国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/08/18


<臨時増刊号>
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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)8月18日(火曜日)
         通巻第2686号  
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(目次)
書評 河内孝『血の政治』(新潮新書)
「読者の声」特集
樋泉克夫のコラム

(本号はニュース解説がありません。夏期休暇中につき臨時増刊です)
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●◎ブックレビュー◎●BOOK REVIEW◎●書評◎●ブックレビュー◎●
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 三島由紀夫は青嵐会にどのような思想力をもたらしたか?
    改憲を誓って血判という衝撃、永田町の暴れん坊たちの軌跡を描く


 河内孝『血の政治 青嵐会という物語』(新潮新書)
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 河内氏はベストセラー『新聞社 破綻したビジネスモデル』の著者として知られるが、もともとは新聞記者出身。「毎日新聞」中部本社代表の前はワシントン支局長、じつはその前は政治部記者。そして青嵐会の担当だった。毎日夜討ち朝駆けで中川一郎や渡部美智雄、石原慎太郎、浜田幸一各代議士のオフィス、自宅、議員宿舎へ通った。
青嵐会の例会での秘話が夥しく出てくる。えっ、と唸るような秘話が何気なく挿入されている。現場で目撃しないと分からない挿話が夥しい。

ともかくあの時代の政治家には、いまの小泉チルドレンとか、小沢チルドレンなどが持たない、というより現代日本人から失われた「何か」が確実にあった。
 小泉のカイカクとか、ハト某の「友愛」とか、たわけた科白の前に、改憲に血判をして命がけで田中政治の巨悪と闘った野武士集団がいたのだ。
 中川一郎、浜田幸一、渡部美智雄、石原慎太郎、中尾栄一、藤尾正行、玉置和郎、中山正輝等々。

河内氏はこう書く。
「あらためて青嵐会の主張や行動を跡づけてみると、それらが今日的な政治テーマと幾重にも重なっている」、「血判による衝撃的な誕生、そして気がつくと、真夏の通り雨のように消え去っていた青嵐会。六年足らずの活動が派手だっただけに、その幕切れは、意外なほどあっけなかった。昔から政界に議員グループは数多くあったし、いまもある。しかし自らを『行動集団』と称し、名に恥じず、というより、名前の方が恥じ入るほど暴れ回ったのは青嵐会」だった。

彼らは「何時でも口角泡を飛ばし、胸ぐらをつかみ合い、灰皿や瓶を投げつけ、野蛮な極右とメディアに酷評された。70年代半ば、戦後政治史上未曾有の熱さと厚かましさで一躍脚光を浴びた政治集団『青嵐会』。いま、政治に求められている{なにか}が彼らにはあった。太く、短く、謎多きその奇跡」を本書は雄渾な筆致で描く。

評者(宮崎)にとっても、これら個性溢れる人々との交流を昨日のように思い出す。夢があった。改憲の志に深く共鳴できた。『青嵐』命名の由来を尋ね、石原慎太郎氏に青嵐会の詩を書いて貰ったこともあった。
暴れん坊? 政治は暴れるのが本質である。
 河内氏は、その青嵐会中核メンバーの交遊を通して時代的役割を追求するとともに、当時の交友関係のみならず、いまや「青嵐会の世襲議員」が十一人もいて、その息子たちを訪ね歩き、思い出や貴重な資料を集めるほどの思い入れと執念がある。底辺に漂うのは、かれらへの哀惜である。
いきなり青嵐会出生の秘密に迫り、血判への経緯をたどるが、血判状の実物の写真まで登場する。原簿は見たことがなかった。誰が保管していたのだろう?

