馬英九の身辺にあって彼に蹴落とされた「馬団体の人物」は林火旺、歐晉徳、呉秀光、游梓翔、!)啓賢などが世間に知られ、刺客として名を挙げたおかげで「金小刀」、馬英九の懐刀よりも背後から人を突き刺す野郎という美名をつけられたのである。
 民間でも彼に対する憶測が多く、特に馬英九の同性愛嗜好(女役)が世間の噂になると金溥聰と馬英九の同性愛関係も新聞種となった。

●国民党の統一路線と香港路線

2008年5月に馬英九が中華民国の総統に就任すると急速な中国接近が始まった。これは国民党の内部闘争いでもあった。「連戦派」と呼ぶ古参党員と、「馬英九派」の新政権に擦り寄る派閥があったが、この二派は連戦の統一路線と馬英九の香港路線が中国接近を争っていたと思われる。
連戦派は急速な台湾統一を目指し、馬英九は香港路線と称する「50年の台湾統治」を目指したのである。
 連戦は北京を訪問して胡錦濤と直接接近を図り、統一後の権力を把握するつもりだったが台湾統一はアメリカの反対があれば中国は動けない。連戦は中国で「正真正銘の中国人」を自称し、台湾では台湾人の血統を使って統一後の権力を把握しようとした。
 これに反し馬英九はアメリカと台湾人民の反対を和らげる香港路線、つまり50年の民主統治を狙って「不統、不独、不武」と言うスローガンを掲げた。つまり50年の現状維持であればアメリカの「両岸問題の平和解決」と合致すると主張することである。
 2008年5月に馬英九が総統に就任し、側近の金溥聰も役職に就くと思われていたが、金溥聰は閣僚入りせず7月に香港の中文大学に教授として赴任した。選挙の立役者で功労があった金溥聰が閣僚にならず香港に赴いたのはなぜか。私の憶測では連戦が北京で統一路線を工作している間に金溥聰は香港で馬英九の香港路線を工作していたと思う。
確証はあげることが出来ないが、大学教授として赴任したはずの金溥聰は連戦が失敗した半年後の2009年2月に台湾に戻ってきたのである。つまり金溥聰の香港における任務は一応完了したのである。

●ECFAとは香港路線である

今年の2月16日に香港から戻ってくると金溥聰は「壱伝媒テレビ」の総裁に就任すると発表されたが、まもなく辞任した。3月1日に馬英九は中国政府と中華民国政府が「両岸総合性経済合作協定」CECA (Comprehensive Economic Cooperation Agreement)を発表したが、与野党、民間が大反対したので、「両岸経済合作架構協議」ECFA (Economic Cooperation Framework Agreement)と改称した。国内の反対 は強く、公民投票、立法院の法案として討議してから成立させるべきと言う声が強い。今日に至るまで馬英九政権は協定の内容も公開せず、国会討論も否定している。
 経済協定とは中国の経済侵略である。
安価な中国の農産物が台湾に入れば農業は壊滅する。台湾の工業技術が中国に取られれば工業も空洞化する。
中国人の台湾移入を防ぐことが出来ず、台湾は数年で中国人多数となる。経済協定とは中国の経済侵略であり、統一とは違う香港方式であることは疑えない。金溥聰が香港で中国の高官と根回しをしていたのだと思う。三月に馬英九が経済協定を発表したのは二月に金溥聰が中国側との折衝を終えて戻った後と考えられる。

●国民党党首の選挙

五月になると国民党党首の任期が7月に終わり、新党首の選挙が行われると発表された。これまでの党首は台湾人古参派の呉伯雄で、秘書長は台湾人の呉敦義である。そうすると馬英九が党首に立候補し、呉伯雄も再選に出馬する意気込みを見せたので、連戦派と馬英九派の対立がハッキリした。これで馬英九独裁を完成させると噂された。
五月末に呉敦義が「誰が党首でも私は秘書長を再任する気持ちはない」と宣言して馬英九に寝返った。党首と秘書長は一体だから呉敦義の裏切りで同志を失った呉伯雄は再選の見込みがなくなり、立候補を諦めた。金溥聰が呉敦義の寝返りに一役買ったかどうかは確証はないが、金溥聰が馬英九の選挙策士だったことを考えれば可能性はある。

