国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/05/29


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)5月29日(金曜日)
          通巻第2609号 
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 またまた日本の頭越し、ガイトナー財務長官が訪中へ
   ひたすら米国債権の購入継続の借金要請旅行。
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 異例である。
 チムシー・ガイトナー財務長官は、まもなく北京入りする。
 胡錦涛主席、温家宝首相、そして金融担当の王岐山副首相が会見すると財務省は27日に予定を発表した。ガイトナーはほかに北京大学で講演し、自動車ミュージアムにも出かける。
日本の財務担当大臣がでむいても、せいぜい温首相が会うくらいだろうから、ガイトナー財務長官は中国から“大歓迎”を受ける図式となる?

 もともと日本留学組のガイトナー財務長官は、日本語が流暢だが、国務省キャリアとして中国に駐在し、中国語をマスターした。
NY連銀総裁時代には、中国が為替操作しているとして、「不正操作」リストに中国を名指しし、指名公聴会でも、はっきりと中国をリストに加え、こう言った。
 「オバマ大統領は中国が為替を不正に操作している国であると認識している」と。

 ところが事態が一変し、ガイトナー財務長官主導での議会報告では、「中国は為替を不正に操作していない」となる。
 この間、中国は何回となく脅しをかけた。「米国債権をこれからも保有するのは考慮する必要がある」「米ドル基軸は不公平だ」「SDRを世界通貨に」「SDR債権を発行せよ」「米国の財務省要件を今後も保有するには見返りの保障が必要だ」云々。
 温家宝はダボス会議前後から声高に米国へ警告を発し、王岐山はロンドンサミット前後から猛烈にSDR改革を獅子吼した。
 米国への牽制である。

 タイミング的にはGMの倒産。政府保障の金額は天文学的だが、オバマ政権は、外国の取引業者ならびに下請け企業の連鎖倒産を防ぐために米国政府が70%の債務を補填すると発表している。


 ▲オバマ政権はあまりにも日本をあまく見ている

 そうなると、追加の赤字国債は二兆ドル以上の発行が見込まれる。すでに金利は不気味に上昇している。新規の二兆ドルがこなせないとなると(もちろん、金利が上がらなければ投資家は買わない)、中国が購入しつづけるか否かが、金利暴騰するか、どうかの岐路にもなりかねない。

 他方、オバマ政権の対日政策は中国と比較しても明らかな手抜き、いい加減の極みではないのか。
日本は何も言わなくても米国債権を買い続けるとタカをくくっている。
新駐日大使はオバマ陣営への政治献金に貢献した弁護士(それも僅か2年の交遊)を「親友」だとして日本関係に当たらせる。
企業法務に強いルースは、日本企業をかき荒らしかねない。外務省は、アグレマンを留保し、一度抵抗を見せるべきではないか。
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(読者の声1)アメリカでは弁護士のリストラが進んでいるらしい。
先日、大手法律事務所に勤務する友人から先行きを危惧する電話があった。特にニューヨークやロスアンジェルス、シカゴが酷いようで、不景気のため企業のM&A(合併・買収)が激減した結果、弁護士の需要が低下しているとのことだった。
金融危機を経て企業間の合併や買収などのケースが増えているような印象を持っていたが、それはウォールストリートのニュースに限定されることで、所謂メインストリートで進行している現状は全く逆のようだ。

さらに意外なことに、米国大手の法律事務所が上海に進出するという。既に事務所とスタッフは確保しアメリカからも数人の弁護士が出向していて、上海での業務をアメリカ主要都市並の規模まで拡大する計画のようだ。
「おいおい、国際的な基準を満たすような法的制度が整っていないチャイナで法律事務所を立ち上げるなんて自殺行為じゃないのか?」
「いや、そうでもないよ。それに最近は法の施行も円滑に行われているようだ。」
「まあ、そういう報道もあるが、俺はあまり信用してない。で、業務はM&Aが中心となるわけか。」
「うちは知的財産の保守・管理の分野が強いから特許関連も扱う。家電やDVDのようなものではなく、医薬品やバイオ関連などの所謂ハイテクと呼ばれる分野に重点を置くようになる。」
「ハイテクねえ。普通に考えたら技術を盗まれて終わりだろ。そうさせないための業務ということなら需要がありそうだ。でも、あのバイアグラの特許が通らなかったお国柄だぞ。」
「あれは2年前に認められた筈だ。そういう意味でも法的な整備が進んできているということにならないか。」
「世界最大手の製薬会社ファイザーが6年間粘って勝ち取ったチャイナでの特許。普通の企業だったら泣き寝入りというところだろ。それにライセンス料なしでバイアグラを売って暴利を得てきた中共企業が罰則金を支払うか疑問だな。基本的に国策企業という法律の抜け穴を熟知している連中を相手にする訳だから・・・。まあ、それでもチャイナで事務所を立ち上げるということは、それなりのビジネスチャンスを期待しているからなのだろう。上海で何か進展があったら教えてくれよ。」
「ああ、でも、直接の知り合いが出向しているわけではないからタイムリーな情報は期待しないでくれ。」

