国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/05/13


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 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成21年(2009年)5月13日(水曜日)貳
          通巻第2592号 
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 こんどはロシアがダイヤモンドの独占的備蓄を始めている
  「デビアス」の寡占体制に風穴を開け、世界市場を制御する野心か?
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 日本ではダイヤモンドは結婚式の宝飾品としか考えられていない。戦略物資であるという世界の常識は日本では通じない。いや、もっと言えば日本で売れているダイヤモンドは某社のCMのように「月給の三倍が目安」。
(いったい誰がそんな基準を決めたんだ)

 世界的市場性からいうと日本のダイヤモンドは特殊なマーケットで、1キャラット以下の、世界では換金の対象とはならない小粒のものに結婚市場が集中しているだけ。
 そして小粒なのに、価格は不当なほど高い。

 世界的規模と歴史を一瞥しよう。
 ダイヤモンドは80年代まで、ほぼ南アに産出が限定され、アングロ・アメリカ、BHP、リオテントなど大手鉱業企業が発掘し、ダイヤ原石はデビアスが独占した。競合企業はデビアスによって巧妙に排斥された。

ロンドンで決められる価格は、デビアスが需給バランスを睨んで一方的に決め、NYやベルギーやイスラエルの研磨業者に入札された。その後の流通段階では「ニューヨーク・カット」とか「アムステルダム・カット」とかの最新のファッション性で市場では売られる。
当時、ダイヤモンド世界第2位の生産国はソ連だった。しかしソ連は西側との窓口を持たず、工業用ダイヤモンドに限って輸出を続けた。
工業用ダイヤは削岩機、研磨機などに使われる。

デビアスの寡占体制を破壊したのは、西側だった。例の独占禁止法である。
つぎにソ連が崩壊し、ダイヤモンドがどっと西側にでる。
さらにダイヤモンドはアンゴラ、ナミビア、コンゴ、リベリア、シオラレオネなどでつぎつぎと金鉱が発見され、供給が豊富になった。
デビアスは巨費を投じてこれらの新興金産出国を抑えにかかる。だが寡占は無理だった。


 ▲デビアスのダイヤモンド市場寡占は崩れた

デビアスの寡占をさらに破損するのはアフリカ特有の部族紛争と不正輸出。ゲリラの武器調達のためのダイヤモンド原石との交換などで、密輸業者が潤い、世界のマフィアが乱戦。この頃、日本でも中央アフリカ産のダイヤモンドが割り引きセールで売られたことがあったっけ。
 
 それでもデビアスは08年までは世界の40%のダイヤモンド市場を抑えてきた。
 ロシアが、ダイヤモンド市場に参入し、産出量では世界一になった。国有企業「アルロサ」社(アレクサンドラ・ミリニン会長。90%株主はロシア政府。つまり、これも『プーチン・カンパニィ』のひとつ)が世界市場の25%を占めるまでになった。デビアスが一方的に価格を決める体制は吹っ飛んだ。

 そして世界大不況。
 世界で215億ドルと見積もられるダイヤモンド市場は、2009年に120億ドルに冷え込むだろう。
価格は70%暴落したため、デビアスもロシアも供給を急減させて、価格維持に努めた。

 だがダイヤモンド市場は値崩れを始めた。
デビアスはロシアと共同して供給量を減らし、価格維持を図るが、EUの独占禁止法の壁を前に円滑な価格操作ができない。
これにより資金繰りにこまり、株主に8億ドルの社債を売りつけて急場を凌いだ。デビアスはロシアと組んで価格維持の共同を提案し、ロシアは価格暴落を避けるために共闘を受け入れる。

 ところが、ところが。
 ロシアは価格維持という目的は同じでも、デビアスと逆の戦術を行使している。
 08年12月からダイヤモンドの供給を止めたのだ。プーチンがウクライナ、バルト三国、グルジア向けのガス供給をとめたように。

