国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/06/12


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年) 6月12日(金曜日)貳
         通巻第2628号 <週末特大号>
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 イスラム社会はウィグル人活動家のパラオ移送を歓迎したのか?
  アルジャジーラが詳細を報道、カディール女史は歓迎談話
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 既報。グアンタナモ基地からウィグル人の「アルカィーダ」被疑者17名がパラオへ移送される。
 中国が占領中の旧「東トルキスタン」(いま、中国の「新彊ウィグル自治区」からアフガニスタンーキューバ(グアンタナモ基地)−パラオ、長い長い旅路。

米国は、この措置にあたりパラオへ二億ドルの援助を約束した。
 ワシントンにいるウィグル人団体の象徴で、“ウィグルの母”と呼ばれるラビア・カディール女史は歓迎談話を発表した。
「中国に送還されない決定を聞いて、欣快です」。
 米国国務省がもっとも案じたことは、中国へ送還すれば「分離主義者として処刑されるだろうから」(アルジャジーラ、6月12日)

 だがウィグル人団体でも反対の声をあげたリーダーのひとりはアマル・ナット(亡命団体の指導者らしい)。「パラオって珊瑚礁とクラゲの国? ひとりのウィグル人の社会もなく、ウィグル語は通じない。隔離された場所でいかに暮らすのか?」

 アルジャジーラは、06年にアルバニアへ移送された五人のウィグル人活動家の「その後」も伝えている。かれらは大学へ通うこともでき、現地でガールフレンドができたのもいる」と。
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 (読者の声1) わたしの家は東京神田、小学校は本郷、中学は同心町と、いずれも神保町の古書店街に寄り道出来るところだったので、毎日のように通ったものでした。
大学卒業後はお茶の水のアテネ・フランセでフランス語を、その後は飯田橋にある出版社で編集の仕事をしていたこともあり、この街は私の大切な心のよりどころでした。
今でも夢に見るほどです。沢山の本屋さんを見て回り、あの頃まだ数少なかったバレエの写真集、レオン・バクストの舞台装置の豪華本、スタニスラフスキーの演劇論、ヨーロッパの新聞のカリカチュア集、19世紀フランスの「恋文集」・・・どれだけ多くの夢と知識を、私に与えてくれたことか。
 
でも、もう、そういう世界はないのでしょうか。
先日、アムステルダムの日本の本屋さんへ久々に行って、唖然としたのですが、私が「文学」と呼ぶようなものは、一切姿を消していました。
一昨年までは、まだあったのです。でも、今、購入できるものと言えば、流行三文作家が日々の糧を得るために書きなぐったものばかり。
森鴎外、夏目漱石、芥川龍之介、ゲーテ、ニーチェ、ユゴー、ドストエフスキー…人生の深淵に触れるような「文学作品」は、な〜んにも、ないのです。久々に「古事記」「日本書紀」「源氏物語」「枕草子」、そんなものを読みたくても「そういう本は、お取り寄せになります」そうです。高校の漢文の先生がおっしゃったように「暇があれば、本の背表紙でもよい、ともかく読みなさい」、神保町の古書店で私が毎日していたことは、正にこれなのですが、今の人たちは、その機会さえも奪われてしまっているのでしょうか。
 
ついでにもう一つ。
先日、こちらの経済省主催の「日本文化デー」で書道を披露するため、書道用具一式をこの書店で入手して驚きました。
筆の柄=竹を模したプラスチック。硯=石ではなく、得体の知れない模造品で、軽い(でも、しっかり机にへばりつく)。墨=昔のように延々と磨らなくてもすぐに書けるし、程よい薄墨色が出るが、墨の香りが全くしない。そういえば、姪が小学生の頃(10年以上前)に墨汁で習字をしているのを見て「そんなものを使ったら、味のある字は書けないし、筆が傷むわよ」と言ったら、「墨を磨る時間が学校ではないから、墨汁なの」と聞き、「心をこめて墨を磨る、そこで平常心というものを体得する、それを蔑ろにして、何が書道の時間か」と、教育の質の荒廃を思ったことでした。
 
