国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/09/16


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)9月16日(水曜日)貳
         通巻第2714号  
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 イラクの治安部隊再建は見通しが立ったが、アフガニスタンは?
  兵站の開拓はおろか、新兵は文字が読めず、記号も分からず訓練が大幅に遅延
****************************************


 ▲ビン・ラディンがネットで欧米に挑戦

 オサマ・ビン・ラディンの肉声と思われるテープ(11分間)がネット上で世界に流れ、オバマ政権を徹底批判していることが判明したが、真偽のほどは不明である。
英国の専門家は、「映像を伴なっておらず本人と断定するに足りるテープとは言えない」(英国のテロ専門家、スティーブ・パーク)とする。

 テロリストの首魁=オサマ・ビン・ラディンはいまもアフガニスタンか、パキスタンに隠れて世界各地の過激派に指令を出していると見られる。

 アルカィーダの組織は、しかしながら欧州からアフリカ諸国へ分散しており、米軍の対応も世界的規模で活発化している。

 ソマリア南部では紅海洋上の「無人飛行機」から発射されたとみられるミサイルが走行中の車を爆破炎上させ、十五名が死亡した。その犠牲者のなかにはFBIが懸賞金をかけて探していたサラレ・アリ・サレー・ナビハンが含まれていた。

 かれはアル・ジャバブ派を率いるがアルカィーダに近い過激派の首魁でソマリア政府に戦闘を挑んでいる。
ソマリアは無政府状態、それが海域に海賊を輩出させている。
 
パキスタンのワリジスタン地方でも無人機からのミサイル攻撃が過激派に加えられている。
 米軍は無人機によるミサイル発射の事実を認めてはいない。
 
 
▲テロリストからの反撃も凄惨を極める。
 
アフガニスタンの表玄関=カブール国際空港がタリバンの自爆テロで攻撃され、十数名が死傷、重傷のなかには米兵とベルギー兵が含まれた。カブール国際空港は軍民共用、テロリストらは二台以上のランド・クルーザが爆弾を積んで突っ込んだ。非戦闘員二人が死亡(9月7日)。
 8月15日にはカブール市内の多国籍軍(ISAF)本部が自爆テロに襲われ十五名が犠牲になったばかり。

 いったい過激派は、どのルートからカブールに潜入し、どうやって武器を搬入しているか。ゲーツ国防長官は明確に言い切る。「それはパキスタン国境からである」(米軍プレスリリース)。

 実際にパキスタン北部から西北部はザルカイ政権の統治が及ばぬ無法地帯、タリバンやアルカィーダが逃げ込み、休養後、再出撃する。
あたかもベトナム戦争のホーチミン・ルート、北爆の対象はラオス、カンボジアでもあった。猛烈な爆撃のあと、皮肉にも両国は共産化し、米国が必死に守ろうとした南ベトナム政府は腐敗とともに消滅し、ついに共産主義派が米国を追い出した。自由と民主をもとめた人々は粛正されるか、“ボート・ピーポル”となった。

 九月三日に起きたアフガニスタン北東部クンドス郊外のタンクローリー二台の乗っ取り事件では反撃にためNATO機が出動、四日早朝に空爆した。
その後の調査で69名がタリバン、30名が住民の犠牲だったという具体的数字がでた。タリバンが付近住民に「ガソリンがただだから取りに来い」と誘った経過も分かった。

 カルザイ政権は米軍とNATOに対して徹底的な事故究明調査を要求していた(アルジャジーラ、九月15日)。)
 
タリバンはカラシニコフ銃を常備するほかに迫撃砲、遠隔操作可能な爆弾なども所有、潤沢な麻薬資金でハイテク武器を調達するため高性能化している。
欧米が援助して建てた道路、学校、警察署が標的とされ、タリバンは軍民構わず紛争の地獄をめざしているかのようだ。
とくにタリバン時代、女性の教育が禁止されていた。
いま小学校へ通う女子に対してもタリバンは容赦なくテロの対象としているため、学校の警備をイタリア旅団が行っている。


