国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/10/14


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   「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)10月14日(水曜日)貳
          通巻第2739号  
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岡田外相はいったい何をしてアフガニスタンへ行ったのか?
 電撃訪問のジェスチャーより、もっと大事なことがあるのでは
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 岡田外相が11日にカブールを電撃訪問し、カルザイ大統領と面談し、民政分野への支援を約束、インド洋上の給油活動に関しては何もカルザイ大統領からは出なかった、と「意外感」を表明した。
 空港から大統領府まで防弾チョッキを着込み、ものものしき警戒の中、つぎに学校と職業訓練校を訪問し、市内のホテルで随行記者団と会見した。

 第一に電撃訪問のコスト対効果を勘案してみよう。
岡田外相は、北京からドバイでチャーター機に乗り換え、カブールに僅か六時間滞在し、そのままチャーター機を飛ばしてイスラマバードへ飛んだ。

なんという遠大な迂回路!
 おそらくJALが拒否した結果、ドバイまで行って、カブール往復になれたチャーター機会社と契約したのであろう。
凄まじいほどのチャーター代金と六時間の訪問の成果は?

 第二にインド洋での給油活動を一時中断せざるを得ない政局だが、パキスタンは正式に日本に給油続行を要請している。内陸国家アフガニスタンにとってインド洋上での給油活動は死活的利益ではない。だからカルザイは発言しなかっただけで、日本が騒いでいる話題は国際的になんらのイシューにはなっていない。

 第三に給油活動に替えて、アフガニスタンの多国籍軍の民政活性化プログラムの一環として、とりあえず四名の文民を農業技術支援のために、アフガニスタンに送ると言うが、こんなことは止めた方が良い。
たった四人の日本人のために多国籍軍は警備に軍隊を割かなければならず、率直に言えば「足手まとい」だから。

 第四にこれまでもタリバン兵士が投降して職業訓練にやって来れば一時金を出した。カネだけ貰って消えた旧タリバンもいれば、もともとタリバンの無援の失業者だった。
 ましてアフガニスタンの警官8万人の給与の半分は日本が負担している。
 その警官が役立たずであることは国際常識、現場に派遣されても盗人や麻薬密売に早変わりし、タリバンに情報を流すなど、悪質という報道が欧米の新聞にはちゃんと書かれている。

 結論、現在の日本の法律と自衛隊の活動範囲からいえばインド洋上での給油活動が、最大の貢献になる。
 ハトも岡田も「マニフェスト」にこだわらないで頭を冷やしたらどうだろう?
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 ☆☆☆ 読者の声 ☆☆☆ どくしゃのこえ ☆☆☆ 読者の声 ☆☆☆
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(読者の声1)朝鮮戦争でのマッカーサーの実像を描いたハルバースタムの遺作『THE COLDEST WINTER』の要約と抜粋が某月刊誌に掲載されました。
連合国軍最高司令官として朝鮮戦争を指揮したマックの実像を描きその神話を完膚なきまで打ち砕いた由で要約の後半は以下のような具合です。
(引用開始)「マッカーサーは、アジアの情勢を楽観視し、ワシントンの許可を得ずに勝手に大規模な動員解除をぶちあげ、その結果朝鮮戦争の開戦時の極東米軍の兵力とその質はお寒いばかりだった。案の定、あっという間に釜山まで追い詰められるが、現地指揮官ウオルトン。ウオーカーの頑張りで、橋頭保で持ちこたえる。さまざまな幸運が重なり、敵の背後を突く仁川上陸作戦が成功するが、その成功がマッカーサーを再び慢心させる。「クリスマスまでに戦争は終わる。中国軍の参戦はない」として、指揮権を分割、一方の軍を自分の腰巾着であるネド・アーモンドにまかせるなどして鴨緑江をめざすが、中国軍の待ち伏せにあい、国連軍は壊滅的な打撃を受ける。中国軍参戦の度重なる諜報を総司令部で握りつぶしたのは、あのG2(諜報担当)チャールズ・ウイロビーだった。東京の総司令部は、マッカーサーがかくあれかしと望む現実を見せる者だけが出世し、本当のことをいう人間は遠ざけられていたのである。
絶望的な戦況に、トルーマン政権は、マシュー・リッジウエイを現地指揮官として投入。リッジウエイは、中国軍をいまいちど押し戻し戦線は38度線で膠着する。出番のなくなったマッカーサーは、大統領の指令を無視し中国との全面戦争を大っぴらに主張、トルーマンに決断の時が訪れる」(引用止め)