日本の文化よ、何処へ・・・
一方、ロッテルダムには、区の援助を取り付け、すばらしい居合道の道場を建ててしまったオランダ人ご夫妻がいます。
彼らはここに住み込みで全精力を傾け、茶室を備えた日本庭園を持つ日本文化会館に仕立て上げ、茶道、華道、書道、陶芸、囲碁、着物着付け教室などが開かれ、道場には本格的な神棚もあって、アムステルダムからオランダ人神主さんがいらして、行事の折には祝詞をあげてくださいます。
  (Hana、在オランダ)


(宮崎正弘のコメント)書店に文学も古典もない。神田ですら、いまやそうですよ。
 日本の伝統とまったく無援の世界の住人=村上春樹の新作小説が、発売一週間で百万部売れる珍現象です。あれを日本文学だと世界の読者が受け取っているわけではなく、あくまでもコスモポリタン。中国でも渡辺淳一先生とならぶ人気作家は村上です。
 ことし太宰治生誕百年なので、太宰は文庫本が羽がはえたように売れていますが。森鴎外、夏目? 谷崎も川端も。ちょっとした本屋さんにも売っていません。まして古典をや。
 後節もその通りですね。
ドナルド・キーンさんのお住まいは日本式、庭園が借景です。サイデンスティッカーさんは下駄履きで上野界隈の居酒屋、焼鳥屋が好きでした。湯島から下谷、浅草にかけて。
呉善花さんの新居は茶室がありますよ。石平さんは、日本人に帰化した報告を伊勢神宮に行きました。

 

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(読者の声2)第2626号(読者の声3)の「周辺華」が衰えた後も、後世にも影響を与える名残があります。GMTでよく知られている本初子午線です(東経0度、西経0度の子午線)。
フランスがこれに従わず、パリの西方経度20度の経度線を本初子午線とする提案をしましたが賛成が得られず、フランスだけがこの案を採用していましたが、衆寡敵せず、です。フランスも従っています。
(none)


(宮崎正弘のコメント)フランスもまた中華思想のくにですから。



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(読者の声3)貴誌投稿の「VO生」様のご意見に感想です。
<引用>「前回の教科書採択では無残な結果に終わりましたが、意外にも保守とよばれる有識者がこのことを理解していなかったのです。問題は採択者にサヨクが多大なる影響を与えていることに尽きます。採択者にあの手この手の凄まじい圧力をかけます。無法なことや暴力行為も使います。「サヨクは、そこまでやるんだ」ということです。彼らは教育の重要性を自民党政治家よりはるかに分かっているのです。序でながら、以前にもまともな歴史教科書の類が有徳の団体から全国の学校現場や多数の社会科教員に送られました。しかし大半はすぐさま捨てられてしまったのです。何万部も出版されたといっても、実数は大きく減っている筈です。サヨクは徹底してやっていますから、宮崎さんにはぜひ知っていただきたいことです」
<引用終わり>

