国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/05/21


本日も増ページ。小誌愛読者14400名!
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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年)5月21日(木曜日)
        通巻第2601号 (2600号突破記念号)
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 グーグル、NYタイムズの買収を断念
  メディアのチャンピオン、紙メディアの将来を見限った?
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 フィナンシャルタイムズのインタビュー(5月20日付け)に答えてグーグルのエリック・シュミット会長は、噂されたペーパー・メディアへの進出を断念したと語った。同会長は買収の標的としたメディアの名前は出さなかった。

 とくにNYタイムズは経営難に陥って六月末の支払いが出来ないと同社はチャプター・イレブン(会社更生法)の申請か、と業界を駆けめぐる噂。
グーグルが買収に動くと見られていた。
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●◎ブックレビュー◎●BOOK REVIEW◎●書評◎●ブックレビュー◎●
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 現代史家が見落とした板垣征四郎と石原莞爾の友情を軸に
満州事変から大東亜戦争を独特に筆致で描き尽くした力作

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福井雄三『板垣征四郎と石原莞爾』(PHP研究所)
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 板垣征四郎と石原莞爾という満州建国の双璧を、現代史の激しい変遷の嵐の中に捉え直し、歴史的な再評価を試みる、心血を注いだノンフィクション。
 石原莞爾についてはすでに語り尽くされたきらいがある。軍事作戦の天才、世界歴史のパースペクティブにたって戦争の終末を予言した宗教家の側面。しかし東京裁判の被告にはならず、いまでは軍事思想家という評価がほぼ定着している。後者の視点でいえば『世界最終戦争』など宗教的文明観が強すぎるため過大評価とも言える。

 対照的に板垣征四郎は、現代史から抹殺されたがごとく歴史の闇に埋没させられてしまった。終戦時、板垣はシンガポールにあり、終戦の詔がでると抗戦をやめ、従容として裁判に赴き、しかし徹底的に日本の主張を通した。
 板垣は悠揚迫らぬ大人の風格をそなえ、部下からも慕われた将軍だった。
 自殺に失敗した東条英機も裁判では「自衛の戦争であった」ことを立派に主張した。
 石原莞爾は東条嫌いで、戦争中にも東条に辞任を迫り、その作戦の誤りを面罵し、当時の最高指導者をくそみそに批判した熱血漢だった。
 板垣と石原は1920年から21年にかけて漢江で一緒だった。偶然という人生におこりうるチャンスを二人は活かした。
肝胆相照らし、激論し、飲み交わし、生涯の友となる。

 詳しくは本書の歴史的叙述を読んでいただくことにして、本書には現代史かがまったく歪曲するか誤認して過小評価している甘粕正彦に関してもかなり公平にページが割かれている。
甘粕大尉は誰かの罪をかぶって大杉栄殺しの汚名を着せられたが、真犯人はほかにいるだろう。かれは服役後、新天地を臨んで満州へやってきて、特務工作に従事し、映画をつくり、しかし虚無主義が強く、満州の夢がついえたと同時にピストル自殺して生涯を終えた。

 著者の福井雄三氏は、司馬遼太郎の似非史観をあますところなく批判した貳冊の労作もあるが、本書では城山三郎という反戦作家が書いた『落日燃ゆ』で、広田弘毅の最後の場面の嘘にも触れている。
広田は自分の運命として民間人の戦犯を代表する形で処刑されたが、最後まで動揺せず、釈明もせず、しかし最後に天皇陛下万歳を叫んで絞首刑になった。
 最後に立ち会った花山信勝が証言を残している。
それを城山は「(大東亜戦争は)漫才をやった」として広田が天皇陛下万歳には背を向けたと書いた。高潔な人格者の広田弘毅を、結局は貶めていると司馬の似非史観の亜流作家の欺瞞をつく。

