国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/09/14


★宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 「ウラジオストック、ナホトカ紀行(写真22葉とともに)など更新
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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)9月14日(月曜日)
         通巻第2711号
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 保守の代表的論客ジョージ・ウィルらがアフガン撤退を提唱
  オバマ政権は「アフガン戦争は良い戦争」などと言って増派の最中だが。。。
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 パキスタンの北東スワット渓谷はタリバンの地盤だった。七月からパキスタン軍が猛攻を始め、二百万人の避難民がでた。作戦により1800名のタリバンが殺害されたという(アルジャジーラ、9月11日) 

 パキスタン治安部隊とタリバン幹部との「和平会議」が九月初旬から開催されてきたが、会議八日目にタリバン上級幹部のムハムード・カーンを拘束した。カーンには12万ドルの「懸賞金」がかかっていた。ギラニ・パキスタン首相は「これでスワット渓谷からタリバンは一掃された」と語った。
 
 米国保守派の代表的論客として知られるジョージ・ウィルらはアフガニスタンからの撤退を主張しはじめた(ワシントンポスト、9月1日)。
 たぶんに共和党と民主党の党派論争がはいけにあるが、 徹底論の言い分は次の通り。

 第一に八年前にアフガン空爆から開始されて地上戦のおり、お尋ね者のオサマ・ビン・ラディンは明確にアフガニスタンにいた。
 しかしアルカィーダはその後、スーダン、イエーメンに拠点を移し替え、パキスタンとアフガニスタンに残留するタリバンが欧米諸国へテロ戦争を本格的に仕掛け直すとは考えにくい。タリバンはアルカィーダを見放した。

 タリバンはもし欧米が撤退すればパシュトンの支配地域を奪回するだろうが、タジク、ウズベクの各部族は「それで元通りになるだけ」という醒めた認識であり、タリバンがたとえ勢力を挽回しても国内政治の内ゲバが優先し、アル・カィーダに再び秘密軍事基地を提供することはないだろう。撤退に反対する人たちがいう「テロリストの陣地が再活性化する恐れ」は、すくなくともアフガニスタンではなくなる。

 第二にオバマはブッシュ前政権との違いを浮き出すために「アフガニスタン戦争は良い戦争」であり、「イラクは悪い戦争」だと党派宣伝に使っている。この政治要素を割り引くと欧米がこれ以上彼の地に駐留しつづける理由は希薄である。アル・カィーダそのものが他の地域へ軍事拠点を移行してアフガニスタンの使い道を捨てた。

 第三にアフガニスタンにおける戦闘は戦闘行為ではあっても戦争ではない。アフガニスタンはインフラ建設が進み、民主化も徐々に達成されつつあり、これから西側社会に軍事的脅威になるとも考えにくい。最後の最後まで米国の精鋭部隊を注ぎ込んで闘う価値を見いだせない。
 撤退は欧米の敗北と錯覚されがちだが、欧米軍の撤退は、むしろイラン、インドなど周辺諸国への緊張をもたらすだろうから世界的展望から言えば米国の負担は劇的に軽減される。

 ▲罌粟栽培も劇的な現象を示している
 
 タリバンの資金源と見られた麻薬ビジネスだが、取り締まりの強化、密輸グループの大量摘発、教育の成果などにより、栽培面積が2007年をピークに減少(国連麻薬犯罪局、9月2日発表)しており、193000ヘクタール(07年)が123000ヘクタール(09年)へ。推定生産量も8200トン(同)から09年推定は6900トン
 全体の60%近くがもっとも危険なヘルマンド地区、16%がカンダハル地方で生産されている。

 アフガン政府は罌粟畑の減反に奨励金をだすなどし、また英米精鋭部隊はヘルマンド、カンダハル両地方で罌粟畑を破壊するばかりか倉庫を焼却し、夏からの作戦ではすでに50トンの罌粟、7トンのモルヒネ、15トンのヘロインを押収、27の製造施設を破壊した。