どこの国でも自分の子供に手を出されて黙っている親はいないと思います。しかし今や日本の子供を外国の奴隷にする恐るべき教科書が使われている。教科書会社の職員も現場の教員たちも心の中では泣いているのではないでしょうか。
彼らもいずれは用済み、口封じで消される立場にあるのですから。
 ということで私たちは、日本の将来を決める教育の正常化に敵と同様、本気にならなければなりません。
ご高齢にもかかわらず日本人が外国人から奪われた日本の子供を取り戻すために、全国を回っておられる伊藤玲子先生の後に続くことです。
   (東海子)
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宮崎正弘の新刊予告 6月15日発売!
『人民元がドルを駆逐する』<ゴールドラッシュを仕掛ける中国の野望>
  (KKベストセラーズ、1680円)
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(読者の声4)貴誌前号「hana、在オランダ」さんのレポートは生々しいですね。
僕らもスペインからモロッコへ船旅したけども、バルバル族がオランダへ移民ですか?
ウチの家内が、ダッチは超リベラルなんだと云ってます。ブリュッセルで食べた牡蠣、蟹、ホタテ貝はオランダの海岸で取れたと。
蟹はSFのダンジネス種だが甲羅が赤紫なのが違う。海産物は良質です。中国人が欧州から締め出される日は近い。このアメリカの移民局(友人が移民官)でも中国人と韓国人は目に見えない差別を受けている。
中国は世界から孤立するのが怖くて、アンゴラやコンゴなどにまで投資している。20億ドル、90億ドルは、北米自動車工場のコスト程度だが、西アフリカじゃ、巨大なカネです。
人民元の有効範囲拡張政策は対米政策ではないように思える。
米ドル圏〜ユーロ圏〜RMB圏の通貨覇権抗争でしょう。ぼくらはアメリカに小資産を持っているために気になりますがね。中産階級がどんどん下がっている。貧富の差が大きくなっている。インフレがくれば、さらに格差は広がる。
アメリカは再建するのだろうか?
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)先日号でも引用しましたが、西部邁さん『サンチョ・キホーテの旅』(新潮社)によれば、「アメリカはいずれ、ジェラルミンの円盤に乗ってどこかへ消える」。
 ってシナリオも有り得るのではないでしょうか?
230年前の独立時は13州だけのコモンウエルズ、そして南北戦争は国をふたつに割っての闘い、メキシコと戦争してテキサス州からアリゾナまで取り上げ、それからスペインと戦争してフィリピンをもぎ取る、ハワイをかすめ取る、アラスカはロシアから買う。
 この人口国家がつぎはカナダとメキシコを合邦するかもしれず(NAFTAがその前段階とすれば、統一通貨『アメロ』の現実味がましますね)、或いはロシア人学者が言うようにアメリカ六分裂の可能性もある。それを西部氏は「ジェラルミンの円盤」と寓話的に比喩されたわけです。
 中国の台頭におたおたしてゴマするアメリカの、今日の無様な衰退は見たくなかった。果てしない五衰(ごすい)が始まったと言えます。

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(休刊予告)小誌は海外取材ならびに講演旅行のため6月16日―22日が休刊です。
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(読者の声5)フランスが「東洋系人種の滞在規制強化」に乗り出しましたが、この時に言われたことは「我々は、中国人・韓国人の大量流入と、それに伴う犯罪増加を食い止めねばならないのであって、日本人留学生を閉め出したくはないが、日本人だけ例外とは言えないのです」
と。
いま思うと、時期的に符合するので、遅まきながらも日本からのセクトの流入も止めたかった? オランダでは日本人は例外で、東洋人の中では日本人だけは、こちらへ来てから滞在許可申請が出せます。
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  フランスは、人権・平等・博愛を建前としていますからね、特定の人種だけ特例を設けることが出来ないのですね(フランス革命の功罪か)
  過ぎたるはなお及ばざるがごとしであはりませんが、極度の平等も弊害になる良い実例ではないかと思います(日本もそうならないことを願いますが)。
  オランダの柔軟な対応の方が健全に感じますね。
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 お洒落をして中央駅あたりを一人で歩こうものなら、すぐにひったくりに後をつけられます。ですから私はここへ来て以来、本物の宝石はもちろん、ブランド物も持ちません。危なくて持てないのです。自己防衛のために、夫と一緒でない時は、汚い格好をせねばなりません。
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 オランダに限らず、イタリアなども治安は良くなくて(10年前の話ですが)、日本人と見るや駅を降りた瞬間から、必ず後ろからひったくりに尾行されたものです。
  私はわざわざ、ショウウインドウの前に立ち止まって、横目でひったくりに睨みをきかせたら、手前の曲がり角を曲がって退散して行きました(そんなことの繰り返しだったな)。
   (尊野ジョーイ)


(宮崎正弘のコメント)ロシアが混乱に陥ったおり、赤の広場の真ん前のデパートで、ためしに闇屋と10ドル交換してみました。ドル両替の詐欺の手口を調べるためです。案の定、目の前でいったんは、当該金額の通貨を見せ、それから早業でゴムバンドで束ね、こちらのポケットへ入れます。このときにすり替えるのです。ポケットから急いでとりだそうとすると、「警察が来るから、ホテルで」と決まり文句を吐き、闇屋は立ち去る。この手口って、世界共通でしょう。ま、10ドルは「取材費」です。
ドイツ統一直前の混乱期もベルリンで、このたぐいの闇屋が横行していました。70年代のベトナムがそうでした。インドはいまでも。
置き引き、かっぱらいの類は欧州に限らず、日本人のカモを狙うのはハワイ、カリフォルニア、NYで頻発しています。これはもう、油断した方が悪いとしか言いようがない。それだけ日本人の安全保障感覚が鈍磨ということです。逆に言えばわれわれは何というしあわせな国にいるのでしょうか。