 それにしてもエピローグも圧巻で、結局のところ、ルーズベルトは米国の国益にならなかった参戦を何のためにやったのか、という解釈を敷衍する。
米国は真珠湾をひたすら待って、国内世論を転換させ日本にドイツに戦争をしかけ、反共が国是の路線を気づかれないように転覆させていた。日本との戦争をアメリカ人の大半は反対していた。だから日本の真珠湾攻撃が必要だった。
日本が奇襲したとき、ルーズベルトはほくそ笑み、チャーチルは電話をかけて言った。「これで我々は同じ穴の狢(むじな)だ」と。日本の主要敵は英国であり、まさか米国が参戦してくるとは想定外のシナリオ、チャーチルが敗色濃い戦局を米国の助けで乗り切る戦略だった。
しかしそのチャーチルさえ、ルーズベルトが陰謀家であり、容共であることを見抜けなかった。
かれは戦後の世界地図を描き、東欧も反共の勢力圏に入れようとしていた。
 ルーズベルト、トルーマンの米国はヤルタの密約があるとはいえ、ポーランドをソ連の蹂躙にまかせ、東欧諸国がソ連の属国となるのを拱手傍観し、反共の蒋介石を捨てて毛沢東を密かに支援し、やがて大統領の代が変わると米国は朝鮮戦争で反共の防波堤としての韓国を守るために多大な犠牲を支払った。ベトナムではフランスの尻ぬぐい、イラク、アフガンは英国の尻ぬぐいと言えなくもないだろう。
福井氏は日本の北進計画(ソ連をドイツと挟み撃ちするのが反共同盟)を謀略によって南進させ、近衛内閣ブレーンにスターリンに奉仕した共産主義の信奉者がゾルゲと組んで政策を誤らせたように、米国の政権の中枢にソ連に同情した共産主義者がいて米国を間違った方向へ導いたのだとする。
凄まじい謀略に巻き込まれ、馬鹿を見たのは米国のサイレント・マジョリティだ。そのあおりを食らって国家破滅の淵におちた日本の指導者。戦争責任は謀略をみぬけず優柔不断の政策をとった近衛に原点があるのではないか。大日本帝国陸軍の強硬派も海軍の反・陸軍思想も、関東軍の暴走も敗戦の主因ではない。強いて挙げれば山本五十六の博打好きか。等を福井雄三氏は本書の中で示唆する。

 最後のページの「解説」を西尾幹二氏が熱意をこめて書いている。
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 大教室から溢れる呉善花教授の人気講座を新書で再現
  日本は世界の美の博物館ではないのか


 呉善花『日本の曖昧力』(PHP新書)
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 呉善花さんの新作は日本人の曖昧な態度や文章や、その美の基底にある日本人の謎に迫る力作となった。
 もともと拓殖大学で教鞭をとり、その講義録を雑誌『歴史街道』に連載、まとめるに当たって改稿した作品だから年季が入っている。呉さんの熱情と日本への思いが深く籠められている。
著作のあいまに神話に出てくる高千穂などの現場や、古書に登場する秘境を旅しつづけ、日本人の学者でも行かない場所を踏査された過去の蓄積が、本書でもそこはかとなく滲み出る。
 本人からある日、直接聞いたことがある。
拓殖大学でこの講義を始めるや、大学当局が予想した学生の二倍が聴講に駆けつけ、教室は満員。大教室に移動することになった。
とくに日本人の学生が「そんな歴史、高校まで教わらなかった」、「先生の日本論に、とても勇気づけられた」、「日本人として自信が湧いてきた、ありがとう御座います」という声に囲まれたという。なかでも印象的なのは、留学、帰国子女らが日本人としてのアイデンティティさがしを始めても、世には左翼全盛の文化論、ようやく探し求めた日本人論が呉教授の所論だったと聞かされたとき、きっと感動的な講義をされているに違いないと思った。
 そして、まさに本書はそういう内容なのである。
 韓国の軍隊で暮らした後、まるで日本語も喋れずに日本へ留学した呉善花さんは、『スカートの風』で颯爽デビューされた。いまでは初期の作品群とはかけ離れて、日本学の肯綮、日本美の新発見にその努力を集中されている。
そして在日四半世紀を超えて、日本国籍も取られ、ますます日本研究に打ち込む姿勢、その論壇における存在は希有のものとなりつつある。

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(読者の声1)貴誌前号速報「駐日大使にナイ教授がはずれ、オバマ大統領の友人が指名へ。
1.大使の今昔:
大使というのは通信の発達していなかった時代には、本国指示をまつことなく、自国政府の方針にのっとり案件を処理したものです。文字通りの大使でした。しかし通信が発達すると瞬時に本国から細かく訓令が入るので、昔の大使は小使レベルになってしまいました。このため大使の業務はもっぱら外交儀礼や式典がメインになっているそうです。

2.心配:ただし米国大使は日本にとって死活的に重要なので、日本に違和感を持つ人だとまずいことは間違いありません。日本を敵視する外国も新大使の取り込み工作を進めると思います。どんな人なのか、今後の日本政府の対応は非常に重大です。
    (東海子)


