国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

全て表示する >

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/05/23


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成21年(2009年)5月23日(土曜日)貳
         通巻第2605号 
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△

 今度は新「通貨バスケット」を提唱し米英を揺さぶり続ける中国
  世界市場が人民元をいかように信用するのか、そのプロセスが明示されない
****************************************

 英米のホンネが見える。
 中国は基軸通貨の「米ドルをやっつけろ」とばかり、今度は通貨バスケット導入を主唱している、と英紙『フィナンシャル・タイムズ』が報じた(22日付け)。
 「やっつけろ」の箇所の原文は「knock off its perch」。

 動きを整理してみよう。
三月に中国人民銀行総裁の周小川が、IMFを改革し、「SDRを通貨に」と主唱した。
この発言に欧米がたじろいだが、公の場で議論はおさえられた。しかしG20(ロンドン・サミット)のロビィでは、この中国の提案でもちきりだった。ガイトナー財務長官は狼狽した。

 同じく中国人民銀行(日銀に相当)の胡暁煉・副総裁(女性)は「IMF改革のために『SDR債』を発行したらどうか」と提案した。
 SDRは1969年に創設され、185ヶ国でクォータを分かち合っている。ロンドンサミットではIMF増資が決まり、日本1000億ドル、EU1000億ドル、中国400億ドルを拠金する。IMFの資本金は7500億ドルに増えた。


▲ウォール街が調べたら、中国の外貨は82%がドル建てだった

 中国の外貨準備は1兆9540億ドルだが、このうち、7679億ドルが米国債権の保有である(三月末現在)。日本は6867億ドルだから中国が日本より多い。
ところが、中国のポートフォリオを観察したところ、外貨準備高の82%がドル建ての金融商品で、とくに長期債より短期債(なかでも財務省証券)にシフトしている(ウォールストリート・ジャーナル、5月22日付け)。
ドルを長期に保有する投資戦略が短期の債権、社債へ急激にシフトしていると言うのだ。

 これを背景に「2010年にもGDPで中国が世界第2位になる」などと傲慢な自信が溢れだし、09年五月半ばに上海で開催された「陸角嘴フォーラム」のテーマは「上海をいかにして香港、ロンドン、NY並みに世界の金融センターにするか」だった。中国を代表するバンカーに中央政府からは周小川人民銀行総裁ら700名が出席したことは小誌でも述べた。


▲上海の国際金融センター計画は遅れている

一年後に迫った「上海万博」に、米国館が出来るのかどうか、まだ定かではない。
しかし上海の金融センター化は、近未来の大きな目標である。
 嘗て朱容基首相は「箱ものばかりつくってどうするんだ」と嘆いたが、金融センターに必要なのは第一にNY証券取引所のようなコンピュータ管理の巨大システムである。
 第二は規制緩和がなお必要なことである。

 兪正声・共産党上海市委員会書記は「上海を国際金融センターとすることは、中国の金融分野を開拓するためでもあり、経済発展方式の変換と調和的な持続可能発展の実現のための選択でもある。上海にはすでに比較的整った金融市場システム・金融機構システム・金融業務システムがあり、国際金融センターの建設を加速するための良好な条件が備わっている」と獅子吼した。

周小川人民銀行総裁はこのことに深くは触れず「世界の金融危機は、G7の間で解決可能であり、中国はこの一連の動きの中で発言力を高めた」と述べるに留めた。
会場からは「中国は国際化のために人民元建てのボンドを発行し、世界に買わせろ」などと威勢の良い発言もあった(ウォールストリート・ジャーナル、5月18日付け)。
 
問題点を指摘したのは屠光紹・中国証券監査委員会副主任だった。
 「金融センター化する鍵はなんといっても中央政府の権限になる規制緩和である。上海市政府と中央政府との政策のすりあわせがない限り、すぐに国際化することは無理があり、また上海市条例など、中央政府の政策改正にともなって地方政府レベルでの規制緩和が夥しい」と問題点を指摘した。
 
第三に必要なのは透明な情報、それを可能とするための言論の自由である。
 言論の自由がない国では、マーケットは情報操作を受けやすく、決して国際的な取引が出来ない。
 ところが上海市トップの愈正声は、金融国際化に一言だけ言及した後、次のようなインフラ整備に関して自慢げな報告をしただけに終わった。「上海南匯区を浦東新区に組み入れることを中国国務院がこのほど認可した。新たな浦東地区は国際的な金融センターと水運センターとして上海を建設するにあたっての機能集中エリアとなる」。


▲人民元がハードカレンシー化して、世界のシェアの3%だって?