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(読者の声6)宮崎先生出演のMXテレビ(2009年05月16日放映分)をネットで拝見。テンポが良く、メルマガとは違う爽快さ。また、同テレビ2009年05月30日分には安部元首相が出演。その中で自称反米の西部氏にして小沢一郎の唐突な米軍撤退発言を訝しがるというような場面が印象的でした。
http://www.mxtv.co.jp/nishibe/youtube/index.html?200905

さて昨年10月に先生のメルマガ購読始めるまで支那情報に文盲状態だった私ですが、9ヵ月後の今日気分はチャイナウォッチャー(笑)。
そこで根源的な質問です。漢字の読みの問題ですが他のメルマガ読者の方々は読み方が解ってらっしゃるのでしょうか?
一般名詞の「〜集団」とか「〜公司」くらいなら「〜しゅうだん」とか「〜こうし」とか日本語読みを当てて納得しますが、固有名詞や地名などは(知ってて当然なのか)大新聞でもきちんと読み方を書いてない。
一方、テレビではいつの間にか、毛沢東を「もうたくとう」より「マオ・ツァングトン」とか、「デン・ショウピン(とうしょうへい)」、「ジャン・ジャミン(こうたくみん)」などと読まれており支那語の知識の無い私など大変混乱する状況。
 その他にも台北は「たいほく」か「タイペイ」なのか? 何故、大連や遼東は「たいれん」「りょうとう」と日本語読みで南京「ナンキン」は支那語なのか?
北京は「ペキン」で英語化した「ベージン」ではないのか? 英字新聞でも読まないとだめという感じです。とどめは上海は「じょうかい」でないのに「中国」は「ちゅうごく」なのだろう? 摩訶不思議です。
   (doraQ)


(宮崎正弘のコメント)混乱したまま、統一ができないで(戦後の日本のマスコミも)きた結果でしょう。朝日新聞はさきがけてマオツェトン(毛沢東)、フージンタォ(胡錦涛)と現地読みのルビを振っていますが、他の新聞は従っていません。
欧米の地名、人名は各紙初回まちまちなので、混乱しますが、いつのまにか日本の大手マスコミは『談合』でもしたように統一しますね。たとえばレーガンは登場時「リーガン」でした。いまは倒産しましたが、往時ウォール街の大手「ドレクセル・バーナム・ランベール」を当時もカリフォルニア在住だった大森実氏は「ドレッセル・バーナンランバート」と現地発音を当てていました。日本のマスコミの(無言の名称統一という)取り決めを知らなかったのです。
 ご指摘の混乱は続くと思います。
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(読者の声7)貴誌通巻第2626号(読者の声3)でdoraQ氏が書かれた「この状況は欧州の大航海時代まで続きますが、その頃の世界的中心を国でいうと、西に(アラブ人を支配したトルコ人の)オスマン帝国と東の(支那人を支配した満州人の)清朝でしょう」は慧眼の指摘です。
西暦1600年にヨーロッパで社会情勢に詳しい人に100年後のヨーロッパの覇者はどの国かと聞けば、その答えはオスマントルコ帝国であるという答えが返ってきたであろうというのは、言い古され言葉です。
しかしこの表向きはへりくだって客観さを装うヨーロッパ知識人の言葉の裏には、トルコに対する鬱屈したコンプレックスが隠れています。
韓国の学者が内輪で議論をするときにはいかに韓国の竹島領有権の主張が不当なものであるかを認識していても、表向きでは決して認めないのと同様にトルコに関していくつか表立って言わない重要なことがあります。

そのうちのひとつは、アヴァール人がヨーロッパが未開地から脱却するのに果した決定的に重要な役割です。
もうひとつは17世紀にトルコがオリエントの覇者に加えオクシデント(ヨーロッパ)の覇者となることができなかった最大の要因です。
それは日本が鎖国をしたことです。