 世界的な罌粟の値下がりを受け、仲買人は取り締まりが厳しくなったアフガニスタンを避けるようになった。もうひとつの理由はアフガニスタンが罌粟栽培を「やりすぎ」たことである。世界需要は1900トン、それなのにアフガニスタンは他に産業もなく手っ取り早く現金になるとばかりに6900トンを生産し、値崩れを自ら誘発した。

 このため麻薬グループは価格カルテルを形成し、備蓄が一万トンあると見積もられており「生産量が激減しているのは市場原理から当然、生産はいずれ持ち直す」とする分析もある。
 アフガン情勢、まだまだ険呑。
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(読者の声1)貴誌2710号での粕谷哲夫氏のコラムのなかで鉄道のゲージ、1372mmを標準軌と書かれているところがありますが、1435mmですね。
馬車軌道が元の1372mmゲージ、たしかに京成電鉄はだいぶ以前はそうでした。現在1372mmは京王線及び乗り入れを行う都営新宿線、都電荒川線と東急世田谷線のみ。
 ゲージの問題は国防にも関係するのでロシアやスペインはあえて標準軌を採用しなかったとか。
インドやスリランカの鉄道は広軌ですがレールが貧弱で乗り心地は今ひとつ。
いかに広軌といえども保線が悪ければどうしようもありません。コロンボからキャンデ
ィまで乗ったときは線路脇に転覆した車両が放置されていました。蒸し暑いコロンボからキャンディに到着すると爽やかな高原の気分。第二次大戦で英米軍の司令部が置かれたのも頷けます。イギリス人は軽井沢といいビルマのメイミョーといい避暑地を作ることにかけては素晴らしい才能を発揮しますね。
   (PB生)


(宮崎正弘のコメント)PBさんは、鉄道にもお詳しいんですね。宮脇某氏は元中央公論の編集部にいたのですが、土日になると飛行機を使ってでも乗っていない鉄道を訪ね、鉄道だけで旅行記を書いていた作家でしたが。。。。



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(読者の声2)貴誌前号拙文に関しての補遺です。
 シベリア鉄道の時刻表は
http://www.jic-web.co.jp/hotel/pdf/14_tr_sibe_sche.pdf
によっています。2009年6月4日更新とあります。
それによるとチケット上の時刻や列車内の時刻はモスクワ時刻が表示されているが、このURLの時刻表に関しては日本人向けにすべて現地時間に換算してあると明記されています。(ほかのサイトでも モスク時間をベースとする シベリア鉄道の奇妙な習慣に触れているものがいくつかあります)。
 到着と出発を(ロシア語が読めないため)間違えた可能性はありますが、左右の掲示板の左が到着で 右が出発だと通訳から聞いて左の写真を撮ったのですが、あるいは右が到着だったのかも知れません。
 われわれがウラジオストック駅を訪れたのは8月3日(月曜日)で奇数日です。その日の モスクワからの到着列車は06:23となっています。出発なら21:52ですが、出発は偶数日のみで、その日はないことになります。 
 一体どうなっているのしょうか・・・ね。
 それから与謝野晶子と林芙美子のことは藤原浩『シベリア鉄道』(東洋書店)の65ページ ほどのブックレットからの引用です。引用元を入れ忘れました。

大連〜長春間の鉄道は敗色濃くなったロシアがすでに撤退し、機関車・車両など引き上げていたようで、そこに入った日本軍は 日本の4フィート8インチ半のレールをすでに 敷設し始めていたようです。満鉄の標準軌間への 改軌のためにはせっかく敷設したこの部分も。また一からやり直しで、そこの機関車など日本に持ち帰ったようです。
とにかく1900前後5〜10年、この地域はまさに激動のDecadeだったといえます。いまの日本人、日本の意思決定システムでは 到底対応できませんね。
   (粕谷哲夫)

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