じつは評者も雑誌編集者時代に青嵐会のメンバー全員にインタビューして『青嵐会』『続・青嵐会』の2冊を上梓したうえ、多くの文化人を発起人に頼んでの、「青嵐会を励ます会」も組織し、武道館の国民集会でも裏方を務めた。評者の息子は中川一郎氏が名付け親となった。それゆえ三島事件のあとの数年間は、青嵐会に大きな期待を寄せたのは事実であり、代議士連中ばかりか、その秘書軍団とも酒を酌み交わし、交遊した。選挙応援にも新潟、鹿児島、千葉などへ行った。北海道には三回ほど行った。本書にも、評者の談話や拙著からの引用など数カ所あって、当時の思い入れが行間からわき出してくるようだった。
そして「真夏の通り雨のように」、青嵐会は消え去り、中川一郎は自裁した。中川派は衣替えして「石原派」となり、やがて清和会に吸収され、代が変わり、永田町で改憲をいう正気の政治家は数えるほどとなった。精神よりカネ、自立を忘れ、他国に依拠し、歴史を自ら破壊し、魂がガランドウになった日本の政治へのアンチテーゼだった青嵐会。その行動の軌跡を懐かしむだけでは済まされない。
いや、忘却の彼方にあった、この野武士集団の軌跡を蘇生させて政治の本義の再考を促すという意味でも本書の意義は深いものがある。日本の政治史において一定の役割を果たした青嵐会を、これまで本格的に研究した書物がなかっただけに本書は同時に第一級の史料たりうる。

おりからの総選挙、本書をよむと「なぜ、いまの日本の政治家は物足りないのか」が納得できる。
また本書の重要箇所は三島由紀夫が青嵐会にあたえた間接的ながらも、その思想的影響力を、時系列に考察しているユニークな場面である。

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(蛇足ですが、本書は地方によっては20日発売のところがあります)
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(読者の声1) NHKも八月は日本軍の悪口とアラ捜しに明け暮れます。よっぽど暇なのでしょうか?
天下を変貌させるであろう選挙は議論など聞いた事も聞く番組もなし、酒井が麻薬を吸った話で大の男がカメラをぶら下げて待機している姿を見ると実に平和バカの日本?
何を考えているのでしょう? と宮崎先生と石平さんの『絶望の大国、中国の真実』(ワック新書)を買ってきて読んで居ます。
ほかにする事がないほど空虚な平和日本。
昨日も息子の友人の警部が息子達の夏休み帰国に遊びに来てくれ、中国の人の扱い難さをこぼして居ました。
日本人と同じ扱いをする訳ですから聞く耳がないと言っていましたので、宮崎先生の本を常時読んでおけと言いましたら「読んでいる」が「まだ上がいる」などと嘆いて居ました。
日清戦争後は中国人が日本を学びに沢山来ましたが、今は観光目当て? 逃走目当て?
区別が付かない上に素直なのがいないので苦労するそうです。
   (X生)


(宮崎正弘のコメント)そうです、「素直なのがいない」。まさに同感です。



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(読者の声2)カナダは八月も半ばになると秋の足音が聞こえてきますが日本はまだまさに盛夏の真っ只中と想像します。そんな中変わらぬ鋭い切り口でのメルマガ配信ありがとうございます。
さて2684号「読者の声1」にあるように一般の人々もロン・ポール(Ron Paul)下院議員らの主張に耳を傾け始めたのは間違いありません。
脈々とオーストリア学派の伝統を絶やすことのないミーゼスインスティチュート(Ludwig von Mises Institute)のトーマス・ウッド(Thomas Wood)上級研究員の書『メルトダウン(Meltdown)』(2009Regnery Publishing)は、ロン・ポール議員が序文を書きニューヨークタイムス紙のベストセラーに入っています。
オーストリア学派らしく銀行準備金制度が生み出す虚の価値しかもたない貨幣と労働成果の蓄積としての真の貨幣の差をわかり易く解説しています。
また虚の貨幣創造の総本山である連邦準備委員会(Federal Reserve Board)やその取巻き学者を厳しく批判します。同書の中では日本の金融財政政策も最悪の政策例として説明されています。
『日本は不況に対する処方箋としてはオーストリア学派が『やってはいけない政策』と定義した政策を悉く採用した。ポール・クルーグマンのようなケインジアンらが勧めるやりかたを何から何まで採用したのだ。その結果として15年も長きにわたって不況に喘いでいる。(にもかかわらず)ケインジアンはこの日本が採った(誤った)政策をアメリカも実施しろと言うのだ。』(上掲書P84)。
中央銀行の存在をアプリオリに捉えていると判り難いのですが、1800年代のアメリカには中央銀行に貨幣発行メカニズムをコントロールさせる事を警戒する良識がありました。
第7代アンドリュー・ジャクソン大統領は合衆国銀行(中央銀行)免許の更新を認めず政府資金も合衆国銀行からさっさと州の銀行(State Banks)に移しています。
 国際金融資本人脈にがっちり抑えられているFRB。世界金融制度が彼らの作り上げた枠組みで構築されてしまった現状ではロン・ポール議員は今後とも異端児扱いされ続けるでしょう。
しかし少数ではありながら同議員らの主張を理解し、それを支持する人々は確実に増えています。
  (在カナダ SW生)