16世紀末日本では、世界最高の性能を持った武器が世界総生産の大半を占める量で製造され、しかもそれが実戦で実験され検証されていました。
しかし関が原の合戦以降、日本での市場が小さくなり、大量に輸出されるようになりました。その輸出先がオスマントルコ帝国でした。17世紀初頭におけるトルコの破竹の快進撃の一大要因は、日本から輸入した大量の高性能兵器でした。その輸入が日本の鎖国で途絶えた後、トルコの快進撃も終りました。このことは、欧米人が面子にかけて絶対に認めたくないことです。
では、何故他のヨーロッパ諸国も日本から競って兵器を輸入しなかったのかという疑問が残ります。
輸入するための外貨の不足も一因でしょうが、もうひとつ決定的な要因がありました。当時の西ヨーロッパ各国で使われていた戦法には向かなかったのです。
当時、西ヨーロッパでは、軍事には速射ができる胸当て銃、狩猟には命中精度の高い頬当て銃が使われていました。日本ではいずれにも頬当て銃が使われていました。西ヨーロッパ各国では、戦法を変え、兵士を訓練しなおし、ロジスティクスを変えない限り日本から銃を輸入しても使えませんでした。

さらに二つ。欧米でタブーになっているトルコの話があります。
ひとつは歴史上一番有名なトルコ人、聖ニコラスです。またの名をサンタクロースといいます。しかし、欧米ではトナカイに乗った北欧人とされています。
もうひとつは種痘です。
イギリス人のジェンナーが乳搾りを行う農婦が天然痘に罹らないことから発見したと言われていますが、実は、ジェンナーの知人がトルコ旅行をして、当時トルコでは、種痘が行われていたことを話すのを聴いて、実験で確認したのでした。
既に効果が確認されトルコで長年にわたって行われていたことの効果を再確認したのでした。

ところでトルコが最強国とみなされていた17世紀初頭に当時の東アジアの情勢に詳しい識者が、どの国を東アジア最強国また100年後の覇者とみなしたのでしょうか。全く何の疑いもなくそれは日本でした。
世界最大の軍事力、最高度の兵器の大量生産能力、世界最大の金保有量、世界最大の製鉄能力をもっていました。鎖国前にはフィリッピンからタイにわたる商圏を日本人商人が支配していました。シナでは明の命運はまさに風前のともし火、モンゴル族・満州族連合勢力はまだ覇権を握っていませんでした。
そして、混乱の中で民力は疲弊していました。
三国時代末期のシナはこの時代と同様の状態にありました。シナの人口は漢末に4000万人を越えていましたが、この当時、シナの中心部(所謂「中原」)の人口は二百数十万人くらい、さらに周辺部分を唐の最大領土くらいに広くとっても八百万人足らずで、日本と大差がありませんでした。
かたや戦乱に明け暮れ疲弊した社会、人民の集まり、日本はといえば平和そのものでした。
この状態を俯瞰すればどの国が当時の東アジアの覇者だったかは明確です。親魏倭王の金印を求めるような愚か者は当時の日本にいたはずがありません。
 (引用)[余談ですが、国号を日本に変えるまでの我国の対外的国名「倭」ですが、その意の「背の曲がった小人」や「従順な者」という意味を考えながら、歴代日本首相と江沢民や胡錦濤の関係を考えれば何かが解かる]
と書かれましたが、まさに慧眼です。
井の中の蛙大海を知らず、です。
「倭」という漢字の元来の意味は、「人」が身を「委」ねる、つまり、「すなお」(素直)でした。
日本においては漢字が導入されてから、意味も音も導入時点のものが後に導入されたものが加わるだけで、比較的に保存されてきました。シナにおいては、意味も音も異民族が流れ込むごとに大きく変わりました。
「倭」とい漢字の意味が、侮蔑的なものに変わった原因は、おそらく昔シナに「ワ」と呼ばれた部族国家があって、「倭」という漢字を当てていたが、その部族国家が他の部族国家に制圧され隷属したことにより、「倭」という漢字自体の意味が変化したのであることにほぼ間違いないと私は考えています。
このことの判らない人たちが日本人を「倭」と読んで馬鹿にしたと思い込んでいるのです。そうでないと何故『日本書紀』で天皇の名前の中に「倭」という漢字が使われているか理解できません。
ところで、[国名が日本ですから、「日(太陽)の本(源)」、当時の世界的中心の支那から見て「太陽の昇る東にある国」という意味です]とありますが、何故「本」が「東にある」という意味になるのか私には全くわかりません。これを理解するには、よほど飛躍的な直感が必要なのでしょう。
しかし日本とは不思議な国号です。どうやってつけたのか判りません。一応7世紀末にできた飛鳥浄御原律令の中で使われたのが最初と言われていますが、使われだした経緯、由来がわかっていません。
今後の研究成果がまたれます。

