国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/06/05


◇宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/(更新)
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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)6月6日(土曜日)
         通巻第2619号 (6月5日発行)
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 マレーシア首相、北京で語る。「もうドル決済はやめよう」
  暴言かリップサービスか、マレーシア華僑に配慮か?
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 マレーシア首相のナジブ・アブドラ・ラザクは北京で言い放った。
 「中国とマレーシアは二国間貿易での決済を人民元とマレーシア通貨で行うことを熟慮している」。
 ラザクはマレーシア財務相も兼ねる。

 「ドルは減価する一方であり、赤字を埋め合わせるために米国財務省は輪転機を回しているだけだ。世界通貨としてのドルを代替するためにも、ドルとリンクした通貨体制にいつまでの身を置くより率先して中国とマレーシアの二国間貿易には、お互いに当該通貨で決済すればいい」。
 この発言は6月3日、ラザク首相が温家宝首相と会談後に行われた。
 
 二日前に、ガイトナー財務長官が北京を訪問して「ドルは安全、米国債権は投資対象として安全だ」と講演したところ、会場から失笑が漏れたばかり。
 

 ▲天安門追悼二十年に世界各地で「なつかしい顔見せ興業」。

 6月4日は様々な出来事が世界各地で起きた。
 香港では「天安門事件の犠牲者を追悼する」集会が開催され、15万人が集まった。

 米国ワシントンでは、在米華僑や留学生が集会を開き、王丹にくわえて、柴玲が会場に現れた。
二十年前の彼女は「天安門のジャンヌダルク」と言われ、学生運動のヒロインだった。香港から外国に亡命し、米国に定住した。同棲相手がヘッジファンドを経営していた。

 柴玲は、二十年後にはふくよかに太り、中年のオバサン、久しぶりに民主化運動へ現れたのも、日和見主義との批判を畏れたのか、「ビジネスが忙しかった。違う分野でも民主化運動に協力できる」と言って彼女の会社からのカンパだと100万ドルの寄付金を持ってきた。
 
 学生運動の象徴だったウアルカイシ(吾爾開希)は、過去数年来定住していた台湾から、マカオへ現れ、中国への入国を拒否された。一晩、パフォーマンスを示した後、台湾へ送還された。
 天安門事件は風化したのか?
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樋泉克夫のコラム

愛国教育基地探訪(その8)
         ――今に残る文化大革命の傷跡は貴重な観光資源だ



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 秦皇島や承徳での盛大な結婚披露宴で満面笑みを浮かべている新郎・新婦の両親は、年格好からして50代後半から60代前半と見た。
清東陵に造成中の霊園の墓石の住人のなかにも、同世代だっているはずだ。
つまり彼らは、今では「大後退の10年」と批判される文化大革命によって中国全土が興奮と恐怖の坩堝と化していた時代に青春を送ったことになる。

ついでにいえば、建国前後から毛沢東が産めよ増やせよと大号令を掛けた50年代前半に生まれた“中国版の団塊世代”であり、青春の一時期までは「毛沢東のよい子」になろうと日夜励んでいたはずだ。
そして今は馬車馬。経済覇権超大国への道をまっしぐらだ。

 ここで、時計の針を今から40年ほど昔に戻してみたい。
 1966年8月18日、天安門広場には全国各地から集まった紅衛兵の熱気が渦を巻いていた。その数、100万人とも。
やがて「赤い赤い太陽」「人類の魂の導き手」「偉大なる領袖」が天安門楼上に姿を現すや、赤い表紙の『毛主席語録』が打ち振られ、「毛主席万歳、万歳、万々歳」「万寿無疆」の熱狂は絶頂に達す。毛沢東による最初の紅衛兵接見の幕開けだった。

