国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/08/28



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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)8月29日(土曜日)
         通巻第2695号  (8月28日発行)
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 中国・ミャンマー国境に突如一万人の避難民
   シャン族の居住区から中国系の人々が雲南省の難民キャンプへ
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 年初来、ミャンマー政府は雲南省との国境地帯にいる少数民族を手なつけるための秘密交渉を繰り返し、一部の部族を国軍兵士に取り入れる約束もしたが、結局、あゆみよりは見られず、会談は物別れに終わっていた。

 シャン族の地域にはミャンマー政府軍の突入が予測されるようになった。
 8月7日から12日にかけてコカン地区で軍と住民が対峙し、緊張が走った。コカン地区はミャンマー領内の北方地区では珍しい中国系住民が集団生活をしている。
 そして中国系住民は軍事紛争を恐れ雲南省へ逃げた。しばしこの地へとどまったあと、ふたたびミャンマー領内へ戻ったという面妖な動きがあった。その数およそ一万人という。
 ヤンゴンでは高級マンションもバザールの宝石商も殆どが中国系である。

 同地域はアフガニスタン、パキスタン国境につぐ麻薬地帯でもある。
 西側から制裁をうけても中国の支援があるために軍事政権はびくともせず、厳しい鎖国政策をつづける。国境地帯は実際に政府の支配が及ばない無法地帯、麻薬の取り締まりもままならなかった。
いまミャンマーで何かが始まろうとしているのか。
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西法太郎のコラム
  「法治、法律、弁護士、裁判員制度」


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『月刊日本』9月号の貴論「『遠山の金さん』と裁判員制度」を拝読しました。
「江戸時代までは検非違使の伝統が息づいていた所為か警察、検察、司法が同じ行政機関で行われた。警察が逮捕し、検察が起訴し、裁判所が法に従って結審するという近代の概念はなかった。火つけ強盗改めの長谷川平蔵も然り」、
「だが世の中が変わり「国際化」というアメリカ化が進んだ。外国人の犯罪ばかりか、外国企業との軋轢、特許係争が頻発し、あげくは米国からの強い要求が突きつけられる。日本に弁護士が少ない、と」「この結果、二つの政策が実現した。まずは大学に雨後のタケノコのごとく誕生した法科大学院。そして日本に馴染むかどうか不明な新制度、すなわち裁判員である」、
「ともかく裁判員制度の発足は米国からの圧力が遠因、これに財界の要求が一致し、日弁連が便乗した。奇妙な、面妖な裁判員制度が日本にうまれた」
と論を展じて、米国の陪審員や司法風土と日本の違いを指摘し、一般人を職業判事と一緒に裁判審理に加える本質的な問題点をあぶり出して、次のように結ばれています。 

「米国の陪審員制度といい、今度の日本の裁判員制度といい、これらは民主主義の発展とは相関関係にはない。司法の民主化などという御題目は寝言の部類であり、推進派だったはずの日弁連ですら一部は反対に回っている。」。
制度に中庸は無く、進歩もなく、行ったり来たりするだけとのデイビット・ヒュームの「振り子理論」を想起する結語です。
 
 ところで、発売中の週刊ダイヤモンドが「弁護士大激変!」のタイトルで弁護士業界の特集を打っています。
この中で法科大学院制度の制度設計ミスが指摘されています。少子化に伴う学生減少にそなえて「顧客」である学生を多く、長く大学に滞留させようとして法科大学院を競って設置した商売優先の大学が直接犯です。
しかし形式基準を満たせば、右から左に設置を認める対応をとった文科省が、この乱立を助長した主犯です。この制度に誘い込まれ、人生を絡めとられた学生は、彼らの被害者です。
 