(宮崎正弘のコメント)なるほど! ところで涼しいカナダとは羨ましいですね。小生も初旬には涼しい、というより晩秋を感じさせたウラジオストックとナホトカにおりましたが。。。。。。



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(読者の声3)いつも刮目して貴メルマガを愛読いたしております。
下記の記事を見つけたので、紹介いたします。
http://www.kudakajima.jp/index.img/koyou.pdf
 内容は、沖縄人発祥の地と呼ばれ、現在も独特の伝統文化を護持されている沖縄県久高島における失業対策事業としての「島おこし」の人材募集です。
九州では学生運動崩壊後、予備校教師等になって将来の有為の人材を洗脳する細胞となった他に、後継者のいない林業に潜在して活動を蔓延らせた者達が現在もなほ存在していることはよく知られています。
こうした不祥事が沖縄の豊かな伝統文化の破壊を招くことのないよう、有為な人材が彼の島に根付かれることが重要に思われてなりません。
地方の伝統文化の中で暮らしている方々の良識は、混迷する日本の復活の礎です。
しかしもしも放置され滅びるか、悪意の改造に曝されるならば、魂の還るべき拠を失うほかありません。
 これからの保守思想は、地方で生(活)きていくことの課題について、どのように向き合うことになるのでしょうか?
問題提起を兼ねまして、宮崎先生の御見解を承りたく。
(熊本護国生)


(宮崎正弘のコメント)熊本と言えば保守思想の源流の地のひとつでもあり、神風連、肥後勤王党、横井小南、徳富蘇峰と脈々と保守思想の継続がある。
 沖縄はしかしながら、本土と歴史意識が異なり、江戸時代にシナにも朝貢していたし、島津の配下にも二重に入っていました。輻輳した複雑怪奇のナショナリズム、沖縄独立運動は下火とはいえ、ばっさりと保守ではないという意味で切り捨てることも出来ない。
 さてご質問の本義は地方での活動ですが、保守の思想は都会より地方からおこるのでは? 江戸が腐臭をも含む、繚乱たる文化を競う頃、吉田松陰も水戸学も会津の尊王論も、地方から輩出したように。



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(読者の声4)名著を紹介したく思います。
『鉄血』 陸軍中尉 猪熊敬一郎著。
 「敗走千里」と同じく戦争文学全集第7巻に収められていたもので、第一連隊に所属する著者が高崎第十五連隊と交代で旅順攻略戦〜奉天会戦に臨んだ時の記録です。単行本は明治44年に出ているようです。
 明治36年 士官学校卒業、37年3月6日 動員令が下る。
3月19日午前6時東京を発ち広島に到着したのは22日。当時は東京〜広島で3日もかかっていたのですね。整列乗車の始まりが軍隊を速やかに移動させるためという話しを思い出しました。
 熱狂的な見送りの様子は、「列車の中には市民より贈られたる、ビール、正宗、葡萄酒の類積んで山の如く、流石に健啖を以て誇る吾等もただ唖然として自失するばかりであった。」
「吾らの列車の過ぐる所、老となく、幼となく、一斉に四方より寄せ来り、双手を挙げて万歳を絶叫し、吾らの着せる停車場毎に、紳士貴婦人女学生等熱誠を籠めて歓待し、或いは、ピアノを弾じて旅情を慰め、或いは歌句の応酬をなし、記念帖に揮毫を求め、盃を勧めなどして、寝食を忘るる許りである。」
とあります。

 4月22日乗船、5月7日上陸、5月25日南山攻撃、激戦の様子は以下のごとく。
「歩兵第一連隊の如きは、軍旗を先頭に押し立てて南山東北角に突撃したが旗手先ず斃れ、続いてこれに代わりたるもの二人まで傷き、軍旗は竿を打折られ、連隊長傷き副官また斃るるに至った。」「雷の如き喊声の中に遮二無二突進して鉄条網の線に達すれば、これに触れて傷くもの算なく、伏死累々として忽ちに堆きに至った。累々たる伏死を越えて進むとは偽りではない。」
 
