国際情勢

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み

2009/04/13


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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)4月13日(月曜日)
         通巻第2562号 
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 景気刺激政策の反動が上海万博直後に来るだろう
   表向きだけのV字回復が中国経済に見られるが。。。
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 目がランランと輝いて、ネオンが巷に復活し、豪華レストランにも客がすこし戻った。
 新車販売が突如V字型回復を示し、工業原材料が値上がり、各地のビル建設現場も活況に満ちた。中国の話。57兆円の財政出動の効果である。
 「これで中国経済は復活した」とウォールストリートジャーナルも報じた(4月11日付け)。

 ちょっと待った。
 本物の回復でない証拠を一つだけ提示しよう。新卒大学生に就労チャンスが、ますます減っている現実を、上の表面的経済繁栄はどう答えるのか。
 答えは簡単、57兆円の景気刺激策が発表したことにより、地方政府は中央のお墨付きを得たとばかり、先に借金して公共事業をどんぶり勘定を立ち上げ、道路、鉄道、トンネル、橋梁、ダムを片っ端から造ろうという青写真が出そろったからだ。

 英誌『エコノミスト』は辛辣に書いた。
 「ことし新卒は610万。中国の大学キャンパスは最悪ムード、来年は700万新卒者がでる。2011年卒業予定は、じつに760万人。就労のチャンスはますます希薄になる。2000年との比較で大学生数は六倍になった」(同誌2009年4月11日号)。

 暇で職がないとなれば、やることは一つ。天安門事件の再来だ。

 学生運動を警戒する中国政府は、何をしたか。
 上限7300ドルで学生ローン。起業する学生に開業資金を貸し出すというのだ。就労のチャンスがなければ、自分でビジネスをやりなさい、と大学が資金の貸し手になる。こういう発想は中国ならでは、だろう。

 軍に入る者は、四年間の授業料を返還する。
 辺境地域の公務につくものも同様。地方公務員は戸籍による制限を新卒者に限って免除する方針もでた。
 各町村、辺境の村々で教員福祉などのサービスに従事する者を各町村二名採用と強制措置もとった。3000のポストに17000名が応募した。

 結果、学生の共産党への入党が顕著となり、驚く無かれ8%、90年代に共産党員である大学生は1%も満たなかった。
むろんいまの党員願望は、運転免許証があると就労に便利なように、イデオロギーではなく、就労に便利だから、便宜的党員が大学生に急増しただけのことである。
 
 1989年6月4日、天安門広場前で共産党の暴政に散った学生諸君の魂はさぞ嘆いているだろう。
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○宮崎正弘●宮崎正弘○宮崎正弘●宮崎正弘○宮崎正弘●宮崎正弘○宮崎正弘○
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(読者の声1)「読者の声」でトルコについていろいろ書かれておりますね。90年代半ばにトルコに行った時のことが思い起こされます。
まずパンが美味しい。ナンも美味。隣国イランは外食の不毛地帯なのにトルコは天国。
サバサンド、熱々のカキにタルタル・ソースのサンド、トマトやナス料理、ヨーグルトに塩味のチーズも美味。
ただ肉料理は羊がメインなので一週間もするとにおいが鼻につきましたが。
頭の上に板を載せてドーナツ型のゴマつきパン(シミット)を売る子供の姿は「アラビア
のロレンス」のシーンと同様でした。
あの映画はアラビアのオスマントルコ帝国からの独立闘争。シミットは塩味とゴマの風味が郷里の南部煎餅を思わせる素朴な味わいでした。
岩手・青森にはトルコ系・ペルシャ系を思わせる顔立ちの人や鉤鼻の人も見かけますから中近東と何らかの繋がりがあったのかもしれません。新疆ウイグル自治区のカシュガルの市場で売られていたパンもトルコ同様の美味しさ、トルコ系は美食なのでしょうか。
 イスタンブールのクラブではソ連崩壊後に流れ込んだロシア美人が勢ぞろい、チャイ一杯で8千円、フルーツだのなんだのと3万円以上ボッタクリ。
日本語で話しかけてくる人間は怪しいとわかっていながら好奇心でついていった店、いい勉強になりました。
 建国の父ケマル・アタチュルクの靴をどこかで見たのですが、ものすごく幅が狭くアジアというよりもヨーロッパの足ですね。街並みもヨーロッパ的、商店の陳列もガラス越しに壁面全体を隙間無く埋めるものでテヘランやリスボンも同様。巨大な真紅のブラジャーが妙に印象に残ります。ベリーダンスの踊り子の豊満というか立体的な体形もアジアというより欧州的。
 半島部には古代ローマ・ギリシャの遺跡がたくさんありますが、ローマ遺跡の水洗トイレ(大理石に穴が並んでいるだけの腰掛け式)は開放式とでもいうのか屋外のベンチに座る感覚には驚きました。イギリス映画で見た修道院のトイレが屋内でしたが同様に扉も仕切りもないものでローマ文化がイギリスにまで及んだ証拠ですね。
 エンピツのようなミナレットはトルコ独特、バザールやモスクを除くとヨーロッパ風の街並みですが、半島部で一直線に続く道路とポプラ並木はカシュガルとそっくり。
西アジアは意外に近いのだなと実感したものです。
   (PB生)