 堤堯氏は『WILL』にここ数回、田中角栄が裁かれたロッキード裁判について書いています。
数々の冤罪事件についても多岐に亘り論じています。
米国側で作成されたコーチャンへの尋問調書について、証拠採用に関する日本の刑事訴訟法の条文が捻じ曲げられ(刑訴法321条の一号書面である日本の裁判官による面前調書としたこと)、あるいはそれを巡る審理にきちんと適用されず(訴訟法上認められる反対尋問が許されなかったこと)、一国の首相に馴染まない刑法罪が適用され(あらゆる「職務権限」を持つ総理大臣に、収賄罪のこの構成要件を当て嵌めたこと)、違法極まる欠陥審理がなされ(日本の検事総長のみなならず最高裁もコーチャンに免責特権を与えたこと)、その背後にアメリカにおもねった日本の国家主権の欠如があったこと、それらを銅鑼鐘を打ち鳴らすごとく痛罵しています。

 三島由紀夫は『暁の寺』の中に次のように書き付けています。
「時として、広大な人間性に、法という規矩を与えることほど、人間の思いついたもっとも不遜な戯れはない・・。犯罪が必要や愚かしさから生まれがちなら、法の基礎をなす習俗もそうだとは云えないだろうか?」
 司法制度とは「人間の思いついたもっとも不遜な戯れ」である、と思いなし、それが裁こうとする犯罪と同じ「愚かしさから生まれがち」との認識には深遠なものがあります。 
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(読者の声1)前号2694号のダライラマ台湾訪問、そうですか、馬英九の人気が失墜中という。矛盾抱えていては、馬脚を現すという良い例ですな。
ところで朝日新聞とつるむNYTが商機を探っているのか、鳩山が政治信条をOPINIONに載せた。
http://www.nytimes.com/2009/08/27/opinion/27iht-edhatoyama.html?
読んでみましたが、よくまあ、自国の国防も憲法改正にも言及せずに、アジア共通通貨などと大言壮語を吐いたと思うよ。夜郎自大も甚だしい。麻生さんは反論するべきだが。この人はグズだからね。
アジア通貨(アジア・ユーロの真似)なんか現実性は%あるの? 東アジア共同体だと?鳩山は中国共産党にでも入党するんですかね。 
  (伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)アジア共通通貨って、共同幻想から発想されてもので、パラノイア政治家と外務省が奇妙につるみ、何を考えたが中曽根が座長になり、あげくにコイズミは数年前の国連でアジア共同体を目指すと正式に演説しています。つまり、これ、日本政府の公式見解なんです。おもえばひどいのをわれわれは代議士に選び、首相にしていたんですねぇ。こんどなるのはそれ以下。
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RUSSIA CHINA RUSSIA CHINA RUSSIA CHINA
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極東ロシア見てある記
ウラジオストック見聞記(2)
                       粕谷 哲夫


ウラジオストック要塞博物館 と ルースキー島要塞

ロシアの要塞技術は世界一だったそうである。
ウラジオストックにはそういう技術に裏付けられたいくつもの要塞が点在している。だからウラジオストックには要塞博物館なるものがある。重要な観光スポットである。

そこには実際に使われた銃砲や弾薬、兵士の軍服・衣装などのほか、要塞内部の模型がある。その模型の要塞は4階建ての地下建造物である。表面は草木で覆われ外部からほとんど察知できない。

まったくの推測だが、北朝鮮の地下工場や地下基地はソ連要塞技術から学んだのではないか? 北朝鮮には韓国ソウルを攻略するための工作員教育のためのソウルの商店街などを模した地下の「街」が造られていると聞いた(?)か 読んだ(?)かしたことがある。まったくソウルに来た蚊と錯覚するほどの精巧な「街づくり」だという。そこでは工作員が話し方や態度で北の人間と察せられないように韓国から拉致してきた店員も配して、工作員の所作すべてで韓国人になりきるための徹底的なシミレーション訓練が行われたという。そのことを知っている北朝鮮人はきわめて限られているようである。もしこれが事実であれば、こういう発想のオリジンもソ連にあるのではないか?