 同時にロシアはダイヤモンド原石の戦略備蓄を開始し、インド、ベルギー、イスラエルの研磨業者とは長期契約に切り替えたのだ。
 「毎月300万キャラットに相当するダイアモンド原石が品質ごとに選別され、大量に備蓄されている」、「すでに備蓄は4万5000キャラットと見積もられる」(ヘラルド・トリビューン、5月13日付け)。

 市場はいずれダイヤモンド市場で原石が払底し、価格は暴騰するだろう。そのときに供給を統括するのは、老舗デビアスではなく、ロシアのアルロサ社になるだろう。
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10月17日(土)   日米関係と多極化の時代        藤井厳喜vs井尻塾長
11月21日(土)  構造改革と国体の破壊          関岡英之vs井尻塾長
12月19日(土)  日中比較文化論             石 平  vs井尻塾長
1月23日(土)    政治権力の正統性           佐藤 優 vs井尻塾長
2月20日(土)    日本人の美意識             田中英道vs井尻塾長
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開講時間:毎月第3土曜日13時〜17時(第8講のみ第四土曜日)
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申込み: 拓殖大学オープンカレッジ課 03−3947−7166
http://www.takushoku-u.ac.jp/extension/nihon-juku/curriculum.html
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(読者の声1)現在、書店に並ぶ紀尾井坂版元月刊誌に連載の『昭和天皇』の最後は「天皇は、吉田松陰の孟子解釈を踏襲した国史学者、平泉澄らを警戒しはじめていた」と結ばれています。
次号でどんな平泉澄論が展開されるのか愉しみです。
「平泉澄ら」と複数形にしているのは蓑田胸喜も登場するのでしょうか。みちの宮の生きた明治、大正、昭和期の史実を隈無く微細に渉猟している連載子としては蓑田胸喜を取り上げない訳はないでしょう。
かつて紀尾井坂版元に雇われ、罷めた後に本名から「志」を欠き落とし、愛郷塾開祖橘孝三郎の縁戚を自称し、衒学を妖術とし浮薄な博学ぶりで読者を誑かし惑わしている立花某と軌を一にする論調に『昭和天皇』がなりゆくかどうか、連載子の論展を想像するとますます愉しみです。
同号の特集ページで佐藤優氏がロマノ・ヴルピッタ氏の銘著『ムッソリーニ』を取り上げています。呉智英氏は石光真清の『城下の人』に始まる四部作を「こんな名著の存在を知らずに、十代も二十代も過ごしていた」「青春恥多し」と述べています。全体としてプラスマイナス相半ばの一冊です。
ところで平泉澄は起きたばかりの二二六事件を青森連隊の秩父宮へ急報しました。
それを受けて帝都に駈け戻る昭和天皇の血気盛んな弟宮を平泉澄は越後湯沢駅で待ち受け列車内で数時間に亘り二人だけで密議を凝らしたと伝えられています。
しかし密談の内容について秩父宮はもちろん平泉澄も片言隻句語らず洩らさずだったと了解します。これがどんな中身で、秩父宮と天皇の会談にどう影響を及ぼしたか解明されますと平泉澄の評価は大きく動くことでしょう。
二二六事件と昭和維新の見方にもかなり影響するのではないでしょうか。
       (有楽生)


(宮崎正弘のコメント)なにはともあれロマノ・ビルピッタさんの『ムッソリーニ』(中央公論社)は名著です。古書店で手に入りますが、復刻が待たれますね。ビルピッタさんは幼き頃、母親に連れられてムッソリーニと会った、貴重な体験もお持ちです。



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(読者の声2)いつぞや貴誌のコメントで『中国の人工処女膜の名前がジャンヌ・ダルク』で笑ってしまいました。
アヘン戦争以来の刷り込みなのか中国人はほんとに白人に弱いですね。日本で言えば昭和30年代〜40年代。
 香港の指壓・按摩の看板には鬼妹(白人女性)という表記がありました。西洋人(洋鬼)の女性(妹)でしょうか。日本人も日本鬼・東洋鬼と言われますが白人女性も鬼とは。鬼妹の値段は中国人(香港・大陸)の2倍、タイやフィリピンは2割安程度。鬼という表記には愛憎混じった感があるように思われますが単なる慣用句なのでしょうか。
 ところで中国関連のニュースを配信しているサーチナに次のような記事がありました。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0511&f=national_0511_020.shtml