「マッカーサーには朝鮮で形成されつつある事態が理解できていなかった。他の軍高官のほとんど、そして当然ながら統合参謀本部には、それが分かっていたにもかかわらず」「マッカーサーは自分の指令部以外に関心を持たなかった。ソ連がヨーロッパに与えるかもしれない脅威にはなんの関心もなかった」「リッジウエイは戦場での成功と歯に衣着せぬ率直な姿勢によって新聞記者団にファンを作りつつあった。その事実もマッカーサーを傷つけた。マッカーサーは脚光を浴びたかったが、その軍歴の終わり近くになって、それを部下に奪われることになった。以前には決して許さなかった事態である」。

 1951年4月トルーマンによるマッカーサーの解任は、当時「これほど不人気な人物がこれほど人気のある人物を解任したのは初めてだ」とタイム誌が書く事態でした。
朝鮮戦争で中国との戦線拡大を強行しようとし、六十万の蒋介石軍の利用や原爆使用を唱えて、危険な冒険主義にいたずらに走ったためにマックは解任されたのです。

このマック神話の「解体新書」はマックの狭量、暗愚、幼児性、うぬぼれ、病的な自己顕示欲、傲慢、目立ちたがり性、部下の成功への嫉妬をとことん描いている由です。
第二次大戦開戦から三ヶ月間に出された百本以上の報道用発表の77%にマックの名前しか載せず、アイケルバーガーが雑誌に出ると「君をあすにも大佐に落として帰国させることができる。分かっているか」と部下を脅すマックの取り巻きはそれに輪をかけたウイロビーやアーモンドといったゴマすり、おべっか使いの小物ばかりでした。

ハルバースタムはマックの人格形成の原因は母親にあったと説きます。息子のマックに陸軍軍人として中将で終わった父親を超えさせようとし、陸軍士官学校に入るコネを探し回り、入学するとその近くの高級ホテルから息子を4年間も監視し続け、軍の階級を上げようと有力者に要請の手紙を書きました。
自己中心的で友だちもいない自閉的な人間になったマックは、大恐慌で苦しむ退役軍人とその家族を戦車で蹴散らかす、著者が「汚名」と呼ぶボーナス軍弾圧事件も引き起こしました。

戦後の日本人はアメリカ人には珍しい高邁で弧高なマッカーサーをその典型だと思い込みました。
マッカーサーのストイックな姿は日本人の心を捉え士道さえ観じたのです。しかし自閉的で自尊心が高い分、持つ必要のないコンプレックスを人知れず内包して、その内心の牙に蝕まれていたのがマッカーサーでした。
アメリカの名立たる著作家の手になる同書の出現で、ようやく日本人の持つマック神話は解体されるのでしょうか。
   (有楽生)


(宮崎正弘のコメント)ハルバースタムは自動車事故で急逝する前に、この大作を仕上げていたんですね。驚きました。
 マック神話はほかにもぼろぼろと暴露本やら歴史書がでて、その神話崩壊は時間の問題でしょう。



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(読者の声2)『東京裁判 日本の弁明ー却下未提出弁護側資料抜粋』(小堀桂一郎編著)(講談社学術文庫)は、『東京裁判却下未提出弁護側資料』(国書刊行会)という全8巻総ページ数5千5百ページという膨大な文献資料の抜粋版です。
 斯くも膨大な弁護側資料が却下されたという事実そのものが、東京裁判なるものの本質を雄弁に物語っているといえましょう。
 本書は単なる抜粋ではなく、先ず序論において小堀博士が東京裁判の法的根拠、裁判の進行過程、証拠の扱い方、弁護側の反証の仕方、そして全体としての東京裁判批判を展開している。本書に収録されている文書は却下されたもの以外に正式に陳述された重要な弁論(ローガン、ブレークニーのものなど)も含まれており、東京裁判の全容を知る格好な資料です。
 英訳版は「未来政経研究会」より2003年に出版されたが、ご好意によりわれわれのサイトにアップロードし、世界の多くの識者、学者、政治家、マスコミなどに下記の通り、案内しました。先にアップした『パル判決書』とともに、東京裁判の真実、本質を知るための資料として世界の人々に読んでいただきたいと思っています。既にかなり反響があります。
                   「発信する会」 茂木
Summary: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/66_S2.pdf
Full text: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/66_S4.pdf
Profile: http://www.sdh-fact.com/CL02_1/66_S4.pdf

 


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(読者の声3)NPR(KDED/SF)が、ムシャラフとテッド・コッペルの対談を放送。
 http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=113610051