余談ながら北朝鮮の南への地下トンネルは金日成がベトナムから学んだといわれるが、北朝鮮の地下への本能と学習力は侮れない、地下ミサイル装置など今でもその伝統は健在なんだ、などとつまらぬことを考えつつ、要塞構造模型の前で時間のたつのを忘れていた。

要塞博物館の戸外には、対空砲など多数の兵器が展示されている。要塞からは毎日正午には要塞から号砲が放たれるというが、残念ながらそのタイミングではなかった。

先に触れたAPEC2012のルースキー島の要塞は残念ながら訪問できなかった。しかし世の中意外な偶然があるものである。われわれの訪ねた前後にこのルースキー島要塞を訪れて、その写真をネットに公開してくれている方がいた。以下をご覧あれ。

ウラジオストックに残る軍の秘密の要塞廃墟  @カラパイア
2009年8月8日
http://karapaia.livedoor.biz/archives/51475813.html

金日成の地下趣味などと言っている余裕はない。もし日本軍がウラジオストック攻略を試みたとしたら、ルースキー島からの砲撃でたぶん大変な被害を受けたかもしれない。潜水艦の魚雷の数か限られるが、この要塞の弾薬在庫は無尽蔵に近く、消耗戦にはめっぽう強い感じがした。

もうひとつ余談ながら、ルースキー島はほとんど島を二分するような超長い入り江がある。アマゾン川のような入り江である。この入り江の奥に旧ソ連・ロシア海軍艦艇が廃棄されている。その状態をGoogle Earthの映像からダウンロードしているのが以下のサイトである。世の中には殊勝な人がいるものである。ありがたい。

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii

フリーゲート艦、ミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦などが廃棄されたままになっている。鉄くずにしても膨大な量である。
この長い入り江の北側一体が、ルースキー島要塞である。

多くの廃棄された原子力潜水艦の墓場は別のところにあるようだ。Google Earth で探せば見つかるかもしれない。

ウラジオストックのロシア艦隊は別のところを本拠としているようだが、一般市民にはほとんど知らされていない。


ロシアの太陽は「西昇東沈」? ウラジオ時差考

ウラジオストックと日本の時差は夏時間を入れて2時間だと聞いていたので日本の正午はウラジオの10時と思い込んでいた。
硬いことをいうと、地球上の二点でもし時差があれば、西側の地点は東側の地点より時刻は遅れるものである。シカゴはニューヨークより西に位置し、時差が1時間あるというとき、ニューヨークの9:00はシカゴの8:00である、というのがそれまでの常識だった。

が、この常識は大間違い。
東の新潟の9:00は西のウラジオの11:00であった。手帳の時差一覧表を見ると、ウラジオストックだけでなくさらに西に位置するハバロスクも11:00である。これではロシアの太陽は西から昇って、東に沈むのか、頭の時間の回路が混線してしまう。

ただロシアの地域別の時差は、グリニッチを中心に重要なモスクワを軸に考えて東に延長したもので、日本のことなど考慮にいれて設定されたものではないのであろう。やっとのことで思って回路を修復した。

ちなみに東西時差は、アメリカは5時間。ロシアは実にその倍の10時間。広いというよりただただダダッ広い。一国で地球半周に2時間不足!!

時差は自国の領土の広がりの都合でつけるもので、南極点と北極点を結ぶ等間隔の24分割の子午線にあわせて1時間ずつつつけるものではないというごく当たり前のことを極東ロシアは教えてくれた。Thanks ロシア!


中国の過密とロシアの過疎 人口問題

ウラジオストックがロシアの極東という、いうなれば辺境か僻地であるからそうなのか、街の人の数がいかにも少ない。中国の武漢や長沙で見たウンカのごとき人の群れはまったく見当たらない。

いつだったかキッシンジャー(?)が、TVの国際問題の話の中で「ロシア人にとって、中国に対する恐怖の念は小さくない。何せロシアは中国の7分の1程度の人口しかなく、国境線はあまりにも長い・・・」というような話をしていたことを思い出す。これがたいへん重要な発言であることを今回の旅行で身にしみて知ることになる。

中国がその気になれば、圧倒的な人口を持って国境を突破することは決して難しくない・・・こんな仮想は平和を愛する市民には噴飯ものであろうが、ありうる偶然や蓋然性を網羅して、対応するのが国家の基本である。ロシアの国家指導者の頭の中からこのことは離れはしまいい。ロシアにとっての対中国政策は、簡単ではないようだ。