8月22日からの鉢巻山守備では、山の半面は皆墓地となり、炎天下で腐敗した死体から出る脂が幕舎の中まで流れ込む始末。
「此の臭く、汚き墓穴同様の幕舎に、烈日に頭を蒸されつつ、敵や来ると待って居る時の心、とても言葉に現し得るものでない。」
「29日からは後方から飯を炊いて送らるることとなったが、夜暗を利用して運搬することとて二日分一度に送る為め、翌日に至れば腐敗して鼻持ちならぬ臭気を発し、加うるに死体より生ずる蒼蠅は幾匹となく此の飯器に出入するのであった。驚くべきことには、人間であるという観念は日に日に薄らいでしまって、どうも人間である心地がせず、人をも我をもただ国家の為に漸次消耗してゆく物品の様に思惟するに至った。」

 爾霊山攻撃では観戦外国武官が「これ戦闘に非ず彼我の虐殺なり」というほどの消耗戦。補充兵のなかには海鼠山で負傷し、わずか二ヶ月でまたもや海鼠山に戻るものも。
「ああ我が軍兵既に尽きたるかと、余は天を仰いで嘆じ、潜かに寒心せざるを得なかった。而して彼等忠勇なる補充兵は嘲笑して曰く、将校は一たび負傷すれば復た戦地に来ない。しかし我等は命のある限りは十遍でも二十遍でも帰るのだと。」
「余の連隊の如きは旅順は愚かのこと奉天の陥落に至るまで、一度負傷した将校は遂に帰って来なかった。」
この頃からすでに士官学校卒のエリート達は要領がよかったようです。

 司馬遼太郎が酷評する白襷隊については次のように書かれています。
「旅順開城後、ステッセル将軍の言によれば、白襷隊の夜襲も真先に進んだ一将校の様に勇敢なるもの許りであったならば必ず成功したであろう。」
「当時第三軍の多くは補充兵で、戦闘の経験ある者少く甚だ心細い有様であったのに反し?敵は南山以来幾回となく、戦場を往来した精兵で一騎当千とも謂うべきであった。経験少なき新来の兵、左右なく敵をたいらげることは固より困難であった。」

 ロシア軍については美事として、日本軍の斥候三名が行方不明になった件について記しています。
「聞けば此の三名の死体は、露軍において親切にも白玉山麓の共同墓地まで運搬して茲に埋葬し、後日何人の死体なるかを知らしむる為め、其の墓上に三人の認識票を載せて置いたのであった。かくの如き丁寧なる埋葬をなし、其の認識票まで懸けて置いて呉れるとは真に感謝すべきことではないか。露軍は戦いには敗けたと雖しかも我軍にとっては真に好敵手であった。」
第二次大戦のソ連兵とはまったく違います。

 戦塵余談など現地の風俗についての記述がまた面白い。
五月に宿営した際、便意を催し外へ出ると真っ黒な人間がいる。用を済ませてよく見ると露兵の黒焼きになった遺骸が立っている。支那人の所為で露兵を憎むの余りこの暴挙に出たものであろうが、未開の民の平然として蛮行を行うには驚くの外はない、と民衆の未開ぶりに驚き、支那料理では儒者の料理が粟の粥、ゆで卵、豚肉とニンニクを細かく刻んだ饅頭しかないのに対し、大阪にまで支店を持つという豪商のご馳走は出るもの皆美味、十皿ばかり平らげ忽ち満腹し、四十種あまりの料理を半分も味わうことができなかった、とあります。

他にも、
 「露軍の散兵壕内にはトランプが散乱し、退却した跡には必ず至る所に大便をしておくには驚くの外はない。『糞でも食らえ』という考えでいたのだろう。」
 「満洲犬は日本の犬と比較して大分違う。日本の犬は脱糞した後ではきっと後脚で砂を掛けておくが、満洲の犬は垂れ放しである。日本の犬は途中で逢えば必ず格闘を始めるが、満洲犬は悠々と互いに唸り合っている。唸り合うのみでなかなか噛み合わない。流石は支那の犬だけ不潔も悠長もよく主人に似ている。」
 「郊外を散歩すると時々児童の死体が路傍に捨ててある。残酷といえば余りに残酷の仕打に何故こんな真似をするのだと土人に聞くと未だ七歳ならずして死する者は不孝の大なるもので、祖先の墓域に埋めることはできない。野犬の腹に入って始めて罪障消滅するのだという。なんという迷信であろう。」