●牛肉の輸入協定と馬英九の交換条件

七月に馬英九が国民党党首となり、八月に大水害が起きると馬英九は行政院長を罷免して呉敦義を行政院長に任命した。この人事は馬英九に寝返った呉敦義への褒賞である。だが馬英九の腹黒さはこれだけでなく、朱立倫を副院長に指名したのである。
世評では呉敦義院長は短期内閣で、まもなく辞職させられると言うが、後任に中台混血の朱立倫を副院長に格上げすれば台湾人の勢力を一掃できる。
九月になると金溥聰がアメリカのブルッキングス研究所に訪問学者として訪米すると発表された。メディアはこのニュースを金溥聰が無職になったと報道したが、私は金溥聰は学者として研究所に赴任したのではなく、ワシントンで秘密折衝の任務があったと思う。台北、日本、ワシントンの友人はみんな私の意見に否定的だった。

10月になると馬英九は突然、アメリカの牛肉輸入協定にサインしたと発表した。アメリカの牛肉、特に骨と筋、ミンチ肉などは狂牛病と呼ぶ牛海綿状脳症(BSE)の原因となる疑いが強く、各国で輸入禁止となっているが、馬英九は国会、内政部、衛生署などに相談せず、強引にサインしたのである。
金溥聰のワシントン赴任と牛肉輸入協定に関係があるかどうかは確定できないが、彼がいつも「台風の目」に居ることはまず間違いない。
 そこで疑問になるのは、国民の健康問題に大きな影響を与えるアメリカの牛肉輸入になぜ馬英九がサインしたかということである。このような協定に同意するのは必ずアメリカと何かの交換条件があったと見るのが当然と思う。交換条件とはなにか?
 私は馬英九が牛肉輸入協定にサインした交換条件とは、アメリカが台湾と中国がECFA協定を結ぶことに反対しないことだと思う。馬英九が中国と経済協定を結べば数年を経ずして台湾は中国に同化される。
金溥聰がアメリカを説得した条件とは牛肉の輸入とECFA協定のこうかんである。金溥聰は中台間の経済協定がアメリカの主張、「両岸問題の和平的解決」と一致すると説得したのだろう。台湾を失えばアメリカの東南アジアにおける影響力がなくなり、日本や韓国にも大きな影響を与えるのは間違いない。

●国民党秘書長の任務

牛肉輸入の協定が結ばれて12月の選挙が終わると、馬英九は金溥聰を国民党秘書長に任命すると発表して大きな反発が起きた。金溥聰を秘書長に任命した新任務は何か。私は金溥聰の新任務とは古参派の勢力を一掃すること、それに台湾人の影響力をなくすことである。呉伯雄は党首を降りた、呉敦義も短命内閣の噂が絶えない。
 
12月10日には来年の直轄市長の選挙で現任の王金平立法院長を高雄市長の選挙に立候補させる噂がでて、王金平は直ちに「不可能だ」と否定した。しかしこれまでの経過で呉伯雄の退任後、王金平を高雄に追放すれば国民党の重要幹部はみな中国人となって古参幹部も台湾人も追放され、馬英九独裁が完了するのである。
 金溥聰が馬英九の影武者かどうかは確認できない。
しかしこの一年半の間に起きた重大事件の台風の目には必ず彼が「現場」に居たのである。台湾人は政治的にナイーブで重要なことを見逃す傾向があるが、馬英九と金溥聰の関係をもっと警戒すべきではないか。

(アンディ・チャン氏は在米評論家。この一文はAC通信から転載)
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  • 名無しさん2009/12/14

    今年は日本の危機です。日本の政治家の歴史音痴・無能ぶりには恐ろしくなります。