街からそれが実感できるほど、中国と比較して人の数か少ない。
人口密度(人口/平方!))を見てみると、中国/140人、 ロシア/8人  アメリカ/32人、日本/336人となっている。もちろん人間の居住に適さない広大な面積も含まれるので、数字だけで済む話ではないが、それにしても少ない。 中国の140人とロシアの8人ではゲームにもなりにくい。

人口密度が小さいだけでなく、ロシアの総人口は減少して続けているのである。
ロシアの人口は、1992年に1億4870万人近くでピークに達し、その後は減少傾向で推移して、2009年には1億4200人となっている。

ロシア保健・社会発展省国民の健康状態に関する政策文書原案は、現在約1億4500万人の総人口が「60年後には半減する」と衝撃的な予測を打ち出した。プーチンが「このままではロシア人は絶滅の危機に瀕する」と述べたのは2000年のことである。ロシアの最大の脅威は人口の減少とプーチン大統領は認識している。

そして驚くべきことに、ロシア人は寿命が短い。短すぎる!! 
ロシア人男性の寿命はなんと大体59歳(!)(女性より14歳低い)という短さである。

これでは高齢者の福祉や年金という大問題はロシアにはないということになる。冗談とも真面目とも取れるそういう議論が行われていることがわかった。

日本の厚生労働省にはうらやましい冗談話ではあるが、ロシアは後期高齢者の心配が要らない数少ない大国である。

さらにこの人口減少と短寿命の重要な主な原因はウオツカにある!!たかがウオツカ、されどウオツカである!!・・・ことがはっきりしてきた。この場合アルコールとはビールのことでもワインのことでもない。ウオツカのことである!!

最近の研究(The Lancet (June 27, 2009)の論文)では「ロシア成人の早期の死亡の半分以上の原因はアルコールである」と断定している。いままで誰もが感づいていたことを実証したかたちである。
とくに15〜54歳の男性の全死亡の半分以上は過剰飲酒が引き起こしている。西洋諸国とロシアの死亡率の大きな差はすぐれて過剰飲酒にある。タバコもあるがそれは後述する。

男性の死亡原因のうち、暴力・事故(6倍)、アルコール中毒(20倍)、アルコール関連の疾病(肝臓がん、上部消化管及び気道がん、肝疾患、膵疾患、結核、肺炎等)(4〜5倍)などがアルコールの過剰飲酒によるもとされる。また1990-2001年の15―54歳の男性の死亡の59%、女性の死亡の33%は、アルコールに起因すると推計している。アルコールの過剰飲酒とはウオツカの過剰飲酒とほぼ同義語だ。

またロシアには結核が多く、年間2万4000人(米国の40倍)の人がこれで死んでいる。これはウオツカもあろうが、ロシアの公衆衛生レベルにかかわるのではないかと思うが・・・。
ロシアの人口減少の原因には、アルコール過剰飲酒のほかエイズ、自殺、殺人、麻薬中毒、若年の行方不明、乳児死亡、幼児の外国への養子縁組など多様であるが、いずれ国際比較において大きな数字のようである。いずれもロシアの闇を連想させるものである。

人口と寿命について中国とロシアの比較はたいへん有益と思う。本来本格的な研究者が取り組むべき、きわめて重要な国際政治にかかわる問題ではなかろうか、とすら思う。

中国の公園では早朝から、体操や太極拳や剣舞などをやる人たちで賑わっている。女性コーラスのグループも各地で見た。モスクは行ったことが無いが、少なくともウラジオストックではこういう健康的なことは無い。

中国は古来、東洋医学のメッカである。2千年、3千年の積み重ねがある。整体、気功、指圧、針灸、按摩、経絡、漢方薬、食養生、陰陽五行、気血水など、漢方は理論も実践も充実している。