「欧州では中世まで世界の中心はキリストが架刑された聖地エルサレムと考えられていました」
と書かれましたが、ヨーロッパ中世では僧侶以外は聖書を読んだものは殆どいず、教会で賛美歌を聴くのがキリスト教信仰の中心でした。
すくなくとも十字軍開始前のヨーロッパ人たちは「Heiliger Pater」(ローマ教皇)がお住まいになられるところが世界の中心であると考えていたのでしょう。
そして、十字軍開始以降になって、エルサレムを意識するようになっても、それは霊性に関してのことであり、世俗的にはローマさらに自分が住んでいるところが世界の中心であったと考えます。
このパトス上の世界とエトス上の世界の明確な分離の開始が、ヨーロッパが次の文明段階へ進むきっかけとなったものです。
また、オスマントルコ帝国の国民に世界の中心はどこかと尋ねれば、おそらくメッカではなくスルタンのいらっしゃられる宮殿だと答えたのではないのでしょうか。
  (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)イスタンブールをほっつき歩くと、あれ、この町は聖地だという印象を二日目あたりから抱きますね。コンスタンチノーブルの時代と騎馬民族やアレキサンダーが交錯した隘路。いくつのも文明が通過し、その混沌が残った。
 南へいけばトロイの木馬、エーゲ海へでればギリシア文明との遭遇、イズミールからエフィソスへ行けばローマ帝国の残骸、そしてそれから東へいけば東洋世界。
 日本からのトルコへ団体観光、ツアーが顕著に多い理由は、このエキゾティックな世界に浸りたいから?
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 <世界通貨は大波乱!>
 ●SDR債権なら500億ドル買う、と中国が豪語
 ●ガイトナー米財務長官は北京へ飛んで「米国債は安全」と講演、失笑を買った
 ●ロシアは中国のハード・カレンシー化を支持
 ●マレーシアも貿易決済を人民元でと首相が表明
 ●ブラジルは中国と通貨決済に貳国間の取り決め
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  • 名無しさん2009/06/12

    宮崎先生のメルマガではいつもの事とは申せ、読者の皆様のレベルの高さにしみじみと感じ入りました。読者の皆様がそれぞれにお暮らしの場所からまるで海外特派員のように現地の状況をつぶさに語って下さいます。また、教授クラスの研究者の方々もそれぞれのご専門の分野でのミニ論文を読ませて下さいます。一粒で何度もおいしい本当にお得なハイレベル寺子屋という感じで、こんなすごいものを毎日無料で読ませてもらえるとは、なんとありがたいことでしょう。宮崎先生、読者諸兄諸姉の皆様に心から感謝です。

  • 名無しさん2009/06/12

    佐藤大成功したSVR工作員赤魔猿

    佐藤宮崎まちゃぴろさんまで籠絡した赤魔猿

    佐藤〇皇礼讃はカモフラージュ赤魔猿

    佐藤保守系雑誌全敗赤魔猿

    佐藤KGBのお陰でキャリアアップ赤魔猿

    佐藤現役左翼害務陥陵赤魔猿



    悲観桜

  • 名無しさん2009/06/12

    > 書店に文学も古典もない。神田ですら、いまやそうですよ。



     福田恒在先生の評論に、日本の住所の表記を何々1丁目とか6丁目とかに変えてしまったのが問題であると指摘していましたね。



     今、文学や古典を読むと、落語でもそうですが、住所がどこであるのか判らなくなっています。



     また、卑近な例ですが、戦前はトイレを「はばかり」といっていましたが、これも戦後になって言い方が変わってしまって不自由していると文句を言っていました。