世界経済の牽引車と期待されるチャイナ。東京なんて通り越し、目指すはロンドンやニューヨークと豪語する上海。日本や西独が果たしてきた役割を期待するには無理がありそう・・・。
    (MI5)


(宮崎正弘のコメント)♪「背伸びしてみる上海の。。。。
 いつぞやも書きましたが、現在、「日本経済新聞」に連載されている、高城のぶ子『甘苦上海』、同時進行形で上海のビジネスの波風と嵐と裏の暗黒街、チベット仏教の闇などをのびのびと描いている傑作です。「中国人は特許を守るようになる」と誤認している欧米との知財戦争は、これから。



  ♪
(読者の声2)貴誌2606号で書いた拙見に対し、同2607号(読者の声2)で米国滞在の長い「ルイジアナの伊勢」氏が関心を持って読んで頂いたようなので、日頃、筆が滑りがちな私も少し詰めて論じたいと思います。
「シオニストの極右(であるビニヤミン・ネタニヤフ)が、黒人のリベラルに服従するか」との設問から見ますが、第一に伊勢氏が繰り返している「シオニストの極右」という前提は間違いです。
彼は確かに熱烈なシオニストですが、「その中の極右」ではありません。言い換えれば教条的右派ではない。私は彼を中東シュークの売人のような現実主義的タフネゴシエーターと見ていますが、イスラエルでの彼に対する評価は嘘吐きのオポチュニスト(日和見主義者)です。
今回の米国訪問後も(オバマの機嫌伺の為に)早速簡易入植地の解体を始めました。
これは10年前の前回の首相時にネタニヤフが右派首相として初めてヨルダン川西岸の簡易入植地を引っこ抜いた事の繰り返しです。本当のイスラエル極右はネタニヤフなど全く信用してない。
彼らは、「イランの脅威など出鱈目な作り事だ」とか、「それはユダヤ人を聖地から追い出す言い訳だ」というくらいクレージーです。古代ユダヤでは世界帝国ローマと戦争した熱心党というユダヤ人グループがいましたが、その狂信的伝統を継承している気すらする。そんな「勇敢な」人達が政権中枢に入れば外交などは無茶苦茶になる。現にラビンは彼らに殺されました。
ネタニヤフが首相になれるのは、ある意味で彼が臆病だからです。そもそも反愛国国家日本の基準で言えば、カディーマ党のリブニ党首でも労働党のバラックでも皆「極右」のカテゴリーに入る。逆にイスラエルの基準ならば「日本の極右」の石原慎太郎氏は平和愛好家並み(笑)。
 世界的に有名なイスラエルの平和団体ピースナウの代表であるヤリーヴ・オッペンハイマー氏は国民の義務である予備役には必ず従事。数年前に占領地の検問所で警備に当たっている同氏を見て他の活動家がショックを受けたという記事を読みましたが、彼の言い分は「占領地の検問所の警備は確かに自分の思想とは違う。だが、それを国民の義務として与えられた以上は全うする」でした。
私は大変感銘を受けました。戦後日本人の感覚では???となるでしょうが、そうしないとイスラエルでは一般国民の信用が得られない。
現に知人でイスラエルの共産党の様な政党の活動家は第二次レバノン戦争に予備役兵士として参加。まず安全保障、次に政治論争と言うわけです。

第二に「(ネタニヤフが)黒人のリベラルに服従するか」という疑問ですが、インサイドビュー(米国内部からの視点)ではオバマは黒人・リベラルという事になるのでしょうが、他国から見れば紛れも無い超大国の最高権力者で、関わり方を間違えるとトンでもない事になる。
現に前回の首相時ネタニヤフは(リベラルの)クリントンに嫌われて米国訪問時にホワイトハウスに立ち寄れませんでした。その後、ネタニヤフがへブロンから国防軍を撤退させたのは「服従」という見方も出来ます。少なくとも、教条的右派の怒りはネタニヤフの裏切りに煮えくり返った。
 国際政治の舞台で役者が黒人かどうかの問題はパウエルやライスが黒人だった時点で終わり。その意味で米国の保守政治家ブッシュは大変貢献しましたが、イスラエルの保守政治家ネタニヤフのリクード党支持者にはエチオピア出身の黒人もいると言えばお解かり頂けますか?
「オバマの表情から臣下に対する国王を感じたか?」という伊勢氏のご不満には、「新任教師オバマが不良少年ネタニヤフの言い訳を毅然と聞いた」と言い換えればどうでしょう(笑)。