またそれに基づく圧倒的な健康文化が末端まで普及している。人民の健康意識は高い。また不老長寿という考え方も中国的なものであろう。北朝鮮には金日成・金正日のための不老長寿研究所(?)という研究機関がありここに在日の医者が絡んでいることがいつか話題になったことがあったが、これは中国から学んだものでスターリンから学んだものではないと思う。金日成もうまく使い分けている。息子の金正日国防委員長はロシアの平均寿命はクリアしたが、健康問題についてはロシア系である。

中国には風水がるが、ロシアにはその種のものがあるのだろうか?と思ったりする。
清の乾隆帝は、貝原益軒の「養生訓」のような書物を遺している(そのパンフレットを5月に承徳でもらってきたがいま手元に見当たらず残念)。

乾隆帝自身食餌、運動、刺激、休養など今のスポーツジム顔負けの健康管理を実践し、88歳の長寿を全うしている。そこで言われていることはほとんど今のものと変わらない。大事な部位の健康維持についても記されている。眼の健康や視力の維持のこともあったと思う。

乾隆帝は健康オタクのようにジムで体操だけしていたのではなく、いまのミヤンマやタイやウィグルなど合計10回も遠征し版図を広げた。「十全武功」といわれる所以だが、自らを「十全老人」と称したとされる。

こういう話は果たしてロマノフ王朝にあるのだろうか?
いまのプーチンはロシア史上初の肉体美学を持った指導者なのかもしれない。飛躍しすぎるが、プーチンは三島由紀夫と通ずるものがあるように思う。そこまで行くと、さらに飛躍して、ウラジオストックの鷲の巣丘展望台で出会った、「ロシアのサムライ」3人に触れないわけには行かない(後で触れる)。

はたたしてロシアにはロシア的健康法があるのだろうか?「ロシア人はウォッカ以外の全ての飲食物を絶つ、(ウォッカを絶ったら死ぬ)」が彼らの健康法だとどこかに書いてあった。これは冗談とはいえないくらい真実味がある。メドベージェフ大統領はこの8月12日に、国民の飲酒量を減らす対策が功を奏していないことに業を煮やし、アルコールの過剰摂取は「国レベルの惨事」だと強調した。ロシア人の飲酒量が純アルコールにして1人当たり年間18リットルという公式データにショックを受け、彼は「信じられない量だ」と話した。また、「1世紀も続いてきた問題を、1夜で解決することはできない」との見解を示した。 (ロイターから一部引用)

ロシア人のアルコール摂取は、大統領自身が2週間前に「1世紀も続いてきて、1夜で解決することはできない、国レベルの惨事」 と明言しているのである。


人口減少でそれでなくても過疎の極東ロシアはどうなるのだろうか?
いま考えられることは、チャイニーズとコリアンの労働人口の受け入れ。アルコールと縁のないイスラム系移住民を活かすこと。タバコとウオツカをある程度規制することなどが考えられるが、いずれも難題である。

(ロシアに少子化対策がないわけではない。通称「出産・育児手当増額法」と「母親資本法」が3年ほど前にできている。要するに「子育て支援法」であるが、公平のためにその存在を付け加えておく)

イスラム系住民の移住促進といえば、佐藤優+宮崎学 『国家の崩壊』 に、面白いことが書いているので引用しておこう。

「母性英雄」 人口政策で膨張したイスラムの台頭
 ソビエトでは、ロシア人の人口を増やすために「母性英雄」という制度を作ったのです。女性が子供を10人産むと母性英雄になれる。そうなると、いっさい行列に並ばなくていいし、閣僚級の高額な児童手当をくれる。それで、御殿に住めるんです。この制度によってロシア人の人口を増やそうとしたんです。
 ところが、実際には、ロシア人の中からは母性英雄がほとんど出てこないで、中央アジアのイスラム、ウズベクとかキルギスとかそっちの方ばかりから出てくる。同じソビエト国民だということにしてるんで、差別するわけにはいかない。それで、イスラムの人口がどんどん増えて、ロシアの人口はむしろ相対的には減少するというはめになってしまった。有名なソ連研究家のカレール・ダンコースが当時の人口動向を分析して、「このままだと21世紀の前半ぐらいに、ムスリム人口と非ムスリム人口が逆転する」という試算をしました。それは実際に冷酷な現実だったんです。