 「この付近では馬賊の兇暴素より甚しいので、馬賊と見れば直ちに死刑に処するのであるが、彼等馬賊は一たび縛に就くや些の悪びれたる様なく、潔く首を延ばし従容として一刀の下に死に行く様、流石は剽悍無頼、人を人とも思わぬ奴等だけある。しかも此の斬首の際に眼を縛さず、自若として動かない囚徒の肝っ玉は驚くべきで茲に至れば支那人と雖も中々馬鹿には出来ぬ。」
 戦争が終り招魂祭のあとの各隊競争で献納した余興では、盆踊り、三味、太鼓、笛に長唄、相撲と大賑わい。
「転じて園遊会場に入れば雀の焼鳥あり、汁粉屋あり、寿司屋あり、或いは支那美人、海老茶袴の女学生、茶屋女風の別嬪など、頻りにお酌をして呉れるに、はて不思議とよく見れば何れも兵卒の仮装、道理で大きな手だったと思うも滑稽である。」 
仮装・女装は宴会にはつきもので100年前から変わりませんね。

 「一月十五日、久しく滞在した騎馬其勾を出発し、いよいよ凱旋の途に上ることとなった。土人ら涕泣して余等を送って曰うよう、大人去るの後は直に馬賊に苦しめられるのだと。ああ前途には我等を迎うる幸福の民がある。後には我等を送る不孝の民がある。此の憐れなる民の明日からの身の上を思えば流石に別離の悲しみなきを得なかった。」
 支那事変のときも日本軍の占領地域はおおむね治安が保たれ、イラクに派遣された自衛隊部隊も戦前の中国での宣撫活動を参考にしたほど。
731部隊にしても防疫給水が主任務、日本軍が助けた中国人の写真が人体実験とされたり、満洲の警察に首を切られる馬賊の写真が日本軍のせいにされたりプロパガンダはひどいものです。
まもなく選挙ですが、民主党が政権をとったらまたまた叩頭外交が始まるのでしょうか。
   (PB生)


(宮崎正弘のコメント)当該書、学生時代に読んだ記憶が漠然とありますね。要所要所のご紹介、ありがとう御座いました。



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(読者の声5) 貴誌2684号にでた(上橋泉、柏市)様への意見ですが、終身雇用制のよさは、技術の伝承にあると思います。組織としてのマネジメントだけを考えれば、この制度は硬直した制度としかみれないかもしれませんが、技術立国日本の明日を考えると、今の制度で先輩から後輩への技術の伝達がうまくいっているのかというのが不安でたまりません。
 私は営業系でしたが、会社の能力主義への変更で嫌気が差し、早期退職をして別の人生を歩んでいますが、私以外のたくさんの有能な人材が退職し、残ったのはただの茶坊主ばかりのように見えます。
営業系でも人脈、ノウハウ、目配り心配りなど、苦情に対する対処方法など見えない技術がたくさんあります。これが本来のものづくりだとどれだけ職人さんの細やかな数値に表れない技術が失われるかと考えると末恐ろしくなります。
 終身雇用制の中の安定した身分の中で思いっきり自分のやりたい研究や技術を磨くことが日本の高度成長を支えてきたのではないでしょうか?
 どんなに素晴らしい研究者がいても、一人では製品化まではこぎつけることは出来ず、かならずチーム力で達成できるのです。

 これが日本のユニークさだと思うし、強さだと思います。
 一人一人の熱い会社への忠誠心が素晴らしい会社にしていると思うし、又一人一人の熱い日本国への忠誠心が素晴らしい国にするのではないでしょうか?
 一人で出来ることは、たかが知れています。チームでそれぞれの役割をきちっと演じることが出来るから大きな事が成し遂げられてきたのではないでしょうか?
 私は、グローバルスタンダード(アメリカンスタンダード)という概念を咀嚼して、終身雇用を前提とした新日本式雇用体制を作り上げるのが、今後、日本が大国として生き残る唯一の方法だと思います。
   (MI生、福岡)


