国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/10/28


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年)10月28日(水曜日)
         通巻2752号 
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 鳩山首相の「平成維新」演説に不安が倍増
  八ツ場(やんば)ダム建設見直しは関八州を洪水被害無策地帯にするつもりらしい
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 数年ぶりに黒四ダムを視察した。
 以前は、長野県大町ルートから黒四へ入り、黒部峡谷を富山県側へ抜けた。黒四プロジェクトのことは、石原裕次郎・三船敏郎主演の映画でも有名だが、難工事につぐ難工事、百数十名の犠牲を出した。

軽く二千メートルを超える峻険な山々が連なる立山連峰の山中を直線でダムに繋ぐという壮大なトンネルを数年掛けて掘り続け、この艱難辛苦の物語は吉村昭『高熱隧道』にも描かれた。
その後、NHKのプロジェクトXでも特集された。

 いま、男たちの物語をここで繰り返すつもりはない。
 昭和三十年代に、将来の電力需要を予測し、大がかりなダムの必要性を説き、信念をかけて会社ぐるみで困難にぶち当たった経営者がいた。支援する社員と地元の協力と、そしてマスコミも政治家も支援した。
 日本は国を挙げてエネルギー確保への熱気があった。

 今回は富山空港へ飛行機で飛んで、宇奈月温泉で一泊(脱線だがさすがに名湯だった)、翌日氷雨けぶる山岳をトロッコ列車で欅平まで、そこからは関電の工事用のトロッコ列車に特別に便乗させて貰って発電所へ。これは山をえぐってこしらえた大規模なものである。いまでは殆どが無人で操作され、点検社員がときおり訪れるくらいという。

 この視察行は『情報化社会を考える会』(石原萌記代表)の催しで毎年恒例、ことしで十七回目。筆者も十回は同行しているので、敦賀原発、柏崎、安曇野水力、福島地熱、伊勢の風力発電などをみている。

 さて黒部の関電発電所から今度は急傾斜35度のインクラインで登攀を続け、トンネル内を走るバスに乗り換えて黒四ダムへ。
欅平からここまでのルートは観光客に開放されていない。宇奈月温泉から欅平までは登山客や湯治客がかなり混じる。

 黒四からはトンネルバスが長野の扇谷、大町と繋いでいるので、観光客が氷雨のなか、傘をさして夥しく着ていた。外国人も多い。中国からの団体もある。
 その一種壮観な光景はほかに譲るとして、筆者は黒四ダムの現場とトンネルをくぐり抜けてきたバス、トロッコ列車、インクラインなどの『文明の利器』を体験しながら、じつは他のことを連想していた。


 ▲大自然とたたかい道を開く

 四百年前、富山を治めていた戦国武将の佐々成政は秀吉の天下取りを快く思っていなかった。
とはいえ富山城の前面は加賀を治める前田、背後には秀吉と同盟する上杉。海にでるか、立山を越えるしかなかった。

 当時、浜松城にこもった徳川家康と連携をもとめ、覇気に富んだ佐々成政は立山越えを決意する。有名な「さらさ越え」である。真冬、数メートルの積雪、急な山稜を凍傷と雪崩と闘いながら、木樵たちの道案内を得て、佐々成政はとうとう立山を越えて浜松へたどり着く。百余名の伴は半数以下に減っていた。

 大自然の猛威と闘い、立山を越えるというのは快挙である。当時は登山技術もない時代、簑傘とかんじきだけで。結果は徳川の同意えられず、失意のまま佐々はふたたび立山を越えて富山へ戻った。帰り着いたのは十数名だったという記録があり、その後、佐々は豊臣の軍門に下り、肥後に移邦され、農民一揆を退治できなかったという理由で切腹、悲劇の武将として語り継がれる。も少し脱線すれば、初代内閣安全室長の佐々敦行氏は、成政の末裔である。

 おおきく脱線したが、話は現代へ飛ぶ。
 鳩山宇宙人内閣はマニフェストに書いたからといって八ツ場ダム建設中止の暴挙に出た。
 これは関八州が将来、洪水被害に襲われても、無策となる国土破壊を視野に入れての暴挙なのか、なにも分かっていないでマニフェストを獅子吼するだけなのか。