ソ連崩壊後、イスラム教徒の人口は増加している。ロシア正教徒とイスラム教徒の比率は全ロシアで7千500万 対 2千300万。しかしこの比率は将来逆転しないとも限らない。たいへんな事態である。ロシア正教を基本とする国家の維持が重大課題のようだ。ロシアの国体にかかわる大問題である。ここに「ロシアの国体」、「ロシアをロシアたらしめる何か」は亀山郁夫さんや佐藤優さんに語ってもらわねばならないが、モスレム人口比率が逆転勝利すれば、ロシアはもはやロシアでなくなるのか?

ロシアとウオツカの関係は百の議論より、佐藤優『自壊する帝国』(新潮社)に任せるのが良い。佐藤優さんの肉体は通算で一体何トンのウオツカを飲み込んだのであろうか? 大量の高頻度飲酒に耐える解毒機能には驚嘆するほかない。

ロシアには酒(=ウオツカ)のほかにもうひとつ大きなタバコの問題がある。ロシアは喫煙率で世界のトップである。ロシア医療科学アカデミーが今年5月に公表したデータでは、ロシアでは男性の73%、そして女性の30%が愛煙家だそうだ(得られる情報のほとんどが、喫煙率:男60%、女15%となっていたが、最近のデータは急増を示している.特に女性の喫煙率の急増は目を見張るばかりである)。街で目に入ったところでは若い女性は50%以上、そして街には喫煙する子供が結構いるのにも驚く。ロシアの12歳〜16歳の少年・少女で36%(男:41%、女:30%)が常習的な喫煙者であるという。これはロシア未成年禁煙協会という団体の最近の調査結果である。素人の観察も案外正しかった。

それでもロシア国会は今年「タバコ枠組み条約」批准を満場一致で可決している。これはロシア下院のボルゾヴァ保健委員長の 「毎日1千人ものロシア人がタバコを原因とする病気で早死にして行くのだ」 という脅迫的な発言が決め手となったように思う。タバコと健康の関係についてロシア人の認識は著しく低いからだ。「毎日1千人も早死に」と聞いて下院議員たちもさぞびっくりしたことであろう。

わがJTは国内のタバコ需要の急速な減少に対処して、この喫煙大国・ロシアの市場に目をつけて活路を見出そうとしているようだ。

ウオツカ、短寿命、人口減、イスラム教徒、ロシアの危機は絡み合っている。諸悪の根源はウオツカにあり!! ウオツカまことに難儀な酒である。

ウラジオストックのレストランで見た2人の女性の一人は、ほとんど何も食べずに、話に熱中しながらも1時間の程度の時間でデカンタのウオツカを2本空けていた。400CCぐらいは行っているのではないか。普通のOL風の女性である。


公衆トイレ

かつて「モスクワからサンクト・ペテルブルグへの列車のトイレの汚さには参った」という話を聞いたことがある。これがトラウマとなってロシアへの関心は急速にしぼんでしまった。ロシア行きが遅れた一因でもある。

今回も心配していたが、それは杞憂であった。列車ではないが、便所は ほぼ日本並みにきれいで、ロシアは昔のソ連ではない・・・と思った。その矢先、ウラジオからナホトカへ行く高速道路(?)のレスト・エリアの公衆便所で見たものは、この世のものとは思われない、筆舌に尽くしがたい汚さであった。やむを得ず便所の外の草むらで放尿しさっぱりした。

ナホトカ(太平洋)駅のトイレも勝るとも劣らない(?)惨状。ナホトカ駅のトイレは構内にはなく、100米ぐらい離れた場所に独立した建物として便所がある。ここもひどい。ハエは群がり、汚物で足の踏み場もない。こんな便所に入ってホテルに直に帰ってきたらどうなるのか?

