国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/08/31


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)8月31日(月曜日)貳
         通巻第2698号  <臨時増刊号>
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 中国石油の賄賂漬け体質、米国で発覚
   中央紀律委員会が異常な関心、捜査チームを発足
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 大公報によれば「CCI事件」なる汚職事件が勃発し、中国の奥の院を揺らしているという。
 中国石油のビジネス活動は全世界に跨るが賄賂、収賄、汚職がつきものの企業ゆえに外国で当該法律に抵触すると、いきなり国際的な事件となる。

 中央紀律委員会は専門チームを発足させて事件の全貌解明を急いでいる。チームは凄腕の摘発豪腕組が選抜され、まもなく捜査を開始するという。

 容疑は166万元(邦貨換算で2500万円弱)の賄賂が下請け企業から中国石油幹部に渡ったとされるもので、米国の捜査資料に基づく(多維新聞網、8月31日付け)。
容疑のかかった企業には興中海油、大唐発電、華潤電力、東方電気、中国石油物資装備公司など具体的な国有企業名があがっている。

 しかしちょっと面妖な側面がある。
 汚職の大々的な捜査にしては賄賂の額面が少なすぎるのではないか。

 すでに既報のように現在の中南海の権力闘争は十月一日の国慶節軍事パレートを前に「一時休戦」の観があるものの、本質的対立構造はかわらず、上海派+太子党 vs 団派の次期権力掌握をめぐる果てしなき確執は留まるところを知らない。
 団派とは胡錦涛主席が出身母体の「共産主義青年団」の略。

 上海派が同派に属する周永康(政治局序列9位)、孟建柱(国務委員、公安を統括)などを通じて、胡錦涛の息子、李克強の手下どものスキャンダルを漏洩すると、すかさず団派は上海派と太子党の悪をあばく、いってみれば党内同士討ちだ。


 ▲舞台裏であやつるのは依然として江沢民と曽慶紅だ

 上海派のボスは江沢民だが、裏で指揮しているのは曽慶紅である。
 曽は自らの引退と引き替えに子飼いの太子党=習近平を後継として政治局常務委員へ送り込んだ仕掛け人。

次期後継を決定的に印象づけようと、四川省地震では習近平に現地慰問に赴かせ、妻の膨麗媛(国民的歌手)と娘を帯同させ歌唱演技などをさせたりもした。
ところが中国では家族を使う政治演出は不評を買い、団派のほうに得点があがる。また急に団派にすりよる太子党の薄!)来は、習近平なんぞより自分が上と思っているからバランス上、上海派の庇護を離れて、重慶のマフィア一斉手入れという未曾有の政治劇を演出して名をあげ、一気にレースに後継加わってきた。
 団派のホープのひとり、王洋(広東省書記)や李潮源らは一歩遅れた。

 こうした中央の権力闘争が背後にあって、上海派が中国石油の賄賂スキャンダルを利用しようとしているわけだが、資源外交を積極的にすすめている団派、とくに李克強は豪州訪問の成果として空前のガス輸入契約を結んで外交実績をあげたばかりだけに、異様な捜査入りは、あきらかに団派への嫌がらせととれる。
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(読者の声1)台風は自民党を直撃壊滅せしめました。あまりにお粗末な自民党に「懲らしめ」の反対票だろうと思いますが。
というか、自民党の自壊といったほうがいいかもしれません。民主が選択されたと勘違いして藤原道長にならないことを。望月はいつかは地平に沈みます。自民党をみればよくわかります。
現実的な心配はやはり「国の安全保障」。
一国平和主義という宗教を信奉する社民党と連立するんだろうから、いってみれば包容力のある政党ですね。いっそ福島を防衛大臣にしたらどうでしょう。自衛隊の皆様には想像もしたくない悪夢でしょうけれど。中国の今朝の新聞は揃って(中国だから当たり前だけれど)この「政権交代」を報じてさらに解説を加えていました。
 庚欣という「新日本研究所副所長」なる人物が新華社の網版に「(鳩山政権によって)アジア外交に期待が持てる」的な論文を書いていました(共産党が書かせている、といったほうが正確でしょうが)。亜非(アジアアフリカ)戦略を強引に推進している中国にとって、ありがたい存在ということでしょう。
岡田氏は中国におびただしい店舗を展開しているイオンの元締めだし。中国で商売がうまくいっているということの本質は、マーケティングなどではなく、権力者たちへの想像を絶する癒着だから、これからの対中国外交を考えるとなんとも暗澹たるものがあります。外務省チャイナスクールはうれしいかもしれませんが。
自民党の大失態が生んだ状況の中で、もっとも懸念するのがこのあたり。責任は重大だと思います。
  (W生、所沢)