 ▲宇宙人が維新を吠える怖さ

現実無視のまつりごとを、しかし鳩山は「平成維新」と表現したので筆者は不安を倍加した。
 維新とは天皇を中心とするまつりごとにもどそうと薩長の志士らが徳川へ立ち向かい、大政を奉還させた明治維新に喩えるまでもなく、旧体制一掃の激しい改革であり、かつ国体の明徴を鮮明にしなければなるまい。

 鳩山はムードによって政権交代を唱えただけ。改革とは無縁の、しかも海外旅行だけが好きな宇宙人夫人をともなって世界に醜態をさらすしか能力のない政治屋である。
 いやそもそも民主党には基本綱領が不在で、国体に関しての考察はひとつもなく、改憲を唱えることもないのに戦略室をつくって偽知識人を動員している。
 
 国益に基づいた国体も日本の将来図をかくするという基本計画、グランドデザイン=戦略も不在のママ、気がつけば日米同盟に亀裂を生じさせ、いたずらな東アジア共同体の獅子吼は米国ばかりか、アジア諸国に不信のタネを蒔いた。

 オバマ訪米前に米国へ行くと言い出す外務大臣はパフォーマンスだけが得意。普天間基地移転問題で次から次に思いつきを述べる防衛大臣はゲーツ国防長官を激怒させ、およそこの政権は閣内不統一(ト言うより素人集団のPTAごっこ)、まともな政治を追求しているとは考えられない醜態を連日演じている。

 逆説的に言えば、久しく淀んできた日本の政治に緊張がでてきた。
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 ◎三島由紀夫研究会からのおしらせ● ◎三島由紀夫研究会からのおしらせ●
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本日です!

三島由紀夫研究会「公開講座」(第235回)
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とき  10月28日(水曜日) 午後六時半(六時開場)
ところ 市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」(私学会館)六階「阿蘇(東)」
http://www.arcadia-jp.org/access.htm

講師  高森明勅(神道史家、國學院大學講師、桜チャンネル・キャスター。著作に『天皇と民と大嘗祭』(展転社)など)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A3%AE%E6%98%8E%E5%8B%85
演題  「三島由紀夫の天皇論」
会費  おひとり2000円(会員&学生1000円)。
    
 三島は女性天皇を容認する発言をしています。天皇論でつねにコントロバーシャルな高森先生をむかえて、徹底的に論じあいます。
終了後、講師を囲んでの懇親会があります。ただし別途会費です。
どなたでも予約なしで御参加いただけます!
        ◎
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 ―中国文明の本質を鋭くえぐり、趨勢を見極めた「強攻」外交の提言。
 ―現在によみがえる内田良平の国家戦略書。間違っていた日本人の対中理解を正す。
  <目次>
推薦の辞   伊達宗義
第一章    激動する中国と問われる日本人の中国観
第二章    内田良平『支那観』(現代語訳 森田忠明)
第三章    異文明大国・中国とどう付き合うか(宮崎正弘)
第四章    『支那観』研究
第五章    内田良平『支那観』(原文)
 執筆陣   池田一貴、小田内陽太、片瀬裕、高木桂蔵、田中秀雄、永山英樹、福永武
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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創刊日:2001-08-18  
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  • 万葉至乃輔2009/10/28

    当初「この外交素人め!」と危惧をブログ等に書きましたが、ちょっと考えを改めて、じっくり観察しています。

    観察するとは言っても鳩山外交ではなく、米国の対応をです。

    例えるなら今までの自民党外交は攻めの米国と受けの日本で常に少しずつ譲歩を勝ち取られる勝負でした。

    ところが米国からみて指し手が変わって、急に攻めに出てきたから大慌て、無理難題をいってねじ伏せてやろうと言うのが、今回のゲーツ長官の来日ではなかったでしょうか。

    米国も指し手が変わって、指し方を変えているのが見て取れます。

    そういう意味で鳩山外交が迷走すればするほど、今までにない指し手をするでしょうから、じっくり観察して自民党は今後の対米外交に生かすべきだと思いますが。

    アフガンは十二万の増派が必要ですが、議会の承認を得られるのはせいぜい三万程度でしょうから、のこり九万はNATOとわが国でしょう。オバマ大統領はわが国に一万程度の陸自派遣を要請するのではないでしょうか。もちろんやったことのない、フォワードではなくて、バックスである後方の基地支援と兵站でしょうが。