国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/11/04


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)11月4日(水曜日)
           通巻2762号 
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 重慶の汚職摘発、ギャングへの挑戦は、なぜ中国全土へ拡がらない?
  正義の味方、「現代の包公」(薄書記)へは中央からの逆風が強い
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 重慶は十数年前に四川省から「分離独立」し、行政上の特別市に格上げされた。人口は3000万人。歴史的にも蒋介石政府最後の拠点であり、毛沢東と蒋介石の会談場所でもあり、紅拠点と言われ、共産党の本拠地にもなった。

 朱容基首相時代に、重慶は「西部開発」の目玉とされ、開発予算が300億ドルもついた。このため経済成長の熱狂が始まり、高速道路、中国で唯一と言われる五交差インターチェンジ、モノレール、トンネルに橋梁工事と、重慶は土木プロジェクトによる繁栄が顕著となった。

 重慶で黒社会と共産党幹部との癒着がおこり、ここへ三峡ダムで立ち退かされた十数万が流れ込み、秩序は乱れ、暴動も頻発する。
 
 胡錦涛政権は、この地のトップに前商工大臣の薄き来を据えた。薄は遼寧省省長、その前は大連市長。知日派としても知られるが、共産党長老の薄一波の息子、ねっからの太子党でもあり、党エリートである。

したがって、彼が、共産党の特権を許さずに、腐敗と不正がまかりとおる重慶の無法状態に正面から挑戦し、1500名余を逮捕、起訴した「重大事件」は世界の注目となったが、以後、不思議なことに全土へ拡がらない。
 共産党中央は「汚職追放」キャンペーンを続けているのではないのか?

 「黒道」(ギャング)と「貧官汚吏」(汚職官僚)の癒着にメスを入れ、片っ端から逮捕へ踏み切った重慶市書記の薄き来は、庶民の「英雄」であり、現代の包公(中国の大岡絵越前と言われる公平な裁判官だった)とまで言われた。

 ところが北京では、「やつの政治的野心。これで一気に北京へ二段階特進を勝ちえ、次は首相を狙う」という分析から「いやいや、もっと薄の政治的野心は大きく、習近平をだしぬいて、次は総書記、国家主席を狙うための布石ですよ」という解説がまかり通る。
 だから北京中央は重慶での汚職摘発を眺めているだけのようだ。

 毛沢東は革命前、幇組織(マフィア)や軍閥を利用して抗日戦線の前衛に巻き込み、革命成立後、かれらを巧妙にひねり潰した。
言うなれば、暴力団は共産党いがい必要がないからである。組織的な活動を許すと共産党の地盤が浸食される。

 

 ▲誰もマフィアと党幹部汚職が止むとは考えていない

改革開放の前進と共に各地に幇組織(マフィア)や地元やくざ(地頭蛇)が復活し、大規模なギャング団は「新義安」「14K」など住吉連合や山口組よりも大きくなった。地下の経済活動は、かれらが牛耳る。麻薬、密輸、武器取引、売春そのほか。
準構成員を含めると中国のやくざは1000万から2000万と推測されている。

 裁判はすでに連続して開かれており、六人に死刑判決。
 共産党始まって以来、「これほど大がかりな裁判も珍しく、ほかに9000名の容疑者、50人の共産党幹部、くわえて104の地元のギャングの胴元だった財閥などが裁かれている」(ヘラルドトリビューン、11月4日付け)。

 今週、地元の「運輸王」とも言われる李の裁判が開かれた。かれは1000台のタクシーと100台の公共バス会社を経営し、重慶市共産党幹部三人に合計30万ドルの賄賂を贈ったとされる。

 しかし、中央政界は重慶における動きを知りながらも、コメントをせず、薄き来への評価を控えている。
 「理由は貧富拡大、汚職拡大という風潮の中で、新左派と呼ばれる毛沢東礼賛理論派の台頭と繋がっており、薄き来の反汚職キャンペーンが、この新左派に利用されることを極力恐れているからではないのか」(多維新聞網、11月1日)
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(休刊のお知らせ)小誌、講演旅行のため11月7日―9日が休刊です。
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◎読者の声◆ ☆DOKUSHANOKOE◎ ☆どくしゃのこえ◆ 読者の声◎
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(読者の声1)「いま、バンコクで何が起きているか」。
 バンコクから台北経由で戻ってきました。
1バーツ≒2.7円(実感では1バーツ=10円)。成田〜バンコクはJALが減便、ノースウェストは機材を小型のB757にするほどビジネス・観光需要とも減っていましたから航空会社もたいへんです。
各社ともWEBでは格安運賃を打ち出し、ノースウェストの北京は1万5千円〜、中華航空の台北が2万3千円、同じくバンコクが2万9千円(税・燃油代金込で3万9千円強)。空気を運ぶよりはマシというところでしょうか、往復とも9割〜ほぼ満席でした。