 毛沢東の隣に侍る林彪が、やおらマイクの前に進み出て旧思想、旧文化、旧風俗、旧習慣を「四旧」と呼び、「四旧打破」こそが文革の目的だと獅子吼する。
当時、毛沢東と林彪とは一心同体で林のことばは毛の考え(だったはず)。かくて大挙して街頭に繰り出した紅衛兵は四旧打破に血道を挙げ、いや青春の熱き血を滾らせたのである。

北京では天下の名園で知られる頣和園、山東省では曲阜の孔子廟などを破壊し、毛沢東の政敵と思しき政治家・学者・芸術家などの家に問答無用と押し入り徹底して家捜し。難癖をつけ屁理屈をこね回しては四旧を摘発し、貴重な書画骨董を強奪し焼却した。傍若無人の極みである。

 天安門で第1回紅衛兵接見が行われた翌(19)日は、チベット暦で1966年第9月第13日。
この日、チベットにも紅衛兵が出現し四旧打破の絶叫が「雪の国」を震撼させる。
ラサから40キロほど離れたチベット僧院中最大のガンデンに、中国本土からの加勢組を加えた紅衛兵が押し寄せた。
ツルハシ、ダイナマイト、大砲、空からの爆撃によってガンデンは木っ端微塵に破壊されてしまったのだ。チベットが、この惨状である。ならば全国各地は推して知るべし。当時、7000点ほどの重要文化財のうち5000点前後は破壊されたとか。

 ここで現代に立ち戻る。
清東陵の霊園に立ち並ぶ黒御影の無数の墓石に“新しい中国”を実感した足で、小雨のなかを西太后陵に向かった。
さすがに黄昏の清朝を支えただけのことはある。隣の乾隆帝陵に較べれば規模は小さいものの、それなりに壮麗な構えだ。

だが、そんなことはどうでもいい。彼女の陵を囲うベンガラ色の豪壮な塀に一種の感動のようなものを覚えたのだ。
近くで見ると塗りムラにも思えるが、遠く離れてみると大きな文字が薄っすらと浮き出てくる。
正面入り口を挟んで、左に「全世界の無産階級よ団結せよ」。右に「毛沢東思想の偉大な紅旗を高く掲げよ」。完全には消せなかったのか。真面目に消そうとしなかったのか。それとも文革に玩ばれた紅衛兵の怨念が浮き出てきたのか・・・。

今や好々爺一歩手前の紅衛兵世代は全土に残る文革の痕跡に何を思うだろう。
あの滑稽なまでに悲惨な歴史的愚行の傷跡も見方を変えれば貴重な観光資源だ。ならば世界遺産に登録せよ。
もっとも遺産というより悲惨というべきだろうが・・・。
 (この項、続く)

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(読者の声1)石平氏の『中国大逆流』(KKベストセラーズ刊)を手に取りました。
人には時代との巡り合わせがあることを思います。(第二次)天安門事件に大学時代巡り合ったことが石平氏の人生を決定しました。
石氏は日本に留学していて事件の現場に居合わせませんでしたが北京大学で酒を呑み交わし民主化運動を闘った同志たちは現地にいました。
第一部はそのかつての同志たちと何年ぶりかで北京で再会したほろ苦いセンチメンタル・ジャーニーが悲憤、慨嘆の想いを籠めて綴られていて小説をひもといている気分になります。
学者となり政府から引き出した研究費で日本製の高級デジカメを買うようないじましい横領に走るA君、共産党幹部に賄賂を渡して汚職堕落させることは「銀弾による共産党打倒」につながると牽強付会な詭弁を弄する羽振りのよい不動産業者のE君、毛沢東信奉者でガチガチの中華思想に染まった骨董品のようなG先輩。
北京へのセンチメンタル・ジャーニーの後、石氏はペマ・ギャルポ氏の紹介で知り合った在日の中国人民主化運動のリーダー三人の一人一人にインタビューします。
その三人も石氏同様「天安門事件」の大波動に体内の血が共鳴しルビコンを渡ったのです。
第二部では中国の2ちゃんねる「強国論壇」の論調が紹介されています。
かつての反日や愛国論がずいぶん減って現在は中国国内の矛盾ぶりとそれへの批判が圧倒的です。
そして毛沢東崇拝が氾濫しています。ネット上の毛沢東崇拝のメッカは「烏有之郷」というサイトで烏有郷とはユートピアのことです。そこにもトウ小平の唱導した市場経済がもたらした社会矛盾への不満が噴き出していてトウ小平批判が渦巻き毛沢東路線へ回帰しようとする揺り戻しの動きが起きているのです。
これが本書のタイトル『中国大逆流』の深意です。

