国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/06/29


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年) 6月29日(月曜日)
        通巻第2642号 
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 情報操作の基本的誤謬を犯していないか
  金正雲が北京訪問は007の話? イタリアでの天文学的国債発見と日本人?
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 国際政治の裏側が下手なスパイ小説より俄然面白いのは当然だろう。
フィクションの固まりでもある小説は所詮、想像力の世界であり、007は一種の漫画である。ゴルゴ13も鬼平犯科帳も主人公の活躍は常識の活動を越えているからスーパーマンの類だろうか。ただし背後に使われるデータには類推して興味深い数字などの記録や題材が豊富である。

 さて朝日新聞がなしたスクープを北京が否定した。あれは007の類いだと。
 金正雲が北京を密かに訪問し、中国共産党幹部とあったという噂を朝日新聞がかぎつけて報道した。

 日頃、北京に有利な報道しかしないメディアが、北京に不利益な報道をした? 朝日への情報提供者と、中南海の最終決定機関との間の情報伝達の齟齬か、そのプロセスになんらかの行き違いが生じたとみると、朝日と北京の見解の乖離がわかる。
 在北京ジャーナリズムのなかで、朝日がもっとも深く権力に食い入っている筈だから。

これは逆に考えるべきで、日頃、否定も肯定もしない、うわさ話程度のことにはコメントしない中国のスポークスマンがわざわざ大声で否定せざるを得なかった。
 そうだ。「否定せざるを得なかった」のだ。

 スパイ小説作家なら、疑わしきはこっそりと登場させ、あえて重要な役目を設定しない。起承転結の「転」のあたりまでは持ち駒として保持しておくものである。
 したがって金正雲が北京を訪問した可能性が高い、とみたほうが良いのかも知れない。



 ▲イタリアの偽米国債権事件はなんだった?

 イタリアで日本人ふたりが逮捕され、米国の国債を13兆円とか、持っていたという漫画のような事件があった。揣摩憶測が国際的に拡がった。
 これもスパイ小説の読み過ぎが招いた拡大解釈の誤謬が虚実を拡散した、とみたほうが良いかもしれない。

 ヘラルドトリビューン紙に偽国債の写真が出ていたが、街の商店街抽選券のような粗末なものであり、景品が冗談か、あるいはきっとマフィアの決済手段かもしれない。なぜなら麻薬犯罪で使われる米ドルのキャッシュは精巧な偽ドルと言われ、闇から闇へ流れ、銀行口座に振り込まれないから闇の世界では永遠に回転している。
この文脈の中でイタリア事件を考えると、そういう犯罪集団の側面もないではない。

 だが、もうすこし国際常識に従えば、米国債権は一万ドル以上の券面はなく、最近は電子決済のため、実物が印刷されていない。
発券された偽国債の券面が、500万ドルとか、なかにケネディボンドが含まれていたとか。嗚呼、ケネディボンドなんて発行されたことはないんですがね。

 二人の「日本人」は釈放されたのも、軽犯罪の類と見たか、或いは泳がせるためか、あるいは例によって「日本人」を名乗る某国の諜報機関員だったのか。
 果てしない類推をよぶ二つの事件である。
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(読者の声1) 第二の天安門になるかもしれないイラン情勢ですが、貴誌2637号(読者の声2)で、「今回のイラン情勢が複雑なのは幾つかの要因が絡まっている。1.宗教指導部の勢力争い。具体的には現最高指導者のハメネイ師とラフサンジャニ師の闘い。2.アフマディネジャッドを支持する地方の利権集団や軍事集団対都市生活者やインテリの闘い。3.イラン人口の50パーセントが25歳以下の若者で彼らの欲求に指導者が答えていない」というような拙見を述べましたが、あれから見えてきた事を補足します。
http://www.melma.com/backnumber_45206_4522869/

まずイランの現最高指導者ハメネイ師ですが大変な愛煙家だそうです。
それは結構なのですが同師は肺癌に罹ってしまった。そこで、後継者を考えなければいけない。そこで周辺諸国を見渡すとヨルダンの故フセイン国王は息子のアブダッラーにより死後王位継承されました。
またシリアの故ハフェズ・アサドの「大統領職」は息子のバシャルに継承された。シリアの独裁者の権力委譲をエジプトのメディアは批判しましたが、そのエジプトのムバラクも息子に願わくば、大統領職を継承させたい。そうなると、宗教指導者とはいえハメネイ師が息子に権力を委譲したいという「親心」を持って公私混同しても不思議ではない。中東の指導者とは自民党議員みたいなものでしょう。

だが、故ホメイニと違いカリスマ性に欠けるハメネイ師には虎視眈々と後を狙うライバルがいる。
それが最高国政決定機関の専門家会議議長ラフサンジャニ師です。改革派である同師はイラン・イラク戦争直後の1989年に大統領に選任され1997年まで規定一杯の二期務めた。改革派でありながら投票総数の95パーセントと獲得。当時映画も自由化。
そして2005年に再出馬したがアフマディネジャッドに敗れた。そのラフサンジャニがムサウィーに援助を与えている。一方、スムーズに息子に権力委譲させたいハメネイはラフサンジャニの力を削ぐ為にどうしてもアフマディネジャッドニ大統領に勝たせたい。つまり、今回のイラン大統領選挙は「仁義無き闘い」。最高権力者の代理戦争だった訳です。
これで何故ラフサンジャニ元大統領の娘がデモ扇動容疑で治安当局に逮捕されたのかが分かります。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090622-OYT1T00113.htm

そして選挙不正までして息子に権力委譲させたいハメネイ師の一派は自己を正当化する為に「米国の陰謀」と嘘で国民を誤魔化そうとしたが、生憎ブッシュは引退(笑)。無気力なオバマの所為にするとバレバレで白々しいので、殺された女性ナダさんの恋人にインタビューするなど煩い英国の所為にした。
さらにイスラエルとパーレビー元国王の所為に出来れば最高(笑)。それが失敗したらハメネイの息子によるクーデターまで準備されているとも言われている。ところで、このイラン最高指導者の後継問題は北朝鮮の後継問題と比べて重要度では劣らないはずなのですが、何故か日本のメディアは注目していません。
   (doraQ)


(宮崎正弘のコメント)それは貴重な情報です。有り難う御座います。

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