 今回のフライトではノイズ・キャンセリング・ヘッドフォンを試してみました。
といっても何万円もする高価なものではなく、カナル型(耳栓型)の軽量小型で1万円もしない日本のA社のものです。
効果は絶大、今まで機内で音楽など聴く気になれなかったのですが、ポップスでもクラシックでもかなり良い音で楽しめました。映画も集中できますし、音楽を聴かないときでも耳栓代わりになるうえ耳栓のような圧迫感がありません。
なにより”ゴー”という騒音がほとんど気にならなくなるため疲労感が全く違います。


▲居酒屋もバアも客が半分以下に

 さてバンコクの景気はいくぶん回復基調で小売売上高も前年比プラスになる模様。
物価はガソリンが再び1リッター30バーツを超え10年前の3倍強の水準。酒税が上がったのか、ビールも大幅値上げ。ハイネケン大瓶で65→72バーツ、庶民向けのレオが42→47バーツなどインフレ基調は変わっていません。
 観光客は以前よりは増えたもののピークの半分くらいの印象。
年末のアメ横を思わせるほどの賑わいだったパッポンでは肩を触れずにすれ違えるほど。日本人相手のクラブが並ぶタニヤは1時間500〜600バーツと以前の半値でも客がいない。
居酒屋・カラオケクラブなど出張族を相手にしていた店はどこも苦しい。

 ソイ・カウボーイのゴーゴーバー、以前は連日満席だった店ですら7割から8割も客が入ればいい方。ほとんどの店は客が半分も入っていない。
ドリンク半額のハッピーアワーを夜7時〜8時から8時半、9時半まで延長している店が多いが効果はほとんどなし。
以前は午前2時・3時まで営業していた店も午前1時で店じまい、ほんとうに客がいない。

客が減った分、女の子のドリンクのおねだりがひどくなるかと思ったら逆で、どの店も女の子は呼ばないと席に来ない。刈上げ3人組の客は水・つまみ持込みの中国人。周りで客と女の子がいちゃつくのを羨ましそうに見ているが、システムもわからず英語・タイ語も話せなければどうしようもない。

中国人といえば成田で流行遅れの茶髪4人組のおばさん、うるさいうるさい。隣の台湾人の団体の迷惑そうな冷たい視線が印象的。バンコクの空港でも台湾人がきちんと列を守っているところへ中国人のおばさん達が横入りする。またまた台湾人の呆れ顔。

 ショッピングモールは底打ち感、歓楽街よりは客の戻りも早いよう。
伊勢丹6階の紀伊國屋書店前に昨年末オープンした「とんかつ 新宿さぼてん」、今回食べてみたが日本の味をよく守っており、食器を下げる時はテーブルを消毒スプレー?で拭くなど衛生面にも気を使っている。キャベツもヒレかつも美味しく価格はヒレかつ膳で290バーツ(税・サ込み341バーツ 千円弱)と日本と同等か安い程度。バンコクの最低賃金の1.7日分の値段だが客はタイ人の方が多い。残念なのは紙のおしぼり。タイ人好みの香りの強いもので食事にはあわない。
「さぼてん」の並びには新たに日本料理の店が5店舗オープン予定。そのうち3店舗はJALの関連会社JALUXの運営で "広島のつけめん" "パスタと甘味カフェ" "丼物店"、他は京都のお好み焼きと日本式焼肉と個性派ぞろい。バンコクの日本料理店は今でも過当競争なのですが、日本料理店の世代交代の時期なのかもしれません。

 中華航空で台北乗り継ぎ、台北の出発案内には深セン航空の大連行きというフライトがありました。
知らないうちにどんどん台湾と大陸との交流が進んでいるようです。
さて成田到着、第二ターミナルのゲートまでおよそ20分のタキシング。その間、東京案内の映像が流れます。
その映像でなんと最初に靖国神社が出てきました。機材が古く背中が痛くなるシートだったのですが最後の映像ですっかり機嫌もよくなりました。
   (PB生)


(宮崎正弘のコメント)中国人のマナーの悪さが台湾の旅行客との比較でも顕著ですか。
 初めて東京にくる中国人は大概がアキバ、銀座、皇居、そして靖国神社へ行きます。理由は「一番有名だから」。

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  • 名無しさん2009/11/04

    毛沢東と暴力団、日本も似た面が有りますが軍事力が使えない日本では、今後はどうなるのでしょうか?警察が暴力団からも情報も取れない?裏社会が主導権を裏で握って居る様な不気味な日本?そんな気がしてなりません。