(宮崎正弘のコメント)「自民」vs「民主」という政党の対決構造でみると、たしかにそうなるのでしょうが、小生はちょっと違う見方をしています。世論動向と新聞論調とをみて、テレビの身びいきをみていれば、老人より若者、男より女、世襲より新人という交替時期にさしかっていたのは明白で、フレッシュな新人を党公認に出来なかった自民党のシステムが致命傷。
さて政権奪取の民主党ですが、これは自民党主流の金権政治「経世会」の復活であり、田中土建政治の復活であり、ロビィストは風見鶏よろしく、どっと民主へ靡いただけのこと。
ようするに姿形をかえて自民党が蘇生したのです。
郵政改悪を訴え、靖国神社参拝を強行したコイズミは博打の度胸があった。麻生はおりからのウィグル弾圧で「人権」を楯に中国を批判して敵対的姿勢をとり、靖国へ行けば、もう少しマシな成績をあげられた。それをする蛮勇がなかった。政治家に必要なのは本能的な賭けです。
鳩山「新首相」ですが、所詮はお坊ちゃん、修羅場が来ると政権を投げ出すでしょうね。いまは小沢の傀儡。プーチンのあやつり人形のメドベージェフと似てませんか?
四年前のコイズミ・チルドレンは「なにかの間違い」で代議士になって、今度は「ただの人」になってしまった。「人生も間違えなければいいが」と四年前に老婆心ながら心配しましたが。。。。。。
そして民主の致命的欠陥は、新しい「何かの間違い」の小沢チルドレンと、旧社会党、民社党、市民運動派との思想的、政治信条の巨大な乖離。とりわけ安全保障、日米同盟への姿勢が鮮明に異なる以上、左翼連中は昔の名前に還りたくなって分派活動を展開する可能性も高い。
日米同盟の空洞化、関係悪化を懸念する声がありますが、日米同盟はとっくにガランドウ。米中G2時代ですから、民主党に言いたいことを言わせるのが刺激となって日米間にも緊張が生まれ、結果的には良いのじゃありませんか。しかしハトに、それだけの蛮勇があればの話です。
個人的に言えば、中川昭一、西村真悟氏の議席喪失は痛恨の極み、戸井田、赤池、萩生田、島村の各氏らも。しかし平沼赳夫、稲田朋美、松原仁、古屋圭司氏らは再任され、城内実、中津川博郷氏らが議席を復活。しっかりした政治家は少数ではあれ、健在なのが救いです。



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(読者の声2)いよいよ鳩山首相誕生の様相ですか。
http://bomanchu.blog81.fc2.com/
 英語ですが、短文ですので、読んでくださいな。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)拝読しました。日本の次期首相になる鳩山という政治家がいかに外交にうぶか、というより無知かをさらけ出していて、アメリカの知日派が不安がるのも無理はありませんね。
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樋泉克夫のコラム

――ミャンマー東北部の《漢族の世界》
 

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 8月に入り、ミャンマー東北部の果敢特別区でミャンマー政府軍と果敢民兵(民兵と報じられるが、果敢民主同盟軍ではなかろうか)との間で軍事衝突が繰り返され、果敢族の1万人以上が難民となって中国側に越境避難。果敢族を華裔(中華民族の末裔)と看做す中国側は難民救済を進める一方、ミャンマー政府に「国境地帯の安全の維持を要求する」と共に事態の進展に懸念を表明したとのことだ。