【中国ブログ】日本が近代化に成功し、中国が失敗した理由

前略
 「中国人が日本に対して複雑な感情を抱いているのは良く知っている。明治維新以前
の日本にとって、中国は教師のような存在であった。日本は明治維新を成功させたが、
我々の「戊戌の変法(明治維新を参考にした改革)」は失敗に終わり、国力は日毎に衰
え、中国は日本に敗れ去った。ここから怨恨が始まり、その恩讐は未だ解決していない

 日本人の素養について、初めて訪日した際の驚きを今でも覚えている。日本では汚れ
た窓ガラスを見かける機会がほぼなかったのである。逆に、中国の場合は綺麗な窓ガラ
スを見かける機会は少ないのであった。」
後略

 綺麗な窓ガラスが文明度のひとつのバロメータであるのは事実ですね。
インドから来た人たちも日本の商店やビルの窓ガラスがあまりにも綺麗で驚いたと言います。実際インドでは最高級の特急列車でさえも窓は曇ガラスのように薄汚れ、景色はほとんど見えません。中国などちょっと田舎に行けば窓ガラスさえない家がたくさんあるのはご存知の通り。北朝鮮では平滑なガラスすらまともにつくれないとか。
 透明度といえば氷も文明度の尺度になりますね。
先進国〜中進国では透明な氷は当たり前ですが、途上国では気泡の入った白い氷がほとんど。タイやマレーシアの氷は透明で安心できますが、インドやインドネシアなどでは白い氷で雑菌が入っていないだろうかとか悩みます(中国の田舎も同様です)。タイでは日本で一袋200円のロックアイスが40円もしませんし普通の透明な穴あき氷なら1キロ20円以下。昆明では歩道を引きずった氷をビールに入れられ、みごとに下痢でした。
 中国が北京オリンピック〜上海万博に向けマナー向上のキャンペーンをおこなっていますが、1970年代の大阪など整列乗車しない、立小便は当たり前、で今の中国と大差なかったかもしれません。
中国人も日本で数年暮らすと話し声は小さくなりますね。
2020年ころには中国でも今の日本並みのマナーが定着することを願っております。
  (PB生)


(宮崎正弘のコメント)いつぞや香港の二階建てバスで、まわりが皆、携帯電話に向かってしゃべり出して闘鶏場のごとしでした。あの喧噪が好きな国民が、最近は日本の地下鉄でも小さな声で喋っている光景をみると、それなりの同化を感得します。



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(読者の声3)今月九日は第二次世界大戦の対独戦勝利六十四周年記念日。
モスクワの赤の広場で旧ソ連崩壊後最大規模の軍事パレードがあり、その日ロシア軍は最新式地対空ミサイル防御システムS‐400を披露した模様。復活したロシアの威容を見せ付けた。
http://www.voanews.com/english/2009-05-09-voa18.cfm

ところでロシアは核濃縮を進めるイランに「旧型」とはいえ戦闘機には脅威となるS‐300対空ミサイルを売却。イランの核施設空爆が噂される中で米国やイスラエルと対立を深めたのは記憶に新しい。
http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/2008/07/nos.html
http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/2008/12/no_463.html

だが、ロシアはイスラエルから無人飛行機を購入した事もあり引渡しを延滞。イランを焦らして遊んでいる。
http://www.reuters.com/article/worldNews/idUSTRE53C20P20090413
そこで登場したプレーヤーは中国。最近、S‐300のコピーの実験に成功。イスラエルの安全保障関係者を苛立たせている。
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=94183&sectionid=351020101
  (doraQ)


(宮崎正弘のコメント)ロシアとユダヤ人とイスラエルとは特殊な関係の中でも、群を抜いて特殊な関係。佐藤優氏の『自壊する帝国』にも、かなりのスペースで出てきますね。

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