 「2020年までに世界の外貨準備の3%は人民元に」とする発言は上海銀行監査委員会副主任から飛び出した。
 この目標は達成可能の数字ではある。
 ちなみに、世界の取引通貨のシェアは下記の通り

 通貨         07年12月    08年12月
〜〜〜〜〜〜      〜〜〜〜〜〜   〜〜〜〜〜〜〜〜
米ドル        44・6%      44・8%
ユーロ        34・3%      35・3
ポンド         9・3        7・2
日本円         3・5        4・3
スイスフラン      1・9%       1・7%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(出典    BIS報告)


この一覧を見ても、人民元はまだ世界通貨の片隅にも評価されておらず、国際決済に人民元を使う動きはない。

そこで中国は、正面切って「ドル基軸体制に代替する」などと豪語しながらも、じつは六カ国のの中央銀行と「通貨スワップ協定」を結んだが、総枠は950億ドルでしかない。
 バーター貿易的な決済はベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマーなどで行われており「人民元経済」を形成しているが、これらは率直に言ってアングラ経済の類いである。
 そこで新手が繰り出される。中国はブラジルとの間に貳国間決済の導入を合意し、貿易を人民元とブラジルレアル通貨で決済し合うとした。

これらが背景にあって、「2020年までに世界での外貨準備の3%だ」と上海銀行監査委員会副主任の張光平が発言したわけだが、現実の数字を横目に「ドル、ユーロ、ポンドにつぐ日本円、スイスフランに追いつき、追い越し、同様に日本円も駆逐して、人民元が世界第四位の主要通貨となるだろう」と言い出したことを記憶に留めたいものである。
    △
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(休刊のお知らせ)小誌は地方講演のため24日、25日が休刊です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ♪
(読者の声1)貴誌2602号に採り上げて頂いた愚生の投書に池田一貴氏から長い批評をいただき恐縮いたしてをります.論争に深入りするつもりは全くありませんのでもう一回だけ書かせていただきます。
まづお断りしておきたいのは,愚生が述べたのは(「・・・と思ひます」と言ふやうな表現を使ってはゐますが)意見ではなく,事実認識である,と言ふことです。
愚生が子供のころ,「支那」,「朝鮮」と言ふ呼称には明確な侮蔑の響きがありました。
子供ですから理屈で考へてさう思ったのではなく,単に当時の日本のさう言ふ風潮に染まってゐただけにすぎません.つまりこれらの呼称は当時差別語だったのです.さう言ふ事実を無視して「”支那”は差別語で(あったこと)はない」と主張するのはをかしいのでは,と疑義を呈したまでです。

「ある時期(戦前・戦中)に一部の人々が侮蔑的なニュアンスで使った言葉だからといって、それを侮蔑語・差別語と決めつけることはできません」

と仰いますが,その「一部」が本当に取るに足りない小部分であるならその通りでせう.しかし愚生の認識ではとても一部,と言へるものではなく,日本人のかなり(曖昧ですが)の人がさう言ふ感覚を持ってゐたと思ひます.であるからこそ支那がその呼称を嫌ふのではないですか.

「よしんば「支那」に侮蔑的なニュアンスがなくとも、蒋介石は「支那」を使わせたくなかったのです。支那国内の「支那」を冠した施設名の存在は許しても、日本人にだけは支那を使わせず、「中国」「中華」と呼ばせたかったのです。なぜなら、蒋介石にとって日本人は「倭奴」にすぎなかったからです」

とはずゐ分変な理屈ですね。蒋介石は心底日本を憎んでゐたかもしれませんが,日本人を太古の支那人のやうに「倭奴」と思ってゐたでせうか.さうだとしたらなぜ日本に留学などするのですか.彼が「支那」と言ふ呼称を捨てたがったのは,それに付き纏ふ古く遅れた国と言ふイメージを嫌ったことと,やはり日本人が使ふ「支那」の呼称に侮蔑の響きを聴きとったから,と考へるのが自然であると思ひます.また欧米にも「China」と言ふ呼称がに侮蔑的意味を伴ってよく使はれるとのことですが,それならなほのこと愚生の認識が正しいことが裏付けられたことになるでせう(さうなると何故日本以外で「China」の使用を黙認してゐるのか,と言ふことになりますが,支那の場合,アメリカ,ドイツ,フランス,イタリア,日本(ジャパン)と言ふやうな「国名」にあたるものは,欧米語では結局「China」しかなく,それでその呼称を許してゐるのではないでせうか;「中華」と言ふのは本来単なる形容詞なのですから翻訳して国の呼称に使ふわけにも行かないでせう;しかしこれは素人の思ひつきつきにすぎません).
愚生の考へが左翼や人権派の人たちのそれと同じだ,と言ひますが,左翼であらうと右翼であらうと事実を正しく認識すれば同じ結論になます。
ただ左翼や人権派がこの問題を取り上げる目的やニュアンスはまるで違ふでせう.彼らはだから「支那と言ふ呼称は使ふな」,と言ひますが,愚生は遠慮なく使へ,と言ひます.「支那」は古来からの呼称で,「卑弥呼」や「倭奴」などのやうな悪意ある蔑称とは違ひます。
繰り返しますがそれが差別語になったのは支那の自業自得なのです.名前を変へても実態が変らなければ新しい名前もまた差別語に堕して行きます.「中国」や「中国人」と言ふ呼称にさう言ふ傾向がみえないでせうか。
支那が今やるべきことは,「秦」と言ふ国名に由来すると言ふ由緒ある「支那」と言ふ呼称を大切にし,それに世界が畏敬の念を抱くやうにすべく自らを律することです.
  (NN生,横浜市)



