国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/10/16


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   「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)10月16日(金曜日)
          通巻第2742号  
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 中国の輸出回復は人民元操作が原因。ユーロ高の欧州向けが主力
  猛烈なドル買い操作が次に招来する中国経済への爆弾
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 製鉄で世界一の座を獲得した中国は、じつは余剰生産に頭を悩ましている。造りすぎ。その結果、ダンピングで輸出に回すと、こんどは米国から不正な輸出補助金、ダンピングとしてクロと判定され、報復関税がかかる。その税率98%!

 明瞭に輸出が回復したのは欧州向けで、この理由も単純明快。ユーロ高。為替の人為的操作で競争力が回復しただけである。「米国向け輸出は殆ど回復していない」(ヘラルドトリビューン、10月16日付け)。

海運インデックスは昨秋を100とすれば、ことし春に50,いま80程度。つまり沖合待ち寸前、海運の回復は貿易量の回復を示す。

 雇用はどうか。
 季節工が一部地域、とくに産業別、地域別で復活したが、賃金は相変わらず安く、労働者は賃金が高いところへ集中して流れるから安定的雇用はない。つねに流動的である。つまりメーカー側は季節的、一時的回復と踏んでいるのだ。

 じっさいに輸出基地である広州周辺をあるいてみて、休業中の工場、廃屋、シャッター商店街がめだつ。

 日本は2002年から05年までにドル買い介入をおこなって、43兆円が消えた。
 中国は猛烈なドル買い操作を展開し、外貨準備は2兆ドルから、2兆2700億ドルへ増やした。輸出の純増を差し引いて、おおざっぱに2000億ドル分を、人民元安維持のために介入した。2009年上半期だけである。

 これが過剰流動性をうむのは必定で、じっさいに市場にカネが流れて不動産高騰という狂奏曲がまだ続いている。
 いずれツケはまわる。
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 ☆☆☆ 読者の声 ☆☆☆ どくしゃのこえ ☆☆☆ 読者の声 ☆☆☆
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(読者の声1)貴誌に中国の技術の急速な進歩に関しての論争らしきがあり、上海の秋葉原の現場で驚いたNS氏の感想に反論氏は「きめの細かい優れた製品はどの国の人からも喜ばれるからであります」と日本の技術の優秀性を書かれた。
 これを知人にみせたところ、「しかしこういう状況は1990年代の初めから20世紀の終わりまでで綺麗サッパリなくなったと言えます。日本は、利用者の要求にそった、安くて単機能の製品を商品化することが苦手になっています。特に情報家電商品では。今は、中国、台湾、韓国、ベトナム等多くの国で日本で作れるものは何でも作れます。特に輸出の花形と言われる情報家電、車でさえ。情報家電、半導体チップ、携帯電話などはお隣の韓国に追いつくのに四苦八苦です。パソコン、インターネット関連商品やコンピュータシステム等の主要な部分は米国、 台湾には出来るが日本で出来ないものが多々あります。
米国市場では小型乗用車で韓国・現代の車がシェアが拡大し、トヨトを追い上げています。日本の現実、東アジア状況、中国の現実を良く知った上で、日本の将来戦略を議論する必要があると思っています」。
とする現状認識が寄せられました。
東アジア共同体の論議を仲間内で行う間、私が我が国のもの作りをベーストした経済発展が続くというトレンドである限り、きめ細かで優れた製品はどの国においても喜ばれるから、工業製品で見た場合には東アジア共同体はあってもなくても大差なく、一次産業のデメリットを考えれば総合的に見て積極推進をする理由はない、 強いて推進する理由を考えれば、ASEAN諸国から見て、この地域に支那の影響力が増大する状況の中、支那に対する睨みを利かすことでASEAN諸国から頼りになる兄貴分として尊敬されることが考えられるが、その自覚や覚悟も無いどころか支那に対して媚び諂うだけの現政権に推進を任せるわけにはいかない、と述べておきました。
私が気になりますのは我国が優れた製品を生み出す力は依然として断トツであると考えて物事を考えるのと、その位置取りは危ないと考えて物事を考えるのでは大差が生じます。
もし反論を投稿された方の認識通り(私を含めた多くの方はそうであると思います)であれば、一時的には問題があっても基本的には我国は安泰と考えてよいと思います。
 が、もし私の知人の認識のほうが正しければキリギリスの油断につながる可能性が出てくると思います。
懸念は、この十年来の我国のリストラで技術を持った人が職を失いアジア地域で工場などの顧問などとして働く機会が増え、技術移転がかなり進んでしまっている可能性があるのではないか、ということであります。
いわゆる空洞化でありますが、その実態は把握されておりません。
もしそうであれば、政治的にも個々の産業的にも我国の立場はかなり危ういことになると思います。
 貴誌はかなり意識の高い方々に読まれていると思っておりますので、国際環境の中で我国がおかれた立場を再確認する意味で、実態把握は重要であると考える次第です。
  (宮崎太郎)