(宮崎正弘のコメント)トルコ紀行をほかにも二、三いただきました。皆さん、トルコへの近親感が共通しています。
 PBさんの美食体験を読んでいて、ふと脳裏をよぎった記憶があります。
 88年だったか、イラクの「アラブ平和会議」の招待をうけて、バグダッドで一週間ちかくを過ごしました。シェラトンホテルでした。プールもあった。
 会議のない日には同行した越智道雄(当時明治大学教授。ペンクラブ理事)とタクシーを雇ってバビロンへ行ったり。
で、問題は食事です。
イラク最初の三日間は美味しい美味しいと食が進んで、四日目から胃袋に変調。原因はオリーブ油ですが、五日目がファオ半島の戦闘現場で、ごろごろと転がる死体をみて絶食。六日目にどうしてもラーメンを食べたくなり、一日旅程を切り上げて、「バグダッドから一番近いラーメン屋」のあるバンコックへ飛びました。ホテルで旅装を解くや、真っ先に向かったのが近くのラーメンもだすレストラン。ここで日本のビールにもありつけて、お腹の変調が回復。
というわけで中東の食事は気をつけないといけない側面がありますね。イスラエルへ行ったときは即席ラーメンや味噌汁をたくさん持参しましたっけ。トルコは滞在中に、イスタンブールにある日本料亭に一度だけ行って、日本酒を飲みました。閑話休題。