   ♪
(読者の声2)貴誌2603号(読者の声7)でインフルエンザウィルスのことについて述べた者です。対して、2604号(読者の声2)ST生さんの「不正確」という批判に対する釈明をさせていただきます。
まず、「擬人的」表現による説明であったということを忘れてもらっては困ります。
またこれと関係のあることですが、私は「栄養となる物質」と言ったのであって、「栄養素」などとは言っていません。したがって、「摂取ないし捕食することはありません」という批判は、当てはまりません。
 ついでに言うと、私はウィルスのことを「生命」とか「生物」と言った覚えもありません。
したがって、「ウイルスは自身生命活動を行わないので」という批判も、当てはまりません。
私は、単に「活動」と言ったまでです。
さらについでに言うと、「生命活動」も、物質レベルで見れば、「分子」等の「化学反応」が基本となっている現象のはずです。
ウィルスは、確かに、生物(生命)ではありません。
ですが、『生物(生命)のようなもの』とか『生物(生命)に準ずるもの』といった言い方は許されるはずです。ならば、自身を複製したり、人体に有害な物質を生み出したりするのを、「活動」と表現しても、学術的にはともかく、一般向けの説明では許されるのではありませんか?
 確かに、ウィルスには消化器器官のようなものはありません。
したがって、「栄養素を摂取ないし捕食する」と言ってしまうと誤りになるでしょう。(私はそう言った覚えはありませんが。)
ウィルスの場合は、自身に必要な物質を、「取り入れる」というよりは、「結び付ける」とか「捕らえる」と言った方がいいのかもしれません。

とはいえ、複製を生み出すためには何らかの物質が必要になるということは確かでしょう。何の物質も必要としないのであれば、ウィルスは『無からの創造』で自身の複製を生み出していることになってしまいます。
これでは、『質量保存則』さえ無視する『奇蹟』になってしまいます。私は、このようなウィルスが必要とする物質のことを「栄養となる物質」と表現したまでです。
 ちなみに、抗生物質の中には、「栄養となる物質」をウィルスが捕らえようとする働きをブロックすることで(増殖を妨害し、結果的に)ウィルスを死に至らしめようとするものがあります。「鍵穴を塞ぐ」という表現が用いられる場合もあります。
 もちろん、これらはいずれも、学術的な専門家向けの表現というよりは、一般向けの説明の際に用いられる表現というべきなのかもしれません。「栄養となる物質」という表現も、そのつもりで用いたのですが…。
 ちなみに、私流の表現で言わせていただくならば、『清潔にする』ということは、単にウィルス(や菌)そのものを取り除くことになるだけでなく、ウィルスの「栄養となる物質」を取り除くことにもなる行為…となります。日本で疫病の発生が比較的少なかった理由の一つに、日本人の清潔好きがあると私は考えます。
 さらに言わせていただくならば、「同一のウイルスの個体が餓死せず生き続ける」とも、私は言っていません。また、乾燥した状態でも、インフルエンザウィルスは時間が経てば死滅します。(破壊される。)
単に多湿な場合に比べれば長生きするという相対的な話でしかないのです。 
ST生さん自身、ウィルスは「人の体内で複製されるといように連鎖反応で何代にもわたって存在し続ける」とか、「自身が破壊される前に複製されることにより、存在し続けることができ」ると、仰言っているではありませんか。
ウィルスがそういうものなのであれば、「栄養となる物質」が無くて複製が出来ずに破壊され(死滅し)てしまうことを「餓死」と表現しても、学術的にはともかく、一般向けに分かりやすくした擬人的表現としては許されるのではないでしょうか?
  (T.T)


(宮崎正弘のコメント)石原都知事の昨日の記者会見は「騒ぎ過ぎじゃないの」でしたが。。。。。。
   ☆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(編集部より)次号は5月26日(火曜)号になりますのでご了解ください。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 
  ♪
宮崎正弘の新刊 
http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
宮崎正弘・石平 共著
『絶望の大国、中国の真実――日本人は中国人のことを何も分かっていない』
(定価980円。ワック文庫) 
  
 ♪♪
宮崎正弘の近刊  絶賛発売中!
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去のバックナンバー閲覧も可能です)。
 http://www.melma.com/backnumber_45206/
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2009 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-08-18  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ日刊  
Score!: 99 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。