 ムシャラフ前パキスタン大統領は、「パキスタン国民は米国の傲慢とインド側に立つスタンス。そして80年代の裏切り(ソ連軍と戦った25000のムジャハデインが捨てられた)。この怨念が現在のタリバンの反米の動機となっている。パキスタニ・タリバンはもとパキスタン情報部にいた連中で、カシミール高原で戦った精鋭だ。2001年の米軍のアフガン・タリバン追い出し作戦では400万人のアフガン避難民がパキスタンに越境、それを、ブッシュは支援しなかったことにも怒っている」と。
「だからオバマが、7500億ドルの5年間の提供に条件をつけたことを、パキスタン軍は,”拝んではいない”と怒っている」と。「つまり、パキスタン国民は米国を信用していない」と、コッペル(テレビ・キャスター)に怒り声で語っている。
インドに関しては、「攻撃されれば報復する」とです。ムシャラフは、次の大統領選挙に出るとも発言しています。訛りの強い英語だけども、聞いてください。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)米国に持ち上げられ、やがて使い捨てられたムシャラフの怨念が滲み出ていますね。いずれ次はカルザイ、そしてザルダニもまた。。。



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(読者の声4)NS生様の投稿で上海科技京城と秋葉原と対比されておりますが、彼の地は 流通、決済に課題があるために店頭、現金販売とういう日本の20年前の秋葉原物流事情なのではありませんか。
古い根拠の中国脅威論、日本悲観論と感じましたので日本の技術環境の現状を知っていただきたく投稿いたします。
日本をはじめ先進国ではすでに電子部品購入、試作はweb上で行っております。個人レベルでもメーカーのサービス在庫部品、商社の在庫よりもはるかに多くの部品の調達が世界中から短納期(〜3日)で可能です。
また以前は大資本でないと備えることのできなかった5年落ち程度のCAD、CAM がフリーウエアで手に入ります。
販売代理店のコネがなくともレアな電子部品を含めて購入可能な時代ですので、資本やコネがなくとも能力とやる気があれば電子関連起業の条件は前進しております。
電子業界はデジタル化を迎えて水平分業の事業構造になり旧来アナログ型垂直事業を旨とする企業の多くが脱落し新陳代謝が行われました。

上海科技京城で販売されている部品の多くは日本の工場が現地で生産した商品のコピー生産のための部品でしょう。中国の兵器はロシア製をリバース・エンジニアリングで生産中国製と称しております。基幹となるコアチップはその多くが日本製です。
中国オリジナル設計のICチップはいまだかつてありません。中国オリジナル開発、設計の世界基準となった商品がありますか。
中国は永遠に安い労働コストを基本にした工場機能だけですよ。最先端技術商品は中国で開発しませんが、理由はおわかりですね。
最先端技術の集積である日本のハイブリッドカ―を良く見てください。メカトロニクス、化学、生産管理 もはや総合芸術の域ですよ。世界がこの水準に達するには10年はかかるといわれています。
 もっと日本の技術環境を知り、現場技術者の声を聞き自信を持って下さい。物造り大国は断トツで日本ズーット遅れて独、仏、そして米、英 は物造りを放棄しました。中国、朝鮮は職人の地位が低く、もとより物造りとは無縁の国です。
  (NF生、現役電子エンジニア。横浜)

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 (新刊予告)
 宮崎正弘 + 内田良平研究会 編著
  『シナ人とは何か  内田良平の「支那観」を読む』
    (10月20日発刊 予価1995円、発売 展転社)

   ―中国文明の本質を鋭く抉り、趨勢を見極めた数々の提言を残した内田良平
   ―現代に鮮明に甦る巨像、内田良平の中国論のすべて

  <目次>
  推薦の辞   伊達宗義
第一章激動する中国と問われる日本人の中国観
  第二章    内田良平『支那観』(現代語訳 森田忠明)    
  第三章    異文明大国・中国とどう付き合うか(宮崎正弘)
  第四章    シナ観研究
  第五章    内田良平『支那観』原文
         執筆陣 池田一貴、小田内陽太、片瀬裕、高木桂蔵、田中秀雄
永山英樹、福永武ほか。
         近日中に申し込み方法などを告示します。
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< 宮崎正弘の近刊 >
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品切れ店が多くあります。ご注文はネットで。 
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『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実――日本人は中国人のことを何も分かっていない』
(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
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◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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  • 名無しさん2009/10/14

    以下の記事で希望が持てました。

    「もっと日本の技術環境を知り、現場技術者の声を聞き自信を持って下さい。物造り大国は断トツで日本ズーット遅れて独、仏、そして米、英 は物造りを放棄しました。中国、朝鮮は職人の地位が低く、もとより物造りとは無縁の国です。

    (NF生、現役電子エンジニア。横浜)」



  • 名無しさん2009/10/14

    法律で飯を食っている連中はどうも信用ならない。理系技術者をもっと優遇すべきだ。