国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/07/10


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)7月10日(金曜日)貳
            通巻第2657号
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 華(はな)も(西側の批判の)嵐も踏み越えて行くが共産党のいき(のこる)道
  G8で、胡不在の穴を埋めた国務委員、突如「ドル基軸体制」を攻撃した
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 「ウィグルの母」=ラビア・カディール女史は記者会見で写真を見せながら言った。「偽物、合成です」。
 あの南京大虐殺とかの、合成写真、偽物写真のオンパレードを思いだした。新華社を通じてプレスに配給されたウィグル暴動の写真、多くは偽物、場所も時間も異なる明確な証拠を示してカディール女史が記者会見に臨んだ。
 http://www.chinadaily.com.cn/
 (↑ このサイトの写真<1>を参照)

 逆に漢族の優位を証明する写真もある。手に手に混棒、ぬんちゃく、スコップを凶器替わりにもった漢族の自警団(?)、みんな体格が言い。つまり軍の「便衣隊」である。
 漢族の軍は漢族を守り、かれらがウィグル族を殺傷する現場を傍観していた、という。
 孫子の兵法は言う。
 「やられる前にやれ」。

そして場所はイタリア。西側先進国からウィグル弾圧、人権蹂躙を非難される前に中国は反撃攻勢を仕掛けた。

G8の晴れ舞台で胡錦涛不在の代理演説をした国務委員は「ドル通貨基軸は不公平、ドル支配体制は代替通貨が必要だ」と、あたかも中国非難をすりかえるごとき先制攻撃にでた。
中国代表の演説は、オバマ大統領の目の前、ブラウン英首相もいた。
 しかしブラウンは言った。
「おっと、聞いていなかった。しかし大事なことは世界経済が回復軌道に乗りかけているときに重大な変化をもたらすような発言(は慎しむべきだ)」(フィナンシャルタイムズ、7月9日)。

 新彊ウィグル自治区の騒擾をおさめるために胡錦涛が言ったのは「一刻も早い治安回復」。公安担当の孟建柱が続けた。「責任者を(死刑を含む)厳罰に処す」。
 世界ウィグル会議は、拘束された1400名余りの殆どがウィグル人であり、漢族が武闘による殺害をしたが、その犯人は捕まえていない、と記者会見している。


 ▲新彊ウィグルのレアメタル埋蔵を確保したあとはアフガニスタンへ照準

 そして、この緊急事態をもろともせずに、中国国有企業がアフガニスタンで銅山開発の大工事を始めた。
CMGC(中国冶金集団)と江西銅業は、アフガニスタンの歴史始まって以来の数十億ドルもの資本を投下し、カブール近郊のアイナク銅山開発を正式に開始した(チャイナディリー、7月10日)。
同銅山は1974年に発見され、ソ連の技術者が試掘を繰り返した場所。埋蔵推定1300万トン。

 中国はアイナク銅山に28億ドル強を投下し、ほかに毎年4億ドルをアフガニスタン政府に操業費用として支払い、かわりに年産20万トンの銅を産出する。同銅山はほかに数億トンの鉄鉱石埋蔵があると見積もられている。

 かくて♪「花も嵐も踏み越えて行くが男の生きる道」の替え歌。
 ♪「華(はな)も(西側の批判の)嵐も踏み越えて行くが共産党のいき(のこる)道」

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(読者の声1)前号貴見に「人権の花形=ペロシ下院議長以下、アメリカのリベラル諸氏! この沈黙はいったいどうしたことなのでしょう?」
とあります。
アメリカのリベラルは、少し中国民族の性質が分かってきたようです。しかし、ナチスによって、少数民族(MINORITY)が抹殺されることと戦ったアメリカ精神は現在のアメリカ国民にはないです。
リベラルも人権よりも国益。つまり自分が大事なのです。
オバマも口先だけの人間です。日本人は、みずからの運命を、ペロシ、リード、オバマなどの偽善者に任せてはいけない。
今日のウイグルの悲劇は明日の日本でしょう。この警告が理解出来る日本人は少ないと思う。胡錦涛がごまかそうとしていますね。汚職のドンを更迭しても、遺族に補償金を払っても、中国帝国のウイグル人絶滅計画には変わりはない。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)胡帰国後、全員ががん首揃えての政治局会議で、一刻も早い治安回復が決まりました。ほかのことは決まらず。