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(読者の声2)貴誌2560号(読者の声1)で「東海子」氏が「アジア民族史では古来トルコから中東、極東にまでおよぶ、トルコベルトがあったと聞いていました」と書かれた。
それを受けて貴見(宮崎正弘のコメント)は、
「突厥も鉄勒もトルコ系です。彼らは漢族に追われ西へ西へと移動、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、トルクメニスタンはトルコ系、さらに南下し、セルジュクトルコ、そしてオスマントルコ帝国を建てます。ですからトルコ人のご先祖は、モンゴルがチンギスハーンの血をひくように、偉人らを輩出したのでした」
とあります。
「森の石松」ではありませんが誰かをお忘れではありませんか。
そうです、アヴァール人です。英語では「Avars」(Avarの複数形)といいます。欧米の歴史書では、アヴァール人は無視されるか、非常に小さくかつ重要な点を避けてしか記述されていません。
実は西欧世界の形成に於いて決定的に重要な役割をかれらは果しました。現在アヴァール人と呼ばれている民族は、6世紀(おそらくは5世紀あるいはそれ以前)から8世紀末まで、現在のドイツ東部からポーランドにかけて住んでいた民族とコーカサスに住んでいた民族の二つがあります。
日本語版Wikipediaでは前者はモンゴル系、後者はモンゴル系あるいはトルコ系と書かれていますが、私は、前者はトルコ系の農耕民族であったと推定しています。そして、ここで私が言及しているのも前者です。
欧米の歴史家がアヴァール人の存在をことさら矮小化することの背景には、トルコ人に対するヨーロッパ人のコンプレックス、鬱屈した気持ちがあるとおもいます。日本語版Wikipedeiaの記述もこの欧米の歴史家達によって歪曲され矮小化されたアヴァールの記述が影響しているのではないのでしょうか。
9世紀までのヨーロッパでは、収穫される小麦の量は種籾の約二倍でした。次の種まき用の種籾を除くと蒔いた種籾と同量のしか消費に廻せませんでした。これでは、穀物を中心とした農業は基幹産業として成立しえませんでした。
ところが9世紀初頭にアヴァール人がシャルルマニュー王に降伏しその農業技術が略取されて西欧世界に広まり、10世紀ともなると種籾の4倍を収穫することができるようになりました。
つまり消費に廻せる量が3倍になりました。その結果、農業生産が増大し、小麦の商品作物化が進み、交易が発展し、さらに人口が急増しました。
これが、十字軍が起きた真の原因です。
この経済力と増加した人口のはけ口が十字軍であったのでした。また、アヴァール人からの農業技術略取前のヨーロッパは、一部の例外はありますが、マクロ的に観れば原始的社会であったともいえます。
このヨーロッパ史において特筆大書すべきことを欧米の歴史家達たちが事実として受け入れることは、韓国人の歴史家たちが日本との過去2000年にわたる交流を客観的に記述できるようになることよりもさらに何倍も難しいことでしょう。
  (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)STさん、いつもながら勉強になります。お説を拝聴しながら、もうひとつ、ヨーロッパ中央部からスコットランドへ追いやられ、絶滅されかけているケルトを思いました。謎の民族とされるハザル族のことも。
 西洋史では蛮族と教えている、東方からの移住者にはフィン系、ハンガリーへ流れたマジョール人。それからジプシー、クルド。。。。。。
 話は飛びますが、ウィクペディアの左翼史観は一部ひどい記述がありますね。



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(読者の声3)オバマ大統領のトルコ歴訪。
アルメニア虐殺に関して、オバマは、トルコを擁護し、「GENOCIDE」非難を回避した。北朝鮮の弾道ミサイル発射では、あれほど、断固と「制裁なしの決議はない」と言ったが、結局、中国の提案に同意した。つまり、日本を裏切った。中国宥和のブッシュと同じです。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/europe/article6045165.ece

 イランとロシアが、EUガス市場でせめぎあいを始めました。モザイク状のEUが軍事経済上の均衡を考えるとき、無視できない。
 2月18日、ヒラリーが東京から北京へ飛び去った同じ日に、麻生さんがサハリンへ飛んだが、その後の経過は聞きません。
これも、極東の軍事経済上の均衡を考えるとき、無視できない。プーチンは、日本のカネと技術に喉から手が出るほどの想いのはず。先生はどうお考えかお聞かせください。
(伊勢ルイジアナ)


(宮崎正弘のコメント)麻生首相はサハリン2の完成式にでた。同じく合弁の米・蘭代表も立ち会いました。ロシアは極東開発の資金を得るためにも、ガスを日本に売るでしょうし、EU向けのようにパイプをしめると、日本はLNGタンカーで他からも運び込みますから、ロシアに供給元を一元化していない現実も知っている。そのあたりが対EU向けの姿勢とは異なると思います。
 閑話休題。二十年ほど前、樺太の南を鉄道で一周したことがあります。ユジノサハリンスクには日本人経営のスナックやらカラオケもあり、蟹料理にウォッカが旨かった。残留朝鮮族の末裔が、街の露天商人、店先の売り子に目立った。夜は治安が悪そうなので外へ出ず、ホテルのバアで飲んでいました。
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