(宮崎正弘のコメント)現代がトヨタを追い上げているばかりか、中国独自の自動車「奇瑞」(グリーディ)も世界市場に登場しています(ただしアンゴラとかキューバだが)。。
軽自動車ではインドも頑張っている。家電は、もはや日本は消費者物資を作らないように、ほかの国へ分業してゆく方向です。出版業界の殆どが持つ超小型録音機は、全部、中国製であるように。
 かつての圧倒的な日本優位は、比較優位にとって変わっているのが現状でしょう。かといって日本企業のほこる特許は世界一、米国の特許数を抜いている。ソフトの収入も大幅に向上してはいますが、もうひとつの問題は特許訴訟でなぜ米国やら中国のイチャモンに負けるかということです。
 法廷技術の払底、英語で訴訟に対応できる辣腕弁理士と弁護士が圧倒的に不足しています。
 米国ではとくに悪徳弁護士と悪智恵の発達した弁理士がゲーム感覚で繰り広げる訴訟沙汰を、日本はいよいよ本格的に反撃しなければ、せっかくの創意工夫や発明や独走技術も、やがて盗まれ、食いちぎられるでしょう。
 オバマ政権は対日訴訟作戦を展開する腹づもりのようで、その嚆矢がトヨタへのイチャモンです(レクサス事故への言いがかり訴訟)。
鳩山政権は、これに対応する能力がないばかりか、ただしく情勢を認識できる力があると考える国民は少数派ではありませんか。
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◎樋泉克夫のコラム◎樋泉克夫のコラム◎樋泉克夫のコラム◎樋泉克夫のコラム◎
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樋泉克夫のコラム
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本当に痛くはなかったんでしょうか
      『針刺麻酔探秘』(林健雄編 平正出版社 1971年)


 ▽
 この本の「前言」によれば、「患者が手術台に横たわり医者が手術を施す。
医者は患者に麻酔薬を使わないが、患者の精神は冴えわたっていて話が出来るだけでなく、食べ物を口にすることだってできる。
だが、痛いという感覚は全くない」――これが針麻酔であり、この本出版当時、中国ではすでに40万以上の成功例が報告され、生後2日の嬰児から80歳を越えた老人まで、軽い病気から「休克(ショック)」が原因で意識不明になった重病人まで、頭部から胸部・腹部を経て四肢に至る疾病まで、成功率は90%前後とのことだ。

 そもそも漢方の一部として古くから針治療は行われてきたが、鎮痛効果に着目した医者が扁桃腺摘出手術で使ったのが最初らしい。
1958年に本格的に針麻酔の臨床実験に着手したが、当初は「非科学的だ」「実用の価値なし」といわれ全国的に普及せず。

ところが文革がはじまるや、この種の否定的考えが改められる。自力更生という摩訶不可思議な“毛沢東式中華国粋主義”が一世を風靡し、かくして「統計によれば、文化大革命前の8年間に全国で行われた針麻酔による手術は1万例に満たなかった。

ところが文化大革命以来、各地で施された針麻酔による手術は40万例を軽く突破。上海市の場合、手術可能施設を持つ病院の90%以上で針麻酔が施されている。
上海市のある病院においては脳外科手術の90%以上で針麻酔を実施した結果、手術後の死亡例は大幅に低下した」。

 中国の場合、「統計によれば」の「統計」がそもそも眉唾モノだけに、そのまま信じるわけにはいかないが、針麻酔と文革が極めて近い関係にあることだけは確かのようだ。
 この本の付録に実際に針麻酔手術を見学した何人かの外国人の手記が納められているが、菅沼正久・本州大学教授のそれを見ておこう。