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(読者の声2)貴誌2651号で先生が紹介した「イスラエル海軍のドルフィン級潜水艦が、スエズ運河を通過中。」というエルサレム・ポスト(7月2日)の記事ですが、下記3日付のものでしょうか?
http://www.jpost.com/servlet/Satellite?cid=1246443708481&pagename=JPost%2FJPArticle%2FShowFull
同記事を引用したと思われるロイター記事に「エルサレム・ポスト3日付から引用」とあります。
http://www.reuters.com/article/newsOne/idUSTRE5621XZ20090703
それで2651号では、「西側軍事観測筋は緊張とともに、このイスラエルの軍事行動を見守っている。」との事でした。確かに折が折りだけに「怪しい」と感じるのは当然です。だが、これは先月紅海で行われたイスラエル海軍の演習に参加したもので5日付の同紙記事では再びスエズ運河経由でイスラエルに戻ったとあります。
http://www.jpost.com/servlet/Satellite?pagename=JPost/JPArticle/ShowFull&cid=1246443726415
さらに7日のイスラエル国営テレビのメインニュース番組で軍事問題担当記者が、1.この潜水艦ラビヤタン(鯨)号は海軍演習に参加。2.その目的はソマリアの海賊対策とイランからガザへの武器密輸阻止。3.演習終了後に同海軍ミサイル搭載船(駆逐艦?)のアッヒー(海軍艦)・ハニート(槍)号に護衛されてスエズ運河経由で母港ハイファに戻ったと報道。
 このハニート号は第2次レバノン戦争時にレバノン沖航行中ヒズボラが中国製対艦ミサイルを保有しているのを予想せず防御システムをオフにしていた為にミサイルを打ち込まれて4人の搭乗員を失ったという「いわくつき」です。
http://www.youtube.com/watch?v=ON5wibaQ7Go
 それで、2651号では「イスラエルの潜水艦がスエズ運河を通過するのは、エジプトとサウジを通過すると同義語であり、極めて難しい、というより面妖。」との事ですが先程のロイター記事にはエジプト政府関係者の話として、「イスラエルとエジプトは戦争中では無いので、同国軍艦がスエズ運河を通過するのは問題にならない」としている。勿論エジプト側は「ドルフィン級潜水艦は核兵器搭載ミサイルの発射が可能」と熟知している。
 不思議なのは、では何故今までこの種の潜水艦はスエズ運河を経由せずにわざわざ数週間かけてアフリカを回っていたのか?どうもそれはエジプト側の問題ではなくて、寧ろイスラエル側が軍事機密を守ろうとしていた事に起因するようです。
 一方で何と言っても巡航ミサイル潜水艦はスエズ運河「初めて」の通過の上にミサイル搭載船も「初めて」の通過。このタイミングは偶然か? 
これに関してはイスラエルのイェディオノット・アハロノット紙が「イスラエルとエジプト両国からの」イランへのメッセージだと分析。要はこういう事(エジプトの協力による時間短縮)も出来るという警告でしょう。
 イスラエルとエジプトの「同盟関係」は極めて良好なようで、最近シモン・ペレスがエジプトを訪問した折にムバラク大統領を最大限に持ち上げた。
両者とも八十を超える高齢でありながら国際政治の第一線に立つ。ペレスとムバラクは個人的な関係も良好。
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-3742952,00.html
 ただ問題が一つあるのは「気の若い」ペレスと違い、孫息子を無くしたばかりのムバラクは相当精神的に参っていること、イスラエル側もムバラクは今任期いっぱいは務まらないだろうと見ている。
   (DoraQ)


(宮崎正弘のコメント)色々と内部情報有り難う御座います。参考になります。



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(読者の声3)麻生内閣メールマガジン第38号2009/07/09の読者からの質問があり、「Q: 総理が外交で心がけていることは何でしょう? その1「自由と繁栄の弧」(埼玉県、40代、男性、会社員)」に対する返事が下記URLに動画で載っています。
http://www.kantei.go.jp/jp/asovideo/2009/07/1471/normal_play1471.html