第三部でこの反動の底流を分析しています。
そのキーは「天安門事件」にあると石氏は観ています。トウ小平は「天安門事件」で閉塞沈滞した国内状況を打破しようと乾坤一擲の賭けに出ました。
それは市場経済への全面移行を呼び掛ける「南巡講和」でした。経済破綻した共産党強権国家ルーマニアの権力者チャウシェスクの悲惨な末路に恐怖したトウ小平は人民の貧しい生活を憂えたのではなく人民の不満が権力者に向けられ彼らの血祭りになることを恐怖したのです。
石氏が指摘するトウ小平の失敗は共産党の腐敗に目をつぶったことでした。共産党の腐敗がこれほど深刻な社会問題となることを見通せずこれが中国の民主化運動の起爆剤となりました。
昨年末、ネット上で立ちあがった民主化ガイドラインとしての「0八憲章」は当局の取締まりで署名者数は伸び悩み知識人レベルの民主化運動は低迷しています。
一方、社会矛盾と生活苦に直面している下層大衆は毛沢東崇拝に走っています。それを看て取った共産党幹部の中には湖南省省長の周強のように韶山の生家の毛沢東像に献花し三度の礼で参拝し、副総理の李国強も韶山の毛沢東広場にわざわざ立ち寄り銅像に拝跪しました。
胡錦涛の後釜候補ナンバーワンの習近平は発表した論文で「党の建設の基本は毛沢東思想である」と強調し、同じく後継を狙う薄煕来は毛沢東時代の「革命歌曲」を青少年に唄い奏するよう強制しています。
下からの造反ではなく、党内の一部勢力と民衆との結託による毛沢東思想に先祖返りした革命が中国の近未来に起こるだろうと石氏は分析しています。
歪んだウルトラ・ナショナリズムに呑み込まれる中国は石氏の望む中国ではありません。
    (しなの六文銭)


(宮崎正弘のコメント)恐ろしい現実を知らされると共に、中国人の底知れぬ奈落が描かれた力作でしたね。
 拙評は下記に再掲載しました。
 http://miyazaki.xii.jp/column/index.html



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(読者の声2)このメルマガの影響力、すごいですよ。
 おそらく保守陣営で最大の読者でしょうが、毎日のアクセスも最大です。ちなみに、6月4日一日分だけのアクセスを調べてみたら次の数字でした。
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(宮崎正弘のコメント)どうやってお調べになるのか分かりませんが、励みになります。ご教示ありがとうございました。
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(サイト情報)6月4日、オバマ大統領はエジプトの首都カイロで、共通の利益と相互尊重に基づく米国とイスラム社会の新しい関係について演説した。
(1)演説の全文テキスト
http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Remarks-by-the-President-at-Cairo-University-6-04-09/
(2)演説のビデオ
 http://www.whitehouse.gov/blog/NewBeginning/
(3)中東政策関連資料をまとめた国務省国際情報プログラム局のサイト
 http://www.america.gov/world/mideast.html
(4)国務省国際情報プログラム局のオンライン出版物
 http://www.america.gov/publications/books/being-muslim-in-america.html
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       (KKベストセラーズ、1680円)
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『絶望の大国、中国の真実――日本人は中国人のことを何も分かっていない』
(石平氏との共著、980円。ワック文庫) 
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
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宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/(5月31日に更新)
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