 ▲増派の急先鋒はレビン上院議員

 九月十五日、上院で証言に立ったミューラー統幕議長は「増派、とくにアフガニスタンに自前の軍隊をつくるために、もっと訓練する必要がある」とした。

 しかし問題は軍と警察の訓練なのである。
 イラクでも、イラク人を警察と治安防衛の任務に当たらせるために特訓をした。なんとか、イラク軍が自力の警備を展開できるようになり、最近は爆弾処理班の専門部隊が、爆弾処理特訓のためにイラクへ入った。
 米軍は数千の講師をイラクにおくり、四十数カ所に訓練所をつくって訓練したのだ。

 アフガニスタンにおける警察と治安部隊の養成ぶりはどうか。
 最悪の難題は識字率である。自分の名前を書けない。記号が分からないという恐るべき教育程度、全土の識字率は25%だが、新兵に応募してくるアフガニスタンの若者は貧困層からが圧倒的だから識字率10%、それを即席にたたき込んでも限界がある。
 
将来、22万人から40万の治安維持の軍と警察が必要とされるため米軍は地獄の訓練のようにスペシャリスト、特殊講師を派遣して特訓を積み重ねてきた。
平均十週間、特訓を積んでもアフガン兵は覚えが悪く、成果が上がらず、数週間訓練を延長しても完璧にほど遠く、しかし兵力不足が切迫しているためほどほどのところで戦場へ送る。
 
逆に新兵らは激戦のつづくカンダハル、ヘルマンドへは行きたがらず、カブール近郊での勤務を望む。あまりの我が儘に訓練講師らはネとあげているとワシントンポストが伝えた(9月12日付け)。

 上院でアフガン増派の急先鋒=レビン上院軍事委員会委員長は「2011年末までに134000の兵力とし、2012年までに24万人のアフガン兵を養成したい」としている。
 たが現在の達成率は12%に過ぎず、現地軍がいずれ西側の軍事力の代替となる日程は遅れる。
 

 ▲イラクはバース党という近代組織があり識字率が高かった

アフガン現地の最高司令官マクリスタルは、内心ではそれでも不足と考えているらしい。米国から増派される兵隊には四千名の特訓講師が含まれている。

 イラクにはすでにサダム・フセインの時代から近代的なシステムが確立されており、西側の遣り方を飲み込むのも早かった。
バース党という強い組織も残存していたから新たな軍事組織や警察機構を創りやすい。「現在、イラクでの特訓は兵站、技術、情報分析など高度なカリキュラムである」(ヘラルドトリビューン、9月15日付け)。

 しかしアフガニスタンはまったく違う。砂漠を越え渓谷や草原をひとつ越えれば、部族も言葉も違う、各地方は長老の統治方法が異なる。
要するにどうにもこうにも英米軍のシステムになじむには文化的に体質が異質でありすぎる。
 
これらの難題を米軍とNATOは、今後、いかに克服するのか? 
      ☆ ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
△△△△△み△△△や△△△ざ△△△き△△△△ま△さ△△△ひ△△△ろ△△△△△△
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のおしらせ)小誌は9月19日―25日を海外取材のため休刊とします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   ♪
(読者の声1)昨日付け書評のなかに『東京裁判を全て傍聴した富士正晴氏の記録』とありますが、冨士信夫氏です。
(FH生、目黒)


(宮崎正弘のコメント)失礼しました。そうでした。冨士先生は情熱と信念の人で、よくいろいろな会合でお目にかかりました。とくに『正論の会』には毎回ご出席だったと思います。
最近、鬼籍に入られましたが、数年前にお目もじの折、当該著作の「講談社学術文庫」入りをたいそう欣快に総括されていた、あの冨士信夫氏の情景を昨日のことのように思い出します。