(宮崎正弘のコメント)そのチームワークがだんだん不得手になった日本人。とくに現在の若者たちは所属する企業への忠誠心、最初からなく、すぐに会社を変わる。愛情も持続しない。あきっぽい。
 協調性がない、会社のコンパを嫌う。チームワークへの協力姿勢が希薄だ。すさんだ完成の「新・日本人」が激増しています。嘆かわしきかな。
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樋泉克夫のコラム

――「中国」は健在・・・なり
愛国主義教育基地探訪(22)
 

 ▽
 平成19(2007)年4月末、愛国主義教育基地探訪に向うべく朝の成田を発ち北京へ。
機内から空港ロビーに移ると、どこからともなく漂ってくるアンモニア臭。その先はトイレ。
「これぞ中国」を実感した瞬間である。
遠方に見えるは銀色の屋根を持つガラス張りの巨大な建造物。1年4ヶ月後に逼った北京オリンピックに向けて建設中の新ターミナルだ。
 
空港ターミナルの外に出る。先ず目に飛び込んできたのがゴミ箱を漁っていた数人。地方から北京に出稼ぎにやってきたものの仕事にあぶれた農民工だろうか。
ゴミの中からアルミの空き缶をより分け、手にしたビニール袋に入れている。目を転ずると、遠方には「為安全投資是最大幸福」と書かれた巨大な看板。安全な投資こそが最大の幸福といいたいのだろうが、看板の主は「他社はともかく、わが社は安全」と射幸心を煽る証券会社なのか。

それとも横行する怪しげな投資ビジネスに手を焼く政府による“注意喚起”なのか。看板の手前のビルが視界を遮り、広告主の名前が読めない。
いずれにせよ空港を一歩出た瞬間に目にした光景からだけでも、日本で日常的に伝えられていた「オリンピック景気に沸く北京」とは一味も二味も違った北京の姿を垣間見たように思えた。 

空港を離れる。
オリンピック関連工事の影響で片側3車線が1車線に変更され、さらに車という車が車線変更へっちゃらで先を急ぐので混乱は増すばかり。クラクションは止まない。車は渋滞を避けるかのように狭い迂回路を選ぶ。
デコボコの未舗装道路を大きくバウンドしながら土埃の舞い飛ぶ横道を進むと、土色に変色したピンクのカーテンの掛かった店がチラホラ。
間口は2メートルほど。看板には例外なく「理髪庁」の3文字。ガラス戸の向こうでは、これまた例外なく若い女性が腕組し所在なげに外を眺めている。中国では昔から、男の愉しみを纏めて「吃喝嫖賭去聴戯」、あるいは「吃喝嫖賭抽大烟」とする。

吃(食べ)・喝(呑み)・嫖(遊び)・賭(賭け)たうえで、去聴戯(芝居)と抽大烟(アヘン)である。
もちろん、この手の理髪庁に髪を整えるために出かけるような“暇な紳士”はいない。ほぼ例外なく目的は嫖。

 1949年10月に政権を成立させた後、毛沢東は旧中国の悪弊を根絶することに邁進した。浪費を戒め、売春婦の社会復帰を進め、ヤクザを退治し、ばくち場を一掃し、地獄を舞台にしたり淫靡な内容の芝居を社会主義道徳に反すると上演禁止処分とし、アヘン窟を解体しアヘン患者の更生に国を挙げて取り組んでいると喧伝されたものだ。
当時、訪中した誰もが常套句のように街には“ハエも泥棒も売春婦”もいないこと感動を込めて語り、社会主義的道徳国家の誕生を賞賛したのである。

 76年9月の毛沢東の死から2年ほどが過ぎた78年12月、!)小平は政治最優先の毛沢東路線に決別し、カネ儲けを国是とする路線に大きく舵を切った。
中国人総てを“社会主義聖人君子”に鍛造しようなどという毛沢東の試みは徒労の極み。どう足掻いてみても中国は「巨大なビンボー共同体」のままだ。そこで!)小平は大博打。

中国人を中国人に還すことに共産党再生を賭けた。かくて中国人は中国人に、中国は中国に還ることとなる。
 いつしか車は中国人民大学横を走る。
と、ショッキングピンクのカーテンの掛かる「夫妻用品店」が目に飛び込む。店名は「巨根」・・・
威風堂々・直截至極。
(この項、続く)
      
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創刊日:2001-08-18  
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