間違って女性のトイレに入った某氏は「女性のほうはそれほど汚くはなかったよ」と。
信じない人も多かろうと写真に残したが、食前食後には見ることのできない、トンデモ写真である。
中国は汚くても水で流すフロー型だが、ロシアは長期間ほったらかしのストック型である。いったいいつ誰が掃除をするのであろうか。
あんなところで用を足してそのまま帰宅したらどうなるのだろう。

ナホトカ駅では珍しいものを見た。コインロッカーである。日本のコイン特化や銭湯の衣類入れは合鍵で開ける構造だが、ナホトカのものは金庫のように番号を会わせて開くものである。かなりの時代ものであったが、あれでは番号を忘れたときどうなるのか心配になるが、ロシア人は言うであろう、「合鍵を失くしたらどうするの?」と。

同行のK.U. さんは個人認証問題の権威だけにこのロッカーには並々ならぬ興味を示した。


日露戦争 より 大祖国戦争

今回のガイドは 日本時代に樺太に送られた朝鮮人の三世で、ウラジオストック極東大学日本語学科卒業。

このガイドが 「日露戦争はロシアにとってはマイナーな戦争で、ロシアでは戦争といえば ヒットラー相手の大祖国戦争(独ソ戦)である」といった (「祖国戦争」というのは、ロシアがフランスのナポレオン1世を破った戦争をいうらしい。ヒットラー相手は「大」がつく)。大祖国戦争でのロシア軍の死亡者数は1500万〜2000万人であるといわれる。日露戦争では11万5千と比較にならない。

戦死者の数からいえばそのとおりであろう。しかし日露戦争の世界史的意義を軽視された高山正之さんは我慢ならない様子で日露戦争の世界史的意義をガイドに説いていた。しかしガイドは大祖国戦争で歴史観は固まっている様子で、反論こそしないが、望ましい反応は返ってこない。高山さんの豪腕でも手に負えない。教育とは恐ろしいものである。

 ただ日露戦争はマイナーな戦争であっとロシアがいうのであれば、それだけでも結構ではないか。ロシアには中国のような執拗な反日教育の芽はない。負けた戦争を蒸し返して恥をさらすより、勝利した大祖国戦争の勝利を自賛するほうが、人心掌握、国威発揚には有効だということだろう。また日本に対しては、1945年の日ソ条約の違反とそれに続く、日本人将兵60万人のシベリアへの連行と抑留、強制労働・・・・の暴挙の負い目がロシアにはある。北方領土問題以外にはトゲはない。

「日本が先の戦争に勝っていたらあなたの運命もまったく違うものになっていただろうに・・・」とあまり意味のないことをこのガイドに言った。彼は、「私はいまを受け入れるだけで、何もない。過去をとやかく言う気はまったくない、そんなことは考えもしない」。「韓国や北朝鮮に行ってみたくはないか?」「韓国にも朝鮮にもいってみたいとは思わない・・・」という。彼は日本に来たことがあるという。金閣寺を見たという。
(続く)
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(休刊のお知らせ)小誌は9月1日―7日、海外取材のため休刊となります。
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  • 名無しさん2009/08/29

    日本は平均すれば世界一良い国なのですがそれを政治家・マスコミがしらい事は不幸なことです「自分第一」「自分の生活第一」ですから選ぶ方も選びようが有りません。

    政党助成金で政治家を乱造する、テレビに出てちゃんばらをする代議士が当選する挙句の果てが「売国」とな何かも知らない議員が大量生産、幾ら機械化が進んだ日本と言えどもキャディ・モーテルで遊んでいた人・エイズが治った人・アメリカの弁護士資格で日本の弁護士から政治屋の成る・テレビに出ていれば政治家への早い道?これが日本の現状ですが、特にアメリカ留学組が日本の歴史も知らないで200年そこらの野蛮国の法律や制度を日本に当てはめる、軍備が無いから唯々諾々と要求に迎合するのはいい加減に勘弁願いたい。

    核を持てないなら人工衛星でもドンドン上げて核を人工衛星で撃った奴に誘導するぐらいの事は夢だろうと考えてみる事位は只、原爆の設計図は出来た、コンピューター実験も終了した、日本の防衛費を2%に上げると口で言うだけで日本は世界で大きな発言権を得ることが出来る。