1988年のクーデター以降、ミャンマー軍事政権は国内の反政府勢力である少数民族に自治を与えることで反政府軍事活動の停止を求めた。
果敢族も、この措置に応じ果敢民主同盟軍なる自衛軍を持つ果敢特別区として一種の自治政府として現在に到っている。

果敢族(Kokangese、或はKokan-Chinese)は自らを明朝最期の皇帝・桂王を護り南下した明朝の遺臣の末裔とする。
清朝体制が確立することで中国には戻れず、現在の地であるサルウィン渓谷周辺に定着せざるをえなかったということだろうが、辺境防備に明朝から派遣されながら前線から離脱して現地化した兵士の末裔も少なくないだろう。

というのも数年前、ミャンマー東北部で中国式の墓を調査した際、その多くに「我が祖先は元は南京の人。辺境防備の為に明朝から派遣され・・・」といった類の碑文が刻まれていたからだ。
彼らは古いタイプの中国語を話すが、実際に現地で彼らにインタビューした経験からして、現在の中国語でも十二分に意思疎通はできる。

つまり彼らは国籍の上ではミャンマー国民だが、漢族ともいえる条件を備えているのだ。果敢族と名乗るわけは、「果断而勇敢」である自らの気質に拠るとも、「果」はシャン語で「九」、「敢」は「ヒト」を表すことから同地区が「九軒の家」から出発したとの伝説に拠るともいわれている。

果敢族は元来は農民だったが、この地が峻厳な山岳と切り立った渓谷に囲まれた天然の要害であり、中国本部とミャンマー中央部、さらに東南アジア、インド、中東、西欧世界を結ぶ交易ルートの要衝であったことで、後には通商ルートを押さえ今日に到っている。
主力産業のアヘン業者の中には、下放先の雲南から越境・定着した元紅衛兵もいるようだ。

ところで果敢特別区の南には、清朝の弾圧を逃れたPanthayと呼ばれる漢族回教徒の末裔が住み、中国語を話す。
その南に位置し、東北部最大の都市であるラシオ(漢字で臘戍と綴る)にはいくつかの漢族系仏教寺院や幼稚園から高校まで2000人規模の生徒を擁する漢族系の学校が数校あり、街では普通に中国語が話されている。

敢えて表現するなら、そこはミャンマー東北部の山中に忽然と出現した漢族の都市といった風情。ラシオから西南にミャンマー第2の都市・マンダレーがある。
その間の直線距離約300キロを走ったが、沿道のレストラン、ガソリンスタンド、土産屋では中国語でなんら不自由なし。

途中でインタビューした何人かの農民まで「我が祖先は雲南出身で・・・」と中国語で話すほど。つまり、この地域はミャンマーとはいうものの、広い意味で《漢族の世界》ということだ。

であればこそ中国の改革・開放以後、中国(雲南)との結びつきを一段と強めた。
俄か成金の中国人用にバーやカジノ建設され、中国からの出稼ぎが労働者が参入し、果ては貧困家庭の子弟が越境し果敢側の学校で学んでいたとしても、なんら不思議はないだろう。
今次衝突の原因が何であり、どのような形で決着するかは目下のところは不明。
だが、このような民族構成の社会が衝突の根底にあるだろうことは間違いなかろう。
《QED》

(ひいずみかつお氏は愛知県立大学教授。このコラムは小誌に独占的に連載されております。いずれ単行本として上梓されるときは改めて紹介します)
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  • 名無しさん2009/08/31

    小泉チルドレンが小沢チルドレンに変わっただけですが自民党は110以上の議席は野党民主党と同じ、稲田氏の様な人材は少ないようですから次回は只の人の可能性は「大」です。それにしてもこのような人に政党助成金を始め年間一億が税金で造られる選挙制度?自前の金と根性で再起した城内氏を見ていると本当の政治家の姿を久しぶりで見た様で政治に希望が持てます。

    「ともみ会」に入ってる稲田朋美さんの当選も嬉しいですが、西村さんを落とした大阪堺には参りました。