そのなかに麻生首相の驚くべき発言があります。
「日本と経済的に強い結びつきをもってきた台湾やシンガポールと言った国は発展した」と。
そうです、麻生首相は、台湾を国とみとめたのです。失言という人もいるでしょうが、失言の中には本心があらわれるものです。
  (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)麻生さんは台湾擁護派ですよ、断固として。馬英九来日のおりも、当時外務大臣だったにも関わらず、非公式に会っています。
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樋泉克夫のコラム

  ――林彪は、どこで、どう道を間違えてしまったのか
           『林彪評伝』(李天民 明報月刊社 1978年)



  △
 老醜のとば口に立ったかに見えた毛沢東が、些かロレツの回らなくなった口調で「勝利の大会」と絶賛した69年4月の第9回共産党全国代表大会は、「林彪同志は毛沢東同志の親密な戦友であり後継者である」との「中国共産党章程」を採択した。
これで林彪はポスト毛沢東の地位を公式に確約されたはず。
だが、71年9月にモンゴル平原に墜落した小型ジェット機の残骸と共に彼は無惨な焼死体を曝す。

毛沢東暗殺に失敗しソ連への逃亡を図ったというのだ。
かくして73年8月の第10回共産党全国代表大会で承認された「林彪反党集団粉砕の勝利に関して」との表題の政治報告では、「資産階級の野心家、陰謀家、反革命両面派、叛徒、売国賊」と悪罵の限りを浴びせられるのであった。

 次いで孔子批判キャンペーンがはじまるや、文革初期には”毛沢東の忠実な学生”として劉少奇追い落としに共同戦線を張ったはずの江青等「四人組」から儒教復活を目論んだ封建主義者と侮蔑され、さらには「資産階級軍事路線」を歩んだとまで糾弾されたることになる。

毛沢東が死んだ年の暮れになると「人民日報」が「劉少奇、林彪ら党内修正主義路線の頭目」と蔑み、四人組裁判では「林彪四人組反党集団」として断罪される始末だ。
 「毛沢東の親密な戦友であり後継者」から反党集団の頭目へ――至上・極上の賞賛から超弩級の罵倒へ。
まさに「溝に落ちた犬は叩け」とはこのことだろうが、わずか数年で天国から地獄へと突き落とされることになる林彪の蹉跌の原因を、著者は英雄主義に求める。

 著者によれば、林彪は初期の共産党幹部の中で最も共産主義に相応しい家庭環境で育ったが、若くして軍に身を投じたため「共産主義に対する深い思想的素養を持ち合わせてはいなかった」。
だが「不撓不屈の共産党人」であり「完全無欠の軍人」であり、個人的にも「中共軍に残した華々しい戦火は少なくはなく」、訓練、作戦についても最上の成果を挙げている。但し、「思想路線問題に関しては、共産党の標準からみれば極めて幼稚な小学生のレベルだった」。ならば権力闘争にかけては百戦錬磨であり、「深謀遠慮の使い手である毛沢東にとって、林彪など相手になるはずもなかった」ということのようだ。

「林彪の立派な戦士になるぞ」と叫ばせて部下の兵隊を敵陣に突っ込ませた。
部下から「林司令官の健康をお祈り致します」「林司令官の命令に絶対服従致します」と応じられることを喜んだ――などのエピソードを挙げ、著者は林彪を幼稚な英雄主義者ではなかったかと考える。

毛沢東にしてみるなら林彪は最大の政敵である劉少奇追い落としのための手駒の1つでしかなく、演技が終わったら舞台から消えるべき端役に過ぎなかった。
だが林彪は、なにを勘違いしたのか共産中国皇帝への野心を沸々と滾らせるのであった。そこを毛沢東は見抜き衝いてきた。毛が断固として許すことのできなかったのは、英雄主義の虜になって舞い上がった小人物が自分の権威を傷つけることだったのだ。

後継者の“言質”を与えた瞬間から姦計・狡智を尽くし、林彪に対する落とし穴を仕掛けたはずだ。
69年4月の第9回共産党全国代表大会で毛が口にした「勝利」は、どうやら自分に向けてのものだった。
千変万化する北京の権力舞台での主役の座は毛沢東だけに許されたもの。毛にとって林彪なんて所詮は猿回しの猿にすぎず・・・だが日本に、そんな林彪をさんざっぱら持ち上げていた研究者や記者がいたことを忘れない。絶対に。
《QED》

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 ● 宮崎正弘 ●MIYAZAKI MASAHIRO ●みやざき まさひろ ●
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