(宮崎正弘のコメント)いずれにしても新大使は、ヒラリー国務長官の配下になるわけですから。対日外交を決めるのはヒラリー・クリントン国務長官と、あのリベラルの巣窟=在日米国大使館に巣くう左翼と国務省のジャパンスクールという怪しげなリベラル派が最終決定をする。大使は、もし信念があれば、マンスフィールドのように穏健な路線を堅持するでしょうし、アマコストのような人なら利益優先型外交に陥る危険性があります。



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(読者の声2)貴誌2600号(読者の声1)でTT氏がマスクの効果について書いていられます。この件に関して私の気づいたことをコメントさせていただきます。
1.マスクは効果があります。
鼻腔の粘膜が乾燥すると、粘膜の中での免疫力が弱くなります。したがって、マスクをすると鼻腔の粘膜が湿って免疫力が強まります。
2.マスクによる感染予防力は呼吸器からの感染を防ぐという意味では、防菌加工のされたもの以外はあまりありません。
ただし防菌加工されたマスクを着用しても眼からインフルエンザウイルスが入ってくるのは防げません。
また手に付いたものが自宅の中に入ってから、結果的に体内に入る可能性があります。
要するに防菌加工のされた高価なマスクをして、メガネをして、帰宅時に手を洗えばそれなりの効果はあるということです。豚インフルエンザが発見された直後メキシコ政府は、咳やくしゃみはにの腕に向ってするようガイドを出しました
   (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)それにしてもWHOの記者会見をみていると、日本の対応の異質性に注目しているようですね。



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(読者の声3)貴誌前号および前々号で「支那」という呼称について議論がありましたので一言。
もともと「支那」という呼称を使い始めたのは支那人自身でした。日本では空海が使ったのが最初です。途中を端折っていえば、明治以降の日本人は、かの大陸の国をずっと支那と呼び習わしてきました。右翼・左翼・一般人みんな、そうです。
ここではとても全部を紹介しきれませんので、詳しくは下記URLの拙文を参考にして頂ければ幸いですが、一点だけ申し上げれば、日本から支那と呼ばれるのを嫌い、敗戦後のどさくさに「わが国を支那と呼ぶな。中国と呼べ」と、GHQの威光を笠に着て圧力をかけてきたのは蒋介石でした。中共も国交回復後その姿勢を引き継ぎました。
http://ikedaikki.blog103.fc2.com
または
http://ikedaikki.exblog.jp/
の【「支那」は差別語か?】を参照してください。

「支那」が蔑称であるとか、差別的であるとかいうのは全くの虚構です。
戦前の左翼も(片山潜、大杉栄、荒畑寒村、そしてあの小林多喜二や宮本顕治ですら)支那という呼称を使っていた事実を、具体例を挙げて指摘しています。この際ですから、ぜひ認識を新たにして頂きたいと思います。
「支那」を使うのも「中国」を使うのも各人の自由ですが、「支那」が蔑称・差別語であるという誤解だけは、日本から一掃したいものです。
    (池田一貴)


(宮崎正弘のコメント)素晴らしいブログとHPをご紹介いただきました。ありがとう御座います。日本海を「東海」と韓国は僭称していますが、中国は「南シナ海」を教科書に「南中国海」、東シナ海を「東海」と記述するようになっています。



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(読者の声4)貴誌2600号に「ロシアのネオナチ過激派」のことが出ていて、Hはロシア語のアルファベットで8番目の文字で、その重なりのHHはハイル・ヒトラーの暗号という、と説明されています。
Hは15番目の文字で、ローマ字に当てはめればNになります。従って「HH」はローマ字読みすればハイル・ヒトラーなのですが、ロシア語にするとネオ・ナチズムの頭文字とも言えます。もしかすると、その両方を掛けた暗号かもしれません。
(none)


(宮崎正弘のコメント)ナルホド、そうですか。小生の情報源は欧州のロシア観察専門誌ですが、そこまでの深読みはしていませんでした。
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宮崎正弘の新刊 
http://miyazaki.xii.jp:80/saisinkan/index.html
宮崎正弘・石平 共著
『絶望の大国、中国の真実――日本人は中国人のことを何も分かっていない』
(定価980円。ワック文庫) 
  
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宮崎正弘の近刊  絶賛発売中!
『やはり、ドルは暴落する! 日本と世界はこうなる』(ワック文庫、980円)
『中国がたくらむ台湾・沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
 『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ、1680円)
 『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
 『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
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