もっとも、彼は当時の日本論壇・学界で文革礼賛の旗を狂気のように打ち振った代表的人物である点を考慮しておくべきだが・・・。
 彼は武漢医学院付属第二医院の手術室の2階に設けられた見学室で、「直径4メートル」のガラス越しに階下の手術室で執刀中の医者の手元を見つめる。
患者は40歳ほどの女性と50歳前後の男性で共に労働者。前者は甲状腺、後者は三叉神経の疾患だ。執刀医と看護婦は総計8人。
「10時01分、患者を含む全員が一斉に『毛主席語録』を学習する。10時09分、執刀開始」。
10時36分、2センチほどの患部を摘出。6分後に縫合手術開始。完全消毒のガーゼで傷口を包む。
「10時58分に縫合手術完了。同時に針麻酔も終わり針を抜く。11時過ぎ、患者はベッドから起き上がり、サンダルを履き、頭をもたげて見学室の我々に目を向け、『毛主席語録』を打ち振って感謝の意を表す。

私はガラスを間にして、いま目にした手術の一部始終をすっかり忘れ、彼女に向かって手を振って感謝した。
看護婦が切り分けたりんごを載せた皿を渡すと、患者は幾切れか食べた後、看護婦の支えを断って、すぐに手術室を出て行った」。
それにしても菅沼が患者に「感謝」する理由が判らない。

 三叉神経手術では、頭部切開手術中にも患者は果物を食べ『毛主席語録』を打ち振る。
2階の見学者に執刀医の手元がよくみえるように鏡が用意される。
「鏡に映る患者の視線と私の視線とが、確かに重なり合った」。
もちろん、この手術も大成功し「現代医学体系に創造的な貢献をなし」たとか。
まあ、それはそれで否定しても詮無いことだが、つらつら考えるに、止痛効果があったのは針麻酔より『毛主席語録』の方ではないのかナア。
《QED》

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三島由紀夫研究会「公開講座」(第235回)

とき  10月28日(月曜) 午後六時半
ところ 市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」(私学会館)四階会議室
http://www.arcadia-jp.org/access.htm
講師  高森明勅(神道史家、國學院大學講師、桜チャンネル・キャスター)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A3%AE%E6%98%8E%E5%8B%85
代表作に『天皇と民と大嘗祭』(展転社)
演題  「三島由紀夫と天皇論」
会費  おひとり2000円(会員&学生1000円)。
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三島は女性天皇を容認する発言をしています。天皇論でつねにコントロバーシャルな高森先生をむかえて、徹底的に論じあいます。
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<< 新刊予告 >>
 宮崎正弘 + 内田良平研究会 編著
『シナ人とは何か  内田良平の『支那観』を読む』
  (10月27日発売 定価1995円、発売 展転社)
 ―中国文明の本質を鋭くえぐり、趨勢を見極めた「強攻」外交の提言。
 ―現在によみがえる内田良平の国家戦略書。間違っていた日本人の対中理解を正す。
  <目次>
推薦の辞   伊達宗義
第一章    激動する中国と問われる日本人の中国観
第二章    内田良平『支那観』(現代語訳 森田忠明)
第三章    異文明大国・中国とどう付き合うか(宮崎正弘)
第四章    『支那観』研究
第五章    内田良平『支那観』(原文)
 執筆陣   池田一貴、小田内陽太、片瀬裕、高木桂蔵、田中秀雄、永山英樹、福永武
       ★★
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◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
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  • 万葉至乃輔2009/10/16

    貴誌通巻第2742号の読者の声1の宮崎さんの回答



    >オバマ政権は対日訴訟作戦を展開する腹づもりのようで



    民主党弁護士政権は財政が厳しくなると必ず、日本企業に訴訟ふっかけて税収不足を補うのは、クリントン政権からの悪しき伝統ですね。



    確か三菱でしたかセクハラや、東芝、その他数百億やられたのではないでしょうか。



    クリントン長官やオバマ大統領も弁護士ですから。

  • 名無しさん2009/10/16

    アメリカが製造業のパテントに焦点を当ててきた、又日本は食われるのでしょうか?全て日本が追いつき先行してきたのですがその都度アメリカに犯され国外に技術を取られていく、この道筋を断ち切るのには戦後の日本の教育からは難しい。道徳観を無くした進駐軍教育の怖さを感じています。

    国家観を亡くした国民と言うのは金だけで何処にでも身を売ります。

    日露戦争時代を含めて戦前は少なくとも道徳・理念では日本人は優れていたのですが、現在は行儀だけが良くなる?覇気が無く成ったと感じています。