さて現在イスラエル政府と外交筋がどれだけオバマ政権の圧力を感じているか、例として中東特使ジョージ・ミッチェルがエルサレムに常駐事務所を開設してヨルダン川占領地区監視スタッフを置いたという事を上げます。今まで米国政府は人工衛星からのデーターで同地でのイスラエルによる入植地拡張を監視してきましたが誤魔化される事が多かった。対し、今後は米政府職員が直接出向く人的手段での監視がなされるのです。
http://www.aawsat.com/english/news.asp?section=1&id=15861
 
イスラエルに白紙小切手を切ったと言われるブッシュ前大統領は(クリントンの失敗を見ていたので)元々ややこしい中東問題に関りたく無かった。任期一年目の終わりに同時多発テロが起こって仕方なく中東に干渉し始めて抜けられなくなりました。
イスラエルのメディアによるとブッシュは首脳会談時でも中東問題に関して細かい内容に立ち入らずに単にスローガンを繰り返す事が多かったのに対し、オバマは就任以前から中東問題を熟知して就任と同時に中東特使指名、事務所解説と立て続けに手を打った。下の漫画はイスラエル右派新聞マーリヴからですがネタニヤフの顔をしたケチャップがオバマに押しつぶされている様子です。
http://www.nrg.co.il/online/1/ART1/892/673.html

もし、伊勢氏のおっしゃるように「ネタニヤフはオバマは弱い大統領だと読んでいる」ならば、イスラエルは国益を損ないます。政治は一人でやる訳ではないし、何と言ってもオバマの中東政策の影には米国ユダヤ人の影があるのをイスラエル外交筋はとても嫌がっている。
    (doraQ)


(宮崎正弘のコメント)ネタニヤフ(イスラエル首相)がオバマ(米大統領)を軽視しているのは事実でしょうが、それは政治家として先輩格のネタニヤフにとって、ニュー・フェイスのオバマごときを相手にせざるを得ない小国指導者の哀しみ、切なさが混載された、複雑な感情でもあるでしょうね。
 ユダヤ・ロビィはワシントンDCで完全に分裂、国際派ソロスら左派が、リベラルのマスコミと組んで、これが民主党主流派となりイスラエル政策は随分と変わりました。
一方、イスラエル支援派、保守派はどうやら形勢不利、ヘリティジ財団、AEI、ワシントンタイムズあたりで不満が燻っているきらいがある。ヒラリーのユダヤ人脈は前者ばかりと踏んでいます。
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(読者の声3)まだ可能性がかすかに出てきたとでも言うべき段階ですが、米国と北朝鮮が対決する事態が将来おこりうべき状況がでてきました。
核兵器技術が北朝鮮からイランに提供され、それが明るみに出れば強硬手段をとるよう世論の圧力もでてくることでしょう。
その場合を考えて、今から日本政府がどう対応するか研究しておくべきことが二つあります。
ひとつは、米国政府が危険とみなす在日朝鮮人の引渡しを要求してきた場合です。
もうひとつは、日本政府の了解なく米国政府が在日朝鮮人を拉致した場合です。
これらの場合を想定して以下の4つの観点からどう対応するか、今から研究しておくべきです。
(1)日本の国家主権
(2)日本国民の安全
(3)日本の国内法との整合性。
(4)日米安全保障条約上の日本の義務の範囲の明確化。
 残念ながら、今の政府にここのところに気づく人はいなことでしょう。神戸淡路地震での政府の対応のお粗末さからかんがえて今度も同様ではないのでしょうか。残念ながら。
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)北朝鮮問題ですが、盧泰愚前大統領の自殺とタイミングが微妙に重なり、韓国では反北、反核兵器の盛り上がりより、現政権と検察が盧泰愚を自殺に追い込んだとする政治的プロットと左翼のプロパガンダにより、反政府運動の盛り上がりが危機水域に達しようとしている。
 米国としても韓国が保守政権誕生により、せっかく反米から親米気運にチェンジしていると認識しなおした矢先ですし。
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  • 悲観桜2009/05/29

    本日の勝負は聴きました。

    佐藤赤魔猿が出てませんでしたからね。

  • 名無しさん2009/05/29

    盧泰愚前大統領ではなく盧武鉉の間違いでは?