   ♪
(読者の声2)貴誌前号、東チモールですが、「中国がやってきた。もとより92万人口のなかに3000人の中国系(客家)がいる。かれらは五百年前に漂着して東チモールに漢族コミュニティをつくっていた」とありました。
 戦前の本でしたが、「黒竜会」という団体の人が著者でした。南方方面の華僑の実態を調査しておりました。私などはそんなにシナが進出していたとは知りませんでした。彼らは植民地の支配者に取り入って商売をしていたのでしょう。そうすると日本が出て行ってそのシステムをぶっこわすと困るわけですね。
田中角栄氏が東南アジアで反日騒動にであったのは、その恨みでしょうか。
(桃太郎、倉敷市)


(宮崎正弘のコメント)まず「黒龍会」ですが、内田良平主宰の民族主義団体、当時は凄い影響力を持っていました。内田良平の中国分析はいま読んでも本質をえぐる第一級のものです。晩秋に『内田良平のシナ観』(仮題)がでます。ご期待乞う。
 つぎに客家ですが、南宋崩壊とともに海を渡ったのが華僑の淵源で、東アジアの中国人は大概がこの時代、台湾へ渡ったのは福建省からで、客家が半分近い(アメリカの華僑はアヘン戦争の余波による苦力貿易ですから、ほぼ全員、広東人が源流です)。
 田中角栄訪問のおりの反日暴動は華僑が仕掛けた、と書いたのも、小生、直後に現地調査をしています。
直前に田中首相が訪問したタイでは学生の反日運動、日貨排斥がおこりましたね。学生運動の指導者にインタビューして、かれらが中国系であり、資金が日本のデパートと競合関係にあった華僑系デパートだった。
インドネシアはスハルトと組んで最大の銀行まで経営していた「リッポ・グループ」が華僑の大物ラム一族経営でした(詳しくは樋泉克夫氏の著作を参照)。アジア通貨危機で、この銀行は倒産、政府管理の筈です。
 インドネシア人はマレー系が主流ですが、つぎに中国系が5%ほど、それから300近い民族が混在しており、経済と流通の実験を中国系が抑えた。これに対する日頃の恨みが、何かを切っ掛けに爆発するわけで、たまたま危険を悟った華僑の末裔が、反日にすり替えたのが、ジャカルタ暴動です。
 以後の暴動は、これすべて反中国暴動です。



   ♪
(読者の声3)読者の皆様もご存知かと思われますが、下記のようなニュースが配信されていました。 
政治とか歴史のことばかりではなく、NHK全体の体質の問題なのですね。
 
「漫画家、唐沢なをきさんがNHK放送を中止要請 「取材が不愉快だったから」(9月14日10時27分配信 産経新聞)
  「ヌイグルメン!」などの作品で知られる漫画家の唐沢なをきさん(47)が、NHK衛星第2「マンガノゲンバ」の取材を途中で打ち切り、番組放送中止を要請したことが、14日、わかった。妻でエッセイストの唐沢よしこさんが自身のブログで明らかにした。番組では漫画家の仕事現場に密着し、作品の魅力に面白さの秘密をさぐる。ブログによると、中止を要請した理由について、「インタビューが誘導尋問的」だったと説明。「この番組の取材、ほんっっっと〜〜〜〜に不愉快だったから」とも綴られており、取材方法をめぐってトラブルがあったようだ。
   (TM生)


(宮崎正弘のコメント)存じませんでした。情報をありがとう御座います。
   ◎
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<<<<<<<<<<<<<<<<< 宮 >>>>>>>>>>>>>>>>>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
< 宮崎正弘の近刊 >
『中国分裂 七つの理由』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
9月18日 全国主要書店一斉発売

  ♪
宮崎正弘のロングセラー 絶賛発売中!
 http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ、1680円)
『絶望の大国、中国の真実――日本人は中国人のことを何も分かっていない』
(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円) 
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 < 過去の拙著136冊のうち半分近くは下記サイトから注文できます ↓ >
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url?%5Fencoding=UTF8&search-type=ss&index=books-jp&field-author=%E5%AE%AE%E5%B4%8E%20%E6%AD%A3